「おはよう、鹿目さん」
「うん、おはよう」
なぜか止まることとなり、断ったけれど鹿目さんの部屋で寝ることになった。儂を使わずに魔女を殺したから寝れないわけじゃないけど、それでも夜の時間は視線が強くなる。突き刺すような目は部屋を埋めるようにあった。
目を瞑っても視えるそいつ等を何とか無視して眠りにつけば、私の時の代償、ストレス過多で直ぐ様朝になる。
「ん……、いただきます」
朝ごはんまでいただいてしまった。お昼ご飯は、流石に申し訳なさが勝ったけど、僕が折れて作ってもらった。優しい家族だ。でも、だからこそ、昨日自分を悲観するように願いの内容を打ち明けた鹿目さんに疑問を思う。
何も持ってないわけじゃない、その優しさは、鹿目さんが持つ武器で、誰にも犯されることない、自分だけのものだから。誇っていいんだけど、これを言ったら、意味がなかったりするのかな。
「お世話になりました、行ってきます」
「行ってきます」
鹿目さんについて行って、美樹さんと志筑さんと合流する。あ、暁美さんもいる、タイミングを見計らってたのかな?確かに合流しづらいとかもあるかもしれないけど、わざわざ木のうえに乗らなくてもいい気がする。
「それで、キュゥべぇは美樹さんのところにいたんだね」
「あ〜うん、」
美樹さんの肩に乗っていた孵卵器は、僕を見るとすぐに何処かに行ってしまった。昨日の私で警戒されているのかもしれない。
「……つばさに会いたくないみたいでさ、まどかのところに行かなかったみたいなんだよ、私も正直わからない」
「そっか、まぁ、志筑さんみたいに芯が通ってる人は狙わないのかな、」
「精神が未成熟な第二次性徴の少女、キュゥべぇが探すのはそういった子、そういった意味ではその仮説は正しいのかもね」
「ふ〜ん、そう」
警戒というより、たぶん構う必要がないから別のところに行ってるのかな、僕がいたら最後まで説明するから、そこから願わなくなったり、もしくは誰にも守られていない美樹さんなら魔法少女にしやすいとでも思ったのかな。
どっちにしろ、僕が今できることは、美国さんの政と孵卵器の動向の注視、美国さんはまだ大丈夫かはわからない、テレビを観ることがないから、今日の今朝少し見ただけだし、電話もあんまり使わないしな。
「あっ、マミ先輩」
「おはよう」
「おはようございます」
「そう言えば、マミさん、連絡先交換しませんか?つばさもさ、あと転校生もまだでしよ、QRコード出して」
「「「QRコード??」」」
「え?」
QRコード?なんだそれは、いや正確には、そんなモノで交換できるのか?
巴さんも暁美さんも、QRコードについては知らないみたいだ。あの、何ですか、その顔は。ていうか、その画面は何ですか、URLを出してくれれば、いいんですけど……
「え、いや、知らないの?」
「はい、」
「始めて聞いたわね」
「もしかして、友達いない?」
「巴さん達?」
「つばさくん達ね」
「……ちょと携帯貸して」
スマホを取られて、連絡先が交換された。連絡先を交換することなんて今まで一度もなかったから分からなかったけれど、覚えたほうがいいのかな。でも今関わっているのだって隠世に入らないように、ストッパーとしているだけだしなぁ。
まぁ、その時に成ったら考えればいいかな。それに、欲しいものもあるし、それは隠世側のモノを使えばいくらか簡単に作れるかもしれないけど、そうすると、変に引き寄せそうだからな、現世側の物で作るしかないのか。
「えっとライン?」
「ライン使わないの?」
「メルアドレスくらいなら」
「……重症だね、」
「あの、そろそろ学校ですよ?」
スマホなんて時間を確認するためにしか使ってなかった。時計は隠世側に行けば壊されるから持っていないし、それでも志筑さんのおかげで、今の状況がわかった。
「あと五分で始業チャイムが鳴るよ、僕はいいとして、他の皆は?」
「走るわよ!」
巴さんと暁美さんが先行してる、魔法少女になると変身しなくても進退能力が変わったりするのかな?僕には関係ない話ではあるけどね。だって、頭痛で保険失意に行く予定だったから。
魔法少女に関わるようになって頭痛が酷くなってきた。魔女だけが原因とは言わないけど、それでもこれはきついかな。
今回に関しては原因が分からない、儂も私も身近なストレスを探せばよかった。でも、コレについては分からない、どれだけ頑張っても、軽くなることはない。
「ふぅ……あと一分か、走れば間に合うかな」
一度実験したことがあった。儂が私の力を僕の状態で使えないかって、一分間だけ、本来の十分の一の出力で力が使える、それが僕の今の状態、猫の脚なら一分で学校につく。
みんなには悪いけど、今日は早めに帰らせてもらおう。私の力とは別の頭痛は流石にマズイ。また隠世側に堕ちるのかな。それだけは、巻き込まないようにしないと……
「頭痛?」
「はい、」
「前回は?えっと…五ヶ月前です、」
「その前は?」
「えっと…その時から一年ですね」
「短くなってるね、それで頭痛はいつから?」
「二日前からです」
「そうか、うん、今日は休みなさい」
「はい、ありがとうございました」
原因がわからないのは初めてだ、急がないとね。新しい自分は何をするか分からない、原因が分からないから余計に危険だ。
「はぁ…試しに作った。ランタン……
儂、
この少女は、何を願ったんだろうな。
ん、なんか来た。鹿目さんからだ。えっと…たす?たすってなんだ?行くしかないか、お願い、異翼。
ふむ、ランタンも完成したか、封印すれば、内容も未練からのう、これでこの少女の内訳も知れる。しかしなぜこの娘だけのこっていのかのう。じゃか、今はそれどころじゃない、往くか。
白黒一対の翼を生やして隠世を飛ぶ。道なりに進めば場所は分かるかの。
「虚刀流…薔薇…うむ、無事のようじゃな」
「つばさくん、」
「今は異翼と呼んでくれるのが好ましいがの、ふむ、自殺か、なるほど、お主がそこにいる理由がわかった。大人であるから、巻き込まれたのであろうな、志筑仁美よ、お主は魔法少女にはならないようじゃ
ハコの魔女。
その性質は憧憬。
筋金入りの引きこもり魔女。
憧れは全てガラスの中に閉じ込める。
閉じ込められ者はその心までも簡単に見透かされてしまうが、考えるより先に殴れば問題ない。
―――うむ、やりやすくて助かる……杜若…」
閉じ込めねば心を見透かせず、鈍重な動き、百日紅。
はぁ、なぜ警告を聞かぬのか、何故に隠世側に片足を踏み入れるのか。のう、お主の願いはそれに足るべき願いなのか?止められるものでもないと、割り切れる願いなのか?
まったく、まさか、ここまでの馬鹿がいるとはな。
「はぁぁぁ!!」
初戦の相手としては相性がよいから任せてよいが、他の娘にどんなことをすればよいのかわからん。とりあえずは一発ぶん殴るくらいは許せ、いや、受け入れろ。
「よしっ!」
「おい、」
「な、っ痛い!!…なんで殴ったのさ」
「何故?それが分からんとわな、まったく、愚か者じゃな、何を願った、何を願い、それが一生戦うに足る願いなのか、儂はこれ以上口出しをせん。じゃがな、これ以上、周りを悲しませるなよ」
「何言って…!みんな……」
戻ってきたら、魔法少女になった美樹さんか。どうしようか、いや、踏み込んだら戻れない。なら、あれ?美樹さんにこんな異形憑きていたっけ?
西洋の鎧・マント・剣と魔法少女の騎士みたいな格好が形を変えて使われて、三つ目をもつ西洋の鉄兜風び頭部に、下半身は魚。
これが美樹さんの力の源。
「なんで、魔法少女になったの?」
「…だって、叶えたい願いがあったから」
「それが、一生を、悪魔に魂を捧げてまで叶える願いだったの?」
「っ!」
「ねぇ、キュゥべぇ、昨日美樹さんのところに行ったのは、すでに契約の目処があったから?」
「違うよ、でも魔法少女になりやすいのはさやかだったからね」
悪びれるわけでもなく、それが一番楽だからという、そんな理由で魔法少女にしたのか。いやそうだよね、君達はそういうった存在だ。
美樹さんの軽い気持ちは後にしよう、今はこれ以上契約者が出ないように、現実を、事実を知ってもらおう。
「それにしても、君がキュゥべぇと呼ぶは思わなかったよ」
「なに?インキュベータ、いや、孵卵器って呼んでほしかったの?魔女の孵化を促す異形、それが君だろう」
「え?」
「キュゥべぇ…それ、どういうこと?なら、なんで私たちを魔法少女に?」
動揺…ここから先は隠したほうが良さそうだね、ソウルジェムの事を話したら、耐えきれないだろうし。どんな行動を取るか分からないから。
「間引きだろうね、孵卵器の目的は魔女の孵化、それ以外はどうでもいい、でも、間引きはしないと、孵化するための素材がなくなるから」
「君みたいに、魔女が見える男と契約したこともあった。この国では蘆屋道満、ほかの国ではマーリンやソロモンでも、全員真実にだどりつき、無駄に終わってしまった」
「だろね、彼らが扱うのは、魔法じゃないから、魔を扱う存在だけど、魔の法は、使わなかった。そうでしょう?」
「正解だよ。魔術、彼らが扱った技だ。今でこそ薄れているけど、使える人間はまだいるし魔女を倒すことも可能だ。けど、それじゃ効率が悪いだろう」
「そうだろうね、でも願いから放たれる魔法よりも、式をはさんで放たれる魔術のほうが、君達孵卵器に対する対策になった…それじゃあ、結論だよ、これ以上関わらないでくれ」
「残念だよ、」
孵卵器は、そう言って去っていった。よかった、あの場で魔女を出されたら、かばう人数が多くて負けていたかもしれない。でも、孵卵器がこれ以上関わることが減りそうでよかったよ。
「…美樹さん、話してくれるかな?」
「…うん、」
「そっか、そういう理由でね……もしかして、その上条さんのことが好き?」
「え?」
「えっと、いや、そんなことは!」
「うん、その反応で分かったよ、それじゃあ、告白してこようか、」
かなりきつく行ったはずなのに契約したんだから、それくらいはしてもらわないとね。それに、拠り所があったほうが、魔女化対策になるかもしれないし。
「まだ時間はあるでしょ?ほら、行くよ。どうしたの?皆」
「ごめん、ちょっと唐突すぎて……つばさくん、もしかして怒ってる?」
「うん、正直、僕は上条さんのことを知らない、だから言えるのかもしれないけど、腕が動かないくらいで悲観しすぎだし、見返りを求めているようにしか聞こえない。だから、告白くらいはやってもらわないとね、結果がどっちであろうと、意気地なしにはいい罰になるでしょ?」
多分今の僕の顔は、今までで一番いい笑顔だと思う。
それくらい楽しい、さてと、それじゃあ行こうか。
「嫌だ!無理無理無理無理!」
「今更だし、ここ病院だよ」
今、病院内にて、美樹さんを引きずってここに来ている。他の皆は外で待ってもらった。他の女の子がいたら、余計だからね、
「どうぞ、」
「夜分に失礼します、今日は、意気地なしを連れてきました、」
「えっと…君は誰?」
「そんなことはどうでもいいんですよ、それじゃあ、逃げないでね、さやか」
「さ、さやか?!」
それじゃあ、僕は退室するとしよう。どっちかな…
あ、戻ってきた。
病院の外で待つこと数分、美樹さんが暗い顔で出てきた。失敗したのかな。
「どうだったの?」
「振られました……理由は、つばさに一目惚れしたからだそうです」
「は?」
?いや、待ってどういうこと?僕、上条さんと話したの初めてだよね?そうだよね、だってあの気配も初めてだったし。名前も聞いたことないし……
「えっとね…」
美樹さんがその時のことを喋り出す。
「えっと……ごめん、恭介がどんな状態かも知らずに、」
「それは僕もだよ」
「…………好きだよ」
「いや、意気地なしすぎるでしょ、それで届くわけがないと思うんですけど」
「回想に割り込まないでよ、」
「えっと………何て言うか……さやかがそんな風に僕のことを思っていてくれたなんて、正直、驚いたよ。さやかは子供の頃から一緒に過ごしてきた、家族のような存在だからね。
「……でも、ごめん。さやかのことは好きだけど…………それは……さやかが僕に求めている好きとは、違うものなんだと思う」
「……そっか……」
「それに、さやかには悪いけど……こんな事、今言うとじゃないと思うんだけど、一緒にいた子って誰?」
「え?つばさ?アイツ男だよ?」
「え?」
「ていう感じ」
「うん、これ、誰が原因?」
「つばさくんね、私服だったのが理由じゃない?それと、それどういったファッションなの?サイズ合ってないよね」
現在僕が着ている服は、猫物語白にて、羽川翼がきていた阿良々木暦の私服を、サイズが合わずズボンは途中で切り裂き、調整したものである。サイズが合ってないのでシャツは片方により、肩を出す形だ。
「
「うん、男の人が来てもいわかんないやつだけどね、つばさくんが着るとね、女の子になるのよ、」
「ひどいなぁ」
「あの……皆さん、私も上条さんのことをお慕いしていたんですが……」
「すいませんでした、これに関しては僕の落ち度です、ですが願わないでください」
「それはしませんけど……いえ、諦めてはダメですね、明日アタックしてみます!」
「が、頑張れ」
凄いな、志筑さん、でもそんなに女の子っぽいかな、確かに髪は伸ばしっぱなしだけど……帰ったらきりますか。