転生特典が『SAO』なんですが上位互換機?があったのでアインクラッドを実装しようと思う 作:ケツ命騎士団
時間軸的には前々話「あめちゃん」より前のお話
一応キャラ崩壊注意
本日よりじゃんたまSAOコラボ開催するらしいですよ
夏休み。学生ということもあり、長期休暇を有効活用するべく早々に課題を終わらせると俺はボロアパートの自室ではなく某所にあるマンションに泊まり込んで、ヤチヨとユナ合わせて約16000年分の記憶を追体験していた。
──否、強制的にさせられることになった。
彼女たちの記憶に侵食される最中完全に意識が呑まれる寸前にユナとヤチヨが揃って焦りの表情を浮かべていたのをよく覚えている。
幸いと言うべきか、あるいはそれすら神々の手のひらの上*1だったのか、結果的には無事2人分の記憶を脳に刻む事が出来た。
その代償に休む暇など与えないと言わんばかりにぶっ通しで2人が歩んで来たこれまでを様々と見せつけられ、気がつけば3週間ほど消し飛んでいた。
地獄。という言葉が優しく生ぬるいほど救いが無いものがあった。時に痛々しく、無力感と絶望に苛まれ互いに崩折れそうになりながらも必死に支え合いながら未来を目指し、数え切れないほどの出会いと別れを幾度も幾重にも繰り返し続け、ようやく現在に辿りつく。
後悔の連続だった。病や飢饉。災害や争乱。救うことの出来ない者たちがいた。無力感に打ちひしがれ落ち込むこともあった。旅をする中には気の合う友人たちもいたが、同じ時を生きることは叶わない。2人と1匹はそれでも前に進み続ける。
矢の如く過ぎ去った3週間の内の数日間は自身と彼女たちの境界が混ざり合ったかのようなふわふわとした状態だった。己が『私』なのか『桐ヶ谷明日奈』なのか、『かぐや』なのか。ぐちゃぐちゃになって整理に時間がかかったようだ。
自意識を取り戻すとすぐヤチヨとユナが涙を流して抱きついて来る。
「おっとと、どうしたの? 随分と泣き虫だね2人とも」
「どうしたの? じゃないよ!! ずっと目を覚まさなくて、でもわたしたちにはどうしようもなくてすごく、すっごく心配だったんだから!」
「明日奈、大丈夫なの!? 念のためモニタリングしてた現実の見た目はそれほど変化が無い*2ように見えるけど一度病院でちゃんと検査した方が──」
「あはは、大げさだよ平気平気。『私』なら大丈夫。それより流石にお腹空いたからちょっと何か食べて来るね」
そう言い残し仮想空間から現実へと帰還する。ドッと疲れが襲いかかった。ほぼ寝たきりだったせいか身体全身に凄まじい倦怠感と眠気。そして飢餓感。すぐさま何か口にしたいと脳が栄養を求めているのが分かった。
が、どこか他人事のように冷静な思考が判断を下す。すぐさまチートで『回復結晶*3』を生成し、手のひらにピンク色の六角柱が現れる。
「ヒール」と唱えてソレが砕かれ──瞬間、身体全身に力が漲る感覚がする。ついで『覚醒結晶*4』も同様に砕き、精神を回復させる。念のため『グランポーション*5』を呷って飲み込むと深くため息を吐いた。
「ふぅ……、流石に危なかったかな。精神的にも肉体的にもかなりギリギリだった。それにしても腹が減ったけど今は料理するのも億劫だし、なにか適当に出して空腹を満たそう」
揚げ魚と酸味ソースの挟みパン*6とごろごろ野菜のスープ*7を貪るように胃袋に収めて人心地つく。空腹は最高のスパイスとはよく言ったものでどちらも大変美味しくいただけた。
「さてと、随分と心配かけたみたいだし謝らないとな」
再びツクヨミへと入り込めば目先にむくれた様子の2人がお出迎えすることとなった。
「うわっびっくりした。もう大丈夫だから心配いらないよ。ちゃんと回復したから安心して欲しい」
「そういう問題じゃないっ! 明日奈はいつもそう。ちょっとは自分のことを大切にして!! ……もしも明日奈がこのまま元に戻らなかったらって考えたら怖くて仕方がなかった。ねぇ……明日奈。明日奈だけは居なくなったりしないよね……? 『約束』、したもんね?」
怒り心頭のヤチヨに心当たりがあり過ぎて何も言えなくなった俺たちは大人しくお説教を正座で受けることになるのだった。
※
この8000年間。きっとあなたはどれほど『わたし』が救われていたか理解出来ていないだろう。
彩葉から届いたかぐや宛の歌。そのおかげで記憶を取り戻すように目が覚めた時、あなたが隣にいた時の衝撃は忘れられない。
「なんで月に明日奈がいるの!?」って思わず叫ぶくらいにすっごくびっくりしたんだから。
詰め寄って話を聞けば脳をスキャンし精神を
「情けないことに来たのは良いけど帰る方法がなくなってしまったのは誤算だった。色々と試したけどかぐやも元に戻せないし、正直詰んだかと思った」
──護りきれなかった上に連れて帰れなくてごめん。って悔しそうに俯くあなたにいけないことだと思うのにほんの少しだけ愉悦を感じてしまった。『KASSEN』であれだけ大立ち回りを繰り広げ、料理から勉強。だいたいなんでも出来た明日奈が今はわたし無しでは帰ることすらままならないのだ。
赤子だったわたしを彩葉と共に育ててくれた明日奈。わがままなわたしを甘やかしてくれて、彩葉が憎からず思っている人でもあって少しヤキモキした日もあった。
そんな親のような恋敵のような恩人の助けになれると分かったわたしは有頂天だった。
そこからのわたしたちは地球に帰るため遮二無二動き出した。明日奈のメディカルチェックから始まり、溜まっていた仕事を明日奈と共同で片付け、仕事の引き継ぎを自身の複製体に任せて──地球との時間のズレを解消するために時間遡行を組み込んだ舟*8も色々あったけど無事完成した。
まさか姫と一緒に創ることになるなんて思いもしなかったけど。
そして、地球に向けて航行し──隕石と衝突。なんとか不時着した地球は彩葉が産まれるよりもずぅ〜~っと前で大失敗。
気が遠くなるほどの長い年月を過ごす事になった。
──わたしを責めてくれれば良かった。恨みも憎みも蔑みも甘んじて受けるつもりだった。けれどあなたは恨み言一つなくわたしと一緒にいてくれた。わがままも悲しくて苦しくてどうにもならなくて八つ当たりをした日も。
人はいつか死んでしまう。せっかく仲良くなれた人も敬ってくれた人も助けたいと願った人も。人を見送るのは悲しい。きっと、慣れることは無いのだと思う。
そんなわたしを見かねてかある時、明日奈は約束してくれた。『ずっと一緒にいる』って。
月にいた頃にその身に異常が無いか確認したところ限りなく月人に近い存在になっていると判明した明日奈。本人曰く月に行った際にコンバートされた結果なのではないか? と冷静に持論を語ってみせた彼女に戦慄したのはよく覚えている。
指切りをしたその日はすごくすごく嬉しくて。あまりにも嬉し過ぎて子どものようにわんわん泣いて困らせちゃったっけ。
1人だったら耐えられなかったかもしれない。それだけの月日をわたしたちは過ごして来た。もはや一心同体。離ればなれになるだなんてもう考えられないし考えたくもない。
「ずっと一緒だよ。明日奈」