乙女ゲー世界の悪役貴族に転生した俺は如何にして絶望するのをやめて隠しヒロインの男装令嬢を堕とすことになったか   作:三月菫

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第19話 デート開始!!

 翌朝。

 

 俺は学院の正門前で腕を組み、そわそわしながらアシュレイを待っていた。

 

 ローブの懐から懐中時計を取り出して時間を確認する。

 待ち合わせ時刻の三十分前。

 さしもの几帳面なアシュレイも、まだ到着するはずのない時間帯である。

 

 なぜこんなに早くから待っているのか?

 理由はシンプル。

 今朝、めちゃめちゃ早起きしてしまったからである。

 

 アシュレイと二人で学院の外に出る。

 もちろんその目的は俺の杖を買いに行くだけ。

 言ってしまえば、ただの買い物なんだけど、デートっぽい雰囲気になるもしれないっていう、期待感が俺をソワソワさせた。

 

 アシュレイがどんな服で来るのか。

 どんな店に行くのか。

 俺、ちゃんとリードできるのか!?

 

 まるで遠足前の小学生みたいに、朝から無駄にテンションが上がってしまい、普段なら二度寝をキメるところを、今日はシャキッと目覚めてしまった。

 

 結果、こうして、まだ誰もいない学院の正門前で、そわそわしながら、アシュレイを待っているわけだ。

 

 しばらくそんなふうにしていると——

 

「グレイ、おはよう」

 

 自分の名前を呼ぶ聞き慣れた声を受けて、俺は振り返る。

 

「おう、おはようアシュレ——」

 

 言葉の途中で、俺の思考は完全にフリーズした。

 なぜならアシュレイは、いつもの学院指定の制服ではなく、私服姿だったのだ!

 

「アシュレイ……その服」

「ん? ああ、せっかく学院の外にでるのだから。気分転換にと思ってね」

 

 アシュレイの今日のコーディネートは、淡いアイボリーのシャツに、細身のロングジャケットを合わせて、首元にはふわりとしたスカーフを巻いている。

 黒いパンツはぴったりとしたシルエットで、すらりと伸びた脚のラインを際立たせていた。

 

 普段の制服姿とはまた違う印象。

 より洗練されていて優雅《エレガント》。

 それでいて、アシュレイの持つそもそもの女性的な印象が加わって、醸し出す雰囲気は柔らかい。

 

 結論。

 かっこいいはずなのに、めっちゃかわいい。

 

 やばい、フツーにドキドキする。

 もしかしてこのコーディネートは俺のため?

 だとすればめっちゃ嬉しいぞ。

 俺は思いっきり普段の制服姿だというのに。

 

 俺は無意識に息を飲んでしまった。

 

「それにしても早いなグレイ。私もかなり時間に余裕を持って出かけたつもりだったが。もしかして待たせてしまったか?」

「あ、ああ……」

「? どうかしたか?」

 

 じっと見つめてしまっていたせいか、アシュレイが小さく首を傾げる。

 そしてアシュレイは、俺の視線がアシュレイの着る服装に釘付けになっていることに気づいたらしく、少し戸惑ったようにスカーフを指で弄んだ。

 

「もしかして……変、だろうか?」

「へ? あ、いや……!」

 

 俺は慌ててアシュレイの言葉を否定する。

 

「違う。似合ってる。むしろ、めちゃくちゃ似合ってる!」

「そ、そうか!」

 

 俺の言葉を聞いたアシュレイは、パッと目を瞬かせたあと、ほっと短く息を吐く。

 そしてスカーフの端を少し直しながら、俺を見上げた。

 

「それならいいんだ。ふふっ……ありがとうグレイ」

「……!」

 

 今の表情! 完全に少女のそれじゃなかったか!?

 

 普段の凛々しさとは違う、その柔らかな表情に、俺は心臓の鼓動がさらに速くなるのを感じた。

 慌ててバッと視線をそらし、アシュレイに背を向ける。

 

 やばい息が詰まる。

 とりあえずこの場を誤魔化そう!

 

「よ、よーし! アシュレイ! 絶好の外出日和! さっそく出発しようじゃないか!」

「お、おい……! ちょっとまってくれグレイ!」

「俺に続け〜! はーっはっはっは〜!」

 

 俺はそのまま早足で正門の外に向けて歩き出した。

 

 ***

 

 正門のそばには、乗合馬車の停留所が設置されていた。

 この馬車は、学院から近隣の街へ移動するための連絡便みたいなもので、生徒なら自由に利用できる。

 

 俺とアシュレイがさっそく馬車に乗り込むと、やがて御者が手綱を鳴らし、馬車がゆっくりと走り出した。

 まだ朝の早い時間だったせいか、馬車の中は俺とアシュレイの二人だけだ。

 アシュレイは俺の隣に座り、窓の外に目を向ける。

 

「なあアシュレイ、馬車で商店街までどれくらいかかるんだ?」

「一時間くらいだな」

「意外と遠いんだな……」

 

 俺は客席の背もたれに身を預けて、窓を過ぎていく景色を眺めた。

 車輪が地面を踏みしめるごとに、コツ、コツ、と馬車の木枠が軽く揺れ、規則的な振動が体に伝わってくる。

 それが妙に心地よくて、寝不足なのも手伝って、急激にまぶたが重くなってきた。

 

「グレイ、眠いなら無理せず寝ていていいぞ。着いたら起こすから」

 

 アシュレイが、俺のそんな様子を見て、ふっと笑う。

 

「いや、それは悪いだろ。アシュレイに買い物に付き合わせてるのに、俺だけグースカ寝るって……」

 

 そう言いかけたところで、アシュレイが目を細めた。

 

「昨日も遅くまで、魔法の勉強をしていたんだろう?」

「……へ?」

「魔力切れで倒れたその日も研鑽を重ねるなんて……君は本当に努力家だな。その姿勢は尊敬に値するけれど、無理だけはしないでくれ?」

「え、えーと……」

 

 思わぬ方向の推測に、俺は言葉を詰まらせる。

 

「私のことは気にしなくていい。どうか束の間だけでも休息に努めて、英気を養ってくれ」

「……ん? あ、まあ、うん?」

 

 違う、違うんだアシュレイ。俺が寝不足なのはただ、君のデートが楽しみすぎて寝られなかっただけなんだ——とは、さすがに恥ずかしくて言えなかった。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて……」

 

 とはいえ、ありがたい提案ではあることに間違いはなかった。

 現地で寝不足でボンヤリしていたら、逆にアシュレイに失礼だしな。

 

 俺はアシュレイの好意に素直に甘えることにして、まぶたを閉じて、馬車の揺れに身を任せる。

 

 そして思い切って……頭をアシュレイの肩に預けてみた。

 

 ……どうだ!?

 

 嫌がるそぶりを見せたらすぐに止めようと思い、しばらくそのまま様子を伺う。

 だがアシュレイは嫌がるどころか、わずかに肩を動かし、俺がより寄りかかれるように調整してくれた。

 

 更にそのうえ……

 

 こ、この感触……!?

 まさか頭を撫でてくれているのか!?

 

 そっと優しく、まるで子供をあやすような手つきで。

 アシュレイの柔らかな手のひらが俺の髪をすくように滑るたび、心地の良い感触が、背筋まで駆け抜けていく。

 

 めっちゃ気持ちいい……

 

 その心地よさに抗う術はなく。

 馬車の揺れとアシュレイの温もりに包まれながら、俺の意識は眠りの底へと沈んでいった。

 

 ……

 

 そして、どれくらい時間が経ったのだろうか。

 

「グレイ、つぎの停留所で降りるぞ。起きてくれ」

「……むにゃ?」

 

 アシュレイに軽く肩を揺すられ、俺は半分寝ぼけながら顔を上げた。

 薄くまぶたを開けると、俺の顔を覗き込むようにして、優しく微笑んでいるアシュレイの顔が視界に映る。

 

「よく眠れたか?」

「……おう、おかげさまでぐっすり」

 

 頭を撫でられていた手前、気恥ずかしくて俺は視線を外す。

 

「それは何よりだ。目的地に着いたぞグレイ。降りよう」

「あ、ああ……オッケー」

 

 アシュレイに促されて客席から立ち上がる俺。

 ステップを降りて、馬車の外に降り立った瞬間、俺の寝ぼけ頭は一気に覚醒した。

 

「おおおおおっ!? すげえ!!」

 

 眼の前に広がっていたのは、まるで魔法の世界そのものといっていいような光景だった。

 

 細い石畳の路地に、軒を連ねるのは、まるでおとぎ話からそのまま飛び出してきたような大小さまざまな店々だ。

 曲がりくねった三角屋根、煙を吐く小さな煙突、色とりどりのガラスがはめ込まれた窓。

 その軒先を魔法のランタンが明かりを灯し、店先ではカラフルな薬液の入ったフラスコや、何に使うかよく分からん魔法道具がぎっしりと並べられている。

 

 通りには魔法のローブを来た人々が慌ただしく行き交い、その雑踏にまぎれて、どこからともなく聞こえてくるのは、怪しげな呪文の詠唱だ。

 

「ここが、魔法道具の商店街……」

「ああ、ミスティック横丁だ」

 

 とある店では、カラフルなポーションが光を放ち、それを試しに一滴飲んだ青年が突然ウサギの耳を生やして叫んでいた。

 また別の店では、洋服を試着した客が突如としてミニサイズになってしまい大慌てになっている。

 一言でいうとカオスだった。

 

「ははっ、これ、歩くだけで飽きねえな……!」

 

 俺が興奮してキョロキョロしていると、アシュレイがそっと肩に手を置く。

 

「寄り道は後でいくらでもできる。まずは目的を果たさないとな」

 

 そう言いながら、アシュレイが俺の袖を軽く引いた。

 

「こっちだ、おすすめの杖の店がある」

「お、おう!」

 

 導かれるままに、人混みをかき分けながら、俺たちはミスティック横丁の奥へと進んでいった。

 

 

 

 アシュレイの先導に従って、いくつもの店を通り過ぎたあと、やがてとある店先の前で俺たちは立ち止まった。

 

 その店は、大通りから一本外れた裏路地にひっそりと佇んでいた。

 木造の外観は古びていて、その立地も含め、正直なところ、あまり繁盛してそうな雰囲気ではない。

 だが、扉の隙間からはわずかに魔力が漏れ出している気配を感じた。

 

 扉の上に掲げられた木製看板には、魔法陣の刻印と共に、かすれた金文字で「杖工房モルガナ」と書かれている。

 

「……随分と渋い店構えだな」

「見た目で判断するな。こう見えて、この店は王宮魔導士たちも利用する名店だ。私もここで自分の杖を買ったんだ」

「名店ねえ、でもあんまり高いモンだと、手が出ないぞ」

「まあまあ、とにかく中に入ってみよう」

 

 そう言ってアシュレイは扉を押し開き、中に入っていく。

 その後に俺も続いた。

 

「うわ……こりゃすげえな」

 

 一歩店内に足を踏み入れた瞬間、鼻をつく木の匂いと共に、魔力の気配が肌を撫でた。

 狭い店内に規則的に並べられた陳列棚には、大小異なる様々な杖が陳列されている。

 天井からは魔法灯が柔らかく灯り、淡い金色の光が室内を仄暗く照らしていた。

 

「なに、杖ってこんなに種類あんの?」

 

 俺はしげしげと棚に並ぶ杖を眺めた。

 

 細長いもの、先端に宝石が埋め込まれたもの、枝の形をそのまま生かしたもの、片手で振れる大きさのものから、身の丈もあるような大きな杖まで——デザインも大きさもバラバラ。

 どれもこれも個性的である。

 

「悪いアシュレイ。多すぎて選べる気がしねぇ……」

 

 俺が途方に暮れていると、アシュレイがすっと横に立った。

 

「杖は、素材と芯の組み合わせでできている——」

 

 アシュレイはそう語りながら、棚に並ぶ杖の一本を手に取った。

 

「例えばこの杖は、エルムの木に、龍の髄を芯に使っている。高い魔力増幅効果を持つ杖だ」

「魔力増幅……つまり魔法の効果を高めてくれるってことか?」

 

 アシュレイはこくりとうなずいてから「ただし」と前置きして言葉を続ける。

 

「魔力増幅率の高い杖ほど、その分魔力消費も激しくなる。仮に使用者の魔力量が少なかった場合、常に魔力切れに悩まされることだろう」

「んじゃ俺向きじゃねーじゃん」

 

 現状俺の魔力量は、残念ながら()()()である。

 

「だったら、逆に魔力消費を抑えられる杖ってのはないのか?」

「あるぞ。例えばこの杖だ」

 

 そう言って次にアシュレイが手に取ったのは、ほっそりとした白木の杖だった。

 

「この白檀《サンダルウッド》の杖は、芯にホワイトクリスタルを使っている。軽量で、魔力の循環を助ける仕組みになっている。魔力量の少ない人向けと言えるな」

 

 俺はそれを手に取り、軽く振ってみた。

 確かに……軽い、か?

 よくわかんね。

 

「まあ、色々と説明したが、杖選びには、使()()()()()()()()()()()()という格言がある。つまり、最後は直感だ」

 

 アシュレイは手近な杖を一本取り、俺の手に押し付ける。

 

「握ってみて、しっくりこなければ違うやつにする。単純な話だろ?」

「そんな適当に決めていいのかよ」

「大事な要素だぞ? 実際、相性の悪い杖を使うと、魔法が不安定になったり、反動が強くなったりするというからな」

「それは怖いな……」

 

 とにかくアシュレイの説明を受けて、俺は棚に並べられた杖の一本一本を、手当たり次第に手に取ってみた。

 だけど、正直どれがいいのか、全然ピンとこない。

 

 そもそも『アルクラ』原作において、魔法の杖はただのフレーバーアイテムにすぎなかった。

 そのため原作知識も通用せず、正直どうやって選んでいいのか検討がつかないのだ。

 

 よし、こんなときは素直に店員に聞こう。

 俺がそう思い、店員の姿を探そうとしたとき——

 

「杖をお探しですかー?」

「お……」

 

 タイミングよく、店員の方から声をかけられた。

 俺は振り返り……そして固まった。

 

 

 そこに立っていたのは小柄な()()

 深い緑色の無骨なワークエプロンを身に着け、オレンジ色の髪を後ろでポニーテールみたいにまとめた女の子だ。

 

 俺と同年代か、ちょっと下くらいだろうか?

 

 ぱっちりとした瞳と、人懐っこそうな微笑み。

 更によく見ると、耳の形が少しだけとんがっている。

 これは……エルフ?

 あ、いや、エルフのそれとはちょっと違うな。

 

 これは……うん、ドワーフだ。

 この子はドワーフ族なんだろう。

 ドワーフは手先が器用っていうからな。

 

 ……

 

 いやいやいや、待て待て!

 そんなことより重要なことがある!

 

 それはこの子が、()()()()()()()だということだ!

 

 忘れてはならない。

 ここはBL世界。

 若い女は大体、存在感の薄いモブキャラである。

 

 なのに俺の目の前には、ちゃんと顔のくっきりした……

 紛うことなき美少女が立っているのだ!

 

 一体これはどういうことだ!?

 

 そんな俺の戸惑いなんてつゆ知らず、少女に向かってアシュレイが親しげに声をかけた。

 

「やあ、ノア」

「あ、やっぱりアシュレイじゃん!」

「カウンターに姿がなかったから、今日は非番だと思っていたよ」

「うーうん、ちょっと奥の倉庫で仕分けをしてたんだ! ウチは毎日お店にいるよ〜、にっしっし」

 

 ノアと呼ばれた少女は、親しげにアシュレイと会話を交わす。

 え、アシュレイの顔見知り?

 

「あ、アシュレイ! この子と知り合いなのか!?」

「ああ、私が杖を選んだときに、色々とお世話になってね。その後も色々と相談に乗ってもらっている」

「はじめまして! うち、ノアっていいまーす! よろしくねっ」

 

 ノアはそう自己紹介をしてから、にっと微笑んだ。

 

 か、かわいい……!

 

 こんなかわいい子と付き合えたら……人生ハッピーだろうな。

 そんな考えが頭をよぎって、ハッと我に返った。

 

 だ、ダメだダメだ……!

 何を考えているんだ、グレイ・ブラッドレイ!?

 

 俺には既にアシュレイという心に決めた子がいるんだぞ!

 それをやすやすと心映りなんて……

 

 いやでも……すごく可愛いし……

 アシュレイとは全然違うタイプの美少女だし……

 

 だ、ダメだダメだ……!

 俺にはアシュレイと(略

 

「——ノアは杖の扱いに関しては、並の職人以上の知識と技術を持っている。彼女の助言を聞いておけば、杖選びで間違うことはないだろう」

「いやいやそれほどでも〜……あるけどねっ!」

 

 ノアはアシュレイの言葉を受けて、えっへんといった感じで胸を張る。

 

 むむ、胸はあんまりないみたいだな。

 まあドワーフって大体つるぺた属性だし。

 大丈夫だ、問題ない。

 

 あとさ、よく考えたら異世界転生モノって複数ヒロインと結ばれるのが普通じゃない?

 

 ほら、(ピー)デウスさんとか。 

 望月(ピー)夜さんとか!

 リオ(ピー)さんとか!!

 

 彼らは果たして、ヒロインに対して、不貞を働いたということなのか?

 断じて否である。

 彼らはただ、大きな愛を平等に複数ヒロインに注いだだけ。

 その結果、なんかこう、外から見るとハーレムっぽくなっただけだ。

 だけどそこにあるのはただ純愛。何もやましいものではない。

 

 結論。ハーレムは純愛。Q.E.D.

 大丈夫だ、何も問題はない。

 

「ねえ、キミの名前は?」

「お、俺はグレイ。グレイ・ブラッドレイだ」

「キミも杖を探してるの?」

「あ、ああ。実は前使ってたヤツが折れちゃってな。新しいのを買いにきたんだけど……」

「オーケー、それならウチに任せて! キミにピッタリの一本を選んであげるからさ!」

 

 ノアは胸にドンと手を当て、にっこり笑う。

 しかもその背景には、黄色いポピーの花が咲き誇って見えるではないか……!

 

 間違いない!

 杖職人ノア……コイツはメインキャラ!

 そして女の子!

 つまりヒロイン!!

 

 思わず目の奥にジーンと熱いものが込み上げる。

 

 神よ……

 この世界にまします、我らがハーレムの神よ……

 

 貴方は俺を見捨てていなかったのですね!?

 この世界にはびこるユースティティアとかいう邪教(BL)に負けず、こうして迷える子羊に救いの手を差し伸べてくださったのですね!?

 

「ありがとう! ぐすっ、本当にありがとう、うう……! ありがとう……!」

「ええ? 泣くほど!?」

 

 滂沱の涙を流す俺の姿を見て、ノアはきょとんとした顔を浮かべた。

 そんな表情も、ソーキュートだった。

 

 

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