転生特典が『SAO』なんですが上位互換機?があったのでアインクラッドを実装しようと思う   作:ケツ命騎士団

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いろは

どうしてこうなったんだっけ。と私こと酒寄彩葉はお茶を啜りながら回顧する。

引っ越しのご挨拶にちょっとだけだからと玄関先からあれよあれよと言う間にお隣さん宅に引き込まれて座らされ、お茶と茶請けを出されて手伝う隙すらなくあっという間に完成したエビの天ぷら付きの蕎麦は大変美味でした。

自分の力で生きるんだって決めて東京で一人暮らしをするのは不安だったけれどお隣さんが女性で少し安心した。でも無課金初期アバターみたいな白無地Tシャツ&ショートパンツ*1は流石に無防備過ぎるしどうかと思うの。

まぁモデルさんみたいに綺麗な人だから隣に並ぼうものなら着飾らなくとも平凡*2で地味*3な私*4は霞んで消えてしまうのだろうけど……。

そんなお隣さんこと桐ヶ谷明日奈さんの部屋は大変失礼ながらとても殺風景だ。生活感が無いと言い換えても良い。かわいらしいぬいぐるみも無ければ推し活グッズもないしゲーム機だったり漫画含め本も無い。

あえて目に付くものと言えば大きなデスクトップPCとモニターくらいで物自体がとても少ないように見える。ミニマリストってやつなのかな? と頭を捻る。

 

「どうかした? ……ああ、なるほど。おかしな部屋だと思ったのかな? 実は……そう。断捨離した後でね。高校デビューのために不用品は全て処分したんだよ*5

「え、桐ヶ谷さんってひょっとして同い年なんですか!?」

「それは老けて見えるって言いたいのかな」

「ちがっ! いやある意味ではそうなんですけど、すごく大人びてて綺麗な人なので勝手に年上だと思ってました。すみません……」

 

慌てて訂正と謝罪を口にする。そんな姿が滑稽だったのかくすくすと小さく笑みを浮かべて気にしてないから大丈夫だと許しを得て胸を撫で下ろす。

 

「まぁあながち間違いではないしね」

「ええとそれはどういう?」

「うーん、それを話すにはまだ好感度が足りないかな」

「急に恋愛系ゲームが始まってしまった」

「おや結構行ける口かな酒寄さんは?」

「ええまぁ。それなりにはですけど」

 

そいつは良かった。と笑みを深めた桐ヶ谷さんは話題を変えるためか『スマコン*6』について教えて欲しいと告げる。

私で良ければと了承して簡単に何が出来るのかから始まり仮想空間ツクヨミについて触れる最中にヒートアップしてしまい推しである月見ヤチヨのことまで熱弁してしまうのだった。

しかし桐ヶ谷さんは引くどころか彼女の琴線に触れたのかあれやこれやと逆に熱心に質問攻めにされこちらが困惑してしまうほど根掘り葉掘り深掘りされてヤチヨトークに花開くこととなった。

 

「へぇ、管理AIが歌って踊るのか。話を聞く限り完全に自立しているようだしユイのような存在*7なのかな。あるいは──」

「ええと桐ヶ谷さん? おーい」

「──実に興味深いね。ありがとう酒寄さん。助かったよ」

「あ、いえいえ。私もつい熱くなってしまって変なことまで口走ってなければ良いんですけど。お役に立てたなら良かったです」

「すごく助かったよ。それと今更だけれど口調は崩してもらって大丈夫だからね。今回助けてもらったわけだし酒寄さんも何か困ったことや相談したいことがあったらいつでも頼って欲しい。こう見えて色々と力になれると思うから」

「ありがとうございま……ううん、ありがと。何かあったら言うね」

 

それじゃあ、お邪魔しました。と玄関先まで見送られて部屋を後にする。新生活も無事スタート出来る気がした。

 

 

*1
初期装備

*2
ん?

*3
え?

*4
は?

*5
ということにした

*6
仮想空間『ツクヨミ』に入るために装着するコンタクトレンズ型VRデバイス

*7
メンタルヘルスカウンセリングプログラム

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