The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説 作:裸男祭
「野郎、引きずり下ろしてやるよ!」
ウスガルドが叫び、盾の縁を叩いて挑発する。空が裂け、黒い翼を広げたアルドゥインが、俺たちの真上で旋回を始めた。吐き出される炎の熱が、頂上の凍てつく空気を一瞬で沸騰させる。
「JOOR ZAH FRUL(ジョール・ザ・フル)!!」
俺は全身の力を喉に込め、習得したばかりの「ドラゴンレンド(竜墜とし)」を放った。
青白い光の奔流がアルドゥインを直撃する。世界を喰らう者といえど、この「死すべき運命」という呪縛には抗えない。
「グアァァァッ! 何だ……この『言葉』は……! 私の……魂が、地に……!」
アルドゥインの巨体が、重力に押し潰されるように地面へ叩きつけられた。
「今だ、叩き潰せ!」
俺はウースラドを振り上げ、地上に這いつくばるドラゴンの王へと肉薄した。ウスガルドもまた、ドラゴンの背後に回り込み、その強靭な鱗の間を狙って剣を突き立てる。
アルドゥインは狂ったように首を振り、牙を剥く。
「ドヴァーキンよ! 私を殺せると……思うな!」
ドォォォォン!!
ウースラドがドラゴンの額に直撃し、火花が散る。アルドゥインの叫びはもはや咆哮ではなく、怨嗟の声だった。数合の打ち合いの末、アルドゥインは再び空へと飛び上がった。
「……ここでは死なぬ! ソブンガルデで……お前の祖先たちの魂を喰らい、再び戻ってきてやる!」
黒い影は、空に開いた歪みの中へと消えていった。
2
「逃げられたか……。だが、奴の行き先はわかっている」
パーサーナックスが静かに告げた。
「奴はソブンガルドへ逃げた。そこへ行くには、ホワイトランの首長の宮殿、「ドラゴンズリーチ」にある古代の罠を使い、奴の部下を捕らえて門の場所を吐かせるしかない」
だが、ホワイトランのバルグルーフ首長は、内乱の最中にドラゴンを城に招くことを拒んだ。
「帝国とストームクロークが争っている間に、城を空けるわけにはいかん。……和平を結べ。一時的でもいい。そうすれば協力しよう」
俺は、ついにスカイリムの政治というドブ川に飛び込むことになった。
ハイ・フロスガーの石造りのテーブル。
一方には帝国軍のテュリウス将軍、もう一方にはストームクロークの指導者ウルフリック。
「……ドラゴンボーンの仲介がなければ、この場で首を跳ねていたところだ」
ウルフリックが俺を睨む。
「和平だ、あんたたち。内輪揉めで世界が喰われるのを待つか、それとも手を組んで生き残るか、今ここで決めろ!」
俺の「声」は、今や王たちの心すら動かす重みを持っていた。激しい論争の末、一時的な停戦が合意される。
ホワイトランの宮殿、その名の由来となった「ドラゴンズリーチ」のベランダ。
俺は大きな角笛を吹き、アルドゥインの部下、オダハヴィーングを誘い出した。
「OD AH VIING(オダ・ハ・ヴィーング)!!」
空から舞い降りた赤いドラゴンを、石造りの巨大な罠がガッチリと捕らえる。
「……降参だ、ドヴァーキン。アルドゥインの力には陰りが見える。奴はスクルダフンの神殿から、死者の国へと去った。案内してやろう……お前を背に乗せてな」
「ヨルン、本気かい? ドラゴンの背中に乗るなんて!」
ウスガルドが心配そうに駆け寄る。
「ああ。こればかりは、あんたを連れて行けねぇ。……ここで待っててくれ。スカイリムが消えちまわないよう、俺がケリをつけてくる」
「……わかった。死んだら、ソブンガルドで待ち伏せして殴ってやるからね。気をつけて行きなよ、ドラゴンボーン様」
俺はオダハヴィーングの首に飛び乗った。
ドラゴンの翼が空を打ち、景色が瞬く間に遠ざかっていく。
スクルダフンの死闘を越え、光の門を潜り抜けた先……。
そこは、ノルドたちが夢に見た理想郷、ソブンガルデだった。
黄金色の霧が漂い、遥か彼方には英雄たちが集う「勇気の間」が輝いている。
だが、その霧の中をアルドゥインが泳ぎ、死者の魂を貪り食っていた。
「待っていたぞ、ドヴァーキン」
門を守る巨漢の戦士、ツンが俺の前に立つ。
「勇気の間へ入るには、その力を証明せねばならぬ」
俺は戦斧を構え、神の如き力を持つツンと刃を交えた。
数合の打ち合いの後、彼は満足げに道を空けた。
「……素晴らしい。中には、かつてアルドゥインを退けた三人の英雄たちが待っている。彼らと共に、霧を晴らすのだ」