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呉爾羅の巨躯が、顕れる。
阿蘇の峻烈な稜線から僅かに乖離した空間に穿たれた、仮称・槻御輿新火口の陥没より、沸騰する火砕流の粘性を強引に排斥しながら、其の全貌を現世へと顕現させた。
阿蘇外輪に位置する、火口周辺に展開されていた火山噴火の警戒監視施設、及びNEO:GQの前哨拠点は、流出する火成岩漿の圧力に抗う術もなく
既に地図上の座標から、其の痕跡は完全に抹消されている。
呉爾羅は、
其の眼窩には、現生生物が保持すべきレンズや
其の口腔に列を成すのは、那がかつて
それは物理的な
頭部後方から尾の先端にかけて、
まるで太陽の光へと向かって伸び勇む植物のように、垂直に天へと怒張し、周囲の大気をプラズマ化させ続けていた。
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呉爾羅は、いよいよ其の前途を上色見神宮という最終目的座標へ向けて、
頭頂高から脚爪にかけて、凡そ二百五十メートルという、現世の重力加速度を無視した体躯。
其れが一度、また一度と地表を踏み蹴る度に、大地は破局的な地鳴らしを誘発し、地質学的な絶滅を予感させる振動波を撒き散らす。
地は
夜の帳は未だ明けていないにも関わらず、空は異常なまでの朱赤へと染まり、巨大な獣が世界を白亜紀へと「遡行」させるという、逆転のハルマゲドンの予感を、確固たるものとして固定させていた。
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時間という概念が
呉爾羅の足許では、数世紀の刻を掛けて根を張った古木が
其の度に大地は
其の熱波は周辺の家屋を瞬時に炭化させ、文明の残滓を
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真っ直ぐに、南東へと侵攻を続ける呉爾羅。
激しい地鳴りに
「な、何だ…っ、あれ」
一人の若者が、震える手に持っていた携帯機器を天へと掲げ、其の巨体を記録映像に捉えようとした。
だが。
「う、嘘だろ…っ」
眼前の破壊は、一面の真実であった。
薙ぎ倒された木々も、外輪山に深く刻まれた獣の足跡すらも、其れは現実を侵食する痕として、確かに現世へと刻印されている。
「目の前に、居る筈だろ…っ!?」
其の機械の光学レンズは、其の巨体を物理的な存在として認識していなかった。
液晶画面に映し出されるのは、其の巨躯が完全に透析され、実体の存在しない背景の中で、ただ熱波と火砕流だけが荒れ狂い、被害とともに燃え盛る無人の絵図。
呉爾羅という高次個体は、現代のデジタル観測系における
其れは、肉眼という原始的な観測器にのみ「意味」を強制する、情報の暴力。
地鳴りとともに、終焉が加速する。
ζの許たる、高次存在──呉爾羅が、歩を進める。
其の巨体が織り成す四面楚歌は、常に彼の眼窩より下方に在る。
元来の肉体が水泡に帰し、死を迎えた以後も、其の崩れゆく肉体の一部が空間歪曲へと呑み込まれ、其の圧倒的な再生力を以て、第零次元で進化を重ねた。
再び其の肉体が現世に顕る事を望んだ、嘗ての『ゴジラ』の肉片は、数多の並行的世界の只中で、人類という種の希望を、等しく
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