The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説 作:裸男祭
石畳の坂道を登り、吹き抜ける風を感じながら、俺たちは最高峰の宮殿へと足を踏み入れた。広間の中央では、偉大なるバルグルーフ首長が、側近のプロベンタスや護衛のイリレスと激しい議論を交わしていた。
「首長! リバーウッドのジャルデュルからの伝言です。ヘルゲンは消滅しました。黒いドラゴンの一撃によって!」
俺の声が広いホールに反響し、議論が止まった。首長は椅子から身を乗り出し、鋭い眼光で俺を見つめた。
「……ヘルゲンが? 帝国軍の拠点が、たった一頭のトカゲに落とされたというのか。信じがたいが、お前の目を見れば嘘でないことはわかる」
首長は即座に決断を下した。リバーウッドへの増援を送り、街の警戒を最大に引き上げる。だが、運命の歯車は休む間もなく回り始めた。
「首長! 西の監視塔に……! 巨大な影が近づいています!」
伝令が飛び込んできた。バルグルーフは立ち上がり、俺とウスガルドを指差した。
「ヨルン、そしてウスガルド。お前たちの腕を見込んで頼む。イリレスと共に監視塔へ向かってくれ。もし、それが本物の『ドラゴン』ならば、我らにはお前たちの力が必要だ」
ホワイトランの外へ駆け出すと、遠くの監視塔から黒煙が上がっているのが見えた。雨が降り出し、視界が遮られる。
「来るよ……! 隠れな!」
ウスガルドの叫びと同時に、雲を割り、青白い鱗を持つ巨大な獣――ミルムルニルが急降下してきた。
「YOL(ヨル)!!」
ドラゴンの口から放たれた炎の奔流が、石造りの塔を赤く焼き払う。俺たちは物陰に飛び込み、弓を引き絞った。ウスガルドは盾を掲げ、兵士たちを鼓舞しながらドラゴンの足元へと突進していく。
「死にたくないなら動きな! 鋼鉄の味を教えてやるよ、このトカゲ野郎!」
ウスガルドがドラゴンの脚に剣を突き立て、注意を引く。その隙に俺は、崩れた壁を駆け上がり、ドラゴンの首筋目がけて飛び降りた。手にした鉄の剣が、硬い鱗の隙間に深く突き刺さる。
絶叫のような咆哮。ミルムルニルは激しく暴れ回ったが、俺とウスガルド、そしてイリレス率いる衛兵たちの猛攻に、ついにその巨体を大地へと沈めた。
絶命したドラゴンの遺体の前に立ち、俺たちは荒い息を吐いていた。
「……やったのか? あの伝説の化け物を……」
衛兵の一人が呟いたその時、異変が起きた。
ドラゴンの死体から眩い光が溢れ出し、目に見えないエネルギーの奔流が俺の体へと流れ込んできたのだ。肉体が、魂が、数千年分の記憶を飲み込むように熱く燃え上がる。
「ヨルン……あんたの体、光ってるよ……」
ウスガルドが呆然と立ち尽くす中、俺の脳裏に一つの「言葉」が刻まれた。それは教わったものではなく、血の中に最初から流れていた力。
俺は自然と、肺の底から息を吐き出した。
「FUS(フス)!!」
目に見えない衝撃波が空気を震わせ、周囲の塵を吹き飛ばした。
静まり返る監視塔の跡地。衛兵たちが、震える声で膝をつく。
「……ドラゴンボーンだ。古の伝説、ドラゴンの魂を喰らい、その声を使う者。あんたが……ドヴァーキンなのか?」
ウスガルドは、俺の肩を今までで一番強く叩いた。
「ははっ……! 囚人から英雄、挙句の果てには伝説の神様かい? あんたについてきて正解だったよ、ヨルン。さあ、この『叫び』を首長に届けてやろうじゃないか!」
ホワイトランに帰り着くと、空から雷鳴のような声が響き渡った。
「ド・バ・キィィィィン!!」
ハイ・フロスガーに住まう「グレイビアード」たちが、俺を呼んでいる。