The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説   作:裸男祭

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第12話

イスグラモルの墓を包んでいた凍てつく湿気と、死者の呼び声が、ようやく遠のいていく。

俺たちはホワイトランへ戻った。ジョルバスクルの英雄たちに迎えられ、「導き手」としての礼節を済ませると、俺は吸い込まれるようにいつもの宿屋「バナード・メア」の重い扉を押し開けた。

今は、伝説も、使命も、獣の血も忘れたい。ただの一人のノルドに戻る時間が欲しかった。

 

「戻ったか、ヨルン! いや、今や『導き手』様とお呼びすべきかな?」

 

すっかり快復したウスガルドが、からかうような、だが温かい笑みを浮かべて特大のジョッキを差し出してきた。中にはなみなみと注がれた、黄金色のハチミツ酒。

 

「よしてくれ。俺はただ、喉が焼けるような酒が飲みたいだけだ」

 

俺は暖炉のすぐ側の席陣取った。パチパチとはぜる薪の音を聴きながら一口、ハチミツ酒を煽る。鼻に抜けるハチミツの甘みと、喉を刺すアルコールの刺激。これこそがスカイリムの戦士の魂へ焚べる薪となる。

中央のステージでは、吟遊詩人のミカエルがリュートをつま弾いていた。

 

「♪我らは戦う、命の限り……。若き勇者、ヨルンの名を語り継ごう……」

「おいおい、勝手に俺を歌にするな」

 

苦笑いしながらも、その旋律は心地よかった。古の英雄イスグラモルの叙事詩もいいが、今この瞬間、生きている俺たちの歌を聴くのは悪くない。

 

「……お疲れのようですね、ヨルン様」

 

背後から、柔らかい、それでいてどこか艶のある声がした。振り返ると、そこにはあの時助けたレッドガードの女、サーディアが立っていた。彼女は周囲の喧騒から少し離れた、俺の背後の影にそっと寄り添うように立つ。

 

「アリクルの脅威から救っていただいたこと、今でも感謝しています。私にできることがあれば……何なりと」

 

彼女の細い指が、俺の強張った肩に触れた。

戦いと冷気で凝り固まった筋肉が、彼女の柔らかな掌に解きほぐされていく。彼女が運んできた追加の酒は、先ほどよりも上質な、香りの高い特別なヴィンテージだった。

 

「……助かったよ、サーディア。お前がここで無事に笑っているなら、あの時の俺のお節介も無駄じゃなかった」

「ふふ、あなたは本当の騎士(ナイト)様ね。……さあ、今夜はゆっくりお休みになって。明日の日の出まで、誰もあなたを邪魔させませんから」

 

彼女は耳元でそう囁くと、手際よく俺の世話を焼き始めた。

極寒の大地スカイリム。だが、この宿屋の喧騒と、温かい酒、そして自分を慕う者の存在があれば、ここがソブンガルドだと言われても信じてしまいそうになる。

 

ハチミツ酒が回り、心地よい眠気が俺を誘う。

だが、窓の外を見れば、遥か高地のハイ・フロスガーが、月光に照らされて白く輝いているのが見えた。

明日になれば、俺は再び戦斧を手にし、雪原へと踏み出すだろう。

ドラゴンの魂を持つ者としての運命。

同胞団を率いる者としての責任。

だが、今夜だけは――この歌と、酒と、ぬくもりの中に沈んでいたい。

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