魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.オールマイトにOFA戻ってたりしないの?
 A.流石にOFA増殖バグはできなかった。それでアレなのでまあぶっちゃけ誤差でしかない。

 Q.i・アイランド事件は起こらなかったの?
 A.何事もなく楽しい夏休みで終わった。ついでに現地の技術者が森岸の【魔法】とかいう未知の塊を見て好奇心に満ちた子供のような顔になってた。

 Q.ウォルフラムはAFOに怒られなかった?
 A.むしろウォルフラムがキレてた。最悪そこから森岸によって更に強化されるので逃げて大正解。

 Q.映画ストーリーは書かないの?
 A.その場では特に何も起こらなかったorオールマイトが一晩でやってくれました のどっちかにしかならないので書かない。どこぞの次は俺だぜオジサンだけは出しようがないので多分本編には絡んでこない。






103.弱肉強食

 

 

 かつて解放思想を掲げた異能解放軍は戦いの果てに敗れ去った。構成員達はほぼすべてが檻の中へと放り込まれ、リーダーであったデストロも獄中にて自決。解放思想は一度、表社会から完全にその姿を消し去った。

 

 

 だが、いつの世も同じような答えに辿り着いてしまう人間は現れるものだ。

 

 解放思想を知らぬまま個性の自由使用を望む者などいくらでもいる。生まれ持った能力に枷を嵌められる事に納得していない者など掃いて捨てるほど存在する。

 

 ナインという敵もまたその一人。異能解放軍に所属しておらず、しかして望むは力が支配する弱肉強食の世界。

 

 【天候操作】という影響する範囲が大規模な個性を持っており、雷や竜巻に暴風雨……人間が災害に区分する現象を操る。

 

 一般的には強個性。ヒーローになれば敵退治から災害現場での人命救助活動で引っ張りだこになっていただろう。

 

 

 だが、それはナインの望む世界ではない。

 

 何かの映像で『大いなる力には大いなる責任が伴う』などと宣う輩がいたけれど、ナインの心にはただただ疑問しかなかった。

 

 何故強者が弱者のことを慮る必要があるのか。何故持つ者が持たざる者に分けてやる必要があるのか。弱い奴が悪いのであって、何故それに強い者が責任を持ってやる必要があるのか。

 

 

 故に、彼はヒーロー社会を嫌悪している。憎悪している。間違っていると叫ぶ。

 

 その為には何者にも邪魔されない力が必要だ。既存の社会を砕く為の、オールマイトを始めとしたヒーローに負けない力が。

 

 

 

 

「だからといって見ず知らずの人間から"個性をもらおう"なんて判断になるか? 普通」

「私とて普通にやって奴らに勝てるならばそうした。できると思うか?」

「……無理だろうな」

 

 

 呆れたような目を向けていたウォルフラムもナインの言葉を聞いて引き下がる。当然だ。常識から逸脱した連中を相手取るのにわざわざ自分達だけ素直に常識の範疇に収まってやる理由はない。

 

 

 同じ理想を持つ仲間も得た、力もつけた。だがそれでもまだヒーロー社会を覆すだけの力はない。

 

 何でもいい、とにかく力が欲しい。理想の為には己が強者でなければならない。ナインは貪欲に力を求め続けていた。

 

 その果てに彼が手繰り寄せた細い糸。それこそがオール・フォー・ワンとの接触だった。

 

 オール・フォー・ワンとドクターの『オール・フォー・ワンの細胞移植実験』の被験者になり、何人もの被験者が死んでいく中で唯一生き残ることに成功。

 目を覚ました時には彼に【八つまで個性を奪う個性】が発現していた。

 

 

 しかしやはり歪。元々抱えていた『個性を使う度に自身の細胞が死滅する』というデメリットが更に悪化。脳無よりは使い勝手がいい程度にしかならなかった。

 

 経過観察という名目で放逐されたナインは大いに焦った。このザマでは理想の世界を作る前に死んでしまうと。

 

 

「そこに【魔法】が手に入って話が変わった……と」

「ああ。専用の脳無を百体近く使い潰してようやく克服できた」

「……テメェ一人に随分とコストをかけたなあのジジイ。それも元は魔王に使う予定だったヤツじゃねえの?」

「知らん。私には関係ない事だ」

 

 

 貴重な八つの枠を埋める事も覚悟の上で治癒能力を持った個性を奪うべきか、と考えていたところにドクターから再び接触があった。

 

 とある個性を手に入れた事でナインの体質を改善できるかもしれないといい、ナインとその仲間達をまとめて招集。そこにあったのは頭部に足をくっつけただけの歪な姿をした脳無……が、数えるのも億劫なほどずらりと並んだ空間だった。

 

 使い捨て前提。ほんの数回だけ【ホイミ】を使える脳無を大量生産し、強引に治療を行う為の空間。

 

 当然莫大なコストがかかっているし、大量のリソースも消費している。それでも尚ナインという特級戦力を得られるのならばとドクターは投資のようにそれを使った。

 

 

 結果としてナインの先天的なデメリットを持った体質は改善された。オール・フォー・ワンの細胞も完全に適合し、万全に扱えるようになった。

 

 オマケとばかりにドクターは八つの個性を用意。現在彼の体には【魔法】を含めた複数の個性が搭載されている。

 

 

「そんな事よりもだ、私達はこの泥花市まで来て何をすれば良いのだ」

「リ・デストロっつうオッサンに会わなきゃなんねえんだが……そのリ・デストロはどこだよ。案内とかねえのか?」

 

 

 そのナインは現在ウォルフラムと共に愛知県泥花市へと来ていた。

 

 異能解放軍の現最高指導者にしてライフスタイルサポートメーカー・デトネラット社代表取締役社長、リ・デストロ。彼との取引の為にドクターに転送されてここに来たのだが、泥花市のどこにとまでは聞いておらず困っている。

 

 とりあえず適当に歩くか、と動き出した時。まるで待ち構えていたように一人のヒーローが姿を現した。

 

 

「ストップ! 私は案内役を仰せつかった者!」

「おいおい……ヒーローまで解放軍にいんのかよ」

「解放軍指導者と話がしたければ私について来たまえ!!」

 

 

 名も知らぬヒーローが地面を滑るように移動しながら姿を見せるとそう語った。

 

 現状この胡散臭いヒーロー以外に手がかりがない事も事実。ウォルフラムとナインは訝しげな顔をしつつも彼について行く事にした。

 

 

 

「こんな堂々と表を歩いてていいのか? 裏の人間だろう」

「構わないとも! それに私の管轄は別だが、今日は特別!」

 

 

 地面を滑るヒーローに尋ねたウォルフラムの疑問は当然のものだ。

 顔が割れていなくとも取引等の要件がある場合はなるべく記録を残さずに動くべきだ。それを堂々と表を歩いているのだから警戒もする。

 

 しかしヒーローはアッサリと切り捨てる。視線も寄越さず背を向けたまま額に手をやり、人差し指と親指を立てて指鉄砲のような形を作ると親指を額に当てて声を張り上げる。

 

 

「初めまして! 貴方達がリ・デストロの仰っていた方達ですね?」

「…………また人が増えやがった」

 

 

 それと同時にまた一人、二人と姿を見せる。黒いロングコートにサングラスのオールバックの男。青肌に紫の髪、結膜が黒い女。どちらもどこかで見た覚えがあるような人物。

 

 

「ここは泥花市、ヒーロー含め人口の九割が潜伏解放戦士の"解放区"なのであります!」

「……何?」

「遠路はるばるようこそお越しくださいました! 最高指導者が貴方達をお待ちしておられるのですが……生憎あの御方もお忙しい身。会う価値のない者に割く時間はないのです」

 

 

 二人は揃って納得したような顔をした。それで先程からずっとアチコチから殺気を向けられていた(・・・・・・・・・・)のかと。

 

 無言で二人は構えを取る。その様子を見て意図が伝わった事を理解した男──トランペットは一層胡散臭い笑みを深めて高らかに宣言した。

 

 

 

「なので! 最高指導者が会うに相応しいと示して頂きたい!」

 

 

 

 次の瞬間、街中から飛び出した解放戦士達がウォルフラム達へと個性を使用した。

 

 家の瓦を操る者、手のひらから弾丸のようなものを放つ者、牙を剥いて飛びかかる者……その全てがたった二人へと差し向けられる。

 

 

「……泥花市の人口はいくつだ」

「知らねえよ。確か日本の市っつうと五、六万人はいねえと名乗れなかったんじゃなかったか」

「つまり最低でも五万人か」

「流石に全部と戦うことにゃならねえだろ。向こうの言い分的に」

 

 

 が、無傷。二人の周りをグルリと液体のような金属が囲っており、解放戦士による攻撃全てが片手間に防がれていた。

 

 金属の壁はまるで意志を持った生物のようにうねり、ウォルフラムの手に吸い込まれるように戻っていく。

 

 ウォルフラムは面倒くさそうに、ナインは興味が無いといった様子で話す。それを舐められていると思ったのか怒り狂った様相の解放戦士が一人二人の前に飛び出し──ウォルフラムのパンチ一発で吹き飛ばされた。

 

 

「貴様も何か個性を?」

「あの【魔法】とやらは胡散臭過ぎてな。そんなもんより分かりやすいもんを寄越せっつったらコレ(・・)を寄越しやがった」

 

 

 ウォルフラムが与えられた個性。それは【筋力増強】【ポケット】の二つ。

 

 【筋力増強】は名前の通りだ。今しがたやって見せた通り、持ち主の筋力をかなり強化してくれる能力。

 

 そして【ポケット】。こちらは彼の本来の個性である【金属操作】を補助する為の個性。手で触れた物を非生物に限り異空間に収納してしまえるというMr.コンプレスの【圧縮】によく似た能力。

 

 

「一人倒しただけでもう余裕のつもりか!?」

「くっちゃべってんじゃねえぞ!」

 

 

 だが解放戦士達はその程度では怯まない。吹き飛ばされた仲間に目もくれず牙を剥き、或いは手に水のようなものを纏わせて飛びかかる。

 

 チラ、とウォルフラムは目だけでナインに伝える。次はテメェがやれ、と。

 

 相変わらずナインは無表情。それもそのはず、弱肉強食の世界を望んでいる彼にとって食らうに値しない有象無象など感情を動かすだけの燃料にもなりはしない。

 

 一歩分だけウォルフラムより前に出ると、ナインはただ一言こう告げた。

 

 

 

「【バギマ】」

「な───」

 

 

 

 ナインの言葉が引き金となり風が渦巻く。吹き荒れる風はナインの手元で球の形を取り、解放戦士へと放たれ───荒れ狂う風を解き放った。

 

 圧縮された竜巻の急激な膨張。竜巻爆弾と言う他ない一撃は二人の解放戦士に留まらず、直線上にいた者まで巻き込んでいく。

 

 

「何だ今の……!?」

「クソ、怯むな! 所詮はたった二人──」

 

 

「【イオラ】」

 

 

 

 更に畳み掛ける。複数の個性によって変質した【魔法】が解放戦士へと向けられた。

 

 ほんの一瞬、目が焼かれるような眩い閃光が走った次の瞬間……強烈な爆発が街諸共人々を破壊していく。

 

 

「ハッハッハ! 派手にやったなあおい!」

「つまらん……試運転の的にもならんとは……」

 

 

 ナインによるたった二度の攻撃は、集まっていた解放戦士の半分を吹き飛ばした。

 

 ウォルフラムは心底愉快そうに笑い、ナインは期待外れとでも言いたげに吐き捨てる。あれが全力の一撃というわけでもなく、単なる牽制程度で放たれていたという事実が解放戦士達の背筋に冷たいものを這わせた。

 

 

「さて、喧嘩を売ってきたのはテメェらだ……リ・デストロが来るまではしばらく遊ばせてもらおうかね」

「数を減らしたくはないだろう。さっさとリ・デストロを呼んでこい」

 

 

 手を組む価値があるかを確かめるつもりだった小手調べ。リ・デストロと会うに相応しい者達かを知る為の戦いは既に二人の遊び場と化していた。

 

 






 ──いつぞやのi・アイランドにて


技術者A「何だこの物理法則ガン無視個性」
技術者B「これのせいで論文ひとつ消えかけた」
技術者C「ちょっと細胞くれない? 先っぽだけ!」
技術者D「君のお陰でオールマイトが助かったのか……ありがとう! 是非ともお礼がしたい! とりあえず欲しいだけの金額をコレに書いて───」


森岸「あれもうマッドサイエンティストでは?」
耳郎「世界の技術者怖っ……」
メリッサ「そ、そうね……」
森岸「いや貴女も最初あんな感じでしたよね?」
メリッサ「…………」
耳郎「聞いてないんだけど?」
メリッサ「いけないKARATEの稽古の時間だわ!」
耳郎「今日は休め」
メリッサ「ヒエッ」



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