“ひとつなぎの大秘宝”なんかいらねぇよ、オレには家族がいる   作:mooma

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こころをむしばんでいくどく


ナイトメア

『なんで…?なんでこんなことできるの兄上…』

 

やめて…

 

『どうして父上を…!』

 

やめて…!

 

『お前なんか…!!』

 

やめて、お願いだから…!!

 

『お前なんか、僕の兄上じゃない!!』

 

いや…っ!

 

『僕の兄上を返せ!!兄上の皮を被ったバケモノめ…ッ!!!』

 

いやぁぁぁぁッ!!!

 

ごめんなさい…

 

ごめんなさい…!

 

ごめんなさい…ッ!

 

「ドフィ…大丈夫だ、おれがついている…」

 

ごめんなさい、父上…っ

 

『お前なんか、お前なんか死んでしまえばいいんだ…ッ!!!!』

 

ごめんなさい、ロシィ…

 

ごめんなさい、母上…

 

ごめんなさい…っ

 

ごめんなさい…

 

ごめんなさい

 

『父上を返せ…!兄上を返せ…!!僕の家族を帰せよ…!!!バケモノォッ!!!』

 

うまれてきて、ごめんなさい…

 

オレなんか…うまれてこなければ、よかったんだ…

 

このまましなせてくれ…!

 

ロシィを殺してしまうことのないように!

 

このまま、

 

このまま…

 

しなせて…

 

「ドフィ…ドフィが死にたいというのなら、おれが殺してあげよう…だから…だから、もう少し、おれのために生きてくれ、ドフィ…」

 

しにたい…

 

ロシィをころしてしまうみらいなんて…いらない

 

そんなみらいしかないのなら、いきていたくない…

 

しにたい

 

しにたい…

 

このまま、しなせて…

 

「ドフィ…ドフィ…」

 

冷えたからだにだれかが手をそえた…

 

だれが?

 

だって父上も、母上も…ロシィも…もう、いないのに…

 

「ドフィ…!」

 

だきこまれて…

 

だれかが、オレのなまえをよんでいる…

 

ほうっておいてくれ…

 

おれはもう、いきていたくないんだ…

 

このまま、しんでしまいたいんだ

 

「ドフィ…ドフィ…っ」

 

ああ、そんなにゆさぶらないで…きもちがわるいんだ…

 

なまえをよばないで…!

 

ほうっておいて!

 

オレはこのまましんで…!

 

「…どふぃ…!」

 

いきが、つまる…

 

これで、やっと…!

 

ああ…でも…

 

…おもい、だした…

 

このこえは…

 

「…ヴぇるご…」

 

「!!」

 

みんなを、かなしませてしまう…

 

そんな、いっしゅんのしゅんじゅんに

 

「…ああ、わかった…おれはドフィの決定に従うだけだ」

 

いきをふきこまれ、死の淵は遠ざかる

 

つよく、強く、抱きしめられ、

 

オレは、オレにはまだみんながいたのだということを、思い出した

 

…まだだ…

 

まだ、諦められない…

 

助けないといけない子達がいるはずなんだ…!

 

オレで無いと助けられないかもしれないんだ…!

 

未来だって、まだ決まったわけじゃない…!!

 

ヴェルゴの背中に腕を回して、爪を立て嗚咽を殺す

 

「ドフィ…大丈夫だ。おれがいる…おれは、最後までドフィの側にいる…だから、だいじょうぶだ」

 

その力強さに、すこしだけ安心して、オレは意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

オレの中を焼いた毒は、ヴェルゴがオレを発見したのが早かったことと医師の迅速な処置のお陰でオレの命を奪うこと自体はできなかったものの、オレの身体に甚大な被害を残していった…

 

喉から胃の腑に至るまでが焼け爛れてしまったため、食べる事も飲む事もできなくて、口を利くことも傷を悪化させると許してもらえず、しばらくはベッドに縛り付けられた生活となるそうだ

 

…カンペに文字を書いて会話するキャラはオレじゃないでしょーが。と思いながらも渡されたものを使わないわけにもいかなくて…

 

そんなオレの見張り役として同年代の子が付けられたのだけど…なんでヴェルゴじゃないのさ?

 

いつも側に控えていたのはあいつだったからな、いないとなるとなんか…違和感がある

 

「ヴェルゴ、ヴェルゴなァ…アイツ、問題行動起こしたから今懲罰房にいるんだわ」

 

【なにをしたんだ?】

 

「うッ…ドフィは、知らない方が良い…ボスもそう言ってたしな。あ、おれを乗せようとしても無駄だぞ!?これだけは絶対に教えらんねェんだからな!!?」

 

そう言って逃げ帰った彼を見つめて、つまらなそうにしたオレに、その子がパズルを差し出してきて…

 

やけに無口なんだよなぁ…人見知りって訳ではなさそうなのに

 

二人でパズルを解いていく音だけが部屋に響く…

 

そんな日が何日も何日も続いて…ついにオレは耐えられなくなって、聞くことにした

 

こうやって好奇心に負けて気になったことを聞いた時は、後悔した記憶しかないけど気になるんだから仕方ない

 

【しゃべれないのか?】

 

ふるふると頭を振って否定するその子に、ますます疑問が増える

 

【しゃべりたくないのか?】

 

こくこくと今度は肯定の意思を伝えてくるその子は何かに怯えていて…

 

なんか…×××を思い出すなぁ…

 

ずきりと頭が痛んで、頭に浮かんでいた、塗りつぶされた誰かの顔が消えた

 

【こえ、へんだって】

 

その子がおずおずと紙に書いてくれた言葉に少しむっとして

 

【オレがそこらのやつらとおなじだとおもうか?】

 

そう書いた紙を見せればブンブン!と懸命にその子は否定して、そして俯いてから…

 

「…ドフィ…」

 

小さく、呟いた

 

それは確かに、男の子としてはやけに高い声だと思うけど…

 

でもボーイソプラノくらい、この世界でも普通にいるよね?

 

変どころか、少年合唱団みたいで、

 

【オレはすきだぞ?そのこえ】

 

「…っ…~ッ!」

 

素直に言ったら、泣かれてしまった…

 

なに、これ…

 

やっぱりオレが好奇心に負けて聞いたりすると悪いことしか起きないの?

 

仕方が無いから腕を引っ張って姿勢を崩させ、手の届く場所にきたその頭を撫でて慰めてやる

 

驚いて、でも次の瞬間には抱きついてきたその子は、初めてだったのかもしれない…そんな風に、言ってもらえたのが

 

そんなその子が可愛くて、ただただ、泣き止んで欲しくて、慰め続けた

 

結局はそのまま膝で寝られてしまったのだけど

 

そして、その内にオレも眠くなってきてしまって…

 

様子を見に来た奴らが扉を開けてはほっこりと癒され、オレたちを起こさないようにまた静かに扉を閉めて去っていったのだということを後日聞いたオレは、顔から火が出る思いだった

 

 

 

 

 

 

 

ごめんなさい…

 

ごめんんさい、父上…

 

『ドフィ…そういうことならば、仕方が無い…』

 

ごめんなさい…ッ

 

オレが、もっと、つよかったなら…!

 

オレにもっと、ちからがあったなら…!

 

『国も王冠もないとは言え、私達は人の上に立って産まれた』

 

ごめんなさい…父上…ッ

 

『そこには権利だけでなく、義務も存在する…そうだろう?』

 

ごめんなさい…っ

 

オレが、もっとしっかりしていたなら…!

 

それならこんなことにはならなかったのに…!

 

『私は、数多の民衆を犠牲にしてまで、生きたいとは思わないよ』

 

父上…っ

 

父上…ッ

 

『こんな事を、息子に頼むなんて、私はなんと酷い父親なのだろう…』

 

父上…ッ!

 

ちちうえぇ……ッ!!

 

『私を、殺してくれ、ドフラミンゴ。この至らない父が、お前達に出来る最期の孝行だ』

 

あ゛あ゛あああぁぁぁぁぁ…!!

 

いやだ…ッ!

 

いやです、父上…!!

 

そんなこと、いわないで…!!

 

オレは…ッ

 

オレはぁ…ッ!!

 

『また…お前に辛い思いをさせてしまう私を赦してくれとは言わない…でも、せめてお前たちだけでも、幸せになっておくれ』

 

いやだ…!

 

いやだ…

 

いやだよ、ちちうえぇ…

 

『愛しているよ、私の愛しい息子、ドフラミンゴ………私が父親で、ごめんな…』

 

パァーン!!!

 

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ……ッ!!」

 

この悪夢は、一生終わらない

 

 




ファミリー最高幹部全員集合


ドンキホーテ・ドフラミンゴ(10)

身体も心もボロボロ。
毎夜悪夢に魘されては飛び起き、独り恐怖と戦っているけど、昼間はそのことをあまり覚えていない。
護るべき相手がいないと壊れてしまうタイプ。
事実上軟禁状態だがそのことには気付いていない。


ヴェルゴ(10)

さすがにそれは犯罪(アウト)だから!な事を仕出かしたヤンデレ。
しかしコイツがドフィの無意識に刷り込んだ言葉のお陰でドフィが自傷に走っていないことを考えると…。
ロシナンテを見つけたらドフィにバレない内に抹殺してやろうと思っている。
最終的に、ヤンデレは怖いとしか言えない。


トレーボル(18)

トレーボルはドンキホーテ海賊団(ファミリー)設立後のコードネームのため、実はまだ名前で呼ばれていない人。
既に能力者であり、現時点ではスート組の中で唯一の能力者。
現在苦労人街道を突っ走っているが、その裏ではドフィをトップに立たせようと暗躍中。
ヴェルゴが仕出かしたことの第一発見者で、懲罰房に叩き込んだ張本人。


ディアマンテ(14)

ディアマンテはドンキホーテ海賊団(ファミリー)設立後のコードネームのため、略。
現時点では能力者ではなく、当たらなければどうという事は無い!を地で行く系紙装甲剣士。
面白そうな奴が好きで、ドフィのことはとても気に入っている。
ドフィを弟のように思い、護ってやらないといけないと思っているが、ドフィに対する敬意が無いわけではない。


ピーカ(9)

ピーカはドンキホーテ海賊団(ファミリー)設立後の以下略。
傷心のドフィのためにトレーボルが宛がった、弟分担当兼任の見張り兼遊び相手。
言い方は悪いが、トレーボルの目論見通りにロシィの代替品として役立っている。
ただしドフィに対する敬愛の念は本物。

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