直哉の兄で十種持ち   作:七罪の王

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特訓をしよう①

「直久様、本日よりこちらのお部屋をお使いください。」

 

親父殿に術式の件を話した翌日、親父殿の計らいにより、俺は今まで暮らしていた部屋から数倍は大きい部屋へと、住処を移すこととなった。

 

「残りの荷物については、後ほどお持ち致します。」

「ありがとうございます」

「では、失礼いたします。」

 

この家では、家事の全てが禪院家、および禪院家に縁のある呪術師家系の女中によって行われている。呪力の有無に関わらず、だ。呪力持つものの中でも、術式、特に相伝の術式を持つのものは本家筋の男児を優先に、婚約させられ、次代の禪院家を担う男児を産むことを義務とされる。

 

「…術師の優劣に性別関係ない気がするけどな。」

 

禪院家に縁のある男児のうち、術式の無いものは躯倶留隊と呼ばれる斥候、諜報部隊に配属され、準1級相当以上の力を持つ禪院家の主力部隊、炳の露払いとして一生を終えることになる。

 

場合によっては、特級呪霊の情報を得るための生き餌にされることもある。考えようによっては、呪霊と戦い死ぬことは無い女性の方がその点でいえばある意味優遇されていると言えるのかもしれない。

 

「あー!兄ちゃんいた!」

「直哉か」

 

どうやら、相伝の術式を持つ直哉も俺と同じく、部屋を移したようだ。

 

「パパに聞いたで!兄ちゃん強い術式やったんやろ!なんですぐ教えてくれんかったん?」

「あー、すまんすまん。いや…ごめんちゃいか?」

「…。兄ちゃんそれおもんないで?」

「うるせぇお前が言うな。」

 

どうやら弟はまだ人の心があるようだ。

本人からダメ出しをされるとは思わなかった。

 

「そんなことより!パパが訓練するから道場に集まれって!」

「ご当主直々にか…。随分気合入ってるな。」

 

基本的に術式のある男児は炳所属の術式が稽古を行うこととなっている。

まれに、躯倶留隊との合同訓練を行うらしいが、まだ参加したことはないので詳細は分からない。

 

「お先真っ暗やからな、気張りますか。」

 

鍛錬など面倒で仕方がないが、後のことを考えるとそうも言っていられない。環境は整った。才能はある。あとは磨くだけ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「来たか、直久、直哉。」

 

道場には直毘人がひとりでたっていた。ーー違和感。

 

「直哉、ピアノの調子はどうだ?」

 

「もうだいぶ慣れてきたよ?日常の動きやったら術式でフリーズせんくなってきたし。」

 

「そうかそうか。それは上々。直久は…、まあ、お前なら大丈夫だろ。

これより、稽古を始める。内容は簡単…、俺に1発入れてみろ。できなければ…、あとはわかるな?」

 

そう言い終えると同時に術式により加速する直毘人。

 

「玉犬!!」

 

玉犬を前後に配置、直毘人の術式に備える。

 

“投射呪法” 禪院直毘人および直哉の持つ禪院家相伝の術式。自らの視界を画角とし、動きを24分割したイメージをすることで、半ば自動的に動くことが可能。物理法則を過度に超えた動きをすることはできないが、術式を重ねがけ、24分割の動きを繰り返すことで、僅かな物理現象の超過を繰り返し、際限なく速度を上げ続けることが可能。

この術式により、直毘人は現代最速の術式呼ばれるに至る。(後に五条悟によって最速の称号は奪われることとなる。)

 

投射呪法の脅威は速度だけじゃなく、手のひらが触れた相手にも24分割の動きを強制すること。そして動きの作成に失敗したものは1秒間のフリーズを強制される。

 

「直哉!お前は慣れてるからフリーズせずに動けるな!迎撃は任せる!」

「了解!」

 

「作戦会議は決まったか?」

 

道場の四方を旋回し加速し続ける直毘人。正直目で追うどころか、触れれば粉微塵になってもおかしくない速度になっている。

 

「…つっ、兄ちゃんこれヤバない?」

「お前も同じことできるだろ。」

「無茶言わんでや、こない加速したら、今の俺じゃ動きのイメージしきれん。」

 

このままでは一発入れるどころか、直毘人に触れた瞬間即死である。

 

「兄ちゃん、なんか案ないん?」

 

…投射呪法は視界を画角とする。すなわち視界を奪えばフリーズさせれるということ。

 

「どうした?このまま縮こまってるだけか?」

 

十種影法術は影を司る。視界が影で見えなくなる様は、容易にイメージできる。手本にするのは宿儺。意図的に定型を持たせない式神の運用。

 

「直哉、合わせろ」

「まかせとき!」

 

「玉犬、泡影」

 

瞬間、玉犬が弾ける。

 

「っつ!!やるな!」

 

道場が影で覆われたことにより、直毘人の視界が狭まる。

 

「だが、このt「速度落ちとるで!」

 

直毘人とは対称に、障害物のない道場で開けた視界の直哉は、投射呪法による加速に成功していた。

 

視界を奪われないよう、咄嗟に回避行動を刻んでいた直毘人は直哉からの直撃を受けることとなる。

 

「…見事っ!」

 

「「よっしゃ!」」

 

奇しくも直哉と声が被ってしまった。ドブカスになってしまったのか…。

 

「直哉、障害物のない場所とはいえよく術式を使いこなした。今後もその調子で鍛錬を続けるように」

 

「はい!」

 

「直久、咄嗟の機転、賞賛に値する。十種影法術に式神を意図的に崩壊させる運用はなかったはずだが…どうやって思いついた。」

 

…やばい、万戦の宿儺の運用を真似たとは答えられない…。

 

「…勘。」

 

「…。ふ、ははははは!そうか、勘か!…冗談で言ったつもりではなかったが、五条家のやつらに吠え面かかせる日も遠くないな!」

 

特に疑われもしなかったようだ…。でもこれ第三者からは天才児みたい見えてないか?

 

「そら、兄ちゃんやからな!当たり前や!」

「なんでお前が威張ってんだよ…。」

 

「正直、お前たちをボコボコにして伸びた鼻をへし折ってから、稽古をつける予定だったが…、まあいい。予想を超える分には大いに結構。」

 

…なんかボコボコにされる予定だったらしい。耐えました。

 

「まあ、このまま地獄の稽古を始めるだけだがな。死ぬなよ?愛しい息子達よ」

 

…耐えてなかった模様




まだショタなんで直哉は人の心があります。
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