「この子は
翠から紹介があった彼女、西園さんは机を挟んで私たちの体面に座っている。机の下に隠れていた彼女たちが出てきたあと私たちは受付の前から移動し図書室内の大きなテーブルを囲んで話していた。
目の前に座る西園さんはこちらを、というより翠を睨みつけている。先ほど翠が脅して、もとい話した通りだと彼女はここで小説を書いていると。翠がそれをどうやって知ったかは知らないが、自分の秘密をあけすけにされたようなものだし気分も悪くなるだろう。
「…それで?生徒会長がお仲間引き連れて一体何の用ですか?放課後の図書室の使用は問題なかったはずですけど?」
「?…あぁ!そういえばみどは生徒会長やったなぁ。」
「忘れがちだけどね。」
「…今日ここに来たのは生徒会長としてではなくてね。勧誘に来たんだ。西園さんはスクールアイドルって知ってるかな?」
「スクールアイドルですか?ラブライブの?それなら知っていますけど…」
予想していたことだったのか西園さんはきょとんとした顔をしてこちらに向き直る。
「それなら話は早いね。私たちはすかし前から活動を始めてね。西園さんをそれに勧誘しに来たんだ。」
「えっと……、活動ってのはスクールアイドルのですか?」
「そうだね。」
「……あはは、生徒会長って冗談とかいうんですね。」
「冗談じゃないけどね。」
翠の言葉に西園さんは苦笑いのまま固まり私たちの間にまた静寂が満ちる。
「……いや…いやいやいやいや…本気でいってます!?もしかして私からかわれてます!?」
「本気だよ。…西園さんをからかうためだけにこんなこと言いに来るわけないじゃないか。」
翠の言葉が冗談ではないと知り、椅子から立ち上がって驚く西園さん。スクールアイドルを始めようとしていることに驚くのはわかるけれどそこまで驚かなくてもと思う。いや、私も最初は本気にしていなかったけれど。
私たちが本気で始めようとしていることが分かったのか西園さんは椅子に座り直し、額に手を置いてうなりだす。
「皆さんがスクールアイドルを始めるとかは、この際どうでもいいです。どうして私なんですか?わざわざこんなところまできて、私よりも運動ができたり歌がうまい人なんていっぱいいると思いますが。」
「物語の中の彼女たちはそんな風に仲間を集めたんだったけ?」
「それは…違いますけど。だからと言って私を勧誘する理由にはならないじゃないですか。」
「そうだなぁ…、西園さんなら私たちと一緒に活動してくれるかなと思ったから・・・かな。」
翠の言葉にまた西園さんがまた黙ってしまう。翠の言って理由はとても感情的なものだが、なにか思い当たるようなことでもあったのか彼女の顔は苦しげに見える。
「…残念ながら私があなたたちに協力することはありません。用がもう内容であればもう出て行ってください。あと…私が…その、ここで小説書いてるってこと誰にも言わないでくださいね!絶対ですからね!」
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一方的にまくしたてられてそのまま図書室から追い出されてしまい、私たちは学校を出て帰路についていた。
「どうするの?勧誘、断られちゃったけど。」
翠を挟んで3人で歩く私たちはメンバー勧誘の話し合いを続けている。西園さんはこのままではメンバーになってくれることはなさそうに見えた。翠の言うもう1人のあてが加入してくれればいいがそれでも4人、目標の5人には足りなくなってしまう。なので、できれば西園さんを説得して加入してもらいたいのだが
「まぁ、私も今日加入してもらおうなんて思ってはいなかったから。これから説得しないとね。」
「説得なぁ~、なんか作戦でもあるんか?」
「いや、特にないけど…うーん…」
首をひねってこれからの行動を悩む翠。それを隣で見守る私と澪。翠から始まった私たちの活動、翠に頼りすぎるのもよくないことだとはわかっているので何か彼女の助けになれればと思いながら翠の言葉を待つ私。
「まぁ別に何か特別なことをする必要はないと思うよ。どこかで会ったら声をかけてくれればいいよ、話題は別にスクールアイドルについてじゃなくてもいいから。」
「説得の前にまず仲良くなろうってこと?」
「そんなこと。西園さんも唐突にあんなこと言われてもはいとは言えないでしょ。」
私も最初は翠の言葉をまじめに受け取らなかったのだからその言葉に納得してうなずく。
確かによく考えてみれば今日その日に加入してくれると考えていた私はあまりに期待しすぎていたようだ。
「よっし!そんなら明日から気合入れていくで~、なっ!」
澪の気合の入った言葉に私たちは笑う。まだまだ先の見えない私たちだがおそらくこれからも楽しく、そして希望の満ちた日常が待っているのだろうとそう思いながら私たちは3人並んで帰るのだった。
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放課後、グラウンドでは野球部やサッカー部がすでに練習を始めている中、昨日唐突にスクールアイドルの勧誘をされた私、西園小春はいつもよりも疲れた体で門をくぐっていた。
私が普段より身体的にも精神的にも疲れた理由は紛れもなくあの生徒会長たちのせいだった。昨日の勧誘から今日も何かかかわってくるだろうと思っていた私はなるべくあの3人に会わないように登校中も教室でも廊下でもどこでも警戒していた。結局会うことはなかったが…。
小春自身、スクールアイドルを始めたという彼女たちに対して何も思うことがなかったわけではない。ラブライブの、その物語の中のスクールアイドルたちは彼女にとって、彼女にとっても別次元のものだった。そんなものに手を伸ばそうとしている彼女たちを西園小春は純粋に尊敬していた。だからこそ小春は彼女たちの勧誘には乗ることはできないと思っていた。
(私がちゃらんぽらんな気持ちで参加してしまっては皆さんの頑張りが…)
「おっ!こはっちゃんやんけ!昨日ぶりやなぁ。」
「おわぁーーーー!」
「うおぉ!」
校門の前で物思いにふけっていた私は近づいてくる澪に気づかなかった。大きな声を出してしまい顔を赤くした私は急に声をかけてきた彼女をにらみつける。
睨みつけられた彼女は軽く謝るくらいで反省の色は見えないよう、別に誠心誠意頭を下げろと言っているわけではないのですが、腹が立ちますね。
「いや~ごめんやって。なぁこはっちゃん、いっちょに帰ろや。」
「…どうして私があなたと……。」
「ええやんええやん~。ほら一緒になぁ~。」
「ちょっちょっと~。」