「つばさくん……その頭はどうしたの?」
「切りました、変ですかね?」
「変とかの問題じゃないわね、なんでこんな不揃いなの?もしかして、自分で切った?」
「はい、後ろで束にして、バッサリと」
「誰かハサミ持ってない?」
「手元にありますけど日」
確かにまとめて切ったから不揃いだけど、それでも整えたはずなんだけどなぁ。巴さん達女の子には、これが不揃いに見えるらしい、
学校にも持ってきたランタンは、絶望を外に排出している。まるで浄化してできた濁りを吐き出しているみたいに。どうやら、早めに対処しないといけないみたいだ。
「ところで、志筑さんは、降りるということでいいですか?」
「はい、私には向きませんし、願いがあったとしても叶えません」
「うん、それがいいよ、それで今日の魔女殺しは無しにして、儂、これからは異翼だね、話したいことがあるらしい」
「異翼、異る翼ね、」
「異形の翼だよ、でも、これに関しては、君達の精神をかなり傷つけるものだ、だから、覚悟しておいてね」
魔法少女の行き着く先、孵卵器から聞いてはいた。まさか孵すだけじゃなく、生み落とすこともしているから。でも、これ以上先には沈ませない。
それに魔女についても理解してきた。グリーフシードを出す魔女も恐らくはこのルールに関係しているはずだ。
授業が終わってすぐ、僕は最初に鹿目さんとあった廃ビルに来ていた。都市開発による弊害だ。まぁそのおかけで私が家に帰らなくても問題なかったんだけどね。
異翼の知識から孵卵器にのみ作用する結界を作る、中心にはランタンを置いて、待つ。
「つばさくん、」
「全員来たんですね」
「はい、魔法少女に成らなくとも、知っておきたいんです」
「分かった、それじゃあ―――始めるぞ」
とは言うも、やることなんぞ無い、魂の変質と言えばよいのか、それとも単なる偶然か。いや、やることは決まっている。
ランタンの中には何が入っているのか。
グリーフシード、否、グリーフシードなら宝石は無い。ソウルジェム、否、ソウルジェムならば金の縁で作られた宝石である。白い宝石に銀の縁の卵形の宝石。
肉体が無くとも生きてゆけるのが魔法少女と言うシステムならば、これは魔法少女と魔女の狭間、今の儂等と同じような状態、そろそろ起きてはくれんか、のう、お菓子の魔女よ。いや、今は魔女と言うわけではないのか。
「ここはどこですか?私は病院にいたはずなのです」
「ここは廃ビルの中じゃ、そして先程というわけではないがお主は魔女だった」
「どういうこと?」
「そのままの意味じゃよ、言い得て妙じゃと言ったじゃろう、魔法少女、
「これが現実、そして、魔法少女に戻す方法は、魔女に成って間もないこと、そして傷をつけることを無くして、穢れを祓うこと、または、吸い尽くすこと。
「前例はないじゃろうな、こんな方法できるはずが無い。
「私のエナジードレインを除いての」
【障り猫】、あるいは【しろがねこ】【白銀猫】、尻尾のない猫の怪異で、道端で死んでいる尾のない猫を供養した善良な人間の善性につけこみ取り憑き、善良であるはずの宿主の体を使い暴れまわるという性質を持つ猫である。故に障ってはいけない、触れてはいけない。
それはあくまでも、他の人間だった場合のはなしである。
瞬間的に儂が出て、眼の前にいる少女の魂を封じた。これには一つ語弊がある。
障り猫は、招き猫と対極に位置づけられた、言葉遊びからなる低級怪異、じゃが、儂が両足までで腰まで浸からずに、隠世側、魔女に対応することは幾らかあった。
ああ、その時に使った術の中には、そういう物もあったさ。じゃがそれだけじゃない。私は身体に刻まれた知識からそれを行った。吸った精を術に変えて、少女を救った。
儂ですら知らなかった。怪異においては何でも知っている儂が、知らなかった。本人は障り猫と名乗っているが、いや、最初に障り猫、障猫としたからくらやみに見つかることはないか。うん、障猫でいい。触り猫といった方が近いかもしれんがの。
触るものに祟りを、
触るものに不幸と厄災を、
僕はもともとそういう存在なのだから。
「少し覚えています、自分が魔女であったことは。それにチーズケーキを願ったところまでは……」
「ふむ、異形に憑かれた者に対する専門はいなかったな……巴、もしくは暁美よ買ってきてやれ、代金は出そう」
「わかったわ、」
「しかし、今後どうするかが問題じゃな、この中では、巴と暁美か……」
「お金は………」
「儂が持っている、それに手続きの方は、禁じ手じゃが、アヤツに頼もうかの、」
巴にお金を渡し、チーズケーキを買いに走らせる。なぜそれを願ったかは儂には分からないしする必要もない。ここまで来たらもう戻れるかは分からない。少し、僕に視てもらうのもよいかもしれんな。
百江なぎさ、それが眼の前にいる少女の名前。
キャンディの様な頭部につぶらな目をしており、サンリオのキャラにいそうな可愛らしい外見の異形が指輪を中心に憑いている。ここまでは他の魔法少女と一緒、でも、一定間隔で飴の包みの形に頭部が変化する。
ああ、この子は魔法少女よりも隠世に深い、下手をすれば、今の僕と同じ場所に立っている。
「買ってきたわよ!」
「チーズケーキ!」
「はい、」
「ありがとうなのです!いただきます!」
美味しそうに頬張るなぎさちゃん、それだけなら、普通だ。この子は魔法少女よりも魔女に近い。助けれたのかな?いやそんなわけないか。この子を、魔法少女を救うことはできるのかな。
っつ?!また頭痛、なんでなんだ?規則性がわからない。
「それじゃあ、変わるよ―――説明にはいるが、よいか?
「うむ、おさらいとして、魔法少女が絶望に染まると魔女になる。問題はここから、百江なぎさは魔女に近い、今しがたつばさに確認を取り、確実のものとなった。
「それでじゃが、巴マミよ此奴を引き取ってはくれまいか?勿論強制ではない、お主も、子供、背伸びし続けるのも疲れるじゃろう、
「ましてや、親を失ったお前さんに、親をさせるというのも申し訳ないがな、この中で、身寄りのない子供を、異形に呑まれた子供と、付き合い続けることができるのは、巴マミ、お主しかいない」
「…………」
「マミ……」
「分かったわ、ただし、貴方達も定期的に顔を出すこと、戸籍については私も意見させてもらうわ」
やはり、巴マミには重みになりそうじゃな、だが、これ以上魔法少女を見続けるわけにはいかんな、
む、これは使い魔か、そう言えば巴マミは使い魔も殺害対象であったな。美樹さやかの練習にもなろう。
「それでは、帰ってから考えようか、それと使い魔が近くに現れた。いくか?」
「「もちろん!」」
「では、暁美よ、鹿目と志筑を連れて下がれ、お主なら二人いても守れるじゃろう」
「あの!私は大丈夫ですので、だから、二人も連れて行って上げてください!」
「分かった、では倒すとしよう」