底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす   作:オタリオン

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第86話:敵の言葉は信じるな?

 摩天楼のように聳え立つビル群。

 大都市であり、全体に鳴り響く警報。

 その瞬間に地響きをあげて大都市の形は変わっていく。

 それを背景に俺はレバーを操作し――兎を追っていた。

 

《クソ!! クソクソクソクソ!! 何でアイツが俺なんかと!! クソォ!!》

「ふ、ふ、ふぅふ、ふぅぅん」

 

 鼻歌を歌いながら、敵の弾丸を回避。

 そのまま機体を揺らしながら敵の射線を乱す。

 

 敵は舌を鳴らす。

 そうして、ブーストによって距離を取った。

 軽量級の逆関節タイプであり、装備してあるのは強襲型ライフルが二丁。

 奴は背面飛行をしながら、追走してくる俺に対して弾丸を放ってきた。

 ガガガと音が鳴り響き、赤熱する弾丸が殺到するが。

 俺はひらりと回転で躱しながら機体を上昇させる。

 敵はそんな俺に対して、肩部のランチャーの照準を合わせて炎熱弾を放って来る。

 

 炎熱弾が放たれて、空中で爆発し炎が広がる。

 ドロドロに溶けた鉛もセットであり、俺はそれをブーストで回避。

 連続で炎熱弾を放ちながら、奴はライフルの弾丸をばらまいて牽制もしてくる。

 

 逃げの一手。

 ただひたすらの逃走だ。

 初めから勝つつもりがなく、ただ生き残りたいが為の行動だ。

 俺は目を細めながらそんな敵を見つめて――微笑む。

 

《はぁはぁはぁはぁ!! く、来るなァ!!》

「……ふふ」

 

 奴はオープン回線で自らの声を垂れ流す。

 最初は交渉で、無理なら命乞い。

 今はただひたすらに泣き叫んでいる。

 俺はその声をBGMのように聴きながら、機体を揺らして敵の攻撃を外させる。

 

 敵が此方を狙い――突風が吹く。

 

《……ぅ!?》

「ハハァ!」

 

 機体の姿勢を乱すほどの風だ。

 背面飛行をしながら攻撃をしていた敵の姿勢が乱れた。

 瞬間、射線も大きく逸れて――連続ブーストをする。

 

《うわぁ!?》

 

 敵は短い悲鳴をあげた。

 そうして、咄嗟の行動でブーストをしてしまう。

 

「――悪手ですよ?」

《――ぇ?》

 

 俺はぼそりと呟く。

 そうして、予想通りの逃走経路をなぞる敵に狙いを定めた。

 チャージは既に完了しており、バチバチとスパーク音が響き――かちりとボタンを押す。

 

 瞬間、爆発音と共に肩部のチャージガンが咆哮をあげた。

 エネルギーの塊は音を置き去りにし真っすぐ進み。

 ジュっと音がしたかと思えばの敵の機体は――四肢の先を残して蒸発した。

 

 俺はひらひらと落下する残骸を見つめて――にこりと笑う。

 

「はぁい、これで――六体目ですねぇ。ふふふ」

「……腹が立つくらい。腕はあるよな。本当に。むかつくけど!」

【暴力装置と化した根黒氏!】

【もう誰にも止められない!】

 

 ひらひらと落下していく敵の残骸。

 それから視線を外して、再び中心地を目指して移動を再開する。

 

 鼻歌を歌いぐんぐんとスピードを上げる。

 あっという間にトップスピードであり、サーチもやっておく。

 中心エリアに近づくにつれて敵とのエンゲージが増えていく。

 此処に至るまでに四度であり、チャージガンは絶好調だ。

 高火力の上に精度も抜群で、その上撃ち放題ときたもんだ!

 

「あぁさいっこうぅに……いかすぜぇ」

「……はぁ」

【一方的な虐殺は楽しいゾイ!】

 

 中心部は大都市のようになっていた。

 現在も稼働しているような未来的な大都市で。

 地上では一定の速度で車のようなものが移動していた。

 

 聳え立つビル群は、警報のようなものが鳴り響けば動き出す。

 地面へと潜るものや逆に地面から出て来るもの。

 スライド移動するものや、形状そのものが変わるものなど。

 およそ、記憶する事が出来ないような変化が多い。

 

 此方を攻撃してくるような防衛装置も存在する。

 固定機関砲台やら自爆型の小型のドローンの射出装置などが設置されている。

 

 中々に面白いエリアで、メックらしきものの残骸も転がっていた。

 俺はそれらを視認して――レーダーが敵影をキャッチ。

 

「ふふ!」

「……やべ」

【キリングタイム!】

【綺麗な目をしているなぁ(戦慄)】

 

 俺は笑みを深める。

 そうして、敵の反応へと急行する。

 

 反応は三つであり、群れて行動している。

 俺は高機動状態を維持しながらビル群を躱していく。

 機関砲からも攻撃を受けるが回転によって回避。

 そのまま加速し、敵を――発見した。

 

「獲物がいたぜッ!」

「やめろばか!?」

【まずいですよ!】

 

 俺は危険なセリフを吐く。

 そうして、目をかっ開いて敵が武器を構えて散開するのを見つめた。

 

 チャージガンはフルチャージが完了している。

 俺は敵の中の一体を追う。

 ピンクの機体カラーで全体的に丸いシルエットだ。

 ケツを振りながら此方の狙いを外させようとしていた。

 後ろからは紫のカラーリングの多脚型が迫ってきている。

 獲物はスナイパーライフルであり、此方をロックオンしようとしていた。

 もう一体は……建物に隠れながら狙ってきているな。

 

 上手く隠れているつもりだろうが殺気がだだ漏れだ。

 俺は目を細めて笑いながら――連続ブーストする。

 

 ピンクの機体が動揺するのが分かった。

 が、咄嗟に手に持っていたサブマシンガンを背面飛行で構える。

 牽制目的で放ってきたその弾丸を――急降下で回避。

 

 そのまま奴の真下から狙いをつける。

 ロックオンは完了していて、次の瞬間には――俺は右へとブーストした。

 

 瞬間、俺を追って来ていたスナイパーの弾丸が飛んでいく。

 奴は冷静にボルトアクションで空薬莢を廃莢し、即座に二発目を撃ってきた。

 が、俺はそれもひらりと回避し。

 そのままピンクからの乱射も躱していく。

 ひらひらと宙を舞いながら、俺はピンクへと接近し奴を焦らす。

 

 至近距離での飛行をすれば、嫌でもピンクは放そうとしてくる。

 連続ブーストであり、俺はコンマ零秒の差もなく合わせる。

 ほぼゼロ距離であり、奴は銃口を此方へと向ける。

 が、そのタイミングを分かっていたかのように俺はブーストする。

 奴の背にぴたりと張り付いてやれば、背後から追って来るスナイパーも攻撃が出来ない。

 

 自信はあるだろう。

 仲間の事も信頼している筈だ。

 が、これは世界大会の本選への参加チケットをかけた大切な予選だ。

 一発の誤射で仲間の未来が無くなるかもしれない。

 そんな事が脳裏を少しでも過るからこそ――

 

「撃てないよねェ! 分かるよォ!」

「……外道かよ」

【いひひひ! 流石は根黒さんだぜぇ!】

 

 ピンクは焦っている。

 焦っていて、動きが散漫になっていた。

 だからこそ、意識が乱れて――遥か前方から狙いを定めている固定機関砲台に気づかない。

 

 俺は態と奴の背中へと銃口を当ててやる。

 それだけで、ピンクは無駄な動きをし始めて――瞬間、俺はピンクから離れる。

 

 離れた瞬間に、多脚型が銃弾を放つ。

 が、予想していた攻撃だからこそ簡単に避けた。

 奴は二撃目を放とうとし――視線をピンクへと向けた。

 

 ピンクは機関砲台から攻撃を受けていた。

 注意力散漫だったせいで、脚部に被弾していた。

 多脚型はピンクのカバーに入る為に、ブーストして救援に向かう。

 精確なショットで固定砲台を破壊しようと――俺は奴の死角から迫る。

 

「敵を前にして――背中を晒すアホがいるかよォ!!」

《……!》

 

 奴は瞬時に此方を向こうとする。

 反応速度が速い。

 が、此方に向くと予想し――ブースト。

 

 再度、奴の死角へと回ってから――ショットガンを放つ。

 

 連続して放ってやれば、奴の装甲には無数の穴が空く。

 機体がスパークしていてセンサーが点滅している。

 スラスターが不調であり、そのまま下へと落下していった。

 

 先ずは一体目。

 ピンクがいた方向を見れば――いない。

 

「――そこだよなァ!」

《……!?》

 

 建物の影に潜み。

 真下から連続ブーストによって迫って来たピンク。

 その動きを完全に予測し、俺は機体を僅かに後ろに下がらせるだけで敵の弾を回避した。

 ピンクはすぐに反応し、此方へと蹴りを放とうとしてきた。

 が、俺はそれよりも早くショットガンで奴の胴体を撃ち抜く。

 連続してヒットさせてやれば、通信越しに女性の声が聞こえた。

 

「カップルかな? まぁこれで仲良く――リタイアだ!」

「……外道かよ」

【いひひひ。流石は根黒さんだ。俺でも引くぜ!】

 

 ピンクの機体は落下していく。

 何方も殺してはいない。

 大破程度であり、中のパイロットは生きているだろう。

 

 予選において重要な事は生き残る事だ。

 誰も言ってはいなかったが、恐らくはパイロットが生きている限りは戦いは続く。

 機体を失ってからの時間は重要だろうが。

 機体を失った直後であれば、参加資格は失わない筈だ。

 

 落下した場所を見れば、ピンクはそのままだ。

 多脚型を見ればハッチが展開されていた。

 

「ふーん。そうだねぇ……うん」

「……?」

【うん、って……な、何を?】

 

 俺は機体を降下させる。

 そうして、ピンクの機体の近くに降りる。

 

 煙を上げていて、機体はほぼ死んだだろう。

 が、生体反応が出ているからこそ中の人間は生きていると確信できる。

 俺はショットガンをサブアームで固定させてから、ハッチに手を掛けて――べりべりと剥がす。

 

「……!?」

【ふぁ!?】

 

 ハッチだったものを投げ捨てる。

 そうして、中でぐったりしているぴっちりスーツの女性を強引に出そうとした。

 バリバリとコックピットを破壊しながら手を突っ込み女性を掴んだ。

 俺はスピーカー機能をオンにし、そのまま女性を捕獲した手を掲げて――

 

「お前たちの仲間は捕まえたッ!!! 今すぐに持っているもの全てを差し出せばだけは見逃してやるッ!!!」

「……マジの外道じゃねぇかよ!」

【いひひひ。流石は……え?】

 

 俺は安地と手にしている弾薬などを要求する。

 ショットガンの弾は持っていないだろうが。

 狙撃銃の弾はあの多脚型のパイロットが持っている。

 マシンガンの弾はこの女の人が持っていて――今、奪った。

 

「お、リペアも二つ持ってんじゃん。ラッキー。安地は1つだけか……30秒やる! 出て来なさい!」

「ぅ、ぁぁ!」

 

 俺は手に少し力を込めた。

 すると、女性は苦しそうにうめき声をあげていた。

 リスナーさんたちは何故か少し興奮していた。

 

「出て来るかなぁ……お?」

 

 視線を建物の影に向ける。

 すると、パイロットスーツを着た男が両手を上げて走って来る。

 何かを叫んでいて、音を拾ってみて――

 

「分かった! 言う通りにする! だから、彩名を……俺の恋人を解放してくれ!」

「……やっぱりカップルだったのか」

「ぅ、ぁ!」

「やめろぉぉ!!」

【きひひひ……リア充は滅べ!(血涙)】

【良い声で鳴くじゃねぇか!(血涙)】

 

 恋人らしき男はヘルメットを投げ捨てて叫ぶ。

 爽やかフェイスのイケメンであり、ピアスを開けている。

 彼の顔が見れた瞬間に、リスナーさんたちが何故か暴言を吐き始める。

 殺せと叫んでいる彼らはおいておき、俺は先ずはアイテムを渡すように告げた。

 彼は片手を下ろして指でアイテムを操作し始める。

 そうして、指を振るえば俺へとアイテムが送られてきた。

 俺はアイテム欄を確認し、受け取りを承諾する。

 

「リペアが1つに、安地は1つか……狙撃銃のマガジンは一本だけ。相当にかつかつだったんだな」

「どうした! 約束は!?」

「ん? あぁ、はいはい。かいほぉ」

 

 俺はゆっくりと手を下ろす。

 そうして、女性を地面に転がした。

 

 彼氏は慌てて彼女の元に近寄る。

 抱き寄せてからヘルメットを脱がせば……美人だ。

 

 桃色のウェーブヘアの美女だった。

 リスナーさんたちは怨念のようなものを吐き始める。

 

「人間って愚かだねぇ。特にお前」

「……そうかなぁ?」

 

 ピは微笑みながらリスナーさんのコメントを嘲る。

 そして、びしっと俺に短い手を向けて来た。

 俺は首を傾げながら、一応サーチをしておいた。

 が、もう一機はやはり既に離脱していた。

 仲間を見捨てたようであり、判断としては正しい。

 

「アイツのアイテムも欲しかったけど……ま、いいや」

 

 視線を戻す。

 すると、男は女性を背負って去っていく。

 大破した機体の方ではなく、建物の方だ。

 恐らくは、俺が完全に去るまで身を隠すつもりだろう。

 

 生き残ったがメックはほぼ死んだ。

 可能性があるとすれば、リペアのアイテムを何処かで回収し機体を修復するか。

 誰かの機体を奪うか。もしくは、奇跡的に使える機体を手に入れるかだ。

 

 どれも難易度としてはかなり難しいだろう。

 出来れば、戦いに復帰できるが……まぁ。

 

 

「貴方他のの冒険は――これでお終いなんですけどね」

「――ぇ」

【え?】

 

 

 俺はフルチャージのチャージガンの銃口をカップルへと向ける。

 

 バチバチとスパーク音が響いていて、生き残ったパイロットが足を止めた。

 

 俺は目を細めて口角を上げていき――ボタンを押した。。

 

 瞬間、チャージされたエネルギー弾が解き放たれる。

 

 真っすぐに進んでいき、地面を溶かしていって。

 

 男が俺の方へと振り返り、驚愕と絶望の表情がハッキリと見えて――ジュっと音がした。

 

 

「…………ぇ」

「ふぅ!」

【――――(絶句)】

 

 ピが掠れた声を出す。

 俺はやりきった感を出しながらヘルメット越しに汗を拭う仕草をする。

 コメントを見れば、流れがゆっくりになっていた。

 

 道路にはドロドロに溶けている。

 アスファルトは赤熱し、大きな溝が出来上がっていた。

 そこには人は存在せず。

 初めから何も無かったかのようだった。

 

 恋人は仲良く――現実へと帰っていった。

 

 生体反応は消えている。

 完全に死んで、完全に予選から脱落した。

 俺はそれを確認し、さっさと大破した二機から武器に刺さっているマガジンなどを確保しようと――

 

「見逃すって、お前……何で」

「ん? あぁ見逃がすって確かに言ったよぉ……ほら、見逃したでしょ。一回だけ」

「は、ぁ?」

「うん。だから、一回見逃したから――殺しただけだよ」

【ひ、いひ……サイコパス(恐怖)】

【本物だぁ(怯え)】

 

 笑顔でピの質問に答えた。

 すると、ピは固まっていた。

 リスナーさんたちも怯えているが……そんなにおかしい事かな?

 

「ま、そもそも……敵の言葉なんて信用しちゃだめでしょ? はは」

「…………言い返せない。悔しい」

【ぐうの音も出ねぇな!】

【正論パンチ!】

 

 俺は笑う。

 そうして、チャージガンの威力に再びうっとりした。

 攻撃の威力と範囲も申し分ない。

 そして、フルチャージに掛る時間もおよそ1分程度だ。

 エネルギー残量も気にせずに撃ち放題。

 まさに夢のような兵器で――あぁ。

 

「力こそパワーなんだね」

「なにいってんだよ」

【迷言ですね(白目)】

 

 俺はくつくつと笑う。

 そうして、もっともっと狩りを楽しむ為に次の獲物を探しに向かった。

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