弾倉に祈りを込めます 作:覚め
「あら、吹っ切れたの?魔法なんて学び始めて。」
パチュリーからの言葉は右から左へ。人外なんだから魔法を学んでももはや関係ないだろう、と思った末の行いだから合ってはいる。ただ、人外であろうとなかろうとやりたいことがある。猟銃とナイフの修繕。もちろんパチュリーに投げても良いが、それは故人のものだ。私が勝手に奪い取ったものだ。せめて私が壊したのなら私が直さなければ。と、必死に魔導書を漁っている。以前壊した時に直したのがフランだったから、少なくともそのような魔法はあるはず。
「…なんですか、小悪魔」
「いやぁ、やっぱり私とマレンさんは同族かなぁって」
「貴女のペット、何日で変えれますか?」
「二日」
「あ、ごめんなさいっぎゃ!?」
「良かったわね。体半分で許してくれるそうよ」
「よくないですぅ」
魔導書を閉じる。どうやらこれではなかったようだ。目的の魔導書を探すために棚から棚へ移動する日々。人外ならば寝る必要もないだろうと不眠で漁っている。つい先ほどレミリアから休めと言われた気もするが、まあ聞き間違いだろう。魔導書を引き出して机の上に置く。かなり大きめの音を出しながら。雑な扱いにパチュリーからの声が聞こえてきそうなものだが、問題はない。所詮は本。聖書を直しながら使っていた経験から本を復元するのはまだ得意な方だ。実際三冊ほど復元させている。
「…ないの?」
「そうですね。使える馬鹿がそこで不貞腐れていますから」
「同族だって認めてくれれば探せる気がするんですよねぇ〜…どうですかねぇ〜」
「この調子でして」
「体型からして別種よ。ちんちくりんと…ね」
「ひ、ひどい!私がいくらグラマラスだからって」
「この中で一番ちんちくりんなのは誰でしょうか」
「っ…」
パチュリーが歯噛みをしながらこちらを見てくる。人外なのに人間の女性かのような話をしてくるとは、これまた可笑しな話である。私が思わず笑うと、摩訶不可思議なものを見たかのような目で私を見てくる。私も元々人間をやっていた妖怪だから笑うし悲しむ。慈しむ。あんまり私に妖怪を求められても、と言う感じではある。魔導書に目を落とし、描かれている魔法陣を解読する。どうやらこれも違うようだ。まあ…仕方ない。癪ではあるが、苦虫をすり潰し良薬として飲み込むような気分ではあるが…。
「はい、同族ですね」
「え!?そんな、良いんですか!?」
「ですからさっさと場所を」
「はい!えーと…あ、魔理沙さんに持って行かれてますね」
「パチュリー、今回だけ、ナイフだけ直してもらえますか?」
「落ち着きなさい。」
「そこの小悪魔を刺すだけです。宜しいでしょう?」
「なんで!?」
パチュリーから何かよくわからない魔法をかけられ、変な物を着せられ、いざ邁進。小悪魔を掴んで。小悪魔が私を同族だと思っていた理由として、魔力とかそのようなものがあったから、と言われた。後直感。何を考えているのか。小悪魔が飛び、私が小悪魔を掴みながら着いていく。ここだと言われたので手を離す。どうせ妖怪だ、落下死などはないだろう。となればこれが最短、着地して膝が痛いことに少し驚く。さて、この近くに魔理沙の家があるはずだが、どうだろうか。真横にあるこの建物だろうか?
「…あれ、マレンか」
「ええ。小悪魔もいますよ」
「ぜぇっ、はぁっ、ぁ、」
「なんでそんなに肩で息してるんだ?」
「御用件は本の回収です」
「…意外だな、てっきりパチュリーに協力するとは思わなかったけど」
「ええ。私の欲しい本がここにあると聞いたので。小悪魔」
「はーい」
小悪魔が漁り始める。それに対して魔理沙がそれはどうなんだと言う顔をしている。…が、泥棒にそれを突かれる謂れは無いと思う。と言うか、よくもまあ短期間でここまで本を盗んだものだ。何か強大な窃盗術を感じる。日に一度来てもここまで多くは盗れないと思うがどうだろうか?やはり魔法なのか、それとも別の技術がやはり有るのだろうか。どの道独学だろうから考えるだけ無駄だろうか。小悪魔が持ってきた魔導書を受け取る。後は好きに。小悪魔がとにかく広い風呂敷にほんをまとめ始めた。…これ、終わるまで私は帰れないのかな。
「ふぁ…」
「随分と可愛い仕草をするんだな」
「私も元々人間をやっていた身ですからね」
「…あ、妖怪だったのか」
「あれ、ご存知では?」
「多分本漁ってたから覚えてないかも…」
振り抜こうとした右手を止める。小悪魔が今回はこれで許してやると捨て台詞を吐いたので私も小悪魔を掴んで空を飛ぶ。小悪魔がとても重そうだ。行きの時は何もなかったんだから恐らくは本が重すぎるのだろう。掴んでいる部分が悪いのかとも思ったが、まあ行きと同じだからそこまでか。全く、自分の許容量くらいは把握しておくべきだろう。私も言えたことでは無いが、少なくとも自覚している分マシなはず。そう思い込むことにする。紅魔館に着いてからは魔導書を広げて解読を進める。
「…どうしました?」
「ここまで集中する元人間も珍しいものよ。どこぞの妖怪に見せてあげたいくらい」
「背後にいますから、ずっと見ていますよ」
「は?」
「やっ!やっぱここの方が集中できるからさ」
「…チッ」
「今のはどうなんだパチュリー?」
「なるほど。確かに取り組むまでに時間がかかっていますね。」
魔理沙は魔法とかの勉強に取り組むまでが少し長いと良い。