弾倉に祈りを込めます   作:覚め

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シスターとはいえど、本当に申し訳程度のシスターになりそうな予感。


出会い

ある日突然の出来事だった。私が住んでいた教会において最も重要視されていた活動は村民との交流で、村の子供達と遊んでいた時のことだった。吸血鬼の襲撃が起こった。私達シスターや神父は皆教会に子供達を匿わせ、神に祈りを捧げながら吸血鬼たちが去るのを待つ。…そのはずだった。私は、何故だかよく分からない妖怪?と出会ってしまった。村民かと思ったのも束の間、引き連れている死体を見て違うことを確信する。十字架を掲げ、村民達を先に行かせる。動けないのか、こちらをジッと見つめたまま動かない。

 

「…っ!」

 

「おわっと」

 

決死の覚悟で走る。どの道教会はもう使えない。家に隠れていたほうがいいかも知れない。扉も閉めずに、息を潜める。ふと目の前に猟銃があることに気がついた。…こういう物を握ることは神父から辞めるように言われている。…でも、仕方がない。そう、仕方がない。家主に断りもなく棚を漁る。猟銃の弾があれば、あの妖怪?の気を引ければ。音次第では吸血鬼も来るかも知れない。…やる。弾をしっかりとはめる。少し大きくて手に余るのを実感する。十字架を握って目を瞑る。少しの間祈りを捧げる。

 

「…で、出てきなさい!!」

 

大声で、出来るだけ声を張り上げる。先程見た紅髪の妖怪?を探す。何回か手から落ちそうになる猟銃を、その都度必死に抱え直しながら。私が走ったのは教会とは別の方向だったから、教会には行っていないはず。そう願いながら歩いていたところ、妖怪を見つけた。こっちには気づいていないはず。猟師との話から、近くなければ当たらないことは知っている。ある程度近づいて…

 

「っ!」

 

乾いた音が響く。体にも響く。一発で当たるわけがないとは考えていた。だからなるべく早く弾を変えなければ。確か、横にあるレバーをなんとかすれば…出来た。もう一回構えようとして落とす。持ち直して、前を見たら目の前に妖怪?が。

 

「危ないですね」

 

「ひっ」

 

また乾いた音。耳がキーンと鳴りだし、私もよく分からない体制から転げてしまった。さっきのは当たっていなかったように見えたけど、流石に今のは当たったはず。離れながら妖怪?を見ると、手のひらから何かが落ちる。妖怪?が何やら上を見た隙にもう一度。乾いた音が止むまで猟銃を撃ち続ける。踏ん張りが効かなくて倒れてしまっても。これだけ大きな音が響いているのだから、吸血鬼もこちらに来るはず。祈りながら撃っていたところ、妖怪?が倒れた。服の何ヶ所かが赤くなっている。

 

「はぁっ…はぁっ…」

 

教会に行くか、大きな音で吸血鬼を呼び続けるか。手の元にある十字架を眺める。この日を乗り越えれば、この村は吸血鬼を撃退した村だと言われて栄えることだろう。祈りを捧げる人が増えるかも知れない。…教会の方に吸血鬼が行ったのなら、教会に向かえば良い。いなければ教会で待ち伏せができるし、出会えばそのまま逃げれば良い。神のご加護が有れば逃げ切れるはず。

 

「あら、美鈴はどうしたのかしら」

 

「っ…」

 

「息も…美鈴の奴、手抜きでもしたのか?…まあ良い、その形はシスターでしょう?私達吸血鬼は招かれないと入れなくてね。」

 

「う、嘘を…先程見た紅髪の妖怪?は死体を連れていました!」

 

「その死体を埋葬してあげたかったのよ。こう見えて私達は信心深いの。」

 

「…信じられませんっ…」

 

十字架を猟銃に添わせる。乾いた音が響いた。当たらなくても威嚇にはなると思う。急いで教会とは別の方向に走る。十字架を額に、祈りながら。私の住む村に、ご加護を。今回の被害者に安らかな眠りを。どうか、どうか。転んだところで走るのをやめ、走って来た方向を睨み付ける。…が、吸血鬼が来ない。周りを見渡す。吸血鬼はいない。空にも。猟銃を構えるのはやめない。…でも、一息を吐く。これもまた神のご加護があってこその結果、十字を切って神に感謝を伝える。

 

「流石に、祈りの籠った弾丸は怖いわぁ。」

 

「え」

 

「何よ。吸血鬼が弾丸で死ぬと思ってたの?まあでも…確かに、美鈴くらいなら動きは止められるでしょうね」

 

「…何を…」

 

「…いえ、祈りの弾丸…かな…?」

 

「何を…!」

 

余所見。猟銃を吸血鬼のお腹に当てる。乾いた音が鳴る。…でも、それはよく響く乾いた音ではなかった。私の押し当てる感覚がズレて転んでしまった。飛び起きることよりも先に、猟銃の重さに違和感。見てみると猟銃は折れていた。断面から先は吸血鬼が握っている。

 

「…これが銀の弾丸なら…まあ、私でも危なかったでしょうね?」

 

「はぁ…はぁ…」

 

「十字架なら意味はないわ。純銀で出来てるならまだしも、ねえ?ただの十字架にそんな力があるわけないでしょ」

 

「は…?」

 

吸血鬼が乱暴に私の髪の毛を引っ張る。でも、確かに吸血鬼は言った。招かれなければ教会の中に入れないと。…信じられない。精一杯の抵抗も、髪の毛がブツブツと破れていくだけに終わった。教会に着く頃には、私の服は土を被り、私の髪は長さがバラバラの歪な髪型となっていた。教会に着いたついでなのか、吸血鬼は私から手を離した。顔の痛みを感じながら、教会を見る。教会。そこに、教会はなかった。所々に石レンガが見える、赤色に染まった建物があった。

 

「…良い出来ね、美鈴。中の人間は?」

 

「三人は残しています。その人間がいるのなら必要はなかったですかね?」

 

「そんなことはないわ。それにこの人間…食えた物じゃないのよ」




レミリアとシスターの出会い見たいなものです。
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