弾倉に祈りを込めます 作:覚め
「何してるのよ…」
「お、元凶ですね」
「成る程元凶か」
そう言うと魔理沙はすぐさま何かを取り出した。私は直線上に立たないよう移動し、とてもうるさい轟音が響く。…待て。今のはまさか魔法と言うやつか。轟音が止み煙が巻き上がりながらも壁の方に目線を向ける。煙が晴れていく。壁から見えるはずの赤色と違い、どこか赤黒い色が見えた。壁が壊された。猟銃はない。あの持ち出した謎の道具を奪い取らなければならないわけだ。ナイフで奪っても良いけれど、傷付けるのは避けるべきだろう。空を飛ぶ前に…もう飛んでる。さてどうしたものか。どうしようもないと言う見えた結論を隠すために美鈴でも呼ぶか。
「だからってバリアでもなんでも張れるわけじゃないですからね!?」
「さあ、早く。」
「あの」
「私が。猟銃で自棄にならないうちに。」
「…ズルいですからねそれ!本当に!」
「じゃあ猟銃取って来ます」
「えぇ!?」
猟銃を引き下げ現れた時には何故か美鈴が死にかけていた。レミリアは少しの傷だけで立っており、魔理沙は所々服に破れが見られる程度で疲れ果てたと言った顔をしていた。なんとも。壁を見てやれば穴は空いたまま。増えてもない。美鈴は役目を果たしたらしい。猟銃を構える必要はなさそうだ。さて問題は、それを見ているもう一人。赤い服を着ている、謎の少女。猟銃のレバーを引く。目線がこちらに移る。少女の周りに何やらわからない玉が出現。これ以上の壁の破壊はお断り。玉に向けて引き金を引く。
「っ」
「あぶなっ」
「その玉はもう使えませんね」
「陰陽玉のこと?…はぁ。別にそれだけじゃないわよ」
「?」
「危ない!」
少女が腕を振る。それと同時に私を衝撃が襲う。レミリアの羽に幾つかの穴と出血。…どうやら、助けられたようだ。刺さったままの部分を見るとそこには細い針が。雨であれば見えもしないだろう針を投げて来ていたわけだ。殺意高いな、思ったよりも。羽に刺さっただけのレミリアが痺れたように動かない。さてどうしたものか。まあ正確に言えばレミリアが異変を止めだと言えば終わる話なのだが、どうもその気はないらしい。私にはその気しかないのだが、この痺れた状態ではどこまで出来るのかもわからない。
「…さ、続きね」
「面倒な」
「じゃ。夢想封印」
レミリアを退かして床に敷かれたただ重たいカーペットをナイフで切り取る。ベロッとしなるカーペットを持ち上げ、死ぬことだけは避ける。光と背中を強く押される感覚。美鈴は…まあ、巻き込まれることは避けているだろう。魔理沙は知らない。壁を壊したのだからこれくらいは当然だと思う。そう思いながらもただ今の夢想封印とかいうのが終わることを待つ。…まあ、終わるのを待たずに出ても良いが、空は少し癪で。一際強く押される。どうやら終わったようだ。安心と共にカーペットの影から出たところに先程の玉。
「…気を、失っていたようですね」
「驚きよ。私が助けられたんだもの」
「はて。私も他人を庇う余裕はありませんでしたから。私と少女の直線上にいただけでしょう浅ましい」
「え、これで私が罵られるんだ」
「しかし、あんなにもあっさりと動けなくなるとは。」
「違うからね。あれ退魔の針みたいなものだっただけだからね。」
「胸に杭を打ち込んだのと同じようなものでしょう」
「…私、マレンを庇ったはずよね?」
それはさて置かれ、何故かわからないが宴会の申し出があるらしい。神社でやるとかなんとか。成る程わからない。…親睦を深めるという意味もあるのだろうか?気を失った直後にも関わらず用意しろと言われる。なんとも理不尽な話だと私は考える。まあ実際はそこまで理不尽ではないのだろうが。適当な服でもと思ったのだが、そう言えば服のほとんどが昔の物。考えるまでもなく虫食いが多い。パチュリーが用意するとも言いだしたが、私としては魔女に頼りたくない。…少し破けたこの服で行くとする。
「…恥ずかしくはないのですか?」
「足のほとんどを出している美鈴に言われたくないですね。」
「え、私の服ってそう見えます?」
「別に良いでしょう、腹だろうが背中だろうが」
「じゃあ私はマレンさんのお腹でも」
「咲夜、背負っている食料を」
「はい、美鈴。持って」
「あっおもっ」
特にやるつもりはない宴会に参加するとは、気の引けることだ。神社に辿り着き、隅で大人しくするかと意気込んで見たのだが、何やら面倒なことが起きた。赤い少女に異様に絡まれる。やれ同じような職だとか、同じ立場だとか、上が妖怪で嫌になるとか。神社なのに上が妖怪… ?となっていたところ、今度は変なことを喋り始めた。吸血鬼の下で何をやっているのか、私の酒が飲めないのか、私は何を食っているのか、酒が飲めないのか。…レミリアは何か気に食わなさそうな顔をしていた。なんだアレは?
「ちょっと、私もお話ししたいのだけれど?」
「すれば良いのでは?私は少し離れますので」
「あー、聖職者…」
「…勘違いしているようですが、今はもう聖職者ではありませんよ。それでは」
軽く手を振り、誰もいないところを陣取る。緑の葉だけが視界に映るよう顔を動かし、雑多な音も忘れてしまうようにボーッとする。何もなければ、それだけで何も考えなくて良くなる。明日になればいつも通り館で過ごす一日が始まるはず。ならば私も今まで通り館の中を自由に徘徊するとしよう。そんなことを考えて思考を終える。
「何考えてんだ、マレン」
「終わるはずの人生が終わらないものですから、無駄な時間の使い方でも。魔理沙は、どうです?終わる予定は?」
「どうだろうな。私が魔女になれば終わる予定もなくなるけど…」
「おや、それは良い。私は何故か終わらないので、どうも実感が湧きませんから。」
マレンはなんか知らんけど長生きしてるって認識だけどね。
一応、教会の何人かは知ってる設定だよ。