【完結】私、ジャブローのモグラ志望って言いましたよね???   作:むにゃ枕

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12 ティターンズを自称する一般オーガスタ閥

 連邦正規軍の大部分にバスク・オムの同類と思われていたらしい。めちゃくちゃショックだ。

 

 そんな苛烈なことはしてない。降伏しようとしたジオン残党にグレイファントムのメガ粒子砲をブチ込むくらいはセーフだと思う。

 民間人虐殺とかしてないのに……

 

 あとは冷血女とか、レズのサディストとか、クソみたいな噂がたくさん出てきた。

 

 噂の出所は改革派である。この派閥はジャミトフ・ハイマン准将とブレックス・フォーラ准将がなぜかくっついて生まれた。

 オーガスタ閥の将官クラスはあぶれていたので抱え込んだジョン・コーウェン中将を筆頭にオルト・メラーラ中将、ゴドウィン・ダレル少将などである。

 

 オーガスタ派やオーガスタ閥と言われるうちの派閥だが、はっきり言って政治力が弱い。

 

 コーウェン中将は、優秀ではあるが政治力皆無だ。正史においてうっかり核弾頭を試作機に積み込んでパクられて、全責任を被せられるおっさんに有能さを期待してはいけない。

 しかし、連邦政府や連邦軍が強くなければならないという意見を持っているのは彼の長所だ。ゴリゴリの改革派と言える。

 

 オルト・メラーラ中将には特に政治的な思想はない。スペースノイドが勝とうがアースノイドが勝とうが、自分の地位が脅かされなければ良いと思っている。

 はっきり言って金と権力が好きな凡人だ。ジャブローのモグラである。しかし、権力を維持する手法は本物であるため、頼り甲斐はある。娘である私の言うことならだいたいのことを聞いてくれる。

 

 ゴドウィン・ダレル少将は、ゴリゴリの将軍である。後方でモニョモニョやっているコーウェン中将や、クソ親父とは違う。

 たまにペガサス級サラブレッドに乗って、前線指揮をしているタイプだ。思想的にはゴリゴリの改革派であり、プロミネンスの生みの親でもある。

 

 連邦軍の中の極右でジオンぶっ殺す派であると軍内から見られているが、そんなことはないはずなのだ。

 政治センスがなく、言われ放題となっているだけである。

 

 無事に中佐になった私は、ティターンズを設立するために動くことにした。まずは、正史においてティターンズを設立したジャミトフ・ハイマン准将に会いに行くことにした。

 一介の中佐が准将に会うのは難しいと思うが、こちらは統合参謀本部第四局局長の娘である。コネのチカラ、お借りします!

 

「メラーラ中将の娘か。噂は聞いている。連邦軍の苛烈な焰であり剣であるとな」

「そうですか。私としては自覚はありません。為すべきことをやっただけです」

 

 ジャミトフ・ハイマン准将は、フットワークが軽いようで、すんなりと会うことが出来た。コネは要らなかった。

 応接室のソファに腰掛けるこの老人は、眼光が鋭くその身に相応しい信念があるように見える。

 

「ジャミトフ閣下は現在の地球圏についてどう思っていますか?」

 

 聞きたかったことをいきなり聞く。ジャミトフにティターンズを作る意思があるかをはっきりさせておきたい。

 

「くく。随分と大きなことを聞く。デラーズ・ショックにより地球圏は大きな経済的損失を被った。連邦軍が掃海をしているが、月の交易路はまだ完全には復旧していない。連邦政府は転換点を迎えている」

「スペースノイドやジオン残党のやり方に、多くの市民や軍人が不満を持っています。連邦軍人として、閣下は憤りを覚えないのですか??」

 

 ジャミトフの口角が上がる。それから、彼は失笑した。

 

「くくく。ははは。いや、失礼。なかなか面白いことを言う。連邦軍人としてはもっともだな。事件を起こしたジオン残党に報復するというのは真っ当な思考だ。だが、経済がそれを許さないのだ」

「……秩序あってこその経済です。連邦軍として、精鋭部隊を用意しジオン残党を徹底的に叩くべきでしょう」

「面白いな。もっともな意見だ。若人はそうでなければならん」

「ジャミトフ閣下の意見は違うと?」

 

 ジャミトフは、一切の迷いなく違うと言い放った。

 

「私は一年戦争の折りに、ギレン・ザビの主張にも一抹の正しさを感じた。現在の連邦政府は、スペースノイドのコロニーに経済を依存し、地球に寄生する蛆の集団だ。

 地球は美しくあらねばならない。そのためには、巨大な戦禍が必要だと思っていた。連邦政府の一部組織を先鋭化させ、スペースノイドとの分断を煽り、大戦争を引き起こす。これにより、人類は選別され優れた種が生き残る。まさしく適者生存だ。

 地球に寄生する連邦政府高官や不法移民を自然淘汰し、新たに洗練されたシステムを構築しなければ、人類に未来はない。デラーズ・ショックの前までは、私はそう考えていた」

 

 ここで殺した方が良いかもしれないな。シャア・アズナブルと共鳴しそうな厄介さがある。

 

「しかしデラーズ・ショックにより、今の世界は経済的に大きく落ち込み、人類の淘汰がはじまっている。

 だからこそ、私はより弱いスペースノイドの側に立つことを選んだ。

 アースノイドのポピュリズムを受け入れる役は、メラーラ中佐、他ならぬ君がやれば良い。君は優秀だが少々勝ちすぎた。

 ヘーゲルの言う止揚(アウフヘーベン)だ。争いの果てに連邦政府の改革がある。痛みを伴わなければ改革は成し得んからな」

 

 目の前の男が、厄介な老害だということが分かった。

 

「つまり、肥大した連邦政府の改革のためには、人口淘汰と戦争による痛みが必要だと言うことですね。閣下は、スペースノイドの側に立ち、スペースノイドと改革を進めると?」

「スペースノイドとではない。連邦政府の改革のためには、彼らのような研磨剤が必要なのだ」

「であれば、研磨剤として反スペースノイドを利用しても構わないのでは?」

「制御できぬ焰は、森でさえ灼き尽くす。私とて渾沌を望むわけではない」

 

 このジジイとは意見が合わないということが分かった。私としては、テロリストであるジオン残党を全部ぶっ殺せば、連邦政府の延命が図れると思っている。そのためのティターンズだ。

 ジジイは、葛藤や混乱の果てにより良い連邦政府を作り上げることが出来ると考えているようだ。そのPDCAサイクルに耐える体力は、現在の連邦政府に無いって言ってるだろうが!!

 

 私としては、連邦政府は一年戦争で瀕死になったためこれ以上のダメージを与えたくないと思っているのだが、ジャミトフは違うようだ。

 このジジイとは分かりあえないことが分かっただけマシとしよう。これならバスクと組んだ方が良かったのかもしれない。

 

「私は、連邦政府という体制を守るために軍事組織が必要だと思っています。ジャミトフ閣下、協力していただけませんか?」

 

 ダメ押しだ。思想が違うのに協力してくれるわけがない。

 

「残念だがその頼みは聞けん。だが、君には期待している。筋道は違うが、連邦政府を想う同志だ。メラーラ中佐」

 

 ジャミトフは私に敬礼し、そう言い放つと応接室を出ていった。

 残されたのは解釈違いを発生させた私だけである。

 

「……やってやろうじゃないか! ティターンズ司令官になってやる!」

 

 

 というわけで、将官の皆様に議会で運動してもらい。ティターンズを作りました。

 ティターンズ総帥はジョン・コーウェン中将だ。彼は単なる飾りである。

 そしてオルト・メラーラ中将の統合参謀本部第四局が、ジャブローからオーガスタ基地の地下施設に移ってきて、前線部隊のバックアップを行ってくれる。ゴドウィン・ダレル少将はオーガスタ基地の基地司令となり、本拠地であるオーガスタを固めてくれている。

 

 もちろん前線指揮官は私だ。果たしてこれは、ティターンズなのだろうか??? 正史のものより規模が貧弱だし、本拠地はオーガスタ基地だ。

 プロミネンス2.0って感じの部隊である。所属艦はグレイファントム、サラブレッド。建造されたばかりのアルビオンだ。

 

 即応出来る部隊はペガサス級がたった3隻だけ。しかも、2隻は一年戦争からの古いフネである。あとのフネは既存の部隊の装備更新後に、来るかもしれないし来ないかもしれないという体たらくだ。

 

 議会の支持もそれほど得られていない。これは、連邦政府が社会保障費や軍事費を大幅に削減し始めたからである。

 デラーズ・ショックで歳入は減っているが、月航路の復旧やコロニーの再建のために歳出は増えている。

 

 コーウェン中将がGP計画について議会で食い下がっていたが、もちろん却下された。デラーズ・ショックで年代がバグったように感じるがまだ0082の終わりなのだ。

 ジオン残党のせいで経済がぶっ壊れたのだが、ジオン残党に対するヘイトよりも、自分の部隊を維持することに必死になっている感じがする。

 

 議会の反応は、ジオン残党は憎いけど、金を出せと言われてももっと優先するところがあるじゃん……みたいな感じである。

 

 あまりにもショボいティターンズだ。もう、ポケットマネーを突っ込むしかない。

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