“ひとつなぎの大秘宝”なんかいらねぇよ、オレには家族がいる   作:mooma

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たびせよしょうねん、でもほごしゃはひっす


しじゅうふわく

この度目出度く?ドンキホーテ海賊団(ファミリー)の船長に就任したわけだが、現時点での人員といえば、オレに最高幹部の四人…トレーボル、ディアマンテ、コラソン、ピーカ、それから組織(ギャング)から引き続き残ってくれている構成員くらいか?

 

それと組織(ギャング)時代から懇意にしているレストランの女将・ジョーラさんも、若い子達だけでは食生活が心配だからと付いてきてくれるらしい…ありがたいことだ

 

このジョーラさん、こんな治安の悪い島でレストランを経営しているだけあってかなりの肝っ玉女将で、オレたち五人でも好き嫌いをすると吹っ飛ばされる…武装色を使って防御しても、ただのトレイが無傷で、オレたちがボロボロって、一体どういうことだってばよ?

 

…いや、気にしないことにしておこう…好奇心から聞いたことがどんな結果を齎したのか、オレはまだ忘れてはいない…

 

ちなみに、朝食会議の日に朝食をデリバリーしてくれるのもこの人だったりする…だからこそ、ドンキホーテ海賊団(ファミリー)の設立にも立ち会っていたわけで…

 

トレーボルからは、先代のボスの頃からの付き合いがあって身元の保証は出来るから安心してほしいと言われたけど、オレってそんなに気にするようなタイプに見える?

 

…まあ、確かに家族の口に入るものにはかなり気を配ってるから、食事担当って事を考えればそう言われるのも仕方がないか

 

で、だ

 

トレーボルが出港準備をしている間にもう一人、先代のボス絡みの人間に挨拶をしに行く事になったんだが、これは確かにオレでないと出来ない仕事だ

 

糸を繰って急勾配も多い山を登っていく…普通の人ならロッククライミングしないといけないんじゃないか?って角度の場所もいくつかある

 

こんなところでも、人間って生活できるんだなぁ…なんか感激

 

改めて考えてみるとイトイトって便利だよなぁ、やっぱり

 

さすがにまだ空の道ができるほどの高さの雲には届かないんだけど、こんなトコでもイトも簡単に進めちゃうモンなぁ…

 

あ…いや、わざと言ったわけじゃないよ!?…って誰に釈明してんの、オレ…

 

…まあ、いいや…

 

こんな所に住んでいるというその人は武道家で、いわゆる修行僧(モンク)のような人らしい

 

先代の折にヴェルゴ…コラソンのような処刑人のポジションにいただけあって実力は高い…ってここについてから確認するように言われた報告書に書いて、あって…

 

トレーボルぅ~?お前、引き抜きさせるつもりでオレをここに寄越したな…?

 

…なんか、アイツの策略に乗せられた感じがして、疲れたよ…

 

帰ったらブン殴…だめだ、悦ばせるだけだ…罵、るのもダメだな、アイツはソッチもイケるっぽいし…

 

うん、とりあえず夕飯に嫌いなものを出してもらおう、それなら嫌がらせになるはず!

 

そう決意して、手作りっぽい小屋をノックする

 

中に人がいるのは見聞色で確認したから、すぐに対応してもらえると思うんだけど…

 

「む…子供、か…?」

 

「お初にお目にかかります、ラオGさん。オレはドンキホーテ・ドフラミンゴ、“組織(ギャング)”からの連絡をお伝えしに参りました。詳しくは、こちらに…」

 

そうして差し出したトレーボルの書いた手紙…

 

後は、なるようになれ、だ

 

 

 

 

 

 

 

渡された手紙に目を通し、改めて少年を見遣る…

 

アレも組織を継いだ際にはまだ若いと思ったが、この少年はそれよりさらに若い

 

だと言うのに、既に上に立つ者としての才気を感じられるとは…余程の大器と見える

 

年の頃に似合わぬ落ち着きも、小生意気には感じられず、むしろ違和感などなく

 

ふむ、成る程…確かに此奴は波乱に満ちた運命(さだめ)の持ち主のようだな

 

けれどそれを持ってしても折れそうにない心根…

 

弱くもあり、されど強くもある、摩訶不思議な輝きを持った存在感(オーラ)

 

…認めざるを得まい

 

これは確かに()を見たいと思わせる逸材だ

 

惜しむべきは此処でその眼を見る事の出来ぬことか…

 

否、頼めば見せるだろうが、苦痛を強いてまで其れを望む心算(つもり)はない

 

「ドフラミンゴと言ったか」

 

「はい」

 

礼儀を知っているのも好印象だな

 

「しばらくは付き合おう…その間に、わしを跪かせる(ほれさせる)ほどの王者(おとこ)となれ」

 

既に跪いても構わないと思う程の才気は感じているが、其れを口にしないのも大人のズルさだ

 

若くして成った者は直ぐに朽ちて行くのが世の理…ならば意地であろうともその間は成らせぬのが大人の役割

 

わしを超え、成ってみせろ、ドフラミンゴ

 

お主が成ったその時、世界は主に跪くだろう

 

 

 

 

 

 

 

え~っと、これは、どういうことなの?

 

なんか惚れさせろ!って言われたんだけど、またそういうタイプの人…?

 

いやッ!ここはあれだ!

 

なんか武人っぽい人だし、あれだよ、アレ!

 

わしより強くなって主になってよ☆みたいな感じなんでしょ!?

 

そうだよね!?

 

そうだと言ってよバーニィ!!

 

これ以上変態が増えたら困るんです、切実に!

 

ヴェル、コラソンとトレーボルで手一杯なんです、オレは!!

 

ディアマンテも戦闘狂っぽいって意味では変態だけどオレには実害ないし…

 

お願いです女神様!

 

仮にこの人が変態だったとしても、オレに害が無いような変態でありますように!!

 

このままじゃオレの精神衛生的に大問題なんです!

 

いずれ増える予定のチビちゃんたちの教育的にも、大変よろしくないんです!!

 

ですので女神様、なにとぞ、なにとぞ~!!

 

「む…荷物は纏め終わったが…」

 

オレが現実逃避しているうちに荷物の準備が終わっていたらしい…早いな

 

いや、オレの現実逃避に時間がかかってたのか?

 

「あ、はい、では行きましょうか」

 

そう言って小屋を出て、山を下っていくうちに悟った…

 

この人、変態的なまでに修行が好きなタイプか…

 

山篭りしてる時点で気付こうぜ、オレ~

 

なんでそこでうさぎ跳びとかするの~?もう…

 

うん…オレには実害ないはずだから…

 

だから、諦めて受け入れることにするよ…これも運命(さだめ)だってことを…

 

ハァ…

 

…これ、オレが成人する前に胃潰瘍になっちゃったりしない?

 

昔毒飲んだせいで胃の粘膜弱いらしいし…

 

…またしばらく刺激物厳禁にしておこう…この年で胃潰瘍は洒落になんないって

 

やっぱり帰ったらトレーボル殴っておこう、悦ばれようが八つ当たりしないと気がすまないから

 

癒し…癒しがほしい、切実に

 

ピーカもオレと体格あんま変わんないからなぁ…

 

ホント、急募!膝に乗せられるくらいちぃちゃい子!!なんだけど

 

探しに行きたいよ~…オレを癒してくれそうなチビちゃん…

 

そのためにはどうしても空の道が必須なわけですが…

 

ああ…でもファミリーになるだろうチビちゃんたちはまだ産まれたばっかりだったりまだ生まれてなかったりするのか…

 

…今の時点で五歳から七歳くらいのキャラって誰が居るんだろう…

 

もう、誰でもいい気がしてきた…

 

フッ、フッフッフッフッフッ…!

 

 

 

 

 

 

 

「おい、見ろよ」

 

「うおッ!?ど、ドフラミンゴ様からすげぇオーラが迸ってやがる…!?」

 

「一体なにがあのお方のお怒りを買ったのか…!ゾクゾク…おれたちの起こした行動でないことを祈っておこう…」

 

「うわッ、いって~、絶対痛いってあれ…」

 

「トレーボス様、何したんだよ…あんな怒らせて…」

 

「マーク、またトレーボスって言ってる。違うから、トレーボルだから」

 

「あ、まじで?注意してくれてサンキューな、ジャン。さすがに本人の前でも言っちゃいそうで怖いんだよ…」

 

「あれじゃないか?ラオG様のとこに向かわせたって言う…」

 

「…ああ、なるほど…あそこ登らされたのか…ドフラミンゴ様のお怒りもごもっともだ」

 

「いや、でもドフラミンゴ様にはイトイトがあるから登るの別に手間じゃなくね?」

 

「そういう問題じゃねぇだろ。まあ、なんか謀られたとか、そんなんじゃないか?」

 

「たらば?カニがどうかしたのか?」

 

「マーク…カニじゃない。謀るって言うのは、騙すってことだ」

 

「え!?トレーボ、ル!様、ドフラミンゴ様だましたの!?」

 

「シッ!静かに!聞こえちまうだろ!?」

 

「あ…ご、ごめん…」

 

「あの人のことだからそういう意味での騙すではなく、そうだな、大事な情報をあえて伝えなかったとかそういうことだろう…」

 

「あ、そっか~、よくあるもんね、現場着いてから詳細知らされたりってコト」

 

「これで懲りたなら我々ももう少し扱いが良くなるのだろうがな…」

 

「…使い捨ての鉄砲玉からせめて代えの利く兵士レベルになりたい…」

 

「ひっく!え、なにそれ、ひっく!」

 

「お~ま~え~の~、せいだろうがぁ!!」

 

「うぎゃ!?ジャンが怒った~!」

 

「いいかげんにしろ、ジャン。怒ったところでマークにはそれを理解できるほどの頭はない」

 

「…それもそうか」

 

「あれ?おれもしかしてバカにされてる?」

 

「お前達!何をくっちゃべっている!!とっとと働かんかぁ!!?」

 

「ふわ~い」「了解で~す」「…」

 

 





その裏側で…



なくしたもの ~すれちがい~



『身寄りがないのか?じゃあ…おれと、来るか?』

あのとき、海軍の人に拾ってもらえたときは怖かったけど…でも、いい人で良かった…

兄上は、海軍も頼れないって言ってたけど、そんなことなかったよ、兄上

「ロシナンテ、休憩にしよう」

「はい、センゴクさん」

センゴクさんは優しくて、おれのことを息子のように扱ってくれている

頭を撫でてくれる手は、父上のものと違ってとても硬いけれど、それでも父上と同じくらい優しくて…

『ロシィ、わかんないトコがあったらオレに聞くんだぞ?いいな?』

…ッ

あにうえ…どうして…

いいや、アレは兄上じゃない!

兄上があんなことするはずがない!!

よくよく考えてみれば、火事ではぐれたあの日から兄上はどこか違っていた…

きっと本当の兄上はあの日に死んでしまっていて、それであのバケモノが兄上の皮を被って、そして父上を殺したんだ…!

だって、兄上が父上をこ、傷つけるはずがないもの…

ぎゅっと握った手は、あの日の柔らかな手とは違う

おれは戦い方をおぼえたんだ

もう、兄上に守られてばかりの小さなロシィじゃないんだ…!

兄上を殺して、父上も殺したあのバケモノは、絶対に赦さない…っ!!

「ロシナンテ、そう強く握り締めるな…痕が残る」

「すみません…」

兄上の仇も、父上の仇も、おれがとってやるんだ…!

そのためにも、もっと強くならないと…

兄上…

兄上…待っていてください

兄上は必ず僕が助けてあげますから

兄上は僕に教えてくれました、生きるための術も生き残るための術も

兄上はずっと僕を守ってくれていました、雨の日も風の日も嵐の日も雪の日もどんな日でも

今度は、僕が兄上を助ける番です

あのバケモノから兄上を助け出すのは、きっと僕でないとだめだから…

だから…待っていて、兄上

必ず、おれが助けにいくから

だからその日まで…

…あにうえ…


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