転生特典が『SAO』なんですが上位互換機?があったのでアインクラッドを実装しようと思う 作:ケツ命騎士団
桐ヶ谷さんの手料理を美味しくいただいた後、貰ってばかりだと悪いからせめて何か出来ることでお礼をさせて欲しいと言えばツクヨミのガイド役を頼まれた。
「実は昨日の酒寄さんの話を聞いてからすぐ通販で購入してね、今朝届いたばかりなんだよ」
「即断即決!? 結構したでしょそれ*1、その上手の込んだ料理まで……お金、大丈夫なの……?」
私、そんな大層な話してないんだけど。え、後から楽しくなかったとか言われたらどうしよう。いや大丈夫! ツクヨミとヤチヨを信じろ。彼女さえいればきっとなんとかなるはず!
「あーまぁ。軽々しくぽんっと出せる値段*2じゃあなかったかな。一応あてはあるから心配無用だよ」
「仕送りが多いとか?」
「いいや、両親はもういないよ。他の親族もだけどね」
「そ、れは……ごめん。嫌なこと聞いちゃったね」
やば、やらかした。特大の地雷踏んだ。そうだよこんなどこぞのお金持ちのお嬢様みたいに綺麗な人が一人でこんなところ*3に住んでる時点で何か問題を抱えているに決まってる。こういう時どうすれば──
「大丈夫だよ。と言っても酒寄さんは多分気にするよね。でも私が気にしていないのは本当のことだから*4。別に地雷でもなんでもないから大丈夫。そんなことより、楽しみなんだよねツクヨミ!」
「実は、初期設定の段階でちょっと色々あって疲れてしまって気分転換に料理をしていたら思いのほかつい、作りすぎてしまってね。さてどうしたものか、と考えた時に酒寄さんのことが気になって声をかけたんだ。結果的にお互い助かってWin-Winになれて良かった」
「ツクヨミに詳しい人が案内してくれるのは本当に助かるよ。色々レクチャーしてくれるかな?」
気遣いがえぐい。黙ってしまった私を励まそうとまるで本当に気にしていないかのように振る舞う彼女の姿に心が痛む。こっちが100%悪いのに。本当に良い人だ。ほぼ対価ゼロ*5で美味しいご飯も食べさせてくれる上に気配り上手とかもしかして聖人か何かの生まれ変わりなの? ダメだ恩ばかり増えていく。ちゃんとどこかで返さないと。
「ごめん。桐ヶ谷さん、私、」
「ん。へーきへーき。そんな泣きそうな顔しなくても大丈夫。キミは悪くないよ。いやホントに。むしろこっちがごめんね? 私、ちょっと色々普通じゃなくてね。ああ、そうだ!」
ちょっと待ってて。と少し離れた段ボールから何かを取り出してこちらに持って来る桐ヶ谷さん。「はい、これ」と手渡されたそれは私の推しである月見ヤチヨのアクリルスタンドだった。
「スマコンの購入特典としておまけで付いてきたやつなんだけど。酒寄さんにあげたら喜ぶかなって」
デフォルメされたちびヤチヨがとても愛らしい。ファンからすればおまけが本体になりかねない高額商品の限定品。本当に貰ってしまって良いのだろうか。何も返せてないどころか負債がどんどん増えてる気がする。沼だよこの人。それも底無しの。
「あの、あの。すごく嬉しいんだけどさ。どうして私にこんなに良くしてくれるの? だって会ってまだ2日目だよ? 私、本当に何の取り柄もない普通の学生だし、親だってお父さんはもういないし、母はとんでもないロジハラウーマンだし、お兄ちゃんは──」
「──キミに友だちになって欲しいと思ったから、かな? 『普通』で良いんだよ。家族のこともどうだって良い。たまにご飯を一緒に食べて、ゲームしたりお茶しながらくだらないバカ話で笑ったりするそんな普通の友だちが欲しいんだ」
切実な願いだった。……私も、欲しい。
「良いのかな。私なんかで。もっと他に綺麗でかわいい娘とか勉強が出来たりスポーツとか音楽とか何かに秀でてたりお金持ちの方がきっと桐ヶ谷さんにつりあってるんじゃ……」
「居もしない誰かのことなんて気にしても仕方がないよ。それにキミが考えているほど上等な人間じゃあないしね。それともあれこれ断る理由を並べ立てるほど嫌われてしまったのかな? それなら潔く諦めるとするけど」
「その言い方はちょっとずるくない? 明日奈」
「ふ。どうやら嫌われてはいないようで一安心だよ。彩葉」
やれやれまったく。本当に困った友人だ。