【完結】私、ジャブローのモグラ志望って言いましたよね???   作:むにゃ枕

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15 なんか赤くて情けないやつ

 30バンチに到着した我々は、サイド1の駐留艦隊と交渉を行った。こちらの兵力はペガサス級3隻、サラミス改が6隻といった塩梅である。

 ティターンズを名乗るには少なすぎる兵力だ。もっと欲しい。

 

「こちらはティターンズ総司令官メラン・メラーラだ。サイド1、30バンチにおいて、旧ジオン公国軍人であるシャア・アズナブルとビスト財団の取引が行われるという通報があった。連邦法に基づき業務を執行する。サイド1駐留艦隊には速やかに道を開けていただきたい」

 

 こちらは連邦法に基づいて業務を執行していますよというアピールをする。ジオン残党に与するなら滅ぼしたいが、そんなことをしてはいけない。政治力がないので、良いことしてますアピールをしないと孤立無援になってしまう。

 

 コロニーを守るように布陣している駐留艦隊の返答はNOだった。

 

「サイド1駐留艦隊には、サイド1に住む市民を守る義務がある。ジオン狩りのメラン・メラーラ中佐とその麾下の艦隊を通すことは、サイド1の安全保障上看過できない」

「我がティターンズには、地球連邦政府へのテロ活動に対して鎮圧する権限が与えられている。連邦警察からもサイド1、30バンチに対しての強制執行の許可が下りている。これは連邦政府の正式な命令であり、拒否権は無い」

 

 こっちは連邦政府と連邦警察の正式な許可を取っているんだ。お前らを沈めた後に検めても良いんだぞ。

 マズイ。私の性格がどんどんバスクっぽくなっている。そもそも私はあんまり善良なタイプの人間ではないのだ。

 

「連邦政府が信用できないのではない。メラン・メラーラが信用出来ないと言っている。スペースノイドに対する差別意識の塊を、サイド1に入れることを認めるわけにはいかない」

「あ?? メガ粒子のカタマリをぶち込んでやろうか??? 私が狩っているのはジオン残党でスペースノイドではないんだが?? サイド1の市民がジオン残党に巻き込まれて死ぬ可能性があるのは、ジオン残党を匿い場所を提供しているそちらの責任でしょ。つまり、退けよ」

 

 サイド1の駐留艦隊はなかなか骨がある部隊だ。G3ガスがあれば30バンチに流し込んでやりたいくらいだ。

 言い争いをすること数十分。そろそろ私の堪忍袋の緒が切れるころに、タイムリミットがやってきた。

 

「こちらはエゥーゴのブレックス・フォーラ准将だ。サイド1駐留艦隊の諸君、御役目ご苦労。諸君らの奮闘に感謝する」

「チッ、時間切れか……」

 

 エゥーゴの艦隊が到着し、サイド1駐留艦隊と合流していく。エゥーゴとサイド1駐留艦隊が合流したことにより、こちらにあった数の利が失われた。

 

「ブレックス・フォーラ准将、ティターンズ総司令官メラン・メラーラ中佐は、ラプラスの箱の受け渡しに関して、ビスト財団の関係者を交え会談を行うことを提案する。我々としては武力行使はしたくない。是非とも会談に応じてほしい」

 

 というわけで交渉フェイズである。ここでラプラスの箱をティターンズに渡しますってなれば良いな〜。

 多分、そんなことにはならないけどね……

 

 というわけで、サイド1駐留艦隊に所属するマゼラン改にて会談が行われることとなった。

 こちらからは、ティターンズ総司令官として私が出る。あと、ブライトとアムロを連れていく。

 

 エゥーゴ側からは、ブレックスと自称クワトロ、そして謎のツインテールピンク髪ガールが出るようだ。誰だこのピンク髪は?? 強化人間?? 

 

「ブレックス准将、キャスバル・レム・ダイクン。会談に応じてくれて感謝する。こちらの要求は、ここに纏めてある」

 

 ティターンズにラプラスの箱を渡せということを、オブラートに包んで書いたものを渡す。

 読み終わったブレックス准将は、破廉恥な!! と叫んだ。

 

「メラーラ、貴様は恥知らずだ! スペースノイドを一方的に搾取するだけの地球連邦に盲目的に従うだけの蛆虫め! 恥を知れ!」

「は?? 准将こそキャスバル・レム・ダイクンにニュータイプを優先するという宇宙世紀憲章を渡して良いわけが無いでしょうが!!! そこのグラサンファミコン野郎がスペースノイドの未来なんて考えているはずがない! どうせ女のことばかり考えて隕石を落とすに決まっている!! なら、我々ティターンズがこの事実を隠蔽するか、然るべきタイミングで然るべき人間によって発表するべきでしょうが!! そこのシャア・アズナブルに任せるべきではない!!」

 

 クソボケが!! シャアなんてフィフス・ルナとアクシズ落とすに決まってるだろ! 良いからティターンズに渡せ!!

 

「クワトロ大尉、君からもこの恥知らずに言ってやれ。スペースノイドの代表として、連邦政府を改革するのだろう??」

「……ええ。連邦政府は改革しなければなりませんからね」

 

 おい! 目線が泳いでいるぞ! 右上の方を見て視線を逸らすな!

 

 実のところ、シャアは、この事態を全く予想していなかった。ラプラスの箱についても不明瞭な知識しかない。

 それもそのはずだ。ブレックス・フォーラは、シャア・アズナブルを単なるスピーカーとして考えており、ラプラスの箱についての詳細な内容を知らせていなかったのである。

 

「シャア、これがラプラスの箱の中身だ。お前はこれをどう考える?」

「箱の中身だと?」

 

 アムロから渡された箱の中身とされるものについて書かれた資料をシャアは興味深く眺めた。

 

「ふっ、エゥーゴとティターンズが戦争をするにはくだらなすぎる。ブレックス准将。こんなもので連邦政府を打倒出来ると?」

「クワトロ大尉。いつ私が打倒すると発言した? 箱を使用し現連邦政府を改革する嚆矢とするだけだ」

 

 シャア・アズナブルには、深遠な政治思想はない。しかし現状のティターンズが幅を利かせる地球圏を良いものとは思っていなかった。

 宇宙へと全人類を上げ地球連邦政府を改革しようなどとは、この時点のシャアは本心から思っていない。

 

「私は地球連邦政府に改革が必要だと思っている。そのためには、ジオン・ズム・ダイクンの息子として道化となりスペースノイドの蒙昧を啓く。そのためには武力行使もやむを得ないと考えている。地球にしがみつく老害を排除しなければならない」

「何を言うかと思えば、テロ予告か?? お前のようなテロリストが地球連邦政府を揺るがそうとする。私は現状の連邦政府に満足しているし、テロ行為を行うジオン残党には容赦しない」

「連邦政府の中将の娘が政治を語るな! 貴様のような権力にしがみつく寄生虫が、改革の芽を摘んできたのだ! テロリズムに頼ってでも連邦政府は改革しなければならない!」

 

 メラーラが無言で中指を立てた。

 

「私は参謀本部中将の娘であって、その私が自分の利益のために動いて何が悪い?? 広大な宇宙に住むようになった人類には、強大な政府が必要だ。まさか民族自決とでも言うつもりか?? デラーズ・ショックによって破壊された月航路を建て直したのは連邦政府だぞ?? テロで社会不安を与えることよりも、畑でも耕したらどうだ? そちらの方が建設的だぞ」

 

 メラーラの言い草は、地球連邦政府の代理人の物言いであった。スペースノイドをまったく視野に入れていない。

 そのあまりにもジャブローのモグラぶりに、シャアは怒りを抑えられなかった。

 

「痛っ! ちょっ、待っ、やめ、やめろ〜!!」

「黙れ!! この恥知らずの豚が!!」

 

 メラーラに掴み掛かったシャアを、アムロが振りほどきそのまま抑えつける。メラーラは涙目になりながらブライトの背中に隠れた。

 

「アムロっ、この女に味方するのか!? この連邦政府の豚に?」

「メラーラは確かに連邦政府の走狗だ。だが彼女にだって理はある」

「どんな理だ? 元をと言えばこいつがララァを!! この女さえ居なければ!」

 

 ブライトが揉める2人を引き剥がしに掛かる。シャアは顔に出来た傷を抑えながらよろめきつつ席に戻った。

 

「ティターンズのブライト・ノアです。ブレックス准将、メラーラ中佐は引き渡しを求めましたが、私としては箱をティターンズに引き渡す必要はないと考えています。 

 我々はテロリストの討伐のための組織であり、スペースノイドの虐殺を行う組織ではありません。ジオン・ズム・ダイクンの息子()()がニュータイプの権利宣言を行うことは問題です。こちらもその宣言にティターンズも関与させていただきたい」

「と言うと?」

「連邦軍のニュータイプであり撃墜王でもあるアムロも、その宣言に加えてもらいたいのです」

 

 アムロが嫌そうな顔になっている。しかし、ブライトは無視した。会談の可能性としてアムロに了解を取っているのだ。問題はない。

 

「なるほど。我々としてはそれで構わない。それで、メラーラ中佐としては構わないのかな?」

「ええ。不本意ですが同意します。しかし、シャア・アズナブルの行うテロ行為に、エゥーゴが加担するようであれば、ティターンズは容赦なく対処します」

 

 シャアは、アムロをじっと見つめながら口を開いた。

 

「アムロ……私と決闘しろ! これを認めるなら私はティターンズとの合同声明に応じる」

「決闘だと…?」

「私はお前と戦いたかった。ア・バオア・クーでは不完全燃焼だったからな」

 

 アムロはドン引きした様子だ。しかしブライトに説得され、首を縦に振った。結局のところシャア・アズナブルの鬱屈した精神は、アムロ・レイとララァ・スンに縛られているのである。

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