The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition発売記念プレイログ小説   作:裸男祭

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第9話

ホワイトランの西、岩山の影に潜む「詐欺師の隠れ家」は、その名の通り後ろ暗い連中の吹き溜まりだった。松明の火が揺れる洞窟の奥へと、俺は足音を殺して踏み込む。

 

「止まれ、ノルド。ここから先はアリクルの領分だ」

 

奥の広間で待ち構えていたのは、湾曲した剣――シミターを腰に下げた、褐色の肌の男たち。その中心に立つリーダー格の男、ケマツが鋭い眼光で俺を射抜く。

 

「あの女、サーディアを頼まれているんだろう? 彼女は貴族などではない。ハンマーフェルの都市をアルドメリ自治領に売り渡した売国奴だ。我々は正義を執行しに来た」

 

ケマツの言葉には奇妙な説得力があった。だが、俺は鼻で笑った。

 

「正義、か。スカイリムじゃあ、よその国の理屈より、目の前の女の涙の方が重いんでね」

 

俺が戦鎚を構えた瞬間、交渉は決裂した。

 

「殺せ! この恥じ知らずなノルドを!」

 

ケマツの号令と共に、アリクルの戦士たちが豹のように躍りかかってくる。彼らのシミターは、スカイリムの重い鋼鉄の剣とは違う。風を切るような速さで、俺の急所を的確に狙ってくる。

 

キィィィィン!

 

戦槌の柄で最初の一撃を弾き飛ばし、そのまま石突を男の腹に叩き込む。

 

「……ガッ!?」

 

悶絶する男を蹴り飛ばし、俺はさらに踏み込んだ。

 

「YOL!!」

 

短く吠える。

喉から放たれた炎が、狭い洞窟内を瞬時に焼き尽くした。不意を突かれた戦士たちが悲鳴を上げ、たじろぐ。その隙を逃さず、俺は剣を大上段から振り下ろした。

ドォォォン!!

岩床を砕くような一撃。ケマツがシミターで受けようとしたが、ドラゴンの魂を宿した俺の怪力は、奴の細い剣ごと、その誇り高い胸を粉砕した。

 

「……愚かな。お前は……真実を……見誤ったぞ……」

 

ケマツは血を吐きながら、最期まで恨みがましい目を向けて息絶えた。

 

ホワイトランへ戻り、バナード・メアの隅で震えていたサーディアに、アリクルの脅威が去ったことを告げた。

 

「ああ、ありがとう! あなたは私の救世主だわ」

 

彼女は涙を浮かべ、約束の金貨が入った重い袋を俺に差し出した。その指先はまだわずかに震えている。

 

「これで……ようやく枕を高くして眠れる。本当に、感謝します」

 

彼女の笑顔は美しい。だが、俺の胸の奥には、ケマツが死に際に残した言葉が棘のように刺さっていた。

スカイリムでの出来事は、いつだって白黒はっきりつくものじゃない。俺が助けたのは、本当に清廉な貴族だったのか。それとも、巧妙な嘘を吐く裏切り者だったのか。

 

(……まあ、いいさ。金は受け取った。それが冒険者のルールだ)

 

俺は懐の金貨の重みを確かめると、宿屋を出た。

夜風が火照った顔に心地いい。次に向かうべき場所は決まっている。

 

ジョルバスクルに戻ると、ヴィルカスがニヤリと笑って俺を迎えた。

 

「ネズミ捕りは終わったか? ちょうどいい、スコールがお前を呼んでいる。下層の『居住区』へ来い。お前にしか話せない、特別な任務があるそうだ」

 

特別な任務。その言葉に、俺の鼻をくすぐる「獣」の匂いがしたような気がした。

同胞団の誇り高き戦士たちが隠し持っている、血塗られた秘密。それに触れる時が来たらしい。

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