底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす   作:オタリオン

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第80話:作戦の失敗と強襲の夜叉

 四肢をブレードで切断し、身軽にした状態のメックを一機運んできた。

 運の良い事に単騎でエネルギーの補給ポイントをうろついていた予選参加者の一人を発見。

 死角から一気にブーストで迫り、頭部を破壊してやれば後はあっという間だ。

 相手は焦っていて、安地を使おうとしていたようだが。

 どうやら使えなかったようで、それをピに聞けば、どうやら敵が近くにいる状態では使えないらしい……まぁそりゃそうだ。

 

「さぁて、餌は用意したけど……何が掛るかなぁ?」

【餌……人の心?(恐怖)】

 

 森の中であり、今は機体を隠した状態で餌に食いついて来る敵を待っている。

 カモフラージュに適した大きな葉っぱなどは大量にあったからこそ、機体を小一時間ほどで隠す事は出来た。

 エンジンの出力は限界まで抑えた状態であり。

 ハンドガンの照準だけを前に向けていた。

 

 破損したメックの中にはプレイヤーがまだ乗っているが。

 運ぶ前にブレードの柄でコックピット部を叩いて気絶させて。

 降りた時に状態を確認すればヘルメットの中でゲロをぶちまけて白目を剥いていた。

 適当に植物のツタでぐるぐる巻きにしてから機体にハッキングをし。

 遠隔操作で自爆出来るようには設定してある。

 

 機体は態と煙が昇るように手を加えてある。

 恐らくは、遠く離れていても分かるだろう。

 餌に食いついた敵は、死にかけの敵を見つければ確実に仕留めに来る。

 一機でも多くプレイヤーを狩っておけば、後が楽だからだ。

 それに、プレイヤーが気絶しているのであれば、相手の持ち物を奪ったり。

 エネルギーや弾薬の補給なども出来る。

 

 特に、良い武器を持った人間であれば、確実に油断して降りて来る筈だ。

 そこが狙いであり、至近距離まで迫れば自爆によって先手を打てる。

 それで始末できれば御の字だが、そう上手くはいかないだろう。

 痛手を与えてから、殺さないように手加減し。

 また新鮮な餌として活用し……まぁ繰り返しだね。

 

「……本当に武器は奪えるんだよな?」

「もぉしつこいなぁ。そうだって言ってんじゃん。頭悪いの?」

「……分かった。信じるよ」

【上手く行けば、星二つに新しい武装って事だけど……何か嫌な予感がするなぁ】

【流石に、予選中に配信見る事は出来ないとは思うけど……用心しな!】

 

 リスナーさんたちは不安そうだが。

 俺の配信を見る事が出来るのは予選に参加していない人間だけだ。

 外部と連絡を取り合う事も実質不可能で、ゴースティングは出来ない。

 そして、俺と同じように配信しているプレイヤーの配信をリスナーさんが見たとしても。

 コメントにて場所や武装などの情報も明かせない仕様になっていた。

 ピが言うには何でも、AIによって配信そのものも管理されているらしい。

 

『ま、流石にプライベートの会話はどうしようもないから。流石に安地を使う前までには配信切っとけよ?』

『……案外、優しいんだな?』

『は? 死ねよ』

 

 口の悪いナビゲーターだと思いながらも、俺はピの言う事を信じた。

 

 ……狙いがバレる事はない筈だけど……まぁやるしかない。

 

 俺は息を潜めて獲物を待つ。

 距離は十分に離している。

 ハンドガンを構えているのは念の為で基本的には使わない。

 そもそも、スラスターは絶対に使えない上に、武装で狙いをつければ最悪相手のシステムに感知される。

 だからこそ、あくまで構えるだけであり、ロックオンはしないつもりだ。

 

 獲物は掛るのか。

 俺は期待をしながら待つ。

 

 待って、待って、待って…………お?

 

 レーダーに反応が出た。

 接近してくる機体があり、真っすぐ此方を目指していた。

 獲物が食い付いたようで、俺は舌なめずりしてそれが降り立つのを待つ。

 

「敵は必ずブレードで仕留めに来る。弾を消費してまで、四肢がもがれた機体を仕留めには来ない……多分!」

【本当かなぁ?】

【この計画、ガバガバじゃないっすか?】

 

 リスナーさんたちは不安そうだが。

 俺は笑って誤魔化す。

 そうして、息を潜めてその時を待ち……上空か。

 

 滞空している様子であり、何かをしている様子だった。

 生憎と上を見れないので何をしているのかは分からないが……通信しているのか?

 

 仲間でもいるのかと不安に思って――機体が降下して来た。

 

「来た来たぁ!」

【い、いけるのか!?】

 

 狙い通りであり、敵の武装を見れば……何だ。ブレードにハンドガンかよ。

 

 ハズレであり、獲物はしょっぱかった。

 が、それでも、アレを自爆によって撃破できれば星二つだ。

 俺は奴が周りを確認しながら、ブレードを掲げるのを確認し――今だ!

 

 遠隔操作によって自爆コマンドを送信。

 瞬間、大破していた機体のセンサーが真っ赤に点滅し――敵は一気に上に飛ぶ。

 

「あれ!?」

【えぇぇ!?】

【逃げたぁ!?】

 

 敵は自爆が作動するのが分かっていたように僅かに速く上に飛ぶ。

 瞬間、白い閃光と共に破損していた機体は爆発。

 爆風が此処までやって来てカモフラージュの一部が吹き飛んだのが分かった。

 

「やべ!」

 

 遅れて、俺はコアを稼働しスラスターを噴かす。

 木々をなぎ倒しながら全力で後方へと下がれば――上空から無数の何かが降り注いできた。

 

 それらは地面に触れた瞬間に爆発し。

 俺の機体まで爆風が迫るが、俺はそれよりも早く上空へと飛んで逃れた。

 見れば、罠にかかった筈の深い緑色のカラーリングの角ばった量産型がブレードを掲げて迫って来る。

 

 俺は敵の攻撃を回避し、そのまま此方のブレードで攻撃を仕掛ける。

 が、敵の量産型はブーストによって俺の間合いから逃れた。

 そのまま機体を回転させながら再び此方へと向かって来て――垂直降下した。

 

「……!」

 

 背後から殺気を感じた。

 俺はすぐに機体を横へとブーストする。

 瞬間、俺の元いた場所を砲弾が突き抜けて行った。

 

 センサーを使って砲弾が飛んできた方向を確認。

 が、索敵の範囲外からの砲撃で……タンク型か。

 

 これほどの距離での砲撃だ。

 確実にタンク並みの積載性能が無ければ出せない威力だ。

 砲撃に特化しただけのセンサーの性能に搭乗者の高い空間把握能力。

 

 そんな事を考えていれば、別の方向から殺気を感じた。

 俺は機体をブーストさせてその場を離れる。

 瞬間、あの初期装備の量産型がハンドガンの弾丸を放ちながら迫って来た。

 俺は機体を回転させながら弾丸を回避し、そのまま敵をけん制する目的で背面飛行によって弾丸を放つ。

 敵は見事な操縦で機体を操作し、弾丸を紙一重で回避。

 そのままブーストで距離を詰めてブレードによる連続攻撃を放つ。

 

 俺は舌を巻きながらも、敵の斬撃をブレードで打ち払う。

 斬撃を捌けば、至近距離で弾丸を放ち。

 俺はそれをブーストで回避し、そのまま更にブーストして敵の死角へと回り――横へと連続ブースト。

 

 風を切り裂き、俺がいた場所を砲弾が抜けて行く。

 そのポイントは一段階目のブーストで到達していたポイントで。

 もしも、連続でブーストしていなければ命中していただろう。

 

 敵は残弾も気にせずにハンドガンで俺を揺さぶって来る。

 俺は敵の猛攻を回避しながら口笛を吹いた。

 

「予測砲撃に近接主体によるゼロ距離戦――良い連携だねぇ!」

【流石、予選まで来ただけはある!】

【これこれぇ! 本物は違うねぇ!】

 

 敵は一気にブーストで迫り、弾丸を放って来る。

 俺はブレードで弾丸を弾き、そのままお返しと言わんばかりに弾丸を放った。

 敵も同じようにブレードで弾丸を弾き、俺たちは攻防を繰り返しながらドッグファイトを開始した。

 

 後方から迫る敵機。

 砲主からのプレッシャーも感じる中で、俺は機体を揺らし敵の攻撃を誘う。

 が、敵は冷静にハンドガンを構えたまま攻撃はして来ない……何だ?

 

 殺しに来ている。

 しかし、確実に仕留めようとする気概は感じない。

 まるで、時間稼ぎをしているような素振りすら感じた。

 何が狙いか――いや、関係ない。

 

 俺はにやりと笑い――加速。

 

 真っ先に殺すべき存在は砲手だ。

 奴の攻撃は危険であり、自由に飛ぶ事すら制限される。

 だからこそ、速攻で潰して主導権を握ってやる。

 

 俺はそう考えて、後方から攻撃してくる敵の弾丸を回転で回避。

 そのまま更に加速し、タンクを索敵し――が、見えない。

 

「完璧なカモフラージュだな! 流石だねぇ!」

【だったらどうする?】

「どうするって? 決まってますよ――あぶり出します!!」

 

 俺はリスナーさんのコメントに応えて――降下する。

 

 地面へと距離が近づいていき、木々が迫って来る。

 俺はギリギリを見極めて――レバーを上げた。

 

 機体を持ち上げて、木々のスレスレを飛行する。

 バサバサと木々をなぎ倒す音が聞こえて鳥たちが羽ばたいていく。

 そうして、スラスターを豪快に噴かせてエネルギーの粒子をまき散らす。

 瞬間、舞い散った高温の粒子が木々に火をつけはじめた。

 どんどん火の手は広がっていき、瞬く間に火の海と化していく。

 俺はギリギリを飛び、敵を置き去りして好き放題にした。

 

「機動力では此方が上! だったら、飛びまくって森事燃やせばいい!! さぁさっさと出ないと黒焦げだぜ!!」

【いい戦法だね!】

 

 森を燃やし尽くす勢いで飛ぶ。

 すると、一瞬の鋭い殺気を感じて――横へとブースト。

 

 瞬間、轟音を上げて砲弾がギリギリを通過していった。

 センサーを向ければ、スラスターを全力で噴かせて新緑の色をしたタンクが此方を向きながら後退していた。

 

 敵の発見であり、俺は笑みを深めて加速。

 ハンドガンを構えて敵を追えば、奴は、主砲を此方に向けてセンサーを赤く光らせた。

 

 狙っている。

 勝負は一瞬であり、判断を誤れば死ぬ。

 一瞬の駆け引きで、俺は舌なめずりをする。

 

 迫る。ぐんぐんと迫っていく。

 相手は此方を完全にロックオンする。

 狙いを定めて、俺はそれでも加速し続けた。

 

 後方からのプレッシャー。

 そして、前方からの殺気。

 俺は機体を左右に揺らして――連続ブースト。

 

 爆発的な加速。

 瞬間、敵のタンクが砲弾を放ってきた。

 眼前に砲弾が迫り――ひらりと躱す。

 

 一瞬で、砲弾は爆発。

 が、連続ブーストによって爆破の範囲内からは逃れた。

 俺はそのままタンクを追う。

 奴を見れば、砲を格納し両手からマシンガンを取り出していた。

 

「他にも武装が……相当に殺してるな?」

【そう簡単にはってやつだねぇ】

 

 相手はマシンガンを此方に向ける。

 そうして、一斉掃射を開始。

 眼前に火の球のように迫って来る赤熱する弾丸たち。

 それらを回転で躱しながら、俺は奴へと近づこうとする。

 が、奴は此方の動きに合わせるようにブーストする。

 

 上手い間合いの取り方だ。

 此方を仕留める攻撃じゃない。

 明らかな牽制で――横へとブースト。

 

 瞬間、ギリギリを敵のブレードが通過。

 俺はハンドガンを向けて弾丸を発射する。

 が、敵は下への降下で回避。

 

 やり辛い。

 連携による長期戦を考えた戦法。

 本気で取りに来ていると思える一方で、明らかに逃げを意思している。

 

 ――この違和感は何か?

 

 妙だと感じる。

 俺は嫌な悪寒を感じて――レーダーが別の敵影を捉えた。

 

「……! 速い!」

【なんだぁ!?】

【乱入ぅ!?】

 

 迫って来る敵影。

 瞬間、戦っていた敵二機がわき目もふらずに逃走を開始した。

 逃がすまいと追いかけようとして――凄まじいプレッシャーを感じた。

 

「この殺気は――まさか、ナンバーズ!?」

【あの笠のような頭にシルバーの装甲……夜叉かよ!】

 

 リスナーさんたちが“夜叉”であると叫ぶ。

 その名は聞いた事があり、間違いなくナンバーズの一人――序列8位のプレイヤーの名前だ。

 

 

《新しい獲物だ。上等な肉の香りだ……良い声で鳴いてくおれよ》

「……変態?」

【そんな事言ってる場合じゃねぇよ!?】

 

 

 しわがれた男の声。

 くつくつと笑いながら、凄まじいプレッシャーを放って来る。

 

 特徴的な頭部にシルバーの装甲。

 腰部に長いスカート上の装甲を纏っていて関節はボール状だ。

 見れば、ハンドガンを持っておらずブレードを四本装備していた。

 肩部に二本マウントさせて、両手に二本を持ち……二刀流か。

 

 こんなにすぐにナンバーズに当たるとは思わなかったが――やるしかないッ!

 

 俺は覚悟を決めた。

 そうして、先手を打とうと相手にブースト――怖気が走る。

 

「――っ!?」

 

 俺は考えるよりも早く全力で後ろへとブーストした。

 瞬きをした瞬間――敵が目の前でブレードを振り終えていた。

 

 機体に僅かに敵のブレードが掠めた。

 軽微な損傷だ。

 しかし、確かなダメージで――速いッ!

 

 凄まじい振りの速さと瞬間加速。

 アレは脅威だ。

 俺は敵への警戒度を跳ね上げる。

 そうして、接近戦は不利であるとハンドガンによる間接への攻撃を――

 

《甘いねぇ》

「……!?」

 

 敵がぼそりと呟く。

 すると、一瞬敵の機体が増えたように見えて――俺は連続ブーストする。

 

 瞬間、ブレードの斬撃が迫る。

 十を超える斬撃であり、ブーストした俺へと迫っていた。

 僅かでも速度が送れていれば確実に斬られていた。

 尋常じゃない速さだ。

 相手はブレードを下ろした状態で息を吐く。

 

 汗をが噴き出す。

 自然と――笑みが浮かぶ。

 

「あはっ!」

【ひぇ】

 

 面白い。なんて面白い――敵なんだ。

 

 闘争本能が湧き上がる。

 全身の血が沸騰し――相手へとブーストで迫る。

 

 俺はブレードを構えて攻撃する。

 相手は俺のブレードを受け流し。

 そのまま体勢を崩れた俺を切り伏せようとし――ハンドガンを放つ。

 

 相手は咄嗟にブレードで弾丸を弾く。

 俺はそのままスラスターを噴かせてその場で回転。

 敵へと斬撃を浴びせる。が、敵は器用にブレードの攻撃を回転によって回避した。

 

 互いに舞うような攻防。

 接近戦であり、これこそが相手を殺す確かな方法だ。

 

「アンタの得意でやってやるよ――来な」

《カカカ、愉快愉快……ガキが》

 

 互いにブーストで加速。

 相手を見ながら空を舞い。

 互いにブレードを構えて――衝突。

 

 バチバチとブレードから火花を散らせながら。

 俺たちは互いに笑い声をあげていた。

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