底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす   作:オタリオン

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第58話:狂信激重ファンは次期女王?

 大型エネミーの討伐は順調に進んでいた。

 最初の一体目がかなり難しかったからか。

 その他のエネミーはまだ簡単に思えた。

 

 ……まぁアセンの縛りさえ無ければどうという事はないかな。

 

 時間制限による討伐に、飛行の禁止。

 条件の縛りはあっても、武装さえ自由であれば問題ない。

 まぁ流石のリリアンさんも少し疲れたような顔はしていたけど。

 

 ……でも、それを言うなら月島さんが心配だな。

 

 彼女は最初の一体目以降、あまり元気が無い。

 恐らくは、活躍が出来ていなかったと思っているのか。

 実際はそんな事は無く、彼女は十分チームとして活躍していた。

 ただ、まだまだ経験が浅いからこそミスをしてしまうだけだ。

 それを責める事も、それが足を引っ張っているとも言うつもりはない。

 俺だって最初はミスだらけだったからこそ、彼女の気持ちは分かる。

 

 それとなく、リリアンさんにはメッセージで相談はしてある。

 俺から彼女にアドバイスをするのは少し違う気がする。

 先生と呼ばれて慕われていても、俺なんかより事務所の先輩であるリリアンさんの方が相談もしやすいだろう。

 丸投げしているようで申し訳ないが、そこは任せよう。

 

 俺はそんな事を考えながら、専用の配信ルームにて配信を行う。

 下は畳で、ふかふかの座布団を敷き、湯飲みに入ったお茶を飲みながら軽快なトークを展開していく。

 今日の討伐はお休みだ。

 何せ、予定通りに進んでいたからこそ一日だけ休みにした。

 みっちゃんも急な仕事が入ったと言っていたしなぁ……誰かチートでもしたのかな?

 

 兎にも角にも明日で記念すべき5体目だ。

 ここまでは誰も撃墜されていない。

 他の傭兵の乱入も無かったからこそここまでスムーズに出来た。

 一週間の縛りもこれでクリアできるだろう……ま、油断しないようにだけど。

 

 難しいかと思ったが。

 仲間たちがいるからこそ何とかなった。

 その事をリスナーさんたちに伝える……よし。

 

「さて、自分の事についてはこれくらいにして……良い機会なので、皆さんからのお便りでも読んでいきましょうか!」

【あぁ、そういえば募集してたよね? 遂に発表かぁ】

「そうそう! リスナーさんからの生の声……いや、疑問とか熱意とかを知りたかったですし。30万人も達成しちゃいましたし……あぁ、思えば長い道のりでしたよ」

【だねぇ。迷走してた時なんて、クソゲーの過剰摂取始めちゃうし】

「は、はは、そういう時期もありましたねぇ……“こんにゃく無双”に“ストロング・ラブ”に“ナマコノート”とか……こんにゃくのコアな知識の習得とかストロング酎ハイでヒロインたちとのゲロチューにナマコ部屋でナマコになって……うぷ!!」

【は、吐くなよ?】

 

 思い出すだけでもトラウマがフラッシュバックだ。

 こんにゃくの出来で世界の命運が決まるとか。

 リアルなゲロの味を体験できるとか、ナマコとして無職のおじさんのペットになるとか……い、いかれれるよ。

 

 もう二度とプレイはしたくない。

 続編が出ても、それだけは嫌だ。

 迷走時期はそれでもやればコアなファンがつくとか思ってたけど……。

 

「ま! 結局は神ゲーですよね! クソゲーも偶には良いですけどね! 偶には! ハハ!」

【根黒氏でもクソゲーの過剰摂取には耐えれませんか……ま、当たり前か(白目)】

 

 リスナーさんたちに同情される。

 俺は咳払いし、話がそれた事を謝る。

 そうして、皆がお待ちかねのお便りコーナーを開始した。

 

 指を鳴らせば、目の前にカラフルな箱が出現する。

 俺はそれを両手で挟み軽く振って混ぜた。

 

「さぁ、それじゃ先ずは一枚目ぇぇ……これだ!」

【わくわく!】

【えぐいの来い!(鬼畜)】

 

 俺はお便りを掴む。

 白い便箋であり、俺は笑みを浮かべながらそれを広げる。

 すると、皆さんにも分かるように横に大きなウィンドゥが展開された。

 

「えっと、何々ぃ……根黒さん初めまして。僕は今年から大学生になったばかりの新参リスナーです。根黒さんの事はイベントでの事件で知り、そこから頭がおかしいメックの操縦に脳を焼かれました……ふへ……僕もタイタングリードで傭兵家業を始めたのですが、やはり軽量級二脚型のメックが強いでしょうか? 個人的にはタンクが好きなんですが、タンクでも強くなれるでしょうか。アドバイスをお願いします……うん、中々に良い質問ですね!」

【真面な質問で良かったね】

「ははは……はい、ではお答えします――どんな機体でも強くなれます!! ドンッ!」

【ドンッ!(肉声)】

 

 俺は質問している方が見ている前提で話をする。

 そもそも、タイタンシリーズにおいて機体の性能差というの存在するが。

 タンクや二脚や多脚型の違いで、明らかに戦況が不利になるなんて言う事はない。

 まぁステージによって向き不向きはあるが。

 それでも、そんな事でタンクが二脚に劣るなんていうことは絶対に無い。

 

「そもそも、タンクのメリットは積載値の高さだったり、地上戦においては他の機体よりも素早く移動できる点にあります。空中戦においても、スラスターの性能さえあれば縦横無尽に飛べますし。あ、それと多種多様な武装に対応している点もメリットですかねぇ? 二脚ってバランスは良いですけど、姿勢制御だったりアセンの制限もありますしねぇ。それをあまり気にせず戦闘に集中できるのは大きいですよ?」

【おぉ、流石は根黒氏。的確な説明だぁ!】

【うんうん! タンクは素晴らしい! タンクで最強にだってなれるんだぜ!】

【君も今日から我々と共にタンク道を極めよう!!】

 

 説明していれば、タンクガチ勢らしき人も出て来た。

 俺はニコニコと笑いながら、勿論、他同様にタンクにも弱点はあると伝える。

 

「装甲は基本的に強いですからねぇ。耐久値は高いですけど、その分、消費するエネルギー量は多いですよ? 持久戦ともなれば、あまり長くは保たないかもしれませんねぇ。あ、でもでも! 最近ではコアの改良だったり、スラスターの調整でその問題も少し改善してるってのは聞きました! まぁそもそも、ステルスを要求されるような任務であればスラスターを使用せずとも高速で動けるタンクは魅力的ですからねぇ」

【うんうん! 素晴らしい! とても良い説明だ!】

「ふふ、それにですよ!? 何と言っても――あのデカい砲をつけれるんですよ!!? かっこいいじゃないですか!! ねぇ!!?」

【……それが全てって思ってねぇか?】

【鼻息が荒いぞぉ】

【やはりロマン!! ロマンさえあれば問題なし!!】

 

 タンクガチ勢の人と共にあの破壊力満点のロマン兵器について語る。

 発射した時の轟音に手にまで伝わる衝撃。

 漂う硝煙の香りに、遠く離れた敵へ命中した時の脳汁スプラッシュ……あぁ、溜まらねぇ!

 

「うへ、うへへ、うへへへ」

【おーい。帰ってこーい】

【トリップしてやがる!】

 

 俺はハッとして涎を拭う。

 謝罪をしてから咳払いしにこやかに発言する。

 

「まぁ兎に角、俺が言いたい事は、世間の情報とか関係なく。自分の心に正直に、乗りたい者に乗って、使いたい武器を使うべきという事ですよ! 他のゲームだってそうです。これは弱いから誰も使わないっていうものでも、貴方自身がそれで冒険したいっていうんだったら絶対にそれを使うべきです!! 例え、それを扱う才能が無くてそれが本当に弱かったとしても――極めれば最強です!」

【……有言実行した奴が言うと重みが違うねぇ】

【まぁアンタほどの人が言うなら】

 

 俺は胸を張って質問者さんに伝えた。

 すると、一瞬お礼が見えた。

 コメントを戻せば質問者さんだったようで……ふふ。

 

【ありがとうございます! 僕、タンク道を極めます!】

「ふふ、頑張ってください! そして、何時か俺と――闘って下さいね!」

【それが目的だろぉぉぉぉ!!】

【美味しく実まで待つんですね。分かるとも!】

 

 リスナーさんたちのコメントに口笛を吹いて誤魔化す。

 そうして、次のお便りに移る為に持っていたお便りは別の箱に入れる。

 

「さぁ続いてはぁぁ……これだぁ!!」

 

 俺はボックスから手を抜き便箋を掲げる。

 ピンク色の便箋であり、俺はそれを広げて…………ん?

 

「……根黒万太郎様。何時も配信、視聴させて頂いております。私はホワイトレコード様として活躍されていた頃より、貴方様の事を追い続けています。私の母国ではサブカルチャー……中でも、Eスポーツの分野において右に出る者はいないと自負しております。タイタンシリーズの研究も盛んで、国に専門の機関も存在しています……すげぇな」

【まぁ昔と違って、Eスポーツはオリンピックも目じゃないしねぇ】

【仮想世界が出来た事で、ゲームもEスポーツも滅茶苦茶盛り上がってるし。それだけで、国の経済回せるって聞いたよ】

 

 リスナーさんの言葉に頷く。

 俺のようなゲーマにとっては良い時代だ。

 俺はお便りの続きを読んでいく。

 

「……その中でも、我が国ではホワイトレコード様がトップの存在です。ゲームにおいて高い技量を要求されるタイタンシリーズにおいて破られる事の無い記録を作ったのは勿論の事。我が国の精鋭であろうとも、その記録には歯が立たなかった事もあり、国王である我が父を始め我々は貴方様の事を――神であると認識しております……え?」

【おや?(期待)】

【続けたまえ(覇王)】

【ほぉほぉ(暗黒微笑)】

 

 不穏な気配を感じた。

 が、続きを読めと促されたので渋々読んでいく。

 

「ホワイトレコード様は神であり、グッズの販売と布教活動が盛んに行われています。私も、次代を担う女王となる為に、日夜、ホワイトレコード様の研究を続けています。長々と語ってしまいましたが、本題としましては我が国に訪問してはいただけないでしょうか? 旅費は全額此方が負担します。滞在中の経費諸々も私のポケットマネーで賄います。気に入っていただけましたら、永久ビザの発行も即時行います。勿論、夜伽の相手も私が務めさせて頂きます。○○○も、×××でも、▽▽▽でも、あらゆるプレイに対応可能で…………はい! “二枚目”に行きましょうか!」

【こいつ記憶から消しやがったぞ!】

【逃げるなぁぁぁぁ臆病者ぉぉぉぉぉぉ!!!】

【また一人おもしろ女枠が増えたね(白目)】

 

 リスナーさんたちがやんやんと騒いでいる。

 ピー音の連続の後には、連絡先やら国の名前も書いている。

 絶対にイタズラだろうから、これ以上はやめておく。

 面白がっているけどね……命がけなんだよぉぉぉ!!

 

 俺は気を取り直して、紙を引こうとし――スパチャが飛んできた。

 

 赤スパであり、俺はお礼を伝えようと…………え?

 

 

 

 

【ずっと――――お待ちしております】

「ふ、ふひ、へ、は…………うぷ!」

 

 

 

 

 ただのイタズラ、悪ふざけだ。

 そう思い込もうとすれば、リスナーさんの何名かがアカウントを指摘する。

 

【このマーク……あの国の国章だろ?】

【……どう見ても、公式だねぇ……ほ、本物だったの?】

【根黒氏、遂に国にマークされた件(絶望)】

【君は良い奴だったよ……式には呼んでくださいね! 根黒王配!(鬼畜)】

【ニートから王族に出世だな!!(外道)】

「ふ、ふざけ、う、うそ……へ、へへへへ」

 

 

 俺はだらだらと汗を流す。

 その間にも、分刻みで赤スパが飛んでくる。

 上限いっぱいであり、他のリスナーさんもご祝儀と言ってスパチャを投げて来る。

 

 俺はただ楽しくゲームがしたいだけなのに……た、助けてぇぇ竜一!!

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