底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす   作:オタリオン

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第65話:ダンシング・オールナイト(☆)

 ガラガラと音を立てて、ターレットから弾丸を放ち続ける。

 自動迎撃用のターレットであり、私たちもフルバースト状態を維持していた。

 マズルフラッシュの先では、蜘蛛型のエネミーが群れを成して進行してきていた。

 その数は増える一方であり、バリケードまで接近してくる敵も出始めていた。

 

《敵の増援! 数500!》

「左方は私が! コウは右を! リリーは前方! 月島さんは撃ち漏らした敵の掃討を!」

《りょ、了解!!》

 

 私が指示を出す。

 リリーは陣形の中心にて拡張兵装を展開し。

 巨大な砲を敵陣へと向けて銃弾の雨を見舞っていた。

 私たちも設置された固定砲台を動かして迫りくる敵を迎撃していた。

 月島さんはバリケードの内側から、すぐそこに迫った敵へと狙撃砲で狙いをつけて撃破していた。

 誰しもが休む間もなく手を動かしている。

 休めば隙であり、隙は死を招く。

 

 植物プラントを除いて、隠しエリアへと繋がる唯一の道。

 メックが何機も通れるほどには開けた道だ。

 恐らくは、此処も物資を運ぶ為の道だろう。

 その証拠に頭上にはラインによって動く作業用のアームが幾つもあった。

 敵はそんな広い道にカタカタと足を突き刺し迫って来る。

 恐怖だ。ゾンビ映画のようだ。

 

「ふふ♡」

 

 私は自らを映画のヒロインのように感じ――更に攻撃の速度を上げる。

 

 放たれた砲弾が、敵陣へと吸い込まれて。

 破壊音を立てながら、敵を木っ端みじんに吹き飛ばす。

 これで道そのものが破壊されてくれれば御の字だったが。

 此処の道だけは事前の情報通り、破壊不可能になっていた。

 何故かは私でも分からない。

 でも、ゲームの進行上で破壊されては困るものは多くある。

 だからこそであり、私は納得し――再び砲弾を撃ち込んだ。

 

 凄まじいリコイルと共に、撃ち出された砲弾。

 後ろへと銃身が後退し、空薬莢が飛ぶ。

 長く少し曲がったマガジンからガシャリと音がし、次弾が自動で装填される。

 モニターに表示された耐熱強度に注意を払いながら。

 私は射撃用のサークルを動き回る敵の群れに合わせて――ボタンを押す。

 

「――ん♡」

《変な声出すんじゃねぇよ!》

「だって、凄く――激しいから♡」

《……先生がいなくて良かったですね》

《……え?》

 

 砲弾が発射される衝撃に、敵が粉々に吹き飛ぶ光景。

 私がゲームの中で敵を屠る瞬間はどんなプレイよりも――濡れる。

 

 私は今を生きていると実感しながら。

 手が止まっている月島さんに指示をし、敵の掃討を再度命じる。

 彼女はハッとして慌てて、煤に塗れたバリケードの隙間から狙撃砲を構える。

 

 彼女はまだ若い。

 年齢というよりは、そのプレイングが若い。

 経験不足であり、才能だけでここまで来ていた。

 だからこそ、もしも、彼女が本選へと進むのであれば……。

 

「……今のままでは、本選には進めない」

《――!》

《……》

 

 私は敢えて通信を繋げた状態で言葉を発した。

 月島さんは自分に言った言葉だとすぐに気づいていた。

 息を飲む音で、緊張が走ったのが分かる。

 しかし、彼女と親しい筈のリリーは何も言わない。

 

《……ッ! 私、だって!》

《月島ッ! 持ち場を離れるなッ!!》

《……! で、でも!!》

《お前の役目は何だ!! お前が敵陣に突っ込んで何が出来る!! 勝手に死ぬ気なら、役目を果たして死ね!!》

《……! 了解!》

 

 月島さんはリリーの言葉でその場に留まる。

 が、明らかにイラついている様子だった。

 コウが何か言いたげだったけど、私は敢えて何も言わない。

 

 憎くてこんな事は言わない。

 嫌いだから貶めようなんて思わない。

 先生を狙っているライバルだけど、それだけで彼女たちを消そうとは思わない。

 私自身、強い人は大好きだ。

 だからこそ、月島さんにはもっともっと強くなってもらいたい。

 

 中途半端な人間に勝っても嬉しくないから。

 どうせ勝つのなら、その人間のポテンシャルを十二分に引き出してから。

 全力の状態に勝ってこそ、勝利には意味があり価値が生まれる。

 

 強くなりなさい。そして、先生に相応しい女になってね♡

 

 

「……その時は、全力で、相手をしますよ♡」

《……ぅ》

 

 

 獲物を見つめるように彼女の機体を見つめた。

 彼女は声を僅かに漏らして震えていた。

 私は未熟なルーキーに静かに期待し――――

 

 

 ○

 

 

「なんじゃそりゃぁぁぁ!!?」

《ぎゃはははは! あり得ねぇ! カラクリ屋敷じゃんかぁ!!》

 

 床を滑るように疾走。

 その間もタンクからの銃撃が飛んでくる。

 奴の速さもかなりにものであり、あの図体も小回りも効く。

 

 奴だけじゃない。

 転がって来る鉄球も警戒しなければならない。

 鉄球は何度も何度も壁に当たり、鉄球同士でぶつかり合い。

 その度に速度は上がっていき、当たればひとたまりも無いだろう。

 

 パチンコの中、ビリヤードの盤上。

 何でも例えられるが、弾の速度が衰えるどころか増す意味ではどれにも例えられない。

 あんなアホみたいな鉄球が機体に当たれば踏みつぶされる。

 装甲の厚み何て関係ない。即死だ。

 

 が、状況は奴も同じ――そんな筈が無かった。

 

 奴へと迫る鉄球。

 そのままダメージにでもなれば恩の字。

 そう思っていれば、鉄球からガンと音が鳴り僅かに浮く。

 そうして、そのまま軌道を九十度変えて来た。

 不自然なほどに直角に曲がった。

 何が起きたのかと目を白黒させていれば、床の一部が盛り上がっていた。

 その瞬間に理解した――仕込みだと。

 

 仕掛けありの床であり、ご丁寧にタンクには当たらないようにしている。

 奴だけは自由にこの広いエリアを疾走できる。

 俺たちだけが鉄球を警戒しなければならない。

 気持ちはまるで、逆襲要素の無いパッ○マンで――発狂しそうになった。

 

 ストレスによって叫びながら。

 俺は奴の執拗な攻撃を回避。

 すぐそこまで迫った鉄球も連続ブーストによって回避した。

 ゴロゴロとメックを遥かに超える巨大な鉄球が床を揺らしながら進んでいく。

 その速度はどんどん速くなっている気がする。

 きっと気のせいじゃないだろう。

 そう思って――加速。

 

 ブーストを連続し加速。

 そのまま曲がろうとしていた奴へと接近する。

 前面部分は盾のような装甲が邪魔だが。

 横に限っては装甲が薄い。

 奴のコアが何処にあるかは分からないが――

 

「センサーを潰せば自由に動けねぇだろォォ!!」

 

 チャージングガンを動かしチャージを開始。

 ぎゅんぎゅんと音を立てながらシリンダーが回転しエネルギーを貯める。

 先ずはゼロ距離でパイルを撃ち込みセンサーを潰す。

 そこから距離を取り、フルチャージで特殊弾を撃ち込もう。

 それで大ダメージは必至で――床を蹴って跳躍。

 

 奴はキャタピラを激しく動かし後退。

 が、その動きを予想していた。

 だからこそ、タイミングは完璧で――悪寒が走る。

 

「――やぶ!!」

 

 俺はパイルを中断。

 奴へと迫る直前にチャージングガンを奴へと撃つ。

 ほぼ同時に奴の機体の周りの管から――青い炎が噴き出した。

 

 チャージガンによる攻撃の反動で機体の速度はぐんと落ちる。

 弾自体は狙いも散漫だったからこそ奴は回避しやがった。

 機体が炎に僅かに触れるタイミングで高度が下がり。

 俺はブーストして慌てて後方へと下がっていった。

 

「あちゃぁぁぁぁぁあああああ!!?」

《ぎゃはははは! さ、最高ぉぉ! お、おもしれぇ!》

 

 機体に僅かに炎が燃え移っていた。

 コックピッド内まで熱が伝わり、全身から焦げるような臭いがした。

 俺は機体をジャンプさせながらそのまま回転させて火を消す。

 そうして、火花を散らせて滑るように着地しながら走行する。

 ランさんは遠くから俺の様子を眺めてゲラゲラと笑っていた。

 

「はぁはぁはぁはぁ!! 面白兵器じゃねぇかよ!! ドッキリマシーンか!? あの射出する的なやつは何だよ!?」

《おうおう。考察タイムは良いけど……お客さんみたいだよぉ》

「へぁ!?」

 

 俺はランさんの言葉に驚く。

 すると、確かにレーダーが真っすぐに此方に高速で向かってくる敵機を捉えていた。

 明らかに雑兵ではないメックの動きで――何かが侵入してきた。

 

 それらは交差するように飛び。

 そのまま床へと降下し、火花を散らせながら床を滑っていく。

 見れば、脚部の底がブレードのようになっていて手もブレードになっていた。

 銀色の機体であり、黄色い単眼センサーで頭部はどこぞの兵士のモヒカン風だ。

 兵士のようでフィギュアスケート選手のようなシルエットで――二機のメックの主が同時に叫ぶ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「何だよもぉぉぉぉまたかよぉぉぉぉ!!!」

《ぎゃはははは!! は、腹いてぇぇ!!》

「笑ってる場合かぁぁぁ!!! ほぉぉぉぉ!!!」

 

 ランさんは完全に見物客になっていた。

 俺は彼女を叱って、タンクを何とかしてくれと頼み――刺客たちが動き出す。

 

「ぅ!?」

 

 奴らは床をブレードで滑る。

 まるで、此処がスケートリンクとでも言わんばかりの優雅な動き。

 その動きは俺たちよりも格段に速い。

 あっという間に左右から刺客が迫り、機体を後ろに倒す。

 

 上部をスレスレで奴らのブレードが通過。

 俺はそのまま、機体の姿勢を戻しながらチャージを開始。

 鉄球の機動を警戒し、タンクからの攻撃も注意する。

 神経を研ぎ澄ませながら、刺客たちへと銃口を向けて――だ、ダメだ!

 

 狙いが定まらない。

 奴らはまるで演技でもするように舞いながら移動している。

 無駄なようで無駄のない派手な動きだ。

 今までにない手合いのせいで予測がつかない。

 いや、それだけじゃない。

 全ての物体が俺の意識を削いでいく。

 

 ストレスフルであり、また発狂しそうだ。

 ランさんを見れば、ランチャーでタンクを攻撃している。

 少しでもヘイトを自分に向けさせようとしていた。

 が、奴はランさんの攻撃をブーストで回避しながら。

 執拗に俺へとセンサーを向けて――銃弾を放って来る。

 

「クソッ!!」

《ごめぇん!》

 

 ガラガラと音を立てて弾丸が飛んでくる。

 俺はジャンプをし回避し、そのまま地上を走行し――殺気を感じた。

 

 一瞬の判断でその場から飛ぶ。

 瞬間、死角から刺客が迫っていた。

 刃が元居た俺の場所を通過し、俺は床に着地し――ブースト。

 

「ぐぅ!?」

《――浅い》

 

 風切り音と共に刃が装甲を軽く抉った。

 敵はセンサーを光らせながら、すぐそばで刃を振り終えていた。

 システムが損傷を報告し、俺はカチカチと歯を鳴らす。

 刺客たちを警戒し、俺はすぐに横へと連続ブーストする。

 瞬間、鉄球がごろごろと音を立てて通過していった。

 

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ!!! 何だよ、何だよ何だよ――あああぁぁぁぁぁ!!!」

《あ、壊れた?》

()()()()()()()()()()()()()

 

 俺は速度を上げる。

 そうして、九十度の角度で左へと曲がり――鉄球にパイルを撃ち込む。

 

()()()

 

 鉄球には僅かな罅だけ。

 が、その加速は殺人的なものになる。

 俺は床を疾走し、飛び上がり――別の鉄球にもパイルを撃ち込む。

 

 

「最高だよ!! 最高にムカつくからさぁ――地獄(ここ)で踊ろうやァァ!!!」

《ふ、ふははは! いかれてんじゃんかぁ!! 根黒っち!》

 

 

 俺は笑みを深める。

 刺客たちが慌てていた。

 が、俺はそれを無視して鉄球の動きを激しくさせていく。

 

 ドゴドゴと壁へと激突する音が響き。

 真っ赤な空間にて鉄球は残像が出るほどに動く。

 タンクはその激しい鉄球の動きによって動きが鈍る。

 直前で床が盛り上がり衝突する事はない。

 が、タンクが同じような速度で動けば、床のギミックを発動しづらくなる。

 

 これは賭けだ。

 刺客を潰し、タンクの動きを封じる賭け。

 負ければ即お陀仏なハイリスクハイリターンの賭けで――燃えるぜ。

 

「さぁ命――燃やして行こうぜェェ!!!」

 

 俺は叫ぶ。

 そうして、機体のリミッターを解除。

 フルコンを起動し、手にガントレット上のコントローラーを装着。

 神経が研ぎ澄まされて、俺は興奮で鼻から血を垂らしながら笑みを深める。

 限界までコアを稼働させて、激しく鉄球がぶつかり合う戦場を疾走する。

 

 視線を常に動かし、鉄球の動きを予測。

 ギリギリを通過するだけの余裕をもって回避。

 同じように激しく動いている刺客へと狙いを定めて――チャージガンを放つ。

 

 奴らは俺の攻撃をギリギリで回避。

 腐っても俺を狙ってきた刺客たち。

 腕前は本物であり、俺は奴らへとブーストで接近する。

 奴らも動きを変えて此方へと向かってきた。

 俺はチャージングガンを奴らへと構えて――斜め右に放つ。

 

《え!?》

《な!?》

 

 奴らは一瞬驚く。

 その先には左へと進んでいた鉄球があり。

 その鉄球に俺の弾丸が命中し、激しく回転しながら軌道をずらして。

 進行方向から向かってきた鉄球へとぶつかり――その鉄球が此方へと向かってきた。

 

 刺客たちはすぐに左右に散る。

 その意識は完全に鉄球へと向かれていて――俺はパイルを構える。

 

《しま!?》

「――おせぇよ」

 

 俺はパイルを奴へと突き刺し――吹き飛ばす。

 

 撃ちこんではいない。

 力任せにぶつけただけだ。

 が、細身の機体には十分な威力だ。

 奴はごろごろと床を転がり――別の鉄球が迫って来た。

 

《レイコちゃん!!》

《ダメお姉ちゃん!!》

 

 やっぱり姉妹だったか。

 姉は倒れる妹を救うために妹の体をブレードの峰で飛ばそうとし――フルチャージだ。

 

「――お疲れさん」

()()()()()

 

 隙だらけの奴らにチャージガンを放つ。

 弾丸は姉の機体を粉々に吹き飛ばし。

 妹は残骸に手を伸ばして――鉄球にひき殺された。

 

 俺はその最期を見届けてから、迫りくる鉄球を左へのブーストで回避。

 タンクを見れば、此方へと向かって来ていた。

 俺は連続ブーストで弧を描くように移動する。

 奴の銃口は俺へと向けられていて――俺は一気に奴へと接近する。

 

 奴はガトリングによる攻撃を中断。

 炎による攻撃をしようとしていた。

 バレバレであり、俺は敢えて距離を縮めて――今だ!!

 

 俺は炎が噴き出す瞬間に、横へとブーストする。

 一瞬にして眼前が炎の海と化し。

 炎が機体へと迫って来て――鉄球が炎を潰していった。

 

 ギリギリだからこそ床のギミックは作動しない。

 少しは炎のダメージを喰らったが想定内。

 俺は高く跳躍し、攻撃後の膠着タイム中のボスの背中に向かって――フルチャージの弾丸を放つ。

 

 真っすぐに弾丸は飛び。

 背中にあった何かの射出装置を一気に砕いていった。

 ガラガラと破片が飛び散り、ぷすぷすと煙を放っていた。

 システムの索敵機能によってチェックすれば……狙い通りだ。

 

 上手い事、背中に繋がっていたエネルギー供給システムに干渉出来た。

 その上、射出装置自体も破壊した。

 それにより、謎の射出装置は謎のまま――使用でき無くしてやった。

 

 完全には破壊出来てはいない。

 供給システムさえ復旧すれば使えるかもしれねぇな。

 が、十分だ。これ以上、俺も時間を掛ける事はしない。

 それに、俺の仕込みも十分なものになっていた。

 

「ランさん!! 角へ!!」

《え? あ、りょ!!》

 

 着地し床を滑る。

 ランさんに指示すれば意図を理解してくれたようだった。

 俺たちはブーストで角まで退避する。

 そうして、エリア全体を見渡せば――祭りが始まっていた。

 

 鉄球が目に見えない程の速度でぶつかり合っていた。

 床のギミックもフルで作動していた。

 音が無数に鳴っていて、天井からパラパラと埃が落ちてきていた。

 タンクは激しくセンサーを動かしていた。

 動こうにも動けない。

 床のギミックを操るので精いっぱいであり――俺はチャージングガンをパージする。

 

 クラウチングスタートの姿勢を取り、角に足をつける。

 スラスターにエネルギーを溜めて行く。

 奴はセンサーを激しく動かしながらも俺の挙動に気づいて此方にガトを向けて来た。

 銃身が回転し――

 

「よそ見――死ぬよ?」

 

 俺はぼそっと忠告する。

 瞬間、奴の横から鉄球が迫り――奴がそちらを向く。

 

 ギリギリでギミックを作動させた。

 が、完全に作動する前だったから。

 鉄球が僅かに機体に当たり、奴の機体が少し傾く。

 俺はその隙を確認し――ゴーストジャンプ。

 

 一瞬にして距離を縮めた。

 盾を超えて、奴の真上を飛ぶ。

 そうして、スローモーションの中ですぐそこに見える奴のセンサーへと狙いを定めた。

 

 

「チェック――メイトってね!」

 

 

 レンズを激しく動かす敵。

 上を向こうとしているが、そんな時間は与えない。

 がら空きの頭にパイルを向けて――轟音が鳴り響く。

 

 凄まじい火力によって杭が撃ち込まれた。

 その衝撃でパイルを装着した腕から僅かにスパーク音がした。

 が、敵のセンサーは装甲諸共木っ端みじんとなる。

 俺はそのまま奴の上を通過し、ギリギリの高度で横へとブースト。

 ギリで鉄球を回避し、そのままブーストし角へと退避。

 床を滑りながら、静かに息を吐き、視覚を失った奴へと視線を向けた。

 

 奴はやたらめったらに攻撃を開始し。

 そのまま迫って来た鉄球に何度も何度も機体をぶつけていた。

 段々とその形状が変形していき、機体から危険な煙が出始める。

 機体全体が激しくスパークしていて、鉄球たちの速度も緩やかになっていった。

 

 俺はフルコンを解除。

 上に手を構えて――指を鳴らす。

 

「ぼん!」

 

 俺の声と同時に――敵の機体が爆散した。

 

 残骸が周囲に飛び散り。

 俺は綺麗な花火だと思ってそれを眺める。

 高速で動いていた鉄球たちの表面に青い光が灯る。

 そうして、不自然な動きで鉄球が動き元の位置にて停止した。

 こういうところはゲーム的だと感じる。

 

 赤色灯は安全を示すような青い光へ変わり。

 空間の拡張が解かれて行き、どんどんエリア内が元の広さに戻っていく。

 その場で立っていれば安全で、すぐに変化は終了した。

 

 ランさんに視線を向ければ……何故か、俺をジッと見つめていた。

 

《……なるほど、ねぇ》

「……? どうかしましたか?」

《んー? 何でもぉ……取り敢えず、ご苦労様。やっぱりアンタに依頼して――正解だったよ♡》

 

 彼女は笑っていた。

 が、何故かその言葉には含みがあるような気がした。

 

 俺は心の中で考える。

 しかし、此処で考えても結論は出ない。

 だからこそ、此処は気づかないふりをしておく事にした。

 ランさんは床を滑りながら俺の横を通過していく。

 見れば、壁の一部がスライドし新たな部屋に繋がる扉が出現していた。

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