The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説 作:裸男祭
リフテンの湿った空気は、地下へ進むほど重く、腐敗した野心の臭いを帯びてくる。
ブリニョルフの案内で辿り着いたのは、ラットウェイのさらに奥底――ギルドの本拠地「ラグド・フラゴン」だ。かつての栄華はどこへやら、今や数人の酔いどれと、やせ細った盗賊たちが薄暗い酒場で肩を寄せ合っている。
「メルセル、連れてきたぜ。こいつが例の『やり手』だ」
ブリニョルフが声をかけたのは、影の中に座る男、メルセル・フレイ。ギルドの現首領だ。その瞳は冷酷で、獲物を品定めするような不快な光を宿している。
「同胞団の導き手が、ドブネズミの真似事か。世も末だな」
メルセルは鼻で笑い、俺に最初の大きな仕事を命じた。
「ゴールデングロウ農園の家主に『教訓』を与えてこい。ハチの巣を焼き払い、ギルドを裏切るとどうなるか分からせるんだ」
俺とウスガルドは、リフテンの湖に浮かぶ農園へと向かった。
「潜入」を期待されていたが、俺のやり方は一つだ。
「FEIM(フェイム)!!」
霊体化で矢の雨をすり抜け、農園の門を戦槌で叩き壊す。背後でウスガルドが「潜入って言葉の意味、今度教えてあげるよ」と苦笑しながら、襲いくる衛兵を盾で弾き飛ばした。
ハチの巣が炎上し、夜空を赤く染める。
だが、その火影の中で俺は見つけた。家主の金庫に隠されていた、謎のシンボルが刻まれた書状。そこには、ギルドを内部から崩壊させようとする「何者か」の影がちらついていた。
ギルドに戻り、事の次第を報告すると、メルセルは珍しく焦りの色を見せた。
「……カーリアか。あの裏切り者の女め」
メルセルと共に、かつてのギルドの英雄が眠る「雪帷(ゆきかたびら)の聖域」へ。
内部は氷と死者で満ちていた。メルセルは驚くべき鍵開けの技術で扉を次々と開けていく。だが、最奥の扉を開けた瞬間――。
「グフッ……!」
背後からメルセルの短剣が、俺の脇腹を裂いた。
麻痺毒。視界が急速に暗転し、体が石のように動かなくなる。
「……悪いな、ドヴァーキン。お前は有能すぎた。カーリアを殺した罪は、お前に被ってもらう」
メルセルの冷たい声が遠のく。薄れゆく意識の中で、俺を助け起こしたのは、暗殺者と目されていた女、カーリアだった。
「死なないで……。貴方に、このギルドの真の『闇』と、メルセルの大罪を見届けてもらわなければならないの」
カーリアの手当てを受け、一命を取り留めた俺は、ウスガルドと再流合流した。
「ヨルン! あの野郎……絶対にタダじゃおかないよ!」
ウスガルドの怒りに満ちた声が、地下の静寂に響く。
カーリアは俺たちをリフテン北の秘密の聖堂へと導いた。
そこは、影のデイドラ君主、ノクターナルを祀る場所。
「メルセルはギルドの誓いを破り、ノクターナルの宝『不壊のピック』を盗み出した。そのせいでギルドの運賃(ラック)は尽き、腐敗が始まったの。彼を止めるには、私たちがナイチンゲールとして影に身を捧げるしかない」
俺は、暗闇の中に用意された漆黒の鎧を身に纏った。
同胞団の重鎧でもなく、ブレイズの鋼鉄でもない。光を吸い込むような、影そのものの装備。
「……ドヴァーキンがデイドラと契約か。皮肉なもんだな」
俺は戦斧を握り直した。だが、スカイリムを救うためには、この地を蝕むネズミ一匹も見逃すわけにはいかない。