【完結】私、ジャブローのモグラ志望って言いましたよね??? 作:むにゃ枕
アムロ・レイの操るアレックスと、高い練度のパイロットが乗るジム・クゥエル。それらは、瞬く間にシャア・アズナブルが率いるエゥーゴを蹂躙した。
エゥーゴの内部が混乱していたこともあり、熱したナイフでバターを裂くようにエゥーゴは崩壊していった。
とまあ、そこまでは良かった。問題は大敗したシャア・アズナブルがジオン共和国に逃げ込んだことである。
ティターンズは、ジオン共和国にシャア・アズナブルの引き渡しを求めているが、にべもなく断られた。
「シャア・アズナブルはジオン共和国軍に降伏しており、彼の身元はジオン共和国軍が確保しています。なので、その身柄を地球連邦軍に引き渡すことは出来ません。地位協定に基づいた引き渡し協定は、ジオン共和国とは正式に結ばれていませんからね」
確かに連邦政府地位協定は、一年戦争以前のサイド3政府と結ばれたものだ。ジオン公国とジオン共和国の連続性を考慮すれば、否定することも出来なくはない。しかし、70%くらいはこじつけだ。
無理がある。ティターンズは連邦正規軍なのだ。連邦正規軍を舐めるのもいい加減にしてほしい。
「アクシズが到達するまでの時間稼ぎか? 我々しか部隊が動いていないことを見て、アクシズと協調すれば勝てると思っているのか? 連邦政府は鈍重かもしれないが動くべき時は動くぞ。我々に降伏するべきだ」
「もちろん、地球連邦政府の構成国家としてジオン共和国は、連邦政府への協力を惜しみません」
ジオン共和国がもにゃもにゃ言い訳をしているうちに、アクシズがサイド3の宙域に入ってしまった。
アクシズはズムシティの至近宙域に駐留している。これはもう黒だ。ティターンズ単独でアクシズを攻撃し、サイド3への侵入を防ぐということも考えたが、失敗した時のリスクが大きすぎたため、そうしなかった。
アクシズは変わらずズムシティ付近に駐留している。我々の艦隊は、ジオン共和国の艦隊と睨み合う形だ。
「向こうが撃ってきたら、こちらも応戦しろ。命令があるまでは、砲門を開くなよ」
「了解。高熱源体、複数がアクシズへ接近しています。モビルスーツのようです!」
「友軍機か? いや、違うコイツは…!」
モビルスーツではなくモビルアーマーのような出力だ。連邦軍にこの類型の機体はいない。まるで体系の違う技術だ。
「アクシズ、核パルス推進部に巨大な熱核反応! おそらく核ミサイルが命中しています! アクシズ推進部臨界に達します!!」
アクシズの核パルスエンジンの冷却システムが破壊されたようだ。動いている状態でなくとも、炉は完全に落ちていなかったのだろう。
ゆっくりとアクシズが溶けていく。そして、分断された破片が爆発により推進力を得てしまいズムシティに向け動いていく。
「ジオン共和国軍、攻撃してきました!!」
「応戦しろ! 遠慮は要らん! 吹き飛ばせ!」
ジオン共和国軍の装備は、ゲルググのような一年戦争後期のものばかりである。当然、鎧袖一触だ。
エゥーゴはジャミトフとブレックスを失い、シャアが台頭して自滅した。
アクシズは核弾頭により吹き飛びズムシティは穴だらけに、ジオン共和国軍はこちらに喧嘩を売ってきたため、正当防衛で始末できた。あまりにもこちらに都合が良すぎる。
この展開は、連邦政府の中でも、特に保守派に利益が大きいものだ。ジオン残党も、スペースノイドに同情的なジャミトフもブレックスもいなくなってしまった。おそらく連邦政府に改革を迫る者は、もういないはずだ。
「いや、改革派なら私たちティターンズがいるな」
エゥーゴと30バンチ宣言をしたことで、我々は改革派と見られている可能性が高い。
個人的には、保守派のつもりだ。私が天下りした時にコロニーや小惑星が落ちてくる可能性は潰したかった。なのでそうした。
連邦政府の根本治療は不可能だ。61点くらいの状態でだらだら続いていってほしい。
この状況、保守派に仲間だと思われてないっぽいな。
「モビルスーツがすり抜けてきます! 恐ろしく速いです!」
「アムロに対応出来なければ無理だ。死を待つしかない」
そんなぁとオペ子が嘆いているが、仕方がない。ちょっと走馬灯が流れてきた。
GP01-SPはオーバーホールに回っており、私が乗っているのは骨董品のかつての愛機であったジムスナイパーⅡだ。
ティターンズの機体はジム・クゥエルで揃えており、エース向けにアレックスとか私のGP01のような特殊機体が配備されている。あんまり余剰機体は無いのだ。
ジム・スナイパーⅡでは、目の前のジ・Оに勝てるわけがない。というかこいつよく見るとジ・Оじゃないな……
「お初にお目にかかる。私はパプテマス・シロッコ。連邦軍特殊部隊ライヴラリの隊長だ。軍からは大佐の階級をもらっている」
「これはご丁寧に。私はティターンズ総司令官メラン・メラーラ中佐だ。それで、私とティターンズを消しに来たのか??」
「そう結論を急ぐな。メラン、私と協力する気はないか?」
おそらくジャミトフとブレックスを殺したのはシロッコだ。エゥーゴに潜ませていたスパイを使ったのかは不明だが、ストッパーを失ったエゥーゴは暴走した。シロッコの目論見通りだろう。
そして、暴走したエゥーゴとティターンズを衝突させ、その後アクシズに核ミサイルを撃ち込み混乱を引き起こした。
シロッコの計算では、ティターンズは手痛い打撃を被っていたはずである。しかし、うちの部隊は一年戦争からそこまで基幹要員が変わっていない。練度が高かったゆえに、計算違いが生じたのだろう。
暗躍していたのはパプテマス・シロッコでしたというオチだ。控えめに言って最悪である。お前、帰ってくるの早すぎるぞ。
……よく考えたらシロッコが早く帰ってきたの、私というかデラーズのせいだな。デラーズ・ショックによって月航路が吹き飛んで流通が麻痺し、経済は危機的な状況に陥った。
モノは当然としてエネルギーにまでその影響は及んだ。そのため連邦政府の要請により、木星船団が予定を繰り上げ強行軍で帰ってきたのである。木星船団なんて、私に関係ないと思って存在を無視していたよ。
「協力? 走狗になれの間違いだろう? パプテマス大佐は、保守派に取り入って何をするつもりだ」
「賢い女は好きだ。だが、その物言いは良くない。女というものは男に傅くものだ。メラン、私と共に地球圏を支配しないか? もはや地球圏に脅威はない」
「断ったら?」
「抵抗する気か? 無駄だと理解しているのだろう? 30バンチ宣言は、地球に引き篭もった老人たちを驚かさせるのには十分だったんだ。そのおかげで、私の影響は膨れ上がった。連邦軍の長所は数だ。君が抗おうと数の利はこちらにある。大人しく降伏するのが手だ」
シロッコの発言に嘘はない。ティターンズ艦隊の数倍の数のフネがこちらを包囲している。大した数だ。この包囲からの脱出は難しいだろう。
おそらくこちら側であるオーガスタ基地も抑えられている。グリプスも占拠されている可能性が高い。統合参謀本部の第四局も潰されたかもしれない。
情報を寄越さなかったのを見るに、マンハンターやエコーズも取り込まれている可能性もある。
詰んでないか??
「……パプテマス大佐、あなたの目的を教えていただきたい」
「目的だと? さっきから言っているだろう。メラン・メラーラ。私は君を求めていた。地球圏には暫しの平穏が訪れる。私は、戦後の地球を支配するのは女だと思っている。重力に縛られた老人たちから、権力を奪い、君と世界を変える」
シロッコは人の革新を考えているらしい。木星帰りの男としてのキャリアを活かし保守派の老人共に取り入ったのだろう。老人たちは見事に騙されたわけだ。
むしろ老人のお溢れの金と権力が欲しいのは私だ。思想的には保守派と同じなのに、なぜ分かり合えないのだろう。革命なんて全く考えていないというのに。
「それはプロポーズのつもりですか?? 初対面の女に交際を迫り断れば殺すと脅すのは、気持ちが悪すぎますよ。マトモな男性がするべきではありません。失礼、パプテマス大佐はデザインチャイルドでしたよね。マトモな育ちじゃないから、そんな気持ちが悪いことも言いますよね」
普通にキショいよ。くたばれという気持ちを込めて、わざと丁寧なアドバイスをした。
「所詮は女か。これでは人に品性を求めるなど絶望的だ。舐めるな! メスブタッッ!!」
「生の感情丸出しだな! 自己を顧みてみっともないと思わなかったのか??」
えー、負けました。おいおい瞬殺だよ。
目覚めたらがっつりドレスを着せられており、ドアが開かない部屋に居ました。これは拉致監禁ですね。
シロッコに関しては全く心当たりがない。パプテマスさんは、私の何を気に入ったのだろうか? モビルスーツの進化が早すぎるし、ショボくれた地球圏でやる気に満ち溢れている。
彼の思想には全く共感していないし、そもそもシロッコの好みはサラとかの妹系じゃないのか???
目線を下ろすと、そこにはすとんとした平坦な胸がある。私の胸部装甲は薄い。いやいやいや違う。多分違う。
私は別に妹系ヒロインじゃないが???