魔法少女達と霊視少年   作:紡縁永遠

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白猫の私

 「……」

 

 翌日、眠気眼をこすりながら僕は学校に来ていた。どんな眼を持とうが、どんな病気であろうが、学校には来ないといけない。だって普通を演じないと、耐えられないから。

 

 「ねぇ、今日時間あるかしら?」

 「昨日のこと?えっと…」

 「暁美よ、」

 「暁美さんね、うん、覚えたよ。分かったお昼でいい?」

 「ええ、お昼でいいわ、巴マミもその時一緒でしょ?」

 「うん、」

 

 魔法少女どうし、昨日話したんだろう。巴さんとは二ヶ月前にあった……あの日は()が生まれた日だ、うん、()が出てこれなくて、結構苦戦してた覚えがある。

 私も儂も僕だ、でも、僕は私や儂じゃない。

 線引きはしないと、いつか周りも巻き込んでしまう。僕の眼はそういったものだから。

 お昼までは、何事もなかった。朝にまどかさんとさやかさんがこちらを見ているのと、兎のような猫のような白い異形が肩に乗っていること以外は。あとで回収しよう。

 お昼になればさやかさんが、話しかけてきた。でも僕は知らないふりをする、名前を覚えていないことにする。

 

 「ねぇ、アンタ昨日のことなんだけど」

 「えっと……昨日?何のこと?それに、ごめんだけど君たちの名前って……」

 「さやかよ、美樹さやか!」

 「鹿目まどかです」

 「そっか…美樹さんと鹿目さんね。それで昨日のことだっけ?ごめんね、僕は君達を知らないし、喋ったのは今日が初めてだよ」

 

 隠世に生きる僕と普通を生きる僕は同じだけど、しっかりと決別して、使い分けないと巻き込んでしまう。

 だから、今の僕は、名乗ってもらうまで美樹さんを知らないし、鹿目さんも知らない。

 

 「それじゃぁ呼ばれてるから行くね、」

 「ちょっと!」

 「待って!」

 「何?知らない人から絡まれるのって結構怖いんだけど……」

 「いや、何でもない」

 「ごめんね」

 「……」

 

 美樹さんの肩に乗っていた白い異形をつかんで屋上に行く。油断も隙もあったものじゃない。こういう奴は狡猾で、詐欺師のように言葉巧みに誘導する、まぁ隠世にいる存在

狡猾な奴ばっかりだけど。

 

 「お待たせ……」

 「キュゥべぇ?なんで?」

 「美樹さんと一緒にいたから、回収してきた」

 「まったく、なんで君はボクのことが見えるんだい?」

 「そういう目なんだよ、それと僕のことは他言無用で頼むよ」

 

 見鬼、霊、幽霊、妖怪など、通常の人間の目には見えない異形の存在を感知・認識する能力、霊視や見鬼の才とも呼ばれる。この力を持つ者は、霊魂を見破り、霊の声を聞く。異形の干渉を強く受ける。

 

 「それは良いよ。でもね、彼女達を魔法少女にしない理由を聞いてもいいかな」

 「普通が一番だよ、だってそうでしょ?魔法少女になったって、地獄を歩むだけだ。何でも叶う願いと、バランスはいいかもしれないけど、それでも、戻れない道には行かないほうがいい」

 「それが、アナタがあの場所にいた理由?」

 「うん、声を届けられる存在は狡猾で厄介だから、普通を生きる子達は関わらないのが最善だよ」

 

 一貫して変わらない、重兵衛(じゅうべえ)つばさは視てきたから線引きをする、境界線を作る。

 

 「ねぇ、二人はどうやって会ったの?」

 「そうねぇ…少し難しいわね」

 「うん、暁美さんは、解離性同一性障害について何処まで理解してる?」

 「二重人格?」

 「うん、まぁ今は三重人格だけど―――

 

 その日は、多分知っている人も多いけど、見滝原暴力事件があった日だね。

 見滝原全域、命に別状はなしだけど、体力の著しい消費により、倒れる人間が続出。その内訳は、真っ白の長髪をした子徒による、暴行。

 うん、僕の中にいるもう一人の人格()がやったことだね。とは言え、一夜にして五十人、数日のうちに百数人、範囲も広くて、でも犯人は掴めなかった。当たり前だよね、隠世を通れば捕まることはない。

 だって気づかないんだから。

 まぁ僕の問題だからここでは省こうか。

 

 私は、数ヶ月分のストレスを発散させるために、人を襲い続けたにゃ。ただ、その時に魔女に行き逢ったんだにゃ。人を傷つけて絶望がたまっていたからか、魔女が増えてたにゃ。私には知ったことじゃにゃいんだけど、魔女のせいでステレス発散が滞っていたにゃ。

 私が対応してるものは、あくまで家族のことにゃ、魔女は管轄外、それは儂のすることにゃ。でもにゃ、逢ったにゃら、逃げられにゃい、私は魔女と戦うことにしたにゃ。ストレスの塊で、発散どころか余計にストレスににゃったにゃ、

 その時に、巴マミと逢ったにゃ。魔女を倒すために動いていた巴マミは、もちろん私とぶつかったにゃ。

 そりゃそうにゃ、にゃんせ私のせいで魔女が増えているんにゃら、邪魔でしかにゃいにゃ。でもそんにゃこと私には知ったことじゃにゃいにゃ。

 助かったことは魔女を倒す力を持っていたことにゃ、私は魔女に有利にゃ力じゃにゃかったからにゃ。

 

 「助かったにゃ、コイツラのせいでストレスがたまるばっかりだったからにゃ」

 「最近の暴行事件、あなたが原因ね、やめてくれるかしら、魔女が増えて大変なのよ」

 「それは無理にゃ相談にゃ、こっちも問題があるにゃ。にしても魔女とは言い得て妙だにゃ。こんな奴らのどこが魔女にゃ、魔獣や魔物のほうが合っているにゃ

 「私はコイツ等とは戦わにゃいにゃ。ストレスの塊に飛び込むなんて馬鹿のすることにゃ」

 「あなたが原因でしょう!」

 

 確かに私も原因にゃ、けどそれは私の行動であって、その行動に至ったことに関しては無視した言葉だったにゃ。

 確かに巴マミはそのことを知らにゃかったにゃ、だから私はそれを責めにゃかったにゃ、否定はしたけどにゃ。

 

 「にゃに?私はご主人のためにやってるにゃ。その原因はお前の知ったことじゃにゃい、それににゃ、片足突っ込んだ奴が何言ってるにゃ」

 「片足?」

 「自覚がにゃかったのかにゃ?それのゃらそれでいいにゃ。にゃにをしても戻れにゃいんだから、自業自得にゃ、」

 「私は魔法少女であることに後悔したことはない!」

 「そうかにゃ?魂が変にゃ位置にあることに気づいてにゃくせに、にゃにを偉そうに……まぁ私はもう行くにゃ。それとも、お前が手伝ってくれるにゃん?」

 

 この言葉を言ったことはある意味としてはいいことだったにゃ。けどにゃ、全身隠世側にあったこの時は少々面倒くさいことににゃったにゃ。すぐにはにゃれたからその時は問題にゃくなったにゃ。

 そこからにゃ、私は巴マミと魔女退治をすることににゃったにゃ。グリーフシード、これは便利にゃものにゃ、にゃんせご主人のストレスも解消できるんだからにゃ。

 

 「そうして、両足程度にまではこっちに戻ってこれたんだよ」

 「なるほどね、隠世側に深くいる時は語尾にニャンがつくのね」

 「そうだね。私が生まれたときだから、そうなるね、これは私の視線だから、巴さんからどんな風に見えていたかは分からないけど」

 「そうねぇ、私からしたら第一人称は最悪ね―――

 

 だってそうでしょ。人を傷つける魔女を故意ではないとは言え、生み出す原因になっているんだから。最初は驚いたわ。真っ白な猫のようなそんな魔法少女は初めて見たから。

 まぁ、男の子だったんだけどね。

 爪を伸ばして魔女と戦っていた。魔法少女ではないのはすぐに分かったわ。何せあまり効果が無かったから。それに触れたく無かったみたいで、爪を飛ばして戦っていた。

 後からわかったんだけど、触るのも触られるのもだめだって。障りそういう説明を受けるまでは知らなかったわ。魔女を生み出していたのは暴行による恐怖からなるものだったわ。」

 

 「ご主人のストレス解消には相手の精気を吸うのが一番だにゃ」

 「なら、私のを」

 「それをやったら誰があの面倒くさいのを倒すんだにゃ?私はごめんだよ、ストレスを増やすだけにゃ」

 「なら、グリーフシードは?」

 「それは知らにゃいにゃ」

 

 グリーフシードは穢れを吸収する。ストレスも穢れの要因だからもしかしたらって思ってね。そしたら、一瞬で真っ黒になって、魔女が孵化したわ。

 

 「儂が出張ることになるとは、随分と甘い、うぬもそう思わんか?」

 

 一瞬だった。生まれた魔女は真っ二つに切り裂かれ、周囲には白い羽根が待っていた。

 

 「にゃんだ、出てくるにゃら早くしてほしいにゃ」

 

 儂、つばさくんの中にいるもう一つの人格、こっちは詳しいことを聞いてないわね。でも魔女や異形に対して、強力な存在、それだけは分かった。リサイクルといえばいいのかしら。私は戦わなかったし、出てきていた子も何もしていなかったから、新品のグリーフシードがそこにあった。

 危険な方法だけど、これならグリーフシードの取り合いも減ると思うの。そこでなるべく早くストレスが解消されるように、私の精気を吸ってもらうことにしたわ。グリーフシードの数はあまり増えなかったけれど。

 たまに出てくる儂がいるときは、そのやり方をとっていたわ。おかげでグリーフシードのストックも少しはできたのよね。そう言った意味では感謝もしてる。

 

 おかげで、新しい子にも会えたしね

 「そうですか……」

 「じゃあ、一応の確認です。魔法少女の勧誘はしない、これでいいですか?」

 「ええ、」

 「私はもとよりそのつもりよ」

 「はい、ならいいです」

 

 こんな視界には入れたくない、拘りすぎると、見えるようになる。これは儂から聞いたことで、だからこそ、僕は異常なのだ。

 今僕が見ている、巴さんや暁美さんには、守護霊のように異形がついている。ソウルジェムの指輪が定位置というように、基本的にその周辺にいる。もしくは肩や頭の上なんかに。

 巴さんには、水色のワンピースに、黄色の巨大なボンネットをかぶった姿が特徴的な異形、腕はリボンのようで、黄色のボンネットは花弁のよう、

 暁美さんには、レコード状の帽子と、鼻梁から前頂部を覆う白い仮面と頭巾が外れた異形。その頭には下顎しかなく、頭蓋には赤い彼岸花が咲いている。

 もう、戻れない。守護霊と言っていいのかも分からない、ただ、魔法少女の力の源であることだけは確かだ。

 それ以外にもいろいろ見える、目をそらしてはバレてしまう。だったら最初から無視をするしかない。これを打ち明けられる日は来るのかな。

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