「黒閃っ!!!くそっ!ダメか!!」
戦闘開始から数時間。
禪院直久は、円鹿との接触時に自身の呪力を剥がされる感覚から、それに抗う形で逆算的に呪力操作技能を向上させていた。
「攻撃は通るようになった…が、反転で治されて振り出しだな…。」
呪力による強化がなければ、齢6を迎えたばかりの体の力なんて、式神にとってはカトンボに等しい…。
「玉犬」
2体の式神による波状攻撃も数十回を超えていた。しかし、有効打にはならず、戦闘は膠着状態が続く。
「…円鹿による攻撃は単純な突進による接近攻撃のみ。こちらの攻撃手段も俺の打撃、玉犬の物理攻撃のみ…。円鹿の攻撃は回避可能、こちらの攻撃は火力が足りず有効打になり得ない…。手詰まりだな。」
とはいえ、こちらには呪力切れがある分いくらか不利だな…。術式による瞬間火力があげられないのがネックだな…。
円鹿による突進攻撃、これを回避しながら直久は思考を続けていた…。有効な手段は現状黒閃を放つ、もしくは禪院家の炳のいづれかに助力をこい、調伏の儀式を中断する他ない。
「助力をこうのはなし、だな…。今後に響く。しかし、どうしたものか…。」
黒閃以外に火力を上げる方法…。領域展開による術式効果の底上げは…、流石に無理だな。結界術の基本のきどころか見たことすらないのに。
いや、ある!十種影法術で瞬間火力を上げる方法!
十種影法術は部分的な式神の顕現が可能。例えば、満象の水のみを放つように…!!
「玉犬解除…。」
式神を解除した後、もう一度玉犬の掌印を結ぶ。
「狗顎爪!!」
玉犬の特性のみを顕現し、を自身の呪力に載せる!!
現在、直久は無意識のうちに未熟な身体を守るため、呪力強化の上限を設けていた。しかし、式神の部分顕現、それも呪力特性に反映させる間接的な強化は身体への負担が少なく、無意識の制限を回避していた。
さらに、通常特性のみの顕現は攻撃力の低下を招くというデメリットを、自身の持つ莫大な呪力量でカバーすることで、帳消しにしていた。
結果…。現在の直久の身体はは高専基準で1級呪術師の攻撃にに匹敵する凶器と成る。
直久の速攻、玉犬の俊敏性と攻撃力を載せた体は先刻とら比べるもなく。
円鹿は防御の間もなく、消滅する。
「黒閃は決められなかったけど…まあ、成果は十分かな。」
禪院直久、十種影法術円鹿調伏完了。
「んじゃま、早速…。円鹿。」
円鹿を顕現し、身体の疲労を回復する。
「いきかえる〜。あ〜。」
これやばい、風呂上がりの牛乳よりやばい。
「反転使いチートだろ、チートだ、チート!こんなん常時小学生体力だわ!」
呪力が続く限り無限に動けそう…。あー、使いすぎたら脳みそが溶けるか?円鹿なら通常呪力だから関係ない?どうかな、後で検証するか。
「このまま、鵺と貫牛もやっとくか。」
円鹿による反転術式を受け続ける直久の身体は、無意識の呪力強化制限を緩やかに上昇させて行った。その上狗顎爪による強化を受けた直久は、鵺、貫牛の調伏を十数分で終わらせていた。
「直久ー、稽古の調子は…。」
「あ」
「直久、そこになおれ。」
「いや、これわぁ…」
「訓練でひとりでに死にかけるやつがいるか!!」
「ごめんなさい!!」
この後めちゃくちゃ怒られた模様。
禪院直久 残りタスク
・黒閃
・領域展開
・十種影法術完全調伏