相棒はウルトラマンゼロでした 〜学園を守りつつ、お姉ちゃんに勝ちたいあたしの最強育成計画〜   作:あぶくま

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異変

 

 

──怪獣墓場

それは、数多の怪獣の魂が眠る宇宙の墓場。

様々な宇宙と繋がる不安定な星雲が、妖しく蠢いている。

そこに集まったのは墓場に眠っている安らかな魂ではなく、何者かの執念によって目覚めた強烈な負のエネルギーをまとった魂であった。

 

『よくもウルトラマン……よくも地球人ども……!我らの怨み、簡単には晴れぬぞ!今こそウルトラマンと地球に住まう有象無象に復讐のときだ!!』

 

 

『────ォォォオオオオッ!!』

 

 

 怪獣墓場の空間そのものが震動するほどの声の数々は、まるで深淵の底から響くかのような怒りの咆哮をあげる。

数百体にも及ぶ宇宙人軍団が押し寄せたら、間違いなく地球のあらゆる生命は狩り尽くされるだろう。彼らの怒りは、それでおさまるだろうか?否、きっと終わらないだろう。

あくまで地球はウルトラマンが守る星のひとつ。彼等に恨みを持つ者たちは、光に守護されるものの全てを破壊し尽くすまで止まることはない。

大地は焼かれ、人々の悲鳴は鳴り止まず、星そのものが終焉の時を迎えるのだ。

想像するだけで笑いが止まらない、というかのように、軍団から悪意に満ちた笑みが浮かび上がった。

 

『さぁ、今こそ地球へ────』

 

 一人が手を上げて、怪獣墓場から飛び立とうとした瞬間だった。

一瞬の現象。起こったことを説明するのにそれ以外の言葉は不要だろう。

集団の中で風切り音がしたかと思えば、突然爆風が起こる。

 

『なんだ!?一体、何が起こっている!?』

 

 目の前で起こったことに理解が追い付かない。

ただ目にしたのは高速で動く光の軌跡、それを目で追うのがやっとのことだった。

星人達の身体に次々と線が走ったかと思えば、真っ二つに両断され、爆炎へと変わる。

 

『ッ……おい、アレを見ろ!』

 

 動揺が走る中、大きな目を持った星人が光の正体を指差した。その先にあるのは、宇宙人軍団の頭上にある浮石のてっぺんだった。

二つの光がその場所に向かっていき、閃光と共に元の場所へと収まった。

 

 

『……チッ、相変わらずここは寝つきの悪い連中ばかりだな』

 

 赤と青のツートンカラーの、銀色のボディを持つ戦士。

彼の全身から放たれる輝きは、死者の領域であるこの場所においてあまりにも眩しかった。

光を宿した鋭い眼光が、宇宙人軍団を一瞥する。

 

『誰だ、お前は!!』

 

 その姿を目にした星人たちの反応は様々だった。

名前を知らず、首を傾げるもの。逆に知っていて、恐れおののくもの。かつて敗北した記憶を思い出し、怒りに震えるものなど。

 

『知らねぇなら教えてやる。俺の名はゼロ……ウルトラマンゼロだ!!』

 

 声高らかに名乗りを上げると、浮石から飛び降りて着地。舞い降りた宇宙の塵を払うことなく、ファイティングポーズをとった。

 ゼロの周りに星人軍団が群がり、周囲は敵だらけの状態になる。しかし、臆することなく、襲いかかってきた星人に炎を纏った拳を叩き込み、星人の装甲が砕け散った。続けてゼロスラッガーを振るって星人の体を両断、辺りが爆炎に包まれた。

 

『フッ!ハッ!セヤッ!デェェヤア!」

 

 全方位から飛んでくる攻撃を華麗な動きで躱して反撃、エメリウムショットや投擲したゼロスラッガーによって次々と撃破していく。

真空の宇宙に幾度となく爆発が炸裂し、怪獣墓場の暗黒を照らす。気づけば、数百体にも及ぶ星人軍団の数はわずか数体にまで減っていた。

 

『ワイドゼロショット!!』

 

『グァァァアアアッ!?』

 

 最後の一体がゼロの光線に撃ち抜かれると、星人の体はゆっくりと後ろに倒れ、爆発四散する。

 

『頭数だけ揃えたって俺は倒せねぇぜ。二万年経って出直してきな!』

 

 右手の人差し指と中指を立てて、お決まりのセリフを口にする。

ちょうどそのタイミングで、ゼロを追って怪獣墓場にやってきたウルティメイトフォースゼロの面々が降り立った。

 

『おぉーい、先に行っちまいやがって!って、あらまぁ、もう終わっちゃってるじゃねーか!?』

 

『当然だろ、グレン。こんな奴等に苦戦するまでもねぇぜ』

 

『おーおー、一人でキメてくれちゃって、ゼロちゃんよぉ!』

 

 頭を小突こうとしたグレンファイヤーの手をやんわりと避けて、先程の軍団の出所を考える。

 

(にしても、こいつらは一体なんだ?ギガバトルナイザーの可能性は低いだろうが……もしベリアルの仕業だったとしても、さすがに同じ手段をとるとは思えねぇ。だとしたら、一体誰が……?)

 

 死者が相手だとしても、自然に怪獣墓場から湧いてきたなんてことはありえない。魂を操ることのできる力を持つ怪獣や宇宙人は存在するが、それにしたって今回の出来事に結びつくとは思えなかった。

ずっと一人で考え込、答えが出ずにいるゼロに対して視線を向けると、グレンはゼロの目の前で手をひらひらと振る。

 

『おーい、何を黙りこくってんだ?』

 

『ゼロは奴等が現れた原因を考えているんだ。空気が読めないのはいつもの事だが、今回くらいは静かにしていろ』

 

『なんだと!?後輩のくせに生意気なこと言いやがって!おい、どうなってんだ焼き鳥!兄貴分として教育がなってねぇぞ!』

 

『だから焼き鳥ではなく、ジャンボットだと言っている!それに、私はジャンナインの意見に賛成する。君のその頭では、一緒に考えたって大したことは思いつかないだろう』

 

『テメェら、揃って人をバカ扱いしやがって……喧嘩売ってんのか!』

 

『やれやれ……』

 

 三人の間で言い合いが始まると、ミラーナイトは肩を竦めてゼロに歩み寄った。

 

『何はともあれ……あれだけの数の宇宙人達が甦った原因は謎ですが、ゼロのおかげで最悪の事態は防げました』

 

『……ああ』

 

 ミラーナイトはこう言っているが、まだゼロの胸中にはモヤモヤした何かが残ってはいた。

しかし、怪獣墓場でもう手がかりは見つかりそうにない。宇宙人軍団が現れた経緯は不明だが、とりあえず彼らの侵略行為は防げたのだろうと考え始めていた。

 

『クックックッ……甘いな、ウルトラマンゼロ』

 

『なにッ……!?』

 

 一同が声のした方向を振り向く。

そこには倒したはずの星人軍団の一人、テンペラー星人が瀕死の状態で声を発していた。

 

『既に我が同胞の本隊は、地球に向かった……今更手を尽くしたところで、もう遅いわ……!』

 

『あぁ!?てことは、お前らは時間稼ぎだったってことかよ!』

 

『フッハッハッハッ……見えるぞ、地球の赤く燃え盛る姿が……あの星に住む地球人たちの、絶望する顔が今にも浮かんでくるぞ……!』

 

『テメェ、いい気になりやがって……!』

 

 怒りを露わにしたグレンファイヤーの拳が、炎を帯びて燃え上がる。しかし、ゼロが無言で制すると、テンペラー星人は力尽きた。

 

『奴の言うことが真実なら、急いで地球へ向かわなければ!』

 

『んなこと、言われなくたってわかってる!』

 

 ゼロは白銀の鎧──ウルティメイトイージスを装着する。

怪獣墓場の時空の壁を穿ち、地球に通ずる穴を生み出すと全員が穴の中へ飛び込もうとした。

しかし、聞こえてきた音に動きを止める。

 

『この声は……!?』

 

 先程の宇宙人軍団とは異なる咆哮が、一同の背後から聞こえてきた。

いくつも重なって聞こえる獣たちの不協和音。

それはまさしく、怪獣墓場で眠っていたであろう怪獣たちの叫び声であった。

 

『チッ!星人たちの次は怪獣かよ!こりゃあ、本格的にベリアルの仕業か怪しくなってきたぜ!』

 

 ウルティメイトゼロソードを構えて、怪獣達の方へと向き直る。そんなゼロの肩に、ミラーナイトの手が置かれた。

 

『ゼロ、ここは私達に任せて。あなたは地球へ向かってください』

 

『ミラーナイト、なにを言ってやがる……!?』

 

 その提案にゼロは戸惑いを見せるが、他の三人も首を縦に振る。

 

『ヘッ、お前にその台詞を先に言われるとはな。ゼロ!時間がねぇんだろ?ここはオレ達に任せとけ!』

 

『グレンまで……しかし……』

 

『僕たちの事なら心配は無用だ。少なくとも、無暗に炎を浴びせるだけのグレンよりかは役に立ってみせるからな』

 

『おい、どういう意味だ!ナインの坊主!』

 

『緊急時だというのに、まったく……とにかく私達に構わず行きなさい、ゼロ』

 

 仲間たちに背中を押されて、渋っていたゼロは力強く頷き返す。

 

『……そこまで言うなら、後は任せた。だが、お前らも気を付けろよ』

 

『ええ。ゼロも、くれぐれもお気をつけて』

 

 ウルティメイトフォースゼロの四人に見送られて穴の中へと飛翔し、彼は光の矢となって加速する。

 

(一体、この宇宙で何が起ころうとしている……?)

 

 時空を越えて、青く輝く星との距離を縮める。

なにやら不吉な予感を感じながらも、光の戦士はまっすぐに地球へと向かうのであった。

 

 

 

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