TCG世界の図書館受付   作:初心者カードゲーマー

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初めての対戦

 

 

男はデッキを腕に付けられたディスクへと叩きつけ、ココロを見た。

 

「はっ、初心者だろうが加減はしねぇ…ってなんでお前らがそっちに立ってんだよ!?」

 

ココロの両サイドには、レンとスイが挟む様に立っていた。

 

「ココロ、対戦ディスクってのは……ないよな、オレの貸すよ」

 

レンからディスクを借り

 

「ココロくん、大丈夫だよ。大会とかじゃないから制限時間とかはないし、あんな奴が催促してきても無視していいから…分からない所とかあったら私達が教えるし、安心してね」

 

スイは心配そうにそう言いつつ、初めての対戦とディスクという未知の道具に困惑するココロに使い方を教えていた。

 

「なんだよ!ココロは初心者だし、ディスクだって持ってないんだぞ!文句あるのか!!」

 

そして、そんな状況を非難する様に声を上げた男へ、レンは言い返した。

 

「チッ…まぁいい…さっさと始めるぞ!先行はお前にやる!」

 

そう言うと男はディスクからカードを5枚ドローした。

 

「…アレはどうやれば?」

 

「ああ、デッキを差し込んだ所に手をやると自動で5枚出るぞ」

 

「ココロくんが先行だから、慌てなくていいからね」

 

二人に世話になりながら、ココロはカードを5枚引いた。

 

「…【魔界軍】…か?見た事ないカードもあるけど」

 

「古いタイプのデッキ…なのかな?」

 

レンとスイは男に聞こえない様に、ココロの手札を見ながらそんな事を呟いた。

 

「…えっと、僕が先行だから…」

 

「先行はカードは引けないぞ、その5枚でどうにかするしかないな」

 

レンにそう言われ、ココロは手札を見つめる。

 

 

ココロ:ライフ8000

 

見知らぬ男:ライフ8000

 

 

そんな光景を見ながら、男はニヤニヤと笑う

 

(へっ、バカが!オレのデッキは【盗賊の墓荒らし】、先行での展開を妨害しながらエースを特殊召喚するテーマだ!しかも…ククク!!この手札なら妨害は3回出来る!エースの召喚条件は達成する出来ないが…3回も動けねぇなら殆どのデッキは機能不全に陥るぜ!)

 

 

「じゃあ、手札からカードを一枚、魔法と罠のゾーンに…置く」

 

ココロの合ってるよね…?という目線に二人はうんうんと頷く。

 

「そこから更に、『魔界の尖兵』を攻撃表示で召喚」

 

カードをディスクに置くと、目の前に黒い鎧を着込んだ槍兵が現れる。

 

────────────────────────────────

 魔界の尖兵

 種族:魔人

 効果:種族が魔人のモンスターの召喚権を一回増やす。

 攻撃力1500/守備力500

────────────────────────────────

 

 

そのカードを見て、男は確信した。

 

(尖兵か…あのガキのデッキは【魔人連合】か【魔界軍】のどっちかだな)

 

【魔人連合】は種族が魔人のカードの中で相性が良いモノを集めた混成デッキ、【魔界軍】は名前に『魔界』がある者達で組めるテーマデッキだ。

 

「…えっと、尖兵の効果で召喚権が増えます」

 

「おっと、そうはいかねぇ!手札からコイツを墓地に捨てて発動するぜ!」

 

 

────────────────────────────────

 墓場の引き手

 種族:アンデッド

 効果:相手がモンスターを召喚、特殊召喚した場合に発動出来る。このカードを墓地に捨て。相手フィールドのモンスターカードを一枚を選んで墓地に送る事が出来る。

攻撃力100/守備力100

────────────────────────────────

 

墓場から腐った腕が複数現れると、尖兵を掴み、墓地へと引き摺り込んだ。

 

「これでお前の尖兵は墓地に送られた。召喚権は残るがモンスターの数は減るぜ!」

 

「そうなると…うーん…」

 

悩むココロに、レンとスイがアドバイスを送る。

 

「召喚権は増えてるし、出せるのはあるから大丈夫だぞ」

 

「そうそう、寧ろあのカードを使ってくれただけ有難いよ」

 

二人の言葉に、ココロは頷くとモンスターを召喚した。

 

「じゃあ、追加された召喚権で手札から『魔界の司書官』を攻撃表示で召喚」

 

────────────────────────────────

 魔界の司書官

 種族:魔人

 効果①と②の効果は1ターンに一度発動出来る。

①墓地に種族:魔人か《魔界》の名称を持つモンスターが居る場合に発動出来る。対象のモンスターを墓地からフィールドに特殊召喚する

 ②デッキから《魔書》の名称を持つカードを二枚まで手札に加える、その後このカードを墓地に送る

攻撃力:1700/守備力2000

────────────────────────────────

 

 

 

「①の効果を発動します」

 

「通さねぇよ、手札から『墓荒らしの盗人』を捨てて効果を発動させる」

 

 

 

────────────────────────────────

墓荒らしの盗人

罠カード

効果:相手が墓地のモンスターを召喚、特殊召喚しようとした場合に発動出来る。相手の墓地のモンスター一体を対象に取り、自分のフィールドに特殊召喚する。自分の場にモンスターがいない場合、このカードは手札から捨てる事でも発動できる

────────────────────────────────

 

「対象は魔界の尖兵だ!」

 

墓地から薄汚れた衣服の男が現れると、ズカズカとココロのフィールドの墓地へ行き、腕を突っ込んだ。

魔界の尖兵を墓地から引き摺り出すと、男の場へと放り投げ、その姿を消した。

 

「…通らなかったから、②の効果を発動。《魔書》の名称を持つカードを2枚まで手札に加え、司書官を墓地に送ります」

 

「…チッ、妨害はねぇよ」

 

そう言うとココロのディスクはデッキをシャッフルすると、対象となる《魔書》の名称を持つカードをピックアップした。

 

「って2枚だけなのか…」

 

「少ないね…」

 

サーチ先となるカードの少なさに、レンとスイは困惑した。

 

「効果で『魔書:トラップイーター』と『魔書:マジックイーター』を手札に加えます。そのまま、魔法と罠のゾーンに3枚を伏せてターンエンド」

 

ココロのターンから男のターンへと変わった。

 

「へっ、ただ伏せカードが4枚…ま、オレ勝ちだなぁ!」

 

そう言いつつ、男はドローした。

 

「っ!来たぜぇ!俺は手札から『大盗賊エスカーノ』の効果を発動する!」

 

────────────────────────────────

 大盗賊エスカーノ

 種族:人

 効果:①自分の場にモンスター存在する場合、このカードを攻撃表示で特殊召喚する。

②このカードがフィールドに存在する限り、1ターンに一度、相手の墓地の魔法・罠・モンスターを対象にして発動する。そのカードの効果を自身の効果として発動する

③相手がモンスター効果を発動した場合に発動できる、相手の手札のカードをランダムに一枚選び、墓地に捨てる

攻撃力2500/守備力1500

────────────────────────────────

 

男のフィールドに、筋肉質の大男が現れた。

身に纏うのは薄汚れた山賊の服だが、首や腕には金色のネックレスや腕輪を身につけ、サーベルを手に持ち、ニヤリと笑う。

 

「更にオレは手札から『盗賊の弓兵』を召喚する!」

 

────────────────────────────────

 盗賊の弓兵

 種族:人

 効果:①召喚・特殊召喚成功時に発動する。相手プレイヤーへ500ダメージを与える

②このカードが戦闘によって破壊される場合に発動出来る。相手の魔法・罠ゾーンのカードを一枚破壊する。

攻撃力1100/守備力0

────────────────────────────────

 

「効果発動だ!500ダメージを受けて貰うぜ!」

 

盗賊が弓を構える、引き絞られた弓は真っ直ぐココロへと狙いを付けると矢を放った。

 

「うわっ!?」

 

思わず驚くも、矢はココロの目の前で消失した。

 

ココロ:ライフ8000→7500

 

「っ…セットしたカードを発動する…!」

 

ココロは魔法・罠ゾーンにセットしたカードを発動させた。

 

 

 

────────────────────────────────

 機械より出る神

 永続魔法

 効果: ①このカードに封印カウンターを四つ乗せる。カードの効果が発動する度にこのカウンターを一つ減らす。

②封印カウンターが0になった場合、このカードをフィールドから裏側に除外して発動出来る。デッキ・墓地・除外から《機械仕掛けの神》を特殊召喚する。この効果に対して相手はモンスター・魔法・罠の発動は出来ない。

────────────────────────────────

 

 

「なんだそのカード…!?見た事ねぇぞ!?」

 

「そのまま、セットしていた魔書二つを発動!効果で封印カウンターを二つ減らす」

 

 

────────────────────────────────

 魔書:トラップイーター

 罠カード

 効果:①このカードを攻撃力1500/守備力1500のモンスターとしてフィールドに特殊召喚する。このカードはモンスター扱いにならず、罠カードとして扱う

②相手が罠カードを発動した場合に発動出来る。その効果を無効にし、自身の攻守を+500上げる。この効果は1ターンに3回まで行う事が出来る。

 

魔書:マジックイーター

 魔法カード

 効果:①このカードを攻撃力1500/守備力1500のモンスターとしてフィールドに特殊召喚する。このカードはモンスター扱いにならず、魔法カードとして扱う

②相手が魔法カードを発動した場合に発動出来る。その効果を無効にし、自身の攻守を500上げる。この効果は1ターンに3回まで行う事が出来る。

 

────────────────────────────────

 

「…チッ!妨害はねぇ!」

 

「じゃあ、魔書をフィールドに特殊召喚します」

 

魔法罠ゾーンに現れた、紫色と青色の本がそのページを捲り始める。

 

そして、ページをピタリと止めると、鋭い牙が現れ、ココロを守る様に両サイドに移動した。

 

「更に、伏せておいたもう一枚のカードを発動する!」

 

────────────────────────────────

 強制退去

 罠カード

 ①自分・相手の場にモンスターが存在し、相手の場のモンスターが自分の場に存在するモンスターよりも攻撃力が高い場合に発動出来る。

お互いのモンスターを手札に戻し、その後相手は手札からそのモンスターの攻撃力以下のモンスターを特殊召喚できる。

②墓地のこのカードを除外して発動できる、相手の手札を確認し、攻撃力が一番高いモンスターをデッキの一番下に送る

────────────────────────────────

 

「なんだとっ…!?」

 

フィールドの真ん中に、厳つい顔をした巨大な竜巻が現れる

竜巻が渦を巻き上げると、モンスター達は逃げる様に手札へと戻った。

 

しかし、魔書はモンスターの扱いではない為、その場に残り続ける。

 

「すげーっ!モンスターが居なくなった!」

 

「しかも、これで封印カウンターが一つ減るから…強制退去の墓地効果か相手の特殊召喚で条件を満たせる…!」

 

二人の言葉に、男も理解する。

 

自身の手札にはまだ特殊召喚出来ないエスカーノと先程効果を使った弓兵、それと一枚のカードのみ。

自分が特殊召喚しないとしても、強制退去の墓地効果でエスカーノをデッキの一番下に送られ、更に機械仕掛けの神も出て来てしまう。

魔法や罠で防ごうにも、魔書が居る以上は無効にされ、更に受けるダメージも増えてしまう

特殊召喚をすれば弓兵を守備表示で特殊召喚する事で受けるダメージ自体は減らす事が出来る。しかし機械仕掛けの神が現れてしまうが、エスカーノの特殊召喚の条件を満たせる。

 

「…ックソ!オレは手札から盗賊の弓兵を守備表示で特殊召喚!効果で500ダメージだ!」

 

ココロ:ライフ7500→7000

 

「うぐっ…でも効果を発動したから、封印カウンターは一つ減る…そして、条件が揃ったので。『機械より出る神』を裏側で除外して、デッキから『機械仕掛けの神』を特殊召喚する!」

 

ディスクからカードが飛び出すと、ディスクのモンスターゾーンにそのままペタリ…と置かれる。

 

それと同時に、フィールドを神々しい光が包む。

 

光が収まると、そこには美しい少女が居た。

 

銀髪に青目の少女の服装は、白いワンピースのみだった。

しかし、背中から垂れる太いコードと機械で作られた巨大な翼、レンズの様な無機質な瞳が、人間ではない事を証明している。

 

────────────────────────────────

 機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)

 種族:神

 

 効果:このカードは通常召喚出来ず、【機械より出る神】か【神の器/無垢なる少女】又は【世界を綴る者】の名称を持つカードの効果でしか特殊召喚出来ない。

このカードは相手の発動する効果を受けず、フィールドから離れる場合はデッキの一番下に戻す。

 

①特殊召喚された場合に一度だけ発動する。自身がこれまで受けた相手からの効果・戦闘ダメージ分自身のライフを回復し、相手のライフをその効果・戦闘ダメージ分減らす。この効果では相手のライフは0にならず、必ず1残る。

 

②このカードがフィールドに存在する限り、自身のモンスターは戦闘・効果では破壊されず、自身のフィールドの魔法・罠カードを相手は効果の対象に出来ず、このカードが与える戦闘・直接攻撃のダメージは倍になり、更に相手モンスターの守備力を超えた分の戦闘ダメージを与える事が出来る

 

③相手がモンスター・罠・魔法カードを発動した場合、手札のこのカードを捨てて発動出来る。その効果を無効にして除外し、デッキ・墓地・除外から自身の場に『神の器/無垢なる少女』を守備表示で特殊召喚する。

 

④相手がモンスターを特殊召喚した場合に発動出来る。相手の特殊召喚したモンスターと同じ攻守を持つ《機械生命体トークン》を自身のフィールドに特殊召喚する。

 

攻撃力4500/守備力5500

────────────────────────────────

 

その暴力的なほどの高いステータスと理不尽な効果に、男は叫んだ

 

「なんだよそのカード!?インチキ効果じゃねぇか!!」

 

「…そんな事言われても…」

 

そんな中、機械仕掛けの神の効果によりココロのライフは回復し、男のライフは減った。

 

ココロ:7000→8000

 

見知らぬ男:8000→7000

 

「…っ!クソ!クソクソクソォ!!!」

 

男の場には、守備力が0の盗賊の弓兵が一体、ここでエスカーノを出した所で、トークンを生成される上にエスカーノの効果でココロの墓地の強制退去を使ったとしても、機械仕掛けの神や魔書はフィールドを離れず、返しのターンで7000以上のダメージを受けてしまい負けてしまう。

 

「あー……何もないみたいだな…」

 

「……だね」

 

レンとスイも若干引きつつ、様子を見守る。

 

「あの、降参(サレンダー)するのも手だと思います」

 

ココロのその言葉に、男は頭を掻きむしり、静かに答えた。

 

「…クソっ、降参(サレンダー)だ。お前の勝ちで良い!」

 

そう言い残すと、男は踵を返して図書館から出て行った。

 

ココロの初めての対戦は、勝ち星で終わった。

 






この箱から現れるのはなんだと思う?神だよ、機械で作り出された、我々の救世主たる神だ。

〜機械より出る神〜


機械により生み出された神はその瞳で全てを見た。数多の可能性、数多の世界…そして…贄となる無垢な少女の姿さえも……

〜機械仕掛けの神〜

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