底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす 作:ロボワン
「いやぁそれにしても、このシップは凄いですねぇ! 快適過ぎて眠っちゃいそうです!」
《ふふ、気に入っていただけたようで良かったです……それで、機体の方は問題ありませんか?》
「え? あぁ、武器とかも貸していただいて本当にありがとうございます! リリアンさんには頭が下がる思いで」
《――下げないでくださいッ!!》
「え!?」
《……すみません。取り乱しました……もう間もなく、輸送船団がポイントに来ますのでご準備を》
「あ、はい……?」
リリアンさんの所有する小型シップの中。
現在は、機体のコックピッドの中で待機していた。
俺は別にそのまま行っても良いと言ったけど。
彼女にしてみれば、コラボ相手に失礼があってはいけないと思ったんだろう。
態々、自分の所有するシップの一つを俺に提供してくれた。
俺は無駄な労力を使う事無く、襲撃ポイントへと向かっていた……快適だなぁ。
「……それにしても……凄いよなぁ。リリアンさん」
「姫様もお喜びになります」
「あ、そ、そうですか? へへ」
「……」
声がして振り返る。
すると、サブシートに座っているポチさんが見える。
彼は自らの機体に乗り込むのではなく。
鹵獲する事になる新機体のパイロットして俺の機体に乗ってもらっている。
ちょっと気まずいかと思ったけど。
ポチさんは見かけによらず礼儀正しく。
先ほどまでは俺の配信の邪魔にならないように静かにしてくれていた。
良い人だなぁと思いつつ。
俺は視聴者を飽きさせないようにトークしていく……さて。
彼女のご厚意で貸していただいた武装。
一言言えば、“ごつくて高い”武器だった。
十メートルはある巨大な対艦用ライフル。
装填する弾は特注品であり、一発だけでもかなり値が張るとこっそりポチさんに教えてもらった。
その上、これは星見さんが俺の為に作らせたもののようで。
対艦ライフルとして致命的な弱点である連射性能を確保する為に。
バレルの部分は使い捨てのものになっていて、その都度、背中のバレルと交換する事になっているらしい。
勿論、バレル一本でも積んでいけば重量はかさむが。
この世界にだけ存在する特殊な金属を使っている為か、バレル一本の重量は精々が500㎏ほど。
ライフルそのものの重量は約10トンで、バレルを四本積み込めばざっと12トンの計算になる。
現在の機体は少しだけグレードを上げている。
腕部の積載限界を上げて、スラスターの性能も向上させた。
その結果、燃費は若干悪くはなったが問題ない。
両手で装備すれば、積載限界はクリアであり。
後は、肩部にランチャーを積み。
保険として、両手にエネルギーソーを装着させている。
機体の総重量は45トン以内に収まっている。
武装込みであり、よほどの軽量級でも50トンを超える中でこれは凄いと俺は思う……自画自賛!
……そういえば、ライフルは設置したりする事も出来るって言ってたなぁ?
タイマーを設定したり、“リンクシステム”なるもので念波のようなものでコントロールしたり。
遠隔操作であり、前作でもそれはあったので多分問題なく使えるとは思う。
使う機会があれば使いたいなぁと思いつつ、俺は音声コマンドでシップのハッチを展開させる。
《……! 根黒様どうかされましたか? まだ、戦闘領域には》
「ん? あぁ――”もう撃てますよ!”」
《……え?》
「じゃ皆さん――根黒、行ってきまぁす!」
【行ってらっしゃい!】
機体の固定アームを解除。
そのまま姿勢を低くし――ブースト。
勢いよくシップから飛び出し。
雪が降り積もる山岳地帯を超えて行く。
空は晴れであり、気持ちの良い空模様だった。
山肌を撫でるように飛行し、山影から飛び出せば――いた!
遥か彼方に見える敵の輸送船団。
豆粒どころか砂粒ほどで、距離はかなり離れている。
が、銃身を敵へと向けてロックシステムも起動しないまま――放つ。
「うひょ!! 凄いリコイルぅぅ!!」
【……え?】
衝撃の凄まじさに驚く。
爆発音と共に白く輝く弾丸が一直線に飛ぶ。
それはあっという間に、見えなくなり――船団の護衛艦に命中。
「やりましたー! いぇーい!」
【……え?】
【……は?】
放たれた弾丸が見事に護衛艦の一つに命中したのを確認した。
不意を突いたからこそシールドも展開していない。
黒煙が上がっており、相手の動きが変わる。
ダメージはそこそこであり、完全には沈んでいない……やっぱり硬いなぁ。
《……!! 此方も援護を開始します!!》
「お願いしまぁす!」
見れば、隠れ潜んでいたリリアンさんの紫色のカラーリングの機体が山の頂上に現れる。
武装が展開されて、機体をすっぽりと覆うほどの重武装が……ほぇ。
《フルバーストォォォォ!!!》
「おぉ!! すごーい!!」
【これが“機動要塞”の戦い……やべぇ!】
彼女が展開した二つの巨大な砲身。
それが交互に動き、爆発音を響かせて敵の船団へと降り注ぐ。
まるで、砲弾の雨であり、護衛艦たちはシールドを展開するがごりごりと削られていた。
「俺も頑張るぞぉ! ポチさん、行きますよー!」
「は、はい!」
俺は意気込みながらペダルを踏み――加速。
すぐにトップスピードとなり、風のバリアが形成。
砂粒ほどの艦影がハッキリと見えて来る。
敵の船団へと迫っていけば、護衛艦からは無数の白いメックが飛び立つ。
それらは、リリアンさんの方へと行こうとするが――俺が阻む。
銃口を向けて、弾丸を連射する。
一気に三発の弾丸を放てば。
見事に、“五機”のメックを破壊する。
一瞬で木っ端みじんであり、流石の破壊力だった。
それに感心していれば、相手の動きが変わる。
今度はメックの部隊は俺へと標的を変えて――だったら!!
俺はレバーとペダルを操作する。
そうして、敵が放つ弾丸を全て回避。
そのままシップへと近づけば、護衛艦たちは弾幕を展開した。
一斉掃射であり、この瞬間は堪らなく――興奮する。
俺は連続してブースト。
弾幕の合間を突き抜けながら、俺は機体を回転させる。
そうして、上下左右の感覚がなくなるほどに音速の世界で踊る。
無数の炸裂音に無数の光。
それらが勢いよく流れて、俺は笑みを深める。
シールドは部分的に展開されていて――真下は手薄!!
一気にレバーを押し込み、機体を降下。
そのまま弾幕を抜けて、護衛艦の下へと潜り込む。
「見てください! 此処です! 此処がシップの弱点で」
「――前!! 前!!?」
【ひょぉぉぉぉ!!?】
真下の砲身が此方を向き――レーザーが飛ぶ。
俺はそれを一瞬で横へとブーストし回避。
連続して無数のレーザーが飛び。
それはコンマ一秒のズレも無くジャストで回避。
そのまま流れるように、シップの後部へと迫り――弾丸を放つ。
瞬間、分厚い筈のシップの装甲を容易く貫通し。
シップは激しい爆炎を上げながら、落下していった。
「見てましたかぁ? 実はですね、あぁいう戦闘用のシップは真下の後部に大体が燃料タンクがありましてねぇ。運よく当たれば、そのまま燃料に引火されれて」
「ほおぉぉぉ!!? 集中ぅぅぅぅ!!?」
【死ぬぅぅぅぅ!!?】
「はは、死にませんよー」
笑っていれば、レーダーが新たな敵影をキャッチ。
それは一瞬で、俺の背後を取って来た。
白に青いラインが入った機体たち。
背中にはランドセル状のバックバックを背負い。
そこから勢いよくエネルギーを噴射していた。
敵たちは俺へと黒塗りのライフルの銃口を向けて来る。
俺はけらけら笑いながら、敵の高機動メック部隊の攻撃を回避。
凄まじい速度。此方が振りきれないほどだ。
迫りくる攻撃――回避。
回避、回避、回避回避回避回避回避回避――避けられる。
激しいドックファイト。
敵はブーストしながら迫り、此方の隙をつくように光線を放つ。
一瞬の油断が命取りで、判断ミスが死を招く状況。
相手のライフルはレーザー兵器であり、攻撃の速度は実体弾の比じゃない。
特にエネルギー対策をしている訳でも無いので、一撃貰えば大破だろう。
俺は冷静に分析しながら、ペダルを小刻みに踏みレバーのボタンをカチャカチャと押して機体を揺らす。
敵の攻撃を誘発させて、狙いを逸らさせる。
ドッグファイトにおける戦闘方法で俺はよく使っている。
別に当たらなければ問題ない。
スリリングで緊張感はあるが。
俺は笑いながら皆さんに今の状況を実況する。
「綺麗ですねぇ! いやぁ俺もレーザー兵器、使ってみたいなぁ。ははは」
【く、狂ってる】
【が、画面見てるだけで……吐きそう!】
【俺はもう吐いたぞ!】
敵メックは更にブースト。
それも短時間で連続使用で一気に距離を詰める。
スローモーションに感じる中で、至近距離で敵の単眼が真っ赤に光る。
それを見ながら俺は――急停止。
一気に逆噴射。
そこから風を使って、回転。
不自然な機動で機体が大きくズレる。
敵の攻撃は外れ、そのまま敵の後ろを取りスラスターを再点火。
サイトで狙いをつけて――弾丸を放つ。
敵は弾丸を受けて木っ端みじんになり。
背後から迫る別の敵の攻撃を俺はノールックで避ける。
そうして、そのまま上空へと飛び上がり――連続ブースト。
爆発的な加速。
敵は意表を突かれて大きく距離を離される。
敵のお互いの間隔が縮まり――瞬間、機体を横へとズラす。
追いかけて来た二体の敵の目。
それが俺の眼前にあったもの――太陽光によって潰れる。
敵は一瞬動きを鈍らせる。
その軌道を見た瞬間に、逆ブーストによって一気に降下。
凄まじいGによって体が悲鳴を上げるが――問題ない。
両手からライフルを離し。
両手を広げてエネルギーソーを展開。
バチバチと音を立てながら青いエネルギーが高速で回転。
それをすれ違いざまに敵の機体に当てて――切り裂く。
狙ったのは、敵のスラスターで。
バックカメラを確認すれば、スラスターが爆発し。
そのまま二体のメックは落下していっていた。
俺はリンクシステムによってライフルを操作し。
そのまま手元まで引き寄せて――再び装備する。
「はい。今みたいに、風を使ったり太陽の光なんかを使ってもNPCは人間のような反応をするんですよー。皆さんも、今みたいにやってみればきっと面白い戦いが出来ますよ!」
【出来る訳ねぇだろうボケがぁぁ!!?】
【何あれ!? 何あれ!? はぁぁぁ!?】
【人間様の戦い方じゃない……】
【ポチさん死んでね?】
「ははは……え? ポチさん?」
「……」
声がしないので振り返る。
すると、泡を吹いてぐったりしていた。
俺は慌てて、アイテムボックスから蘇生薬を出し――ポチさんのふとももに刺す。
「――ふあぁ!? こ、此処は……あぁぁ!!?」
「あ、起きましたか? はは、ポチさんってジェットコースターとか」
「――前を見てぇぇぇぇ!!?」
「え?」
俺は前を見る。
すると、敵の生き残りがエネルギーソードを突き出していて――レバーのボタンとペダルを小刻みに動かす。
瞬間、機体の姿勢は一瞬で乱れ。
敵の攻撃は俺の愛機の胸部装甲を薄く焦がす。
俺はそのまま片手のソーで敵のバックパックを斬り付けた。
敵はスラスターが潰されて、またもや落下していく。
「……あ、さっきのはジェットコースターとか苦手ですかぁって聞こうとしたんです!」
「あ、あぁ、あぁ……姫様、お助けを」
【哀れポチ。地獄の片道切符を受け取ったか】
【ワイトもそう思います】
コメント欄が盛り上がっている。
俺はニコニコとしながら、更に加速。
そのまま手薄になった護衛艦の下へと潜り込み。
勘で装甲の一部へと弾丸を放つ。
爆炎を上げて落下。
そのままトークをしながら、別の護衛艦へと迫り。
流れ作業のように下へと潜って――
一隻、二隻、三隻……いけそうだなぁ。
敵部隊はほとんど壊滅。
俺が倒したのはエース部隊だったのか。
残りの方は、リリアナさんの砲撃によって壊滅している。
シロさんはシロさんで、リリアナさんへの火の粉を払っている。
《バレルのオーバーヒートを確認》
「交換しまぁす!」
システムの警告音を聞く。
俺はボタン操作をする。
そうして、サブアームによってランチャーの反対の肩部のボックスから新しいバレルを取り出す。
ライフルが自動で展開されて赤熱したバレルをパージ。
そのまま新しいものにサブアームで付け替えた。
ガシャリと音がし、バレルが自動で固定される……おぉ。
【いい音ぉ!】
【ロマンじゃ!】
リスナーの方々も喜んでいる。
俺は良かったと思いながら、最後の護衛艦に迫り。
弾幕を切り抜けて、真下へ潜り込み弾丸を発射して……よし!
「さぁラストぉ!!」
機体を加速。
そのまま逃げようとする大型の輸送船に接近。
ボロボロのシールドを展開する大型の輸送船がケツを向けている。
俺はシールドの隙間へと機体を滑り込ませる。
そうして、ライフルを空中で浮かせながらソーを展開し――此処だ!
装甲を斬り付ける。
ガリガリと音を立てながら削っていき――スパークが発生する。
「……今のは?」
「あぁ、これはですね。浮遊する為のシステムの回路を切ったんですよぉ。こうすれば、後は緊急着陸に入ってですねぇ。中にいる人間たちもほとんどが気絶するので楽なんですよ!」
「……経験がおありで?」
「え? あぁまぁ、前作でこういう事もやってたので……あ、後は俺がハッチを開けて中に焼夷弾を撃ちこむので!」
【これが傭兵様の戦い!】
【血も涙もねぇ殺戮マシーンと化した根黒氏】
【彼らにも家族がいるんですよ!!】
コメントの人たちに茶化される。
「ははは――仕事ですから!」
【彼は満面の笑みでそう言った】
【狂ってる奴が強いってのは本当らしい】
盛り上がってる事に喜びつつ。
輸送船が落下している間に焼夷弾の有用性を説く。
気絶しているとはいえ、全員が全員、気絶している訳ではない。
焼夷弾は生き残りたちを始末する為で。
ヘブンフォールやグリードでも、NPCなどには人間とほぼ変わらない機能が備わっている。
それは呼吸であり、焼夷弾によって酸素がなくなれば――
【やめてくれぇぇぇ!!】
【はは、もれちまったじゃねぇか】
【夢に出そう……責任とって?】
「え? な、何が……ま、まぁ! 皆さんも参考にしてくださいね!」
俺は笑みを浮かべて解説を終了する。
そうして、不時着したハッチから飛びのき。
そのままハッチの方へと回る。
後はハッチのロック機能を外部のレバーで解除して――はい、焼夷弾!!
ランチャーで焼夷弾を中に放つ。
すると、中では火災が発生し。
待ち構えていたであろう人たちが火だるまになって……
「……よし! では、ポチさんお願いします!」
「……はい……やっと解放される」
【悲しいね根黒】
【これが戦争よ】
機体のハッチを開ければ。
ポチさんが這うように出て行く。
ポチさんのスーツは耐熱用であり。
ヘルメットを装着すれば、酸素も自動で供給される。
正に、作戦通りであり――
《根黒様、事は無事に?》
「え、あぁ! 問題なしです! 順調順調!」
《あぁそれはそれは……私の方も、しっかりと記録をしましたので……代われるのなら、私が貴方様の中に……あぁでも、物事には順序が……敬愛するホワイトレコード様のサブに、私以外が? ……あぁ、あぁ、あああぁぁぁぁ!!!?》
「……? どうかしましたか?」
《ああぁぁぁぁぁ穢れる!!!! ホワイトレコード様の機体がぁぁぁ記録がぁぁぁ伝説がぁぁぁぁ!!! 私が、私がぁぁぁ最も崇拝する偉大なるホワイトレコード様がぁぁぁぁああああ!!? ……よし、殺そう》
リリアンさんが叫んでいる。
何を言っているのかはノイズで聞こえない……下痢か?
「あのぉ、お取込み中ですかぁ?」
《……失礼しました。少々、頭痛が……それで、もしよろしければ、この後に今回の配信の反省会を》
《――鹵獲完了しました》
「あ、ポチさん! よぉし、それじゃさっさと離脱しましょー!」
《……チッ》
【ポチ、お前は良い奴だったよ】
【リリーの投げキッス助かる】
【次回、ポチ氏す!】
ポチさんは新型機に乗って出て来る……おぉ。
カラーリングは白だ。
全体的にマッシブな見た目であり、重量級のような気がする。
が、背中のスラスターは変わっている。
二つの筒状のノズルに、中心部から伸びる細長いノズルだ。
装甲には溝のようなものもあって……へ、変形するのかな!
俺はキラキラとした目で新型機を見つめて――アラートが鳴る。
《――接近する敵影が二機! これは!》
「NPCじゃない――乱入者だ!」
俺は喜び思わず叫ぶ。
乱入者とは、任務などで時折現れる強敵で。
前作では、賞金稼ぎであったり犯罪者だったりしたが。
今作は、対人戦が可能になっているので――本物の傭兵だぁ!!
俺は戦いに行こうとし――ポチさんに停められる。
《根黒様、我々は依頼の達成を》
「え、で、でも、乱入者が」
《……ご安心を。シロは勿論……姫様が負ける事などあり得ません》
「え、そ、そうだと思いますけど……で、でも」
《――行ってください。根黒様》
リリアンさんの声が響く。
《最初に申し上げたように、我々は貴方様のバックアップを――貴方様の戦場を穢させる事などさせません》
「俺の、戦場を?」
《貴方様は私の光。光に蛾が寄って来るのは必然……ですが、私の光には――何人も触れさせはしない》
リリアンさんはそう言いながら、山の頂から飛び出す。
あの恐ろしい武装は解除し。
その手にはソードを二本装備していた。
そうして、遥か彼方より飛来する乱入者へと向かっていった。
「リリアンさん……」
《配信はまだ終わっていません。完璧なる勝利こそ、貴方様に相応しい――ホワイトレコード様》
「――根黒万太郎です」
彼女は戦闘状態に入る。
俺たちはその光景を一瞥し――戦線から離脱する。
ぐんぐんと戦闘域から離れて行く。
後は、ポチさんが新型機を別のポイントで待機しているNPCに渡せば完了だ……完了……なんだけどぉ。
「……戦いたかったなぁ」
《……そんなに?》
【バトルジャンキぃぃ】
ため息を零しながら、そのまま山間部を超えて――アラートが鳴る。
「――! 危ない!」
《うぉ!?》
俺はポチさんの機体を横から押し飛ばす。
彼の機体が横へとズレれば、頭上から無数の光線が降り注ぐ。
俺たちはそのまま地上へと降下。
滑るように着地し――頭上を見上げる。
「あれは……乱入者!?」
《その、ようですね……まさか、あの二人は囮? 目的は……っ!》
ポチさんが何かを言おうとした。
が、それを遮るように空から無数の光線が放たれる。
俺たちは地上を滑りながら回避。
「ポチさん!! 先に行ってください!!」
《根黒様!? いけません!! 奴の目的は》
「完璧なる勝利なんでしょう!! だったら、貴方が無事に帰らなければ意味は無い!!」
《……!! それは……っ。ご武運を!》
ポチさんは何かを言い掛けたが。
そのまま祈りを吐いて離脱していく。
太陽を背に浮かんでいる謎の傭兵を警戒するが。
奴は新機体は追わない。
じっと俺を見下ろしていて――謎の通信が繋がる。
《ようやく、会えたな――ホワイトレコード》
「……お前は……? いや、その声、どっかで聞いた気が?」
太陽を背に浮かぶ赤黒い機体。
側頭部から二本のブレードアンテナが伸び。
ボロボロのマントを羽織り、両手を広げていた。
その指は尖っており、見た目は完全に悪役そのものだ。
その近くには円を描くように、ビットが浮遊していた。
奴は真っ赤にライン状のセンサーを光らせて――叫ぶ。
《会いたかったぜぇぇぇ。ホワイトレコード――いやぁぁ根黒万太郎ぅぅぅぅぅ!!!!》
「……あ! カタギリさんですかぁ!? 何だぁもぉビックリしましたよぉ。なぁんだぁ」
俺は笑みを浮かべながら、フレンドであるカタギリさんに声を掛ける。
彼とは何度かバトルして以来だ。
ぱったりと通知が止んだので、心配してたけど……良かったぁ。
「元気そうで安心しました。あ、機体変えたんですか? かっこいいですね! へへ!」
俺が気さくに挨拶をすれば――ぴきりと謎の音がした。
《……ふ、ふふ……良かった、か……ふ、ふへ、ふひ。そ、それって、よぉ……あの時の雑魚だから楽勝って事かぁぁぁぁ!!!!》
「うぇぇぇぇ!!?」
カタギリさんは叫ぶ。
怒りと殺意に満ち満ちていた。
彼はビットを操り攻撃を仕掛けて来た。
俺は空へと飛び、そのまま高機動状態で避けて行く。
彼はカタカタと機体を震わせて――ごきりと機体の首を動かして俺を睨む。
《殺してやるよぉ。なぁ、殺したいんだよぉ――死んでくれよォォ根黒万太郎ぉぉぉぉ!!!?》
「えぇ? 何で怒ってるんだぁ? 俺、何かしたかなぁ?」
【プロの闇堕ちは草】
【カタギリ氏に何が起こったのか……分かる気がする!】
【また一人、お前に脳を焼かれたぞ――ホワイトレコード】
狂気に染まったカタギリさん。
そんな彼の苛烈な攻撃を避けながら。
俺はタイタングリードでの初めての乱入戦に――燃えていた。