魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.物間から見た森岸ってどんな感じ?
 A.(色んな意味で)元凶。それはそれとして死ぬほど苦労した話を聞いたので尊敬もしている。

 Q.何とかして物間に【魔法】使わせられない?
 A.ずっと【コピー】してたらちょっとだけ魔力を得られるのでちょっとだけなら使える。でもすぐガス欠になるのであんまり意味無い。

 Q.エリちゃんマーキングしてない??
 A.角がムズムズするのもあって半分くらい無意識でやってる。もう半分は甘え方が分からなくて甘えたいという欲求に従った結果そういう動きになった。





102.業務提携

 

 

 

 超常が起きた混乱の後、人々が平和を望み超常との共存を図り始めた頃。異能者の間で一つの思想が流行した。

 

 

 ──抑圧ではなく解放を。

 

 ──異能の自由行使は人間として当然の権利。

 

 

 超常が"個性"ではなく"異能(・・)"と呼ばれていた頃の話。足がある人間が歩くように、目がある人間が見るように。生まれ持った異能を使うことを縛られていいはずがないと。

 

 四ツ橋主税という男はこの解放思想を持つ者達を纏め上げ『異能解放軍』という組織を結成させた。

 

 

デストロ(現在を壊す者)……だったか? 黎明期のジャップはどいつもこいつもイカれてんな」

「あの頃は日本人に限った話じゃないじゃろ。個性を持つ者と持たざる者が真剣に種としての存続を危惧しておったからの」

「とびきりイカれた奴をボスにしてるテメェが言うのか?」

「否定はできんな。それと、ワシも十分イカれとる自覚はあるよ」

 

 

 軽く歴史を浚いながら、錆びた鉄のような髪色の男は皮肉げに笑う。

 

 

 男の名はウォルフラム。かつてオール・フォー・ワンに個性を与えられた敵の一人だ。

 

 

「しっかしあのおっかねぇ魔王が豚箱にぶち込まれるたァなぁ……」

「オマケにメインプランの死柄木弔まで持っていかれた。だからこうして恥も外聞もなく昔のツテを掻き集めとるんじゃよ」

「ハッ、魔王の側近がやる事かよ」

 

 

 現状オール・フォー・ワンの残党は、特に全ての計画を知るドクターは追い詰められていた。

 

 オール・フォー・ワンの敗北まではまだよかった。むしろ計画通りですらあった。

 

 死んだ人間を殺す事ができないように、既に倒されたオール・フォー・ワンを倒す事はできない。最も確実にヒーロー達の目を逸らす方法だった。

 

 問題は計画の要であった死柄木弔の喪失。それさえあればあらゆる負債を受け入れても勝てるだけの算段があった。

 

 それがよりにもよって決戦の直前……神野でヒーローが仕掛けてくる前に判明したのだから手の施しようがなかった。

 

 

「かといって死柄木弔を取り戻したところで役目は果たせん。また一からやり直そうにも時間が足りん。その前にヒーローに見つかってしまう」

「……それで"異能解放軍"ってか?」

「うむ。今は兎にも角にも人手不足……裏工作から戦闘要員まで何もかも足りておらん」

 

 

 最早ドクターは手段を選べない状況にある。

 

 本命も補欠も何もかも失った今、オール・フォー・ワン抜きではヒーローに勝てない。

 

 ドクターの目的はタルタロスの襲撃。オール・フォー・ワンを解放し、もう一度長い時をかけて同じ事を繰り返すのだ。

 

 

「おかげでわざわざ過去の被験者(・・・・・・)まで探す羽目になったわ! ええい全くもって忌々しい……!」

「ああ、あっちのやたらうるせえ部屋はそれか?」

「そうじゃよ。欠陥をなんとかしてやると餌で釣ってようやくじゃ」

 

 

 それには戦力が必要だ。あの堅牢なセキュリティを突破し、オール・フォー・ワンを解放する為の力がいる。

 

 もしタルタロスの解放が叶えば全てが解決する。ネームド敵全てを傘下に収められればそれこそヒーロー社会を丸ごとひっくり返せるだけの力になる。

 

 故に、ドクターがウォルフラムに出した依頼が異能解放軍だ。

 

 

「……俺ァ傭兵であって仲介業者じゃねえんだが」

「傭兵ならスカウトくらいするじゃろ。望むだけの報酬も用意した。アレ(・・)が終わり次第向かってくれ」

 

 

 そう言いながらドクターは聞くに堪えない悲鳴が響く部屋を指していた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「異能解放軍は敗北した。法の整備を進める国と対立し、数年の拮抗の末に」

 

 

 カツン、カツン、とやけに響く硬質な足音。窓ガラスの向こう側では雪が吹雪き始め、カタカタと小さく揺らしている。

 

 異能解放軍は解体。メンバーの多くが捕まり、四ツ橋主税は獄中での執筆活動の後自決。異能解放軍は思想だけを遺し終わりを迎えた。

 

 

 ──と、思われていた。

 

 

「進捗は?」

「……ダメですね。連合はもう影も形もない。あれだけの大立ち回りをしていながら何一つ残っちゃいない」

「何て迷惑な連中だまったく。名前と可能性だけを残して消える? 自分達がやったことの影響力も把握していないゴミ共め」

 

 

 四ツ橋主税に子供がいた事を、四ツ橋主税自身も知らなかった。

 

 

「突如現れ世間の注目を集め、ある日突然跡形もなく綺麗さっぱり消え去った……一体何がしたかったのやら」

 

「デストロの名に於いて解放を。次は私達の番だ」

 

 

 デトネラット社代表取締役社長……四ツ橋力也。途絶えたかに思われた解放思想を継ぐ者は静かに笑っていた。

 

 

 

 

 

 デトネラット。この超常社会、一人につき一つの個性によってあらゆる規格が崩れ去った。

 

 かつての大量生産、消費文化は一気に停滞。衣服を始めとした日用品を探すのにも一苦労。手足の数や身体のサイズ、果てには翼や角と人間には本来存在しえない部位を持つ者まで。

 

 そうした悩みを抱えた者を対象とし、家具家電や衣服まで。日用品のオーダーメイドを請け負う企業……それがデトネラット社だ。

 

 つい先日にはヒーローのサポートアイテム事業にも関わる事を発表し、注目を集めていた。

 

 だが、それらは全て表の顔。その裏では闇市に違法サポートアイテムを流して監視しており、膨大な量の戦闘データを収集している。

 

 勿論使用者が捕まってしまえばデトネラットに辿り着かれる恐れがある為、危なくなった物は自爆させることで痕跡も残さない。

 

 故に、解放軍に辿り着ける者はいない。そのはずだった。

 

 

「む……? 電話……?」

「……すまない、少し外す」

 

 

 コール音。音の発生源は四ツ橋力也の端末。この時間には表の顔に用事がある人間などいないはずだが……と僅かに警戒心を滲ませながら席を立った。

 

 取り出した端末に表示されたのは非通知の文字。どこの詐欺師だと思いながらも裏の住人からの連絡である可能性も捨てきれず、四ツ橋は電話に出る。

 

 

「もしもし?」

『──おっ、マジで繋がった。あのジジイどうやってこんなもん調べてんだ』

「…………何者かな?」

 

 

 その第一声に表の住人ではないことを悟り、四ツ橋力也ではなく裏の人間として対応する。

 

 

『テメェがリ・デストロだな?』

「……マナーが随分となってないな。人に名を尋ねる時はまず自分から名を明かすべきだろう」

『悪いね。こちとら傭兵業しかしてこなかったもんで、その類のマナーは身についてねえんだ』

 

 

 第一印象は粗野。裏社会の人間によくある話だ。ろくな育ちではない為言葉遣いもマナーも悪く、荒々しく振る舞う事が貫禄になると思っているタイプ。

 

 しかし同時に厄介でもある。こうした人間は気に食わないから等の理由であっさりとこちらの想定を外れることが多々ある。緻密に計略を張り巡らせる人物とは相性が悪い。それは勿論四ツ橋力也(リ・デストロ)にとっても。

 

 視線だけを仲間に寄越し逆探知できないかと尋ねる。しかしそこではとっくにパソコンのキーボードを叩いている男がおり、数秒もしないうちに首を横に振った。

 

 

『まあとりあえず名乗ろうか。俺の名はウォルフラム。情報通なら知ってるだろ?』

「ウォルフラム……ああ、i・アイランドの襲撃を企てていたという……」

『そのウォルフラムだ。とんでもねえオールマイト(化け物)がいたもんで割に合わなくてな』

 

 

 ウォルフラム。その名は裏社会では少し有名となっていた。

 

 世界各国からヒーロー関連企業が出資し、個性の研究やヒーローアイテムの発明等を行う為に作られた人工島の上に建つ学術研究都市『i・アイランド』を襲撃する計画を企て───オールマイトを見て何もせず逃げ帰ったと言われている。

 

 しかしウォルフラム当人に言わせればあの判断は間違っていなかった。

 

 

『あの化け物が衰えてるって聞いてたのによォ……微塵も衰えてなかったんだぜ? むしろ全盛期に近づいてんじゃねえかとすら思ったぞ』

「オールマイトの弱体化は私も聞いたことがあったが……ガセだったと?」

『ああ、ガセもガセ。真っ赤な嘘だありゃ。あの巨体が見えない程のスピードで動きやがる』

 

 

 i・アイランドでオールマイトが見せたデモンストレーション。それはとあるアトラクションでの出来事。

 

 配置されている敵役のロボットをどれだけ短い時間で倒せるか、というアトラクションに参加したオールマイトの記録は何と──測定不能。

 

 全てのロボットがほぼ同時に破壊された事でエラーを起こし、何らかの異常が発生したと勘違いさせていた。

 

 その光景を見ていたウォルフラムは計画を放り投げた。前金といくつかの技術を持ってi・アイランドから逃走、後ろ指を差されることになっても構わないと即座に思考を切り替えた。

 

 オールマイトの存在は異能解放軍にとっても目の上のたんこぶ。顔を顰めながらもウォルフラムの判断に理解を示した。

 

 

「……それで? 何の用かな? こんな愚痴を垂れ流す為にわざわざコンタクトをとったわけじゃないだろう」

『当たり前だ。愚痴るんならあの時のメンバーでも集めて酒を煽りながらやってる』

「では一体?」

 

 

 リ・デストロには次の言葉が読めていた。だが敢えてウォルフラムの言葉を待った。

 

 

『ああ……なんてことはない、よくある話さ。ヒーローでもやってるだろ? 自分達だけじゃ手の施しようがねえとなったら』

「…………」

業務提携(チームアップ)と行こうぜ解放軍』

「…………話を聞こうか。ウォルフラム」

 

 

 ニヤリと、電話の向こう側と同時に口角を吊り上げた。

 

 

『話が早くて助かるね。んじゃ、後でそっち行くから待ってろ』

「何?」

『i・アイランドの土産、欲しいだろ?』

「……では待っていよう。愛知、泥花市へ来るといい」

 

 

 このくだらない茶番(ヒーロー社会)を壊す。その先にある異能の自由を求めたリ・デストロは降って湧いたボーナスに胸の内を踊らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あー面倒くせぇ。今から愛知かよ」

「心配せずともワシの方で転送(・・)してやるわい。アレ(・・)もおるしの」

「アレねぇ……アレは確かに異能解放軍とやらと相性はいいだろうが……」

 

 

「裏切ったりしねえだろうな? あのナイン(・・・)とかいうやつ」

 

 

 

 






ウォルフラム(お、オールマイトいる。弱ってるっつう話だったが実際どうなんだ……?)

オールマイト「えい!……あれ、もう終わり?」
ウォルフラム「」

ウォルフラム「話が違ェぞクソ野郎!?」
AFO「……あれ?」



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