The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説 作:裸男祭
ファルクリースの門を出て、俺は北へと足を進めた。目指すは「ホワイトラン」。ウスガルドの怪我もそろそろ治った頃だろう。
だが、ノルドの血は騒がしい。街道を歩けば、放っておけない出来事が次々と舞い込んでくる。
リバーウッドへ向かう途中、山賊の野営地を見つけた。
「おい、身ぐるみ脱いで置いていってもらおうか!」と抜かした汚い革鎧の男に、俺は手に入れたばかりの黒檀の剣を振るった。デス・ロードに比べれば、生身の人間など藁束も同然だ。
戦利品の中から、いくらかの金品を手に入れた。
リバーウッドを過ぎたあたりで、今度は巨大なクモ、フロストバイト・スパイダーに囲まれた。
「いい機会だ……」
俺は肺に深く空気を吸い込み、魂の奥に刻まれたあの言葉を解き放った。
「YOL(ヨル)!!」
喉が焼けるような熱気と共に、激しい炎の奔流が口から放たれた。クモどもは悲鳴を上げる間もなく炭化し、雪の上に転がる。
「……すげぇな。これが『声』の力か」
威力には満足だが、喉への負担も凄まじい。連発はできそうにないな。
ホワイトランの喧騒は、ドラゴンの襲撃を経てなお一層激しくなっていた。衛兵たちは色めき立ち、民衆は「ドラゴンボーン」の噂に持ちきりだ。だが、俺はウスガルドへの見舞いを済ませると、あえてその喧騒から一歩引いた。
伝説の勇者として祭り上げられる前に、まずはこの街に根を張る必要がある。そして、ノルドとして無視できない場所が一つあった。
街の高台、巨大な船を逆さにしたような建築物――ジョルバスクル。
そこはスカイリム最古の戦士団「同胞団」の本拠地だ。入り口の薪割り場で、ちょうど大男と女戦士が手合わせをしているのが見えた。
「おい、新顔。ここは見学者のための場所じゃないぞ」
声をかけてきたのは、導き手のコドラク・ホワイトメインだった。その老いた、だが鋭い眼光に見据えられ、俺は背筋を伸ばした。
「俺はヨルン。あんたたちの仲間になりたいと思ってな」
「……いい目だ。ヴィルカス、この男の腕を試してやれ」
裏庭に連れ出され、ヴィルカスという男と刃を交える。奴の剣筋は重く、無駄がない。俺の戦槌を軽くいなし、鋭い突きを繰り出してくる。
数合の打ち合いの後、ヴィルカスは不敵に笑って剣を引いた。
「悪くない。新人にしては十分だ。だが、まずは下働きからだぞ。この剣をエオルンドの爺さんに届けてこい」
こうして、俺は同胞団の一員としての第一歩を踏み出した。伝説の「ドラゴンボーン」が、まずは先輩の使い走りから始める。スカイリムの現実は、いつだって泥臭いものだ。
エオルンドに剣を届けた帰り、俺は喉を潤そうと宿屋「バナード・メア」に立ち寄った。
活気ある店内だが、キッチンの奥、影になった席に座る一人のレッドガードの女が目に留まった。彼女は周囲を極端に警戒し、入り口が開くたびに腰の小刀に手をかけている。
「……お前、さっき門のところでアリクルの連中に話しかけられていただろう?」
俺が近づくと、彼女――サーディアは声を潜めて言った。
「お願いだ、助けて。私はハンマーフェルの貴族だった。でも、アルドメリ自治領に抵抗したせいで、暗殺者に追われているの」
彼女の瞳には本物の恐怖が宿っていた。だが、門の外にいたアリクルの戦士たちは、彼女こそが裏切り者だと言っていた。
「……わかった。とりあえず、そのアリクルの連中がどこに潜伏しているか調べてやる」
正直、どちらが正しいかはまだわからない。だが、困っている女を放っておくのもノルドの流儀に反する。それに、アリクルの連中の隠れ家には、いい「戦利品」が眠っていそうだからな。
俺はホワイトランの門を出て、アリクルの隠れ家とされる「詐欺師の隠れ家」へ向かった。
病み上がりのウスガルドがついて来たがったが、なんとか押し留めて一人でやって来た。
道中、同胞団の初仕事として「どこかの農場を荒らす害獣(巨大なネズミ、スキーヴァー)の駆除」もついでに片付ける。
「ドラゴン退治の次はネズミ捕りか。……忙しいこった」
俺は苦笑しながら、雪混じりの風の中、戦鎚を担ぎ直した。