The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説   作:裸男祭

16 / 25
第16話

ウステングラブの重厚な石扉を押し開くと、冷たく湿った空気が俺たちを迎え入れた。ここはただの墓所ではない。かつて「声」を極め、そしてその力の虚しさを悟った男、ユルゲン・ウィンドコーラーの安息の地だ。

俺はウスガルドに合図を送り、戦槌の重みを確かめながら奥へと足を踏み入れた。

 

内部は複雑な三層構造になっていた。

 

「……ヨルン、見てみな。あそこだ」

 

ウスガルドが指差した先には、三つの魔法の石柱が並んでいた。近づくと赤く光り、前方の格子戸が一瞬だけ跳ね上がる。だが、普通に走っても到底間に合わない。

 

「『声』を使えってことか……。よし、ウスガルド、離れてろ」

 

俺は深く息を吸い込み、三つの石柱の間を駆け抜ける。

 

「WULD(ウルド)!!」

 

旋風の如き速さで空間を切り裂き、閉じる直前の格子戸を滑り抜けた。背後でウスガルドが感心したように口笛を吹く。

だが、安息は長くは続かない。

最下層の広大な広間に辿り着いた瞬間、床の棺がいっせいに弾け飛んだ。

 

「死霊術師どもの差し金か……! 叩き潰してやる!」

 

現れたのは、強化されたドラウグル・ウォーカーの群れだ。俺はウースラドを振り回し、迫り来る死者の腕を次々と断ち切る。ウスガルドの剣もまた、闇の中で鋭い軌跡を描き、腐った肉を切り裂いていく。

 

激戦を終え、広間の隅にある滝の裏側に違和感を感じた。

 

「手紙に書いてあったのは、ここか……?」

 

滝をくぐり抜けると、そこには本殿とは切り離された隠し小部屋があった。中央に鎮座するは、あの不気味な光を放つ「言葉の壁」。

壁に近づくと、耳の奥でささやき声が響く。

 

「FEIM(フェイム)……無」

 

その言葉が魂に刻まれた瞬間、俺の体から実体感が消え、一瞬だけ陽炎のように透け通った。

 

「霊体化か。……あの手紙をくれた『友』は、俺がこの力を必要とすることを知っていたのか?」

 

正体は未だ不明だが、そいつは俺の成長を特等席で見守っているらしい。薄気味悪さと同時に、奇妙な高揚感が胸を焼いた。

 

ついに最奥、ユルゲンの棺が置かれた巨大な広間へ。

水面から突き出た石像の手が、俺を導くように並んでいる。俺は畏敬の念を込め、祭壇へと歩み寄った。

だが、そこにあるはずの「ユルゲン・ウィンドコーラーの角笛」は……なかった。

 

「……空っぽじゃないか。誰かに先を越されたってのかい?」

 

ウスガルドが呆然と呟く。

角笛が置かれていたはずの場所には、一通の小さなメモが残されていた。

 

 

「ドヴァーキンへ。

角笛は私が預かっている。返して欲しければ、リバーウッドの宿屋『スリーピング・ジャイアント』の屋根裏部屋を借りろ。

――貴方の『友人』より」

 

 

「……リバーウッドだと?」

 

俺はメモを握りしめた。ホワイトランのすぐ近く。俺が旅を始めた場所だ。

グレイビアードの修行、同胞団の誇り、そしてドラゴンボーンとしての運命。それらすべてを手玉に取るかのような、この「友人」と名乗る人物。

 

「行こう、ウスガルド。屋根裏部屋なんてない宿屋に、どうやって部屋を借りるか……そいつに直接聞いてやる」

 

俺は戦斧を担ぎ直し、出口へと続く隠し通路を睨みつけた。

スカイリムの霧は、深くなる一方だ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。