その悪魔は嘘か真実か?   作:神剣狩刃

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第29話 『二枚舌』営業方針変更のお知らせ

 パワーちゃんが泣くほど困っているというのに、マキマさんの家を出発してから10分も経ってしまった。やっと『二枚舌』前の通りについたので、車の窓から跳んでパワーちゃんの下に向かう。扉なんて後で直せるからこのままぶち破る。

 

「や、闇の悪魔が来たんじゃあああ!!!」

「王ちゃんだから! とんでもない入り方してるけど王ちゃんだから!」

 

 座敷で鏡狼姿のレイエルと彼に抱き着いている、普段からはとても想像できない弱々しいパワーちゃんがいた。その瞬間、僕の中の何かの枷がバリンバリンと砕けていった。わずかに残ったほんの一握りの理性でパワーちゃんを優しく抱きしめる。

 

「大丈夫だよパワーちゃん……何があっても僕がパワーちゃんを守るから……でも、そのためには一つしなきゃいけないことがあるんだ」

「な……なんじゃ……?」

 

 彼女の耳元で抑えきれない欲望を囁く。

 

「エッチ」

「エッチ……?」

「ま、待てよ王ちゃん! 今は────」

 

 そして彼女の手を優しく引いて特別個室に向かう。レイエルが何か言いかけていたがどうでもいい。例え闇の悪魔であっても今の僕を止めることは出来ない。そして楽園の扉を開ける。

 

「はあ~……クァンシ様、よかったです……」

「ハロウィン! ハロウィン! ハロウィン!」

 

 何故か5名の裸の先客がベッドの上で僕達のしようとしていたことをしていた。しかもつい先日見たばかりの5人組だが、そんなことで僕は止まらない。僕は不機嫌そうに彼女達に言い放った。

 

「僕とパワーちゃんが使うんだけど」

「ん……そうか……続きは座敷でするぞお前達」

 

 思ったより聞き分けの良い客で、すんなりと部屋を出て行ってくれた。

 

「あ、アイツらどこかで見た気がするんじゃが……」

「そんなことどうでもいいよ。それよりも……」

 

 彼女を優しくベッドに押し倒す。すでに淫らな液や匂いが染みており脳がくらくらする。それでも一つまみの理性を働かせて彼女に説明をする。

 

「僕はパワーちゃんが大好きなんだ。だから……エッチしてもっと好きになったら、どんなことからもパワーちゃんを守れる」

「ほ、本当か……?」

 

 不安そうな彼女の口を僕の口で塞いで肯定する。炭と肉のやや匂いがしたが、野外でしていると思えばより興奮するというものだ。

 

「僕に全部委ねて」

「ぜ、絶対に守ってくれる……?」

 

 微かに残った少々の理性で言葉を絞り出す。

 

「絶対に守る。僕は絶対に嘘が吐けないから」

 

 僕の言葉を信じてくれたのか、彼女が震えながら僕を抱きしめた。

 

「じゃ、じゃあ……王の好きにしていいから……ワシを守ってくれ……」

 

 理性が破裂した。そこからは凄かった。体から出せる全ての王汁とパワーちゃん汁でベッドがぐっしょりする程激しかった。気が付けば半日程経っており、彼女はいつの間にか眠っていた。好きなようにしていいと言われたから、寝ている彼女に再び迫りまた半日が過ぎていた。

 

 

 やっとまともに頭が働くようになったので、パワーちゃんと一緒に体を流しメインホールに戻────

 

「「「「お帰りなさいませお嬢様!!!」」」

「ハロウィン!!!」

 

 鮮やかな青色のチャイナ服を着た中国の刺客5人が迎えてくれた。何が何だか分からない中、鏡狼姿のレイエルがギャリンギャリン拍手をした。

 

「よおし! 一夜漬けにしちゃあ上出来だ! 次は何をするのかな!?」

「席の案内だろ? こちらだお嬢様方」

 

 先日よりも5割増しで死んだ目をしているクァンシさんに座敷に案内される。

 

「な、何じゃ……? 何が起きておるんじゃ……? 闇の悪魔か……?」

「このわざとらしい感じ……日乃門仁、いや人間の悪魔のせいだよ」

「よく分かったな王ちゃん。ヒーちゃんと約束してたんだ、メイドさんがいる飲み屋を作るって」

 

 アイツの変態性は変態の悪魔よりもすごい。これぐらいするだろうと思っていたらその通りだった。中国のメイドってチャイナドレスを着ているのか? 他の子はともかくクァンシさんは死ぬほど嫌そうだぞ? 疑問は尽きないが、丸ポニテの娘からメニューを渡されたので目を通す。

 

「なんだよ『牛タン盛り合わせ~悪魔風~』って。悪魔が提供していたら風は要らないだろ。しかも食べ物これしかないし」

「飲み物はいっぱいあるぜ?」

「僕はレモンサワーしか飲まないけどね。ところで中国のお酒とかないの?」

「飲んだことねえから作れねえ」

 

 この店コンセプトガタカタじゃないか? 先の一夜漬け発言もあってぱっと思いついて即座にやったとしか思えず、忘年会の出し物より練られていない始末だ。とりあえず牛タンとレモンサワーを頼んでしばらく待つ。

 

「……お待たせしました。牛タンとレモンサワーです」

 

 ツギハギの娘が静かに持ってきてくれた。もっと中国っぽくやっても良いと思うが、僕は中国に行ったことがないから何が中国っぽいのかは分からない。

 

「王う……口の中に闇の悪魔がいるう……」

 

 彼女が口の中を見せてきたので軽く見て、次に指を入れて口内をなぞり、最後にディープキスで確認する。いないことが証明できたので2人で仲良く牛タンを食べる。普通に美味しいが、何処が悪魔風なのかが全く分からない。悪魔の肉を使っているから悪魔風なのだろうか。一つ一つ受け入れていく内にどうしても受け入れられていない現状が出てきたので、いつの間にか座敷に座っていたレイエルに質問する。

 

「何でクァンシさん達がここにいるの?」

「やっとツッコんでくれたか。話は王ちゃんがブチギレた所から始まるんだ」

「簡潔に言って。僕はパワーちゃんと一緒に謹慎生活を送らなきゃいけないから」

「『二枚舌』の従業員として匿った。俺の計画に協力してもらうためだ」

 

 計画という便利な動機を並べられたが、その計画というのが全く分からない。この際だから聞いてみよう。

 

「君の計画って何だい?」

「俺を強くする計画かな。あと、牛タンとウーロンハイ」

 

 脳と目玉が飛び出ている娘におかわりを注文しながらしれっと言い放った。強くするとはどういうことだ? 質問しようとしたら、彼のケータイがピロロと鳴り響いた。彼が嫌な顔をしながら話し始めた。

 

「マキマさん? おかわり頼んじゃったんですけど……お、来ましたか。それじゃあ迎えをよこしてください。あ、もういるんですか? 分かりました」

 

 どうやら断れない用事らしく、おかわりの処理は頼むとドアを開けてどこかに行ってしまった。相変わらず何考えているか分からないが、僕とパワーちゃんの邪魔をしないならどうでもいい。新しい従業員5人も僕と彼女の関係に肯定的だし、この1週間は彼女達と共に楽しむとしよう。

 

 

 レイエルがチェンソー様隠した。だから匂い辿ってチェンソー様探した。そしたら山の中にチェンソー様の匂いあった。ここにチェンソー様が────地面からプリンシ出てきた。顔が割れて鏡のレイエルが出てきた。

 

「な、何でここに……!?」

「俺がここにデンジを匿ったからに決まってるだろ? マキマさんから監視をしやすくて人が来ない場所にしたい、って言われてすぐにここが思いついてな。デンジの中にいる間にポチタから聞いておいてよかったぜ」

 

 レイエルの頭の上に鏡で出来た、天使みたいな輪っかが現れた。

 

「ここを知られたからには死んでもらう────5年使用」

 

 その輪っかから鏡の剣が現れた。死んでもらう? チェンソー様を隠した理由を知るまでは死ねない。レイエルを倒してでも────

 

「知ってっかビーム? 魚の中にコバンザメってのがいるが、あれはアジ目で全然サメじゃないんだってよ」

 

 レイエルが剣を振ったら視界が左右2つに割れた。嘘だ。この力は天使の悪魔のヤツだ。何でレイエルが?

 

「チェンソーマンに纏わりつくコバンザメはきっちり駆除しないとなあ……アイツはもう幸せになってるんだよ」

 

 レイエルの目線の先にはトタン板で出来たボロい山小屋があって、その窓から2人の人間の影が見えた。1人はチェンソー様で、もう1人は────

 

「俺の計画のために……死ね」

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