【完結】私、ジャブローのモグラ志望って言いましたよね??? 作:むにゃ枕
目出度く佐官としての教育を受けられるわけになったわけだが、私が留守にしている間、グレイファントムの指揮官はマシケ中佐となる。
グレイファントムが大気圏内や宇宙を飛び回り残党を討伐するということは、予算の都合上難しい。
ジオン残党もウチもアナハイムからの資金が流れ込んでいた。そのため、残党はテロ活動が、グレイファントムは活発な戦闘が出来ていたのだ。
アナハイムが爆散したためもう動けない。動いても良いのだが、メンテナンス費用やパーツ代などはポンポン出ない。そのため戦闘なんかしたら大赤字になってしまう。
ちなみにアナハイム株を空売りしたため、私とクソ親父はガッポリ儲けた。オサリバン常務のことを正史で知っていたので、デラーズの声明が出された時点で可能な資金を動かしてそうしたわけなのだが、えげつないくらい儲かった。
軍人やめても食っていけるよこれ。金だけ有っても権力が伴わなければ意味が無いので、辞めたりしないけど。
これだけの金があれば、普通にメラン・メラーラの私兵集団を作れそうだ。ティターンズ作れるやん。
宇宙で海賊行為をしているジオン残党が、ジオン共和国に降伏する事案も増えている。海賊より降伏した方がコスパが良いらしい。
0082現在は、小康が保たれていると言って良いだろう。アナハイムが破産したため宇宙全体が冷え切っているとも言える。
「お久しぶりですね。ブライト少佐」
「これは、メラーラ少佐。ソロモン攻略戦以来ですか?」
学校では、思いもよらぬ出会いがあった。ブライトである。ちょうど同じタイミングで出世したようだ。
「そうなりますね。一年戦争からずっとジオン残党の相手でして、ようやく佐官としての教育を受けられます。少し近況報告といきませんか?」
私はブライトを喫茶店に誘った。学校内にある店で、機微な話もしやすい。
ブライトはホワイトベース隊が解散してから、閑職に回されたらしい。
アムロ・レイの乗ったアレックスは、ア・バオア・クー攻略戦で異常な強さを発揮している。上層部がホワイトベース隊によるニュータイプの反逆を恐れるのも分かるくらいだ。
アレックスに乗ったアムロ・レイとか、戦場で友軍にいたら、私でも拝んだり崇めたりしそうになるもん。
あの戦闘に参加した兵士が、アムロ・レイのアレックスに対して信仰に似た感情を、濃淡はどうであれ抱くレベルだ。
ホワイトベースはアムロの頑張りもあり、ア・バオア・クーでは撃沈されていない。しかし、ア・バオア・クーに着底した際にフレームにダメージを受けたらしく、モニュメントとして戦争博物館に飾られている。
「ホワイトベース隊のクルーはどうなりました?」
「それぞれの進路を歩んでいます。軍に残った者は、私も含めて主流派には乗れていません」
それはそうだ。詳細な軍事技術も政治も分からない少年撃墜王を出世コースに乗せていたらビビる。
「アムロくんはどうしているんですか?」
「彼は前線での戦闘経験を活かすため、教官を進路として選択しました」
「それは良いですね。後進の育成こそ今の連邦軍に必要なものです」
正史通りだな。軟禁されているのだろうか? ブライトは、コーヒーに口を付け、少し躊躇してから口を開いた。
「これからとても失礼なことを言うのですが、メラーラ少佐。あなたの評判はとても悪い。ジオン残党の捕虜に対して拷問を行ったり、降伏した捕虜を殺害しているという噂が流れています」
紛れもない事実だ。ジオン残党くらいそうしても良いだろ。コロニーに毒ガスを撒いたわけじゃないんだ。圧倒的セーフである。
「戦争ですから、そういうこともあるでしょう」
「……公的にはジオン公国は降伏し、戦争は終わっているんです。あなたは素晴らしい指揮官でありパイロットだ。模範的であれとは言いませんが、私のように左遷されては連邦軍の損失になります」
ブライトはめっちゃ真面目だ。理想的な将校である。
「エギーユ・デラーズの引き起こした戦争は、地球圏に甚大な損害を齎しました。連邦政府が存続するためには、多少の乱暴な手段も必要でしょう」
「それは……否定は出来ません。しかし、秩序あっての軍だと私は考えます」
「秩序を墨守するだけでは、守れるものも守れません。ジオン残党は依然として脅威で有り続けています。多少の軍律を犯してでも、死にかけの病人である連邦政府を延命し、より良い秩序をもたらしたいと私は思っています」
私が将来的に寄生するための連邦政府が崩壊したら意味がないからね。連邦政府には強くあってもらわないと困る。
ブライトは暴力は秩序に基づかなければならないと主張しているが、私はそうは思わない。
秩序の裏には暴力があり、秩序を維持するためには暴力が必要なのだ。
「……人は変わります。あなたが権力を握ったとして、あなたの考えが変質しないとも限らない」
「なら、ブライト・ノア少佐。あなたがそれを内部から止めれば良い。私は、ジオン残党を討伐するための組織を設立しようと考えています。組織名は……ティターンズ。ブライト少佐、ティターンズに参加していただけませんか?」
私とブライトの間に沈黙が生じる。マトモな感性を持っているブライトはストッパーとして優秀だろう。
私は戦場での感性が麻痺しているため、30バンチ事件のようなことを起こしてしまいそうだと、心の奥底で思っている。
「私もジオン残党のやり方には思うところがあります。それにあなたを野放しにしたくはない。ティターンズに参加しましょう」
勝った! 第三部完!
「ただし、ジオン残党への過度な暴力や虐殺に関しては譲れません。そこは是正していただきます」
「それに関しては、私も同意する。別にやりたくてやっているわけじゃないからな」
ブライトは鳩が豆鉄砲を食らったような表情を浮かべていた。私が好きでジオン残党を拷問してたり、殺したりしていたと思っていたのか……
あれは強化人間のストレス解消法としてやっていただけだ。ジオン残党ムカつくし、別に良いかな〜とは思っていたけれど。
「だったらどうしてやっていたんです???」
「部下のガス抜き」
頭が痛そうなブライト。強化人間を運用しているんだからコラテラルダメージだと思うんだけれど、世間はそう思っていなかったようだ。
「もしかして、グレイファントム隊ってジオンに対して憎しみを持っている極右だと思われている??」
「はい」
はいじゃないが??
「悪い噂だとバスク・オム少将の乗艦を、わざと敵の前に無防備に曝け出し謀殺したというものもあります」
やってねぇよ!!!!
ブライトから聞いた噂を纏めよう。
一年戦争におけるメラン・メラーラ大尉(当時)は、父親であるオルト・メラーラ少将(現中将)から、コネで新鋭艦であるグレイファントムと新型モビルスーツを入手した。
その後、オデッサ作戦で敗北し宇宙に上がってきた無防備なジオンのHLVに対して一方的に攻撃し、虐殺を行った。
コンペイトウにおける警備任務では強化人間である少女を使用し、ジオンのニュータイプと交戦した。
ア・バオア・クー攻略戦では、強化人間の製作をしているオーガスタ研究所のために研究データを収集した。
戦後は、ジオン残党の捕虜に対して虐殺と拷問を行い、苛烈な戦闘を行っていた。
デラーズ紛争においては、強化人間を使用し友軍指揮官であったバスク・オム大佐(故人)を謀殺する。バスク大佐とは直前の会話において諍いが生じていた。
父親であるオルト・メラーラ中将は、参謀本部第四局局長でありオーガスタ研究所と深く通じている。
と、こんな感じだ。すごく外聞が悪いということは分かった。
「ブライト少佐、これは誤解なんだ。これは罠だ…! 陰謀だ! 私を貶めるための陰謀だ!」
こんなことしてないもん! したけど…! 誇張されてる!!
「メラーラ少佐は危険人物だと言われています。しかし、私には以前の印象から変わっていないと感じられたため、あなたに協力することにしました」
もしかして、連邦軍って私が思っているよりもマトモなのか??? 停戦を無視して敵を撃つような雰囲気の部隊ってウチだけなのか??