弾倉に祈りを込めます   作:覚め

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シスターなんてやってられねえ!!
ヒャッハー!!


初対面

こうして考えてみると、本当に長く生きた。シスターのときから今日まで、合わせて百年は下らない。私はどこで生まれていたのだろうか。いつ生まれたのだろうか。教会で皆と談笑した記憶が私を人間と呼んでいる。なら今猟銃を構えているのは?人を撃ち、吸血鬼に挑む。この行為の正当性は?ない。ふと、シスターの服なんて当分着てないことに気付く。そうだ。シスターは随分と昔に決別したのだった。…シスターの記憶なんて持っていても無駄かもしれない。

 

「…」

 

「もうお終い?最初だけは良かったのにねぇ…」

 

この吸血鬼にやられていなければ、本当にやっていたかもしれない。猟銃が手から離れている。私の手元にはナイフが一つ。それも折れたナイフが。ナイフが折れた怒りでさえ猟銃に込め切った。歯を食いしばる。全力で。無理やり起き上がり、ナイフに感情を込める。込め切る。悔しさを。するとどうだろう、折れたはずのナイフに感情の切先が出来た。顔面を狙い斬りつける。怯まない。胸に刺す。そのまま全体重で下向きに傷口を広げるように押し込む。吸血鬼の状態を確認せず猟銃を取りに行く。

 

「私、弾幕って聞いてたのよね」

 

「ヴァンパイアハンターも弾幕ごっこなら良いのですが。」

 

「…そうだ。美鈴を呼んで貴女について説明してあげる。もう限界でしょ。褒美よ」

 

「いりません」

 

乾いた音が響く。レバーを引く。

 

「私は満足。マレンもそろそろ満足でしょう?」

 

怯んでない。引き金を引いて乾いた音を出す。乾いた音に一瞬遅れて紅い血飛沫。通った?

 

「…はい、これで満足?」

 

レバーを引く。お願いだから真面目に倒れてほしい。乾いた音が三回。このくらいの復讐は許して欲しい。

 

「…はぁ。」

 

誰か、あの吸血鬼の殺し方を教えて欲しい。

 

「来るな」

 

「あのねぇ」

 

「っ」

 

気がつけばそこには吸血鬼が。一歩引こうとして猟銃を掴まれる。ナイフはない。引き金を引こうとするが、指が動かない。指を掴まれている。猟銃の先端がくしゃりと潰される。腹部に衝撃。痛みに悶えようとしたところで何かにぶつかる。頭を。何かと思い、痛みに苦しみながら真正面を見てやれば、そこにあったのは魔法陣。その先にいる吸血鬼が見ている方向を見れば、そこにはパチュリーが。これ以上の騒動は許さないと言う意思表示なのだろうとは思えた。

 

「…これ、どうする?」

 

「貴女が直せると思うなら直してみたら?フランの魔力なら出来ないこともないでしょ」

 

「随分とやったわねぇ。私が出たほうが良かったと思うけど」

 

「私が嫌なのですよ、霊夢。 」

 

「…アンタ、痛みとか感じないの?」

 

「その一瞬が過ぎれば大したものではありません。」

 

そう言って吐く。…それに、フランに関して言えば本気ではやっていない。魔法を一切使っていない。私も最後はつい神に祈りかけるほどに必死だったのに、その相手は余裕といった顔をしていたのが悔しい。仕方のないことだと頭では分かっていても、やるせない気分になる。吐いた分腹部はマシになった。問題は別。ナイフと猟銃。自分で挑んで壊れたものを理由に当たるのは哀れだろう。出来たことはナイフと猟銃を壊しただけと思えばいかに意味のないことだったかが分かる。

 

「…とりあえず、咲夜。美鈴を」

 

「はい」

 

「足、動きませんね」

 

「動いたら驚きよ。飛べもしないのに」

 

「パチュリーは?」

 

「倒れた本棚に埋もれて本探し。」

 

美鈴が来た。患部に手を当てようとして来たが拒否。立てないほどに酷使しただけであって、それこそ治らないような怪我はしていない。間接が一つ増えたわけでもない。なんなら人外なのであれば骨折は普通に治るはずだ。なら本当に関係がない。腕は動くし足もピクピクと動く。腹部も痛むだけで何も無いはず。文字通りフランは手加減をし尽くしたというだけ。本当に顔が歪む思いをさせられた。小悪魔がこちらを驚いた顔で見ている。一体何に驚いているのか私にはわからないが…

 

「マレンさんって服破けても気にしないんですか…?」

 

「同性ばかりですから。男性がいれば変わったかもしれませんね」

 

「シスターにあるまじき発言ですよそれ!」

 

「…あぁ、猟銃もナイフも無いんでした」

 

フランと美鈴が並び、こちらを見る。美鈴は困ったふうに、フランは怠そうに。何を話すつもりなのか。口を開いたのはフランだった。適当に聞き流していたが、私は孤児として教会に引き取られていたらしい。そんなことは知っている。そこに付け加えるように美鈴も話し始めた。喋らなくていいから黙ってて欲しいな。こちらも聞き流していたが、途中から聞き流せなくなるような情報が出た。私を拾ってから数日で私が人外であることが判明したらしい。種族も何も分からないが、とにかく人外であることは確かだったらしい。

 

「…貴女達の見立てではどのような人外に見えますか?」

 

「頭からツノでも生えてるんじゃない?そんなの知らないわ」

 

「私もですね。…あれ、これ私呼ばれた意味ありますか?」

 

「ない。もう失せて良いけど」

 

「そんなっ!?」

 

「マレンさんも小悪魔やってみます?」

 

「貴女と同じ種族はちょっと」




祈りの篭ってねえ弾丸で吸血鬼を殺せるわけねえだろ
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