「…黒閃」
「あぁ、お前には元服までに五条家のクソガキに匹敵する術師になってもらう」
「五条…悟」
言わずとしれた現代最強の術師。特に反転術式を習得したあとは、両面宿儺以外は傷一つつけられた描写もない。
「おそらくだが次の五条家のクソガキとお前の元服は共同で開催する運びになる。数百年ぶりの六眼と無下限の抱き合わせ、そして十種影法術保持者…慶長の焼き直しだな。向こうは確実にお前を叩きのめして、五条の天下を狙ってくるはずだ。」
五条と…?共同で開催?
確か新宿決戦時の五条悟は28歳…。で、直哉が27歳…。同い年じゃん!
「なぁ、パパ。五条家は何回か聞いたけど、六眼と無下限ってなんや?」
俺と直哉は呪力の扱いがある程度できる4歳頃以降から基本的な呪術基礎は習ってきたが、呪術界の歴史や勢力図などはまだ習っていない。
「まだ、その辺は教えてなかったな。特訓ついでの講義だから、掻い摘んで話すがな…。五条家には数十から数百年程度に1度六眼という特異体質を持った人間が生まれる。こいつは呪力をサーモカメラのように捉える特殊な眼だ。」
これにより五条悟は基礎的な呪力操作が化け物じみているだけでなく、呪力操作によるロスがほぼゼロ…さらには反転術式含めた呪力消費が自己補完の範囲内に収まり、呪力切れがないとかいうとんでも性能になっている。
「呪力操作が目で見てわかるからな、現時点で呪力操作の技術はそのほかとは一線を画している…。それからこいつが厄介なんだが…、五条家相伝の無下限呪術。こいつと六眼の抱き合わせは反則だな。こいつのせいで正面切って勝てる術師は現時点で存在しない。」
まじか。現時点でもうそんなレベルなのか。
「パパでも勝てへんの?」
「…残念ながらな。無下限は概念に絡む術式だ。有効打を与えるには同じく概念に干渉する術式…あるいは領域が必要になってくる。」
「パパでもダメなんか…。」
露骨に直哉がしょげてる。このショタがドブカスになるんか…。
「だが、そこで我らが禪院家相伝の十種影法術だ。」
伏黒くんがすぐ布瑠部由良由良してたあいつの出番ですね。
「…あれですか。」
「あぁ。五百年前に行われた五条家と禪院家の御前試合において、六眼もちの無下限使いと、十種影法術使いが両者死亡する事件があった。死んだとは言え、結果だけ見れば引き分けだ。五条家のヤツらにとっては十種影法術もちのお前は五条家を脅かす爆弾みたいなもんだな。」
そら自分家の当主と心中企んでくる奴がいたら、気が気でないでしょうね。
「…それと黒閃になんの関係が?」
「まず黒閃だがな、こいつは呪力操作精度が高い術師がまれに起こす現象でな、呪力が黒く弾けるものをいう。」
「呪力が光るん?」
しょげてた直哉が立ち上がったようだ。
「あぁ。こいつを経験した術師はその前後で呪力の核心との距離に天と地ほどの差が出る。最終的に直久には十種影法術の最奥であるアレの調伏、もしくは領域を習得してもらう。」
「そのための第1歩としての黒閃ですか。」
直毘人の言いたいことはわかるが、黒閃を狙って出せる術師は存在しない。
「まあ、そんなに気負うな。1級に値する術師は多かれ少なかれ黒閃を経験している。狙って出せるものではないが、全く出ない訳でもないからな。」
「…精進します。」
この家ごと滅ぼされないためには、なるべく早く最強に並ばずとも、その辺まで強くならなければならない。
「よし!では特訓を再開する。まずは呪力を纏った状態で道場内を100周!」
…その前に死ぬかもしれない。