弾倉に祈りを込めます   作:覚め

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思いついた日が吉日


異変発生

「…はぁ。」

 

説明を聞いた後の私はこんな反応をした。幻想郷に来て数日か、数週間か。それほど長くはないだろうが、目の前の吸血鬼が当然異変発生を掲げたのだ。目的としては、空を覆い太陽を隠すことで吸血鬼が外に出られるように、と言った話だそうだ。さらに人間に対し有害なウンタラカンタラ。プランを出すための行動としては些か大掛かり。構うことを言えばある程度出てくれるのではなかろうか。と、適当に考え話を聞き流した結果の返事が先程のはぁ、である。正直言ってどうでも良い。

 

「私は関わりませんので」

 

「何言ってるのよ。妖が闊歩するような場所で人間が暮らすんだから、人間側の強者が居るはずよ。」

 

「そうですか。」

 

「そうですか、って…まあ、言うとは思ってたけど。侵入を許したらマレンも会うのよ?」

 

「はぁ。」

 

言ったからね、と言ってどこかへ行った。はて、私が関係することとして挙げられるのはなんだろうか。当然答えは簡潔なものだろう。それほどにこの吸血鬼との関わりが少ない。同居人だから、と言った理由か。あり得ないことはない。人間は組織単位で警戒する。本当にあり得ない話ではない。実行は昼、恐らく来るのは夜。昼に来たらわたしが追い払えと言うことだろうか。まあ、そんなことはしないつもりだが。レミリアも体内時計と外の時間にズレを感じているのか、近頃はわざと早く寝ている気がするし。

 

「私の後に」

 

「咲夜の後ですか。であれば出番はないでしょう」

 

「…何故、そう言えるのですか?」

 

「勘です。あまり当てにはなりませんが。」

 

そう言ってから外から入る光の量が減る。始まり。レミリアがここに来るまで半日かかる理由として挙げたのは原因の特定が困難だからと言うものがある。空を覆う程のものがどこから出てるのかわかる訳ないでしょ夜になったらヒントをあげるわなどと戯言を吐いていた。私が戯言と切り捨てた理由として挙げられるのは、どこからか悲鳴が聞こえたからである。事前に察知していたか、それとも空を眺めていたのか。あまりにも速すぎる。一瞬眩い光の柱が見えたかと思えば、遅れて音が来る。…レミリアの言っていた人間側の強者、だろうか。

 

「弾幕ごっこですか」

 

「はい。ルールを覚え、当てた者勝ちという」

 

「私は空が飛べませんが。」

 

「あっ」

 

「どうやら、参加しなくても良さそうですね」

 

そもそも咲夜はどうして動けるのかという話だ。まあ、そこは知らない。要は私がレミリアのいない間にレミリアの代わりをしろという訳なはず。咲夜が追い払えないものを私が追い払うというのもできるかどうか怪しい話だが、まあそこを離しても意味はない。猟銃はいらないだろう。特に何もないことを告げて帰らせれば良いだけだ。ここを原因と突き止めたなら居座るかまた来るかするはず。…まあ、そのまま帰ってもらいたいが居座られた場合はどうしようもない。適当にする。

 

「…本当に、早い」

 

「そうか?私はこんくらいが普通だと思うけど」

 

「金髪の…奇抜な服装をした人に会うのは初めてですね」

 

「奇抜?魔法使いならこんなもんだろ」

 

「頭でも壊しましたか」

 

「なんだお前」

 

少し嫌なことをしてやろうと思い、両手を上げて何もないことを示す。人間だ。咲夜以外ではかなり久しぶりの人間。私も少し驚く。であれば、この人間が強者ということだろう。それを理解した上で、帰らせる。ここには何もない。ここに原因はいない。計画者もいない。だから帰れ。そう言うと何を察したのか、じゃあここに居座ってやると言って無造作に座った。わざとらしく汚い姿勢で座ったようにも見えたが、まあそこは良い。私が一番気になった点としては、本当に人間なのかと言うところ。弾幕ごっこで勝ったのだろうか。咲夜を突破してくるとは思わなかった。

 

「では、お話でも?」

 

「良いぞ。おもてなしは?」

 

「そのようなことを気にする方だとは。」

 

「私はこれでも繊細なんだ」

 

無視。話と言っても本当に話すものなどないため私はただ座って何かの様子を伺う。と、何故かいきなり自己紹介を始めた。霧雨魔理沙というらしい。…一体、なんのつもりか。そう思えどそれまで。相手の身の上話しを聞く。どうやら家出娘らしい。幻想郷の中で家出をし、家を構えて今は立派な大人だと主張するその姿は子供そのもの。身長も私の鳩尾あたりだろうか。シスターとして働いていた時はこの年頃の子供をよく見たが、家出することはなかった。それこそ親に甘えていた時期の子供もいたはずだ。発育に問題があるのかも。

 

「…何だ、その目」

 

「東洋には桜という綺麗な花があるらしいですね。私も是非、見てみたいのですが」

 

「残念だが時期が遅かったな。春に咲く。今は夏だ」

 

「…成る程。私はマレン。シスターをやっていました」

 

「…なんでこんな館にいるんだよ」

 

「さあ?」

 

春夏秋冬を巡る極東のこの島は、時期によって咲く花がガラリと変わるらしい。なんともわからない場所に移設してしまったか。適当なことを考えつつ魔理沙の話を聞き流す。話し方、背丈で見る分には子供だ。勿論これで子供じゃない可能性も捨て切れないが、まあ子供と断定しよう。レミリアが起きる時間まで待つもよし、痺れを切らして帰るもよし。帰って欲しいが、まあ多分帰ってくれないだろう。都合が悪い。とても。早く帰ってもらえないか。

 

「…そんなに帰って欲しいのか?」

 

「いえ。私の望む出来事のうち貴女が帰る方が早いと言うだけです」

 

「…それはつまり帰って欲しいんじゃないか?」

 

「まあ、私は弾幕ごっこは出来ませんからね。咲夜でも呼んでお茶の用意でもさせましょうかね。」

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