The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説   作:裸男祭

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第6話

スカイリムの朝は、肺の奥まで凍りつかせるような冷気と共にやってくる。

ドラゴンとの戦いで怪我を負っていたウスガルドを宿屋へ預け、彼女の回復を待つ間、俺は一人ファルクリースへやって来ていた。

 

俺は宿屋「デッドマンズ・ドリンク」の固いベッドから体を起こした。使い込まれた革鎧が、動くたびに小さく軋む。窓の外、ファルクリースの街を包む霧は深く、松の木々が巨大な影のように立ち並んでいた。

 

「……さて、行くか」

 

腰に下げた真新しい鋼鉄の戦鎚の重みを確かめる。

俺が向かうのは、街の南西に位置する古いノルドの遺跡だ。地元の猟師の話では、最近そこから「不自然な冷気」が漏れ出しているという。ドラウグルか、あるいはもっと性質の悪い何かが目覚めたのかもしれない。

 

遺跡の入り口に立つと、石造りの壁には古代の文字、竜の言葉が刻まれていた。

スカイリムの歴史は血と叫びで綴られている。俺たちの先祖がこの地を切り拓き、そして何と戦ってきたのか。この冷たい石肌がそれを物語っている。

松明を掲げ、奥へと歩を進める。

カツン、カツンと俺の革靴が石床を叩く音が、嫌に大きく響く。

 

「誰だ……」

 

低く唸るような声。いや、それは風の音ではなかった。

暗闇の先、青白い光を宿した瞳がこちらを凝視している。干からびた皮膚を骨に張り付かせ、古代の武具を身に纏った死者――ドラウグルだ。

 

「ソブンガルドへ帰る時間だ、化け物め!」

 

俺は戦槌を構え、力強く地面を蹴った。

 

ドラウグルが錆びついた剣を振り下ろす。俺はそれを槌の柄で受け流し、がら空きになった胴体へ渾身の一撃を叩き込んだ。

 

ドォォォン!

 

鈍い音と共に、骨の砕ける感触が手に伝わる。だが、一体ではない。影から次々と、かつての英雄たちの成れの果てが這い出してくる。

一際大きな叫びが、広間に響き渡った。

 

「フス・ロ・ダ!」

 

その瞬間、凄まじい衝撃波が俺の体を吹き飛ばした。背中を壁に強く打ち付け、視界が火花を散らす。

 

(……揺るぎなき力。まさか、こいつは「声」を使うのか!?)

 

最奥の玉座から立ち上がったのは、立派な角のついた兜を被ったドラウグル・デス・ロードだった。

俺は口の中の血を吐き捨て、ニヤリと笑った。恐怖はない。あるのは、強敵と対峙した時の、ノルドの血が沸き立つような熱さだけだ。

 

「いいだろう。スカイリムの息子が、どちらの意思が強いか教えてやる」

 

俺は再び、鋼鉄の戦槌を握り直した。

 

「フス……!」

 

デス・ロードが再び喉の奥で「声」を練り上げる。空気が震え、不可視の圧力が膨れ上がる。だが、二度は食らわん。

俺は左へ飛び込み、石柱の影に身を隠した。直後、凄まじい衝撃波が石柱を叩き、古い石材が礫となって俺の頬をかすめる。

 

「吠えるだけか、骨野郎!」

 

盾を持たぬ俺にとって、最大の武器はこの鋼鉄の戦槌と、ノルドの頑強な肉体だ。

石柱の陰から飛び出し、一気に距離を詰める。デス・ロードは黒檀の剣を抜き放ち、流れるような動作で俺の首を狙ってきた。

ガギィィィン!

戦槌の柄で剣筋を弾き飛ばす。火花が散り、地下墓地の闇を一瞬だけ白く照らした。

重い。奴の腕力は、生身の人間を遥かに凌駕している。だが、俺の心臓はドラムのように高鳴り、全身を巡る血が煮えたぎっていた。

 

「死に損ないが、ソブンガルドを夢見るな!」

 

俺は咆哮し、腰の捻りを利用して戦槌を真横に薙ぎ払った。

デス・ロードは盾を掲げて防いだが、鋼鉄の質量までは殺しきれない。

ゴンッ!という鈍い音と共に、奴の巨体が数歩後退する。

好機だ。

俺は戦槌を高く振り上げた。奴は体勢を立て直そうと、再び「声」を発しようと口を開く。

 

「フッ……!」

「させねぇよ!」

 

言葉の完成よりも早く、俺のブーツが奴の脛を粉砕した。

崩れるデス・ロード。その空いた脳天に向けて、俺は全体重を乗せた一撃を叩き落とした。

 

――グシャリ。

 

呪われた魔力を宿していた兜が歪み、頭蓋が砕け散る。

青白い瞳の光が、ふっと霧散した。

デス・ロードの巨体は、糸の切れた人形のように石床へ崩れ落ち、二度と動くことはなかった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

静寂が戻る。聞こえるのは、自分の荒い呼吸と、天井から滴り落ちる水の音だけだ。

俺は血を拭い、デス・ロードが握っていた黒檀の剣を手に取った。冷たく、それでいて禍々しい重みが掌に伝わる。

 

「……スカイリムの夜は、まだまだ長そうだな」

 

俺は戦利品を袋に詰めると、出口へと続く階段を見上げた。

外はまだ吹雪いているだろうか。だが、今の俺の体は、どんな冷気も寄せ付けないほど熱く火照っていた。

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