【完結】私、ジャブローのモグラ志望って言いましたよね???   作:むにゃ枕

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10 世界経済は崩壊したけど私は元気です

 シーマ・ガラハウを捕虜にすることに成功してしまった。ジャス君とリベちゃんがめっちゃシーマを殺したがってて笑っちゃう。

 司令官であるシーマを捕虜にしたため、海兵隊との戦闘は止まっているが、本音ではこのまま逃げたいくらいだ。

 

 不意の遭遇戦で、こっちはマゼラン改一隻、サラミス級3隻を失った。それにジムも半分以上が使えない。

 ペガサス級2隻とサラミス級3隻で無傷のシーマ艦隊とやり合うのは、なかなかしんどい。

 シーマ艦隊の内訳はザンジバル1隻、ムサイ級7隻、パプア級1隻だ。数の差は5対10であり厳しい戦闘になりそうだ。

 

 いやね。やれと言われたらやれるし、敵モビルスーツ隊に損害を与えているので、勝てるとは思う。

 しかし、しかしである。2倍の敵と戦うのは常識的に考えて無謀なのだ。

 

 シーマから情報を抜いたら、その場で帰ってほしいくらいだ。しかし、こっちに損害が出てるからやめましょう。なんてことは言えない。

 GGガスをアイランドイフィッシュに注入したシーマ艦隊と、適当に戦闘して手打ちにして逃げて来ました。なんて言ったら即座に軍事法廷に掛けられてしまう。

 

 死んだバスク・オムを悪く言うのもなんだが、アイツが20隻くらい引っ張ってくれば良かったのだ。

 あと奇襲されてんじゃねーよ!! バカ!! とも伝えたい。

 

 というわけで、なんかそれっぽいことを言って誤魔化すこととした。

 見逃すからアクシズに行って内部をぐちゃぐちゃにしてね〜

ついでにシャアとハマーンも殺してきてね〜と伝えたが、発言しておきながら無理ゲーだろそんなもん!! って思った。

 

 しかし、シーマ様は明確に怯えながらコクコク頷いている。強化人間に機体を切り刻まれて怖かったのだろう。

 嘔吐して弱っているシーマ様もかわいいな〜と思っていると、彼女は私の提案に対して首を縦に振った。

 

 それから素直に自分の持っている情報を伝えてくれた。しかし、正史の彼女ほど情報を握れなかったようで、全貌を知ることは出来なかった。

 

 それなりに情報は得られた。あとはバタフライエフェクトでシャアとハマーンが死んでくれれば世界は平和だ。

 

 シーマ艦隊と穏便に分かれてから、ジャス君にめちゃくちゃ詰められた。

 

「どうして奴らを逃がしたんです!?」 

 

 2倍の敵と戦いたくないからだが?? と素直に伝えたらマズイ。

 

「5対10での戦闘になるんだ。勝ったとしても味方に被害が生じる。それに、情報を得られたし、敵のコロニージャックという目標も頓挫させられた。デラーズの予定も狂っただろう。シーマ艦隊との戦闘を避ける利点の方が大きい」

「俺は、あなたとなら奴らを全滅させられました。プロミネンスはゲルググを10機も落としたんですよ! 奴らを殲滅する好機でした」

「プロミネンスに犠牲が出なかったのは、損害をバスク艦隊に押し付けたからだ。格下のジオン残党相手じゃないんだ。それに、今後も戦闘は起きるかもしれない」

 

 理解はしているが納得していない様子だ。そしてリベちゃんが不安定になってしまった。

 不満気なジャス君に慰めるように命じる。なんで俺が、と言いながらジャス君はリベのところに行った。リベは不満の吐き出し方を殺人とセックスくらいしか知らない。

 どうなったかは知らない。恋愛は自由だ。翌日の2人の歩き方にぎこちなさがあった気がする……気のせいかもしれない。

 

「ひとまず地球軌道艦隊と合流するか……バスク・オム大佐が死亡したことを先方に伝えなければならないし、味方と合流したほうが良い」

 

 というわけで、地球軌道艦隊に合流した。シーマからの情報を伝えたため、艦隊が地球軌道上に集まっている。

 

 結論から言えば、地球軌道艦隊が戦闘をすることはなかったし、地球にコロニーが落ちることもなかった。

 

 結局デラーズ・フリートが行えたことは、フォン・ブラウンへの核攻撃と、月面都市への質量攻撃だ。

 

 アナベル・ガトーが行った核攻撃は成功し、見事にフォン・ブラウンのアナハイム本社社屋の直上で核弾頭が炸裂した。ガトーは核爆発の余波で死亡。ガトーの援護を行ったジオン残党も、月面方面軍により排除された。

 

 アナハイム本社社屋が吹き飛んだため、サイド5への工業コロニーの移送は中止となった。

 エギーユ・デラーズはサブプランとしてインビジブルナイツによりコロニージャックを目論んでいたようだが、目標のコロニーの移送が中止されたため、水泡に帰したようである。

 

「衛星やコロニーのデブリによるケスラーシンドロームか……エギーユ・デラーズは大した戦略家だよ。ははは」

「笑い事じゃないですよ…! アナハイム・エレクトロニクスが地球連邦破産法第11条(チャプターイレブン)を申請してるんですよ。地球圏の経済はおしまいです…!」

 

 フォン・ブラウンが核攻撃され、月の主要航路にデブリや資源衛星の破片がバラ撒かれケスラーシンドロームが生じている。

 プロミネンスがコロニージャックを阻止したのに、この結果である。

 

 2階級特進したバスク・オム()()は、コロニージャックを防ぎ、地球へのコロニー落としを防いだ英雄として祭り上げられていた。

 スクリーンに映る、敬礼をしながらマゼラン改と共に消えていくバスクの姿に私は失笑を隠せなかった。映画自体は良かったけれど。

 

 プロミネンスは上にコイツらを調子に乗らせるとマズイという判断がされたのか、映画に登場することはなかった。

 それどころか、連邦保安局によるアナハイム社グラナダ支社への家宅捜索の結果、プロミネンスがジオン残党の非常に重大な脅威であるために、核供与をしたという証拠が出てきてしまった。

 

 そのため政治が働き、統合参謀本部第四局に圧力が掛かったためプロミネンスは解散となった。アナハイムへの忖度である。もう死に体なのにすごい。影響力がヤバいぜ。流石はアナハイムだ。

 元々が水天の涙作戦を阻止するための部隊であり、遊撃部隊のため解散されるのは当然と言えば当然である。

  

 デラーズ・ショックやデラーズ危機と呼ばれるこの事件で、地球連邦政府は元より各サイド、ひいてはジオン共和国も多大な影響を受けた。

 

 デラーズ・ショックがあったと言うのに、ティターンズが作られる気配がこれっぽっちもない。

 正史においてティターンズを創設するジャミトフ・ハイマンは、ティターンズを作ろうとすらしていない。むしろジーン・コリニーから距離を置きはじめた。

 

 そして、なぜかジャミトフはブレックス・フォーラ准将と距離を縮め始めている。改革派に鞍替えしたようだ。エゥーゴを創設する気なのかもしれない。

 ティターンズはいないのにエゥーゴが出来そうなのだ。かなり奇妙な状況になっている。

 

 彼らの中でのティターンズ役はオーガスタ閥らしい。強化人間の製作と運用くらいしか非道なことをしていないんだが……??

 オーガスタ閥もあんまり悪いことをしていないので、エゥーゴになりそうなこの改革派も支持はされていない。

 

 そもそも経済が死んでしまったので、政治とか派閥闘争の余裕がないのだと思う。地球圏全土で品物が入らなくなったりしているからね。一部地域では飢餓も出ている。

 北米の穀倉地帯は無事なので、オーガスタ閥はそこまでダメージがない。オーガスタ基地でモビルスーツも設計開発できるし。一部の民生品や部品は入らなくなっているので、ちょっとした影響は受けている。

 

「ようやく佐官の教育が受けられる……ここまで長かった。ずっとジオン残党の相手をしていたから休める。私は参謀本部の椅子に座るんだ」

「グレイファントムも開店休業状態ですからね。経済が停滞してアナハイムも破産したので、さすがのジオン残党も元気がないですよ。というか、俺も少佐に昇進したんで、まさかの同期ですか?」

 

 そうなる。中佐に昇進することが確定しているのに受けていない少佐の教育を受けなければならない。それにしてもジャス君と一緒なのか……

 しばらくは前線はなしだ。ようやく一息つけそうだ。

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