The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説   作:裸男祭

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第20話

サルモール大使館の緊迫した空気から一転、俺とウスガルドが辿り着いたのは、霧に煙る湖畔の都リフテンだった。

 

ここは「盗賊の都」の名に相応しく、腐った木材の臭いと、誰かの懐を狙う刺すような視線が入り混じっている。俺が背負うウースラドの輝きすら、この街の湿った影に吸い込まれていくようだ。

 

「おい、ヨルン。あそこの男……ずっとこっちを見てるよ」

 

ウスガルドが顎で示したのは、市場の露店で暇そうに座っている赤髪の男――ブリニョルフだった。

 

俺が市場を通りかかると、ブリニョルフが不敵な笑みを浮かべて声をかけてきた。

 

「よう、あんた。いい体格をしてるな。だが、その懐の金貨は、見かけほど重くないんじゃないか?」

「……何が言いたい」

「あんたみたいな腕利きには、もっと相応しい稼ぎ方があるってことさ。ちょっとした『仕事』を手伝わないか? 難しくはない。あそこのエルフ、マデシの金庫から指輪を失敬して、隣のブランド・シェイのポケットに滑り込ませるだけだ」

 

俺は一瞬、同胞団の誇りと、ドラゴンボーンとしての使命を思い出した。だが、リフテンの地下に潜むエズバーンを見つけ出すには、この街の裏側に通じている連中の協力が不可欠だ。

 

「……いいだろう。リフテンのやり方に従わせてもらう」

「話が分かるな! さあ、俺が騒ぎを起こす。その隙にやれ」

 

ブリニョルフが偽の薬の宣伝を始め、群衆が集まる。俺はノルドの巨体を伏せ、影に紛れた。

 

(……同胞団の連中が見たら泣き出すだろうな)

 

冷や汗をかきながら指輪を盗み、標的のポケットへ。指先の感覚が、戦槌を振るう時以上に研ぎ澄まされる。

 

「見事だ、友よ。あんたには才能がある」

 

ブリニョルフは満足げに頷き、地下への入り口――ラットウェイへの鍵を渡してくれた。

 

「……泥棒の手伝いかい? 導き手様も随分と多才だね」

 

ウスガルドの皮肉を背中に受けながら、俺たちは悪臭漂う地下迷宮へと降りていった。

ラットウェイは、行き場を失った荒くれ者と、盗賊ギルドの残党が蠢く地獄だ。

 

「FEIM(フェイム)!!」

 

暗闇から放たれた矢を霊体化ですり抜け、俺は戦斧を振るって狂人たちをなぎ倒した。

最奥の、何十重にも鍵がかかった鉄扉の前。

 

「失せろ! 私は誰とも話さん! サルモールの犬め!」

 

扉の向こうから、怯えた老人の声が響く。

 

「エズバーン! デルフィンの使いだ! 彼女が『30日の霜の月』を覚えているかと言っている!」

 

静寂。……そして、いくつもの閂が外れる重い音がした。

現れたのは、埃まみれの古文書に囲まれた、痩せこけた老人――エズバーンだった。

 

「ドラゴンボーン……? ああ、預言は真実だったのか!」

 

エズバーンを救出し、俺たちはデルフィンと合流してマルカルス近郊のカーススパイアーへと向かった。

そこには、ブレイズの古代の本拠地、スカイ・ヘヴン聖堂が眠っていた。

入り口の巨大な顔の彫刻。俺が己の血を床の文様に垂らすと、数千年の封印が解け、巨大な扉が音を立てて開いた。

聖堂の最奥。そこには、巨大な石壁がそびえ立っていた。

「アルドゥインの壁」。

エズバーンが震える指で壁のレリーフをなぞる。

 

「見てください。古代の英雄たちがアルドゥインを倒した時の光景だ。彼らは……武器だけでは勝てなかった。ある『声』を使ったのです。アルドゥインを空から引きずり下ろす、禁断のシャウト……」

「ドラゴンレンド(竜墜とし)か」

 

俺は壁を見つめた。

 

「だが、その言葉を知る者は、もうこの世にはいない。……唯一、古代の時を知る、グレイビアードの師、パーサーナックスを除いては」

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