底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす 作:オタリオン
爆発音が連続で響き――加速。
「……っ!」
景色が勢いよく流れ、風切り音が嫌に響く。
敵は初期装備のブレードのみ。
此方の武装も貧弱だが、大した差はない――違う。
敵のセンサーが光る。
攻撃が来ると予見し回避を試みて――動きを一気に変えた。
ブレードを瞬時に素早く振るう。
瞬間、敵の斬撃が俺のブレードを大きく震わせた――見えない。
一度しか振るっていない筈の斬撃。
が、ブレードに当たった感触は合計で五回。
その上、機体にも軽微な傷が出来ている。
奴は目視出来ない速度で五回以上も斬撃を放った。
俺は溜まらず距離を取り――悪寒が走った。
「――っ!!」
《死地だよ――そこは》
声が響き――奴のブレードがいつの間にか奴の背に回っていた。
瞬間――俺のブレードに亀裂が走る。
「――な!?」
【はぁ!?】
ブレードがバラバラと砕け散った。
そして、胸部装甲に亀裂が走る。
システムが警告を発しダメージを知らせた。
俺はようやく認識した。
敵の斬撃が飛んできて、俺はダメージを負ったのだと。
今のは何だ。今の斬撃はどういう原理だ。
理解不能、再現不可能で――神業。
気が付けば、俺は――敵に背を向けていた。
勝てない。少なくとも、ブレードを失った今。
奴との戦力差は明らかで――奴は追ってこない。
《逃げるか。良い判断だ――逃がさんがな?》
「……っ!」
奴はスラスターを噴かせる。
後方を確認すれば――奴のブレードが砕け散る。
それは攻撃を行ったブレードだ。
何故、攻撃した側も砕けるのか。
逃げながら分析し……機体の出力についてけなかったのか?
それしかない。
奴の振りは神速の域であり、それにブレードの耐久値が持たなかったんだ。
どれほどにいかれた調整を施しているのか。
いや、それ以上に奴の技量は高すぎる。
出力を上げ過ぎての振りは、機体の寿命を縮めるだけだ。
確実に、あんな攻撃を連発していればマニュピレーターはいかれる。
が、ブレードは砕けても機体はぴんぴんしている。
それは奴の繊細な手さばきによって、機体が受ける負荷が最小限に抑えられているからだ。
理解した。
これが、これこそが――ナンバーズだと。
「は、はは、何だよそれ――すげぇじゃねぇか!!」
【根黒氏?】
燃える、燃えて来る。
熱いものがこみあげてきて――抑えが効かない。
俺は更に加速する。
敵もそれに合わせて加速し追って来る。
飛行能力では此方が上だ。
ブースト性能では向こうに軍配が上がるが。
現時点でブーストを連発する気配はない。
逃げる事は可能であり――敵のブーストを感知。
合わせるようにブースト。
そのまま、森林地帯を抜けて平野に出る。
機体のスラスターの音を聞きつけて、眼前に無数の小型エネミーの出現を確認した。
虫型のエネミーで――数は500を超えていた。
「行くぜぇ――フルスロットルだァ!!」
【いけぇぇ!!】
俺は機体を加速。
エネミーがエネルギーの弾丸を放つ中で突っ込む。
機体を回転させながら弾を避け続ける。
背後から迫る夜叉はブレードでエネルギー弾を斬っていく。
避ける必要はないという事で――距離が縮まっていく。
奴の殺気を感じる。
このままでは攻撃が来る。
そう感じて――更に速度をあげた。
エネルギー弾全てを見ながら。
感覚のみでレバーを操作する。
ペダルは踏みっぱなしで、軽い衝撃で機体が揺れる。
被弾した。が、損傷は軽微で――問題ない。
無数の敵。
敵、敵、敵、敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵――超える。
敵の包囲を突破し――怖気が走った。
横からの強烈なプレッシャー。
見るよりも早く両手を広げて機体の姿勢を乱し――回避。
敵がブレードを振った状態で。
突風が吹き荒れた。
風の刃であり、俺は辛うじて回避した。
そうして、奴の二の太刀を振るわせる前にブーストする。
連続ブーストで一気に引き離そうとする。
が、奴も執拗に追いかけて来る。
平原を超えていけば、レーダーが別の敵影を捉えた。
此方に気づいて向かって来る。
新手であり――関係ないッ!!
「限界を――超えていけッ!!」
リミッターを外す。
そうして、フルコン状態へ移行する。
一気にスラスターの出力が上がり、シートへと体が押し付けれる。
手足が震えるほどの振動。
景色が一気に流れていって――方向転換。
大きな壁。
否、断崖の絶壁であり――滝へと向かう。
《血迷ったか?》
「はは、さぁどうかなぁ!!」
【何する気だ!?】
俺は笑う。
そうして、滝へと迫っていき――中へと突っ込んだ。
凄まじい水圧が上から掛る。
機体が潰されそうな衝撃で――強引に中へと入った。
【空洞だったの!?】
リスナーさんたちが驚く。
ゲームにおいて巨大な滝の奥に空間があるのは定番だ。
後は突入前に目視で確認し、光の映り方で判別すれば――それだけさ!
後方から水を弾く音が聞こえた。
奴も侵入して来たようであり、俺はそのまま直進。
入り組んだ迷路のような空間で俺はノンストップで進む。
右へ、左へ、上に下に――まだ続く。
後方からのプレッシャーは消えない。
それどころか距離を縮めてきている気さえした。
流石はナンバーズであり、こんな複雑な迷路はイージーという事か。
予想通りで、想像通りで――だからこそ!
「――これで決めるぜ!!」
【ハンドガン!?】
【それで仕留めるのか!?】
【無理無理ぃぃ!!】
俺は背面飛行をする。
狂気のバック飛行であり、俺は障害物を避けていく。
逃げ場がない狭い洞窟内で、奴の武装は近接装備のみ。
であれば、遠距離武装を持つ俺が有利で――奴が迫って来た。
《浅はかだな……その程度だったか。残念だよ》
「はは、そいつはどうかな?」
俺は笑う。
ターゲットサイトで奴の機体をロックオンする。
奴はマウントさせていたブレードを取り二刀持ちに戻る。
速度は一切緩めず、ぐんぐんと迫ってきていて――此処だァ!!
「爆ぜろぉぉぉッ!!」
《――!》
【ええぇぇぇぇ!!?】
俺は機体をその場で回転。
そのまま背面飛行から前に向き直り――全力でハンドガンを投げた。
くるくるとハンドガンは回転。
そうして、そのまま遥か前方にてぐしゃりと地面に当たって潰れて――爆発。
技でも何でもない。
使えなくなった武器を使った最終攻撃手段。
初期装備であっても、火薬が積まれた武装であれば盛大に爆発する。
だからこそ、それを使って自爆させて――俺は連続ブーストする。
狭い空間だ。
ハンドガン程度の爆発でも一気に広がる。
爆炎の中へと突っ込めば 全身が一瞬焼けるような痛みに襲われた。
俺は歯を食いしばりそれに耐える。
そうして、何とか抜ければ後方で一瞬遅れてガラガラという瓦礫の崩れる音が聞こえた。
水によって浸食された洞窟だ。
少しの衝撃で崩壊は必須で――笑い声が聞こえた。
《カッカッカ!!! 考えたなァ!! まさか、自分を巻き込んでまでこの俺を殺しに来るとはなァ!!》
「そいつはどうも! 死ぬ気がないってんなら――本選で!」
《あぁいいだろう。次こそは――斬り殺してくれるわ》
通信は切れる。
レーダーは乱れていて奴の反応は追えない。
いや、それを気にしている余裕はない。
洞窟の崩壊が始まっている。
俺とて脱出できなければ一巻の終わりだ。
汗を流しながら、俺は障害物を避けながら出口を探す。
分かれ道があれば勘で進む。
一瞬の判断の迷いが命取りだ。
ミスは死であり、己の勘を信じて飛び続ける。
飛んで、飛んで、飛んで飛んで飛んで飛んで――道が塞がっていた。
壁であり、道はない。
リスナーさんたちが絶望し――
「まだだァァ!!!」
【うぇぇぇぇぇ!!?】
俺は蹴りのモーションに入る。
一か八かの賭けで――蹴りが壁に命中。
脚部から火花が上がり、システムがダメージを告げる。
が、俺は歯を食いしばりスラスターを限界まで噴かせて――壁に亀裂が走る。
一瞬の拮抗。
次の瞬間には――壁が崩壊した。
バラバラと壁の残骸が飛び散り、視界に光が広がる。
俺はそれを見ながら歓喜の叫びをあげる。
そうして、そのまま空を飛び――おぉ!?
キラキラと光るボックスを発見。
間違いない。アレが――アイテムボックスだ!
罠かもしれない。
そんな考えはあったが、俺は秒で接近する。
ぐんぐんと距離を縮めて――アイテムボックスの前に着地。
箱を蹴って開ければ――ダブルショットガンか!
俺はそれを早速装備し――右へとブースト移動。
瞬間、後方から弾丸がボックスを貫通。
レーダーが複数の敵の反応をキャッチ。
やはり罠であり……いけるか?
「……はは、考えたって仕方ないよな――やってやるだけさッ!!」
【連戦に次ぐ連戦……引き際を見誤るなよ!】
リスナーさんの心配に分かっていると答える。
何時だってそうだ。引き際は肝心さ。
俺はそんな事を考えて……ふと、ナビゲーターのピが静かであると気づく。
ちらりと視線を向ければ――じっと俺を見つめていた。
「……ピ?」
「…………ん? 何?」
「……いや、何でもない! いくぜ!」
「はいはい。頑張れぇ」
やる気のない声援に笑みを零す。
そうして、俺は敵の群れへとダブルショットガンで突っ込んでいった。