The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説 作:裸男祭
ホワイトランの喧騒を背に、ウスガルドと共にイヴァルステッドへと続く山道を進む。
風は次第に鋭さを増し、道が険しくなってきた頃、前方から整然とした軍靴の音が響いてきた。
黄金の鎧を身に纏い、傲慢な表情を浮かべたハイエルフの一団――サルモールだ。スカイリムの信仰を禁じ、ノルドの誇りを踏みにじる帝国軍の背後に潜む「真の支配者」どもである。
「止まれ、旅人。この先はタロス崇拝の疑いがある不穏分子の捜索中だ。……ほう、その背中の武器、ただの冒険者にしては分不相応だな」
指揮官らしき男が、俺の「ウースラド」を卑しげな目で見下ろす。ウスガルドが剣の柄に手をかけ、一触即発の空気が流れた。
「……どけ。俺たちの行く手を邪魔するな」
「野蛮なノルドが。言葉を慎め。その不吉な力……さては貴様、タロスの信者か?」
サルモールの魔術師が手に炎を宿す。だが、今の俺に「理屈」を説く必要はない。
「FUS(フス)!!」
一閃。
物理的な衝撃波が山道を駆け抜け、指揮官と歩兵を崖下へと突き落とした。残った魔術師たちが狼狽する間に、俺は戦槌を振り抜き、ウスガルドが電光石火の速さで残りの喉笛を切り裂いた。
「……ふん、エルフの血は見た目ほど綺麗じゃないね」
ウスガルドが吐き捨てる。俺たちは沈黙したまま、血に染まった雪を踏みしめて山を下った。
ようやく辿り着いたイヴァルステッドは、七千階段の麓にひっそりと佇む静かな村だった。
村の宿屋「ヴァイルマイヤー」に入ると、主人のウィルヘルムが驚いた顔で俺たちを迎えた。
「おいおい、こんな時間に山を下りてきたのか? ……それとも、まさか『あの上』へ行くつもりか?」
「ああ、グレイビアードに呼ばれている」
宿の隅で、村人たちがひそひそと囁き合う。彼らにとって、ハイ・フロスガーは神聖であり、同時に死を意味する場所だ。
俺は温かいシチューとハチミツ酒で、冷え切った胃袋を満たした。ウスガルドはチーズを齧りながら暖炉のそばで黙々と剣を研いでいる。
「……ヨルン。明日の朝、階段で死なないでよ。あんたが死んだら、私の契約も終わりだからね」
彼女なりの激励を受け、俺は藁のベッドに身を沈めた。
窓の外からは、山頂から吹き下ろす凍てつく風の音が、ドラゴンの咆哮のように聞こえていた。
翌朝。朝靄(あさもや)の中、俺たちはついに最初の一段を踏み出した。
道中に置かれた十の石板を一つずつ読み、スカイリムの歴史を肌で感じながら登る。
だが、三千段目を超えたあたりで、周囲の空気が変わった。
切り立った崖の上から、白銀の毛皮を持つ巨躯が姿を現した。
「……フロスト・トロールだ!」
ウスガルドが叫ぶ。奴は凄まじい再生能力を持ち、並の戦士なら一瞬で引き裂かれる強敵だ。
奴が咆哮し、丸太のような腕を振り下ろす。雪が舞い、視界を塞ぐ。
「逃がさねぇぞ……! YOL!!」
トロールの弱点である炎を喉から放つ。
毛皮が焦げる臭い。怯んだ隙に、俺は戦斧を大上段から叩きつけた。
「グアァァァッ!」
トロールの頭部を砕き、そのまま崖の底へと蹴り落とす。息を切らしながら上を見上げると、雲を突き抜けた先に、古びた石造りの寺院――ハイ・フロスガーがその威容を現していた。
寺院の重い扉を開けると、そこは静寂に包まれていた。
奥から、灰色のローブを纏った四人の老人が現れる。彼らこそが、声を極めた「グレイビアード」だ。
「……来たか、ドヴァーキン」
一人の老人が発したその一言だけで、寺院全体が地震のように激しく揺れた。