The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説 作:裸男祭
戦斧を振るうよりも、場違いな礼装に身を包む方がよほど足がすくむ。
リバーウッドを後にした俺とウスガルドは、ホワイトランの厩舎でデルフィンが手配した協力者、エルフのマルボーンと合流した。
「……それが『ドヴァーキン』か? 冗談だろう。そんな熊みたいな男が、どうやって静かに潜入するんだ」
マルボーンが呆れたように俺を見上げる。
「黙ってろ。俺だってこんなヒラヒラした服は御免だ」
俺は愛用の戦鎚と、同胞団の誇りであるウースラド、そして愛用の革鎧をマルボーンに預けた。彼が先に大使館内へ持ち込んでくれる手はずだ。丸腰の不安が胸をかすめるが、今は自分の「声」とウスガルドの信頼を信じるしかない。
「いいかい、ヨルン。中に入ったら、騒ぎを起こして注意を引くんだ。その隙にマルボーンが裏口を開ける」
デルフィンが最終確認を行う。
俺は馬車に乗り込み、孤独な戦いへと向かった。ウスガルドは大使館の外壁、積雪の厳しい岩陰で待機だ。「もしもの時は、壁を叩き壊してでも入るよ」という彼女の言葉が、妙に心強かった。
サルモール大使館。
そこは、スカイリムの土着的な力とは無縁の、冷徹な美しさに満ちた空間だった。
「招待状を。……ふむ、貴族のヨルン様ですね。どうぞ、エレンウェン第一大使がお待ちです」
中に入ると、傲慢なハイエルフたちが最高級のワインを片手に、スカイリムの「野蛮さ」を嘲笑っていた。
「おや、見慣れない顔ですね。どこの領地の出身で?」
話しかけてくるエルフの言葉を適当にいなしながら、俺はタイミングを計る。
飲んだくれの貴族がエントランスで絡んでいるのを見つけ、俺は彼にさらに強い酒を勧め、給仕に難癖をつけさせた。
「おい! このワインは泥水か何かか! 大使を呼べ!」
会場が騒然となった瞬間、背後の扉でマルボーンが小さく手招きをした。
厨房を抜け、預けていた装備を取り戻す。戦斧の重みが手に戻った瞬間、俺の魂に火が灯った。
「ここからは俺の領分だ」
隠密などノルドの辞書にはない。俺は立ち塞がるサルモールの衛兵を、音もなく……ではなく、圧倒的な破壊力でねじ伏せていった。
「FEIM(フェイム)!!」
霊体化で魔法の火球をすり抜け、そのまま戦斧を衛兵の兜へ叩き込む。
最奥の尋問室。そこには、一人の老人が捕らえられていた。
そして、机の上にはサルモールの機密文書――「ドラゴン調査報告書」。
「……なんだと?」
報告書を読み、俺は戦慄した。
サルモールはドラゴンを操っているのではない。彼らもまた、アルドゥインの復活に驚愕し、その原因を探っていたのだ。そして、彼らが追っているのは……「エズバーン」という名の、古いブレイズの記録保管係。
「デルフィン……あんたたちの仲間が、まだ生きてるぞ」
脱出口の地下洞窟には、巨大なフロスト・トロールが待ち構えていたが、今の俺と、外から壁をぶち破って(本当にやりやがった!)乱入してきたウスガルドの敵ではなかった。
雪まみれになりながら大使館を脱出した俺たちは、リバーウッドの地下室へ戻った。
「エズバーン……! 生きていたのね!」
デルフィンが、これまで見せたことのない希望の表情を浮かべた。
「彼はリフテンの地下、『ラットウェイ』に隠れているはずよ。彼なら、アルドゥインを倒す古の秘術を知っているかもしれない」
「リフテンか。盗賊の巣窟だな」
俺は戦斧の汚れを拭い、ウスガルドを見た。
「行くぞ、ウスガルド。次は地下の下水道だ。……スカイリムの救世主ってのは、随分と汚れる仕事らしいな」
「いいよ、ヨルン。あんたが泥を被るなら、私がその泥を拭ってやるさ」