今更になりますが攻撃魔法については解説しない事にしてます。補助魔法と違って攻撃描写がそのまま効果の描写になるので不要だと判断しました。
Q.外典さん死んでない?大丈夫?
A.死ぬほど痛いけど死んではない。
Q.某スタンドバトルみたいな事もできる?
A.流石に無理。覚醒すればワンチャンある……かもしれないし無いかもしれない。どの道本編でやることは無い。
外典とウォルフラムが離れた直後。雷造は既に攻撃に移っていた。
ウォルフラムとナインはリ・デストロの客。しかし雷造とてプライドがある。ポッと出の人間がヨコから出てきて対等だなどと吐かされてそうですかと受け入れられるほど尻軽ではない。
手を組みたいのであれば伏して頭を垂れるべきであろう。時と共に積み重ねてきた解放軍の力を何も知らぬ余所者に利用されてなるものか。
異能解放軍としての誇りと驕りに突き動かされた雷造はスタンガンを起動。己の異能である【増電】でその僅かなスパークを膨大なエネルギーへと変化させると、一切の加減なくナインへと解き放った。
が。
「【ライデイン】」
「!」
「貴様の専売特許だとでも思っていたのか? 電気に関わる異能などそう珍しくもあるまい」
ナインが一言唱えると彼の手からも雷が迸った。異なる力から放たれた雷同士がぶつかり合い、バチバチと音を立てて消えていく。
竜巻、爆発ときて今度は雷。一体いくつの異能を抱え込んでいるのか底知れないナインを前に雷造の額を冷や汗が伝う。
「……驚いたとも。だが電気系統だからではない、吾輩の雷に張り合ってみせた貴様の力に驚いた」
「……? 出力勝負に負けた事がそんなにも意外か? 貴様の雷は確かに強いが……私よりは弱い」
「言ってくれる!」
おそらくナインにとってそれは煽りですらない。彼はただ己が悟った純然たる事実をそのまま口にしただけなのだろう。
だからこそ受け入れられない。氷だろうが鉄だろうが好きに使えばいい。だが電気だけは駄目だ。それだけは負けられない。
再びスタンガンを起動。極小の電気が雷造の手によって眩い超電力と化す。
「ならばこれを受けてみよ! これぞ吾輩の全身全霊の放電!!」
後先など考えない。例えナインを殺すことになっても構わない。フルスロットルで【増電】した大量の電気エネルギーを全てナインに向け───
「【ギガデイン】」
──ナインの雷霆が雷造を撃ち抜いた。
「があっ……!?」
「む……少しばかり魔力残量の底が見えてきたな。やはりこのレベルの【魔法】は消耗が激しい……」
ありえない。雷造の思考を否定する現実はあまりにも無情。
雷造はその異能の性質上、感電に対する耐性がとてつもなく強い。先程ナインが放っていた【ライデイン】であっても雷造にダメージを与えるには程遠く、敢えて雷で戦いを挑んだナインを無謀だと嘲笑っていた。
だというのに現実はこの通り。雷造の肉体は降り注いだ一筋の雷霆によって焼かれた。致命傷とまではいかずとも戦闘不能と言うには充分なダメージ。
何故。雷造の視線から読み取ったのかナインは顔色ひとつ変えずに告げた。
「【魔法】の雷は物理法則とは異なる性質を持つ。如何に貴様の耐性があろうとも完全に防ぎ切ることはできん」
「なん……っ……」
なんだそれは。抗議の言葉を口にすることもできず、雷造はその場に崩れ落ちた。
◇
「おう、終わったか?」
静まり返った市街地のど真ん中。気を失っている白髪の男……外典を引き摺りながらウォルフラムが合流する。
ナインは視線だけを寄越した後、同じく意識を失っている雷造を担ぎあげると周囲を見回した。
眉間に皺を寄せ、苛立ちが滲んだ声音をわずかに張り上げて告げる。
「これで相応しいかどうかは示した事になるだろう。さっさと姿を見せろ」
「……気づかれていたか」
そうして姿を見せたのは心底愉快そうに口の端を吊り上げた鷲鼻の老紳士。表社会においてはヒーローアイテムへの参入を喧伝するCMで見られるようになった男、四ツ橋力也にしてリ・デストロ。
外典と雷造に指示を出した後、モニター越しではなく直にその目で確かめる為だけにこの場に足を運んでいた。
その両隣には最初に姿を見せていたトランペットと青肌の女キュリオスが待機している。
「想定以上だ。素晴らしい。君達を敵に回さなくて済むと思うと胸を撫で下ろすくらいだ」
「そうかよ。それで? こんな面倒くせえことさせたんだ、それ相応の詫びってもんがねェとなあ?」
「それについては安心したまえ。我が社で開発したサポートアイテムや技術を提供する事を約束しよう」
異能解放軍からは資金と機械技術を。ならば君達は何を提供してくれる? と探るように不躾な目線を返す。
「ああ、まずはコイツをくれてやる。例の土産だ」
「ほう……! i・アイランドの技術データか?」
「目に付いた企業片っ端からデータをコピーしてきただけだ。お望みのもんがあるとは限らねえがな」
「これはありがたい! キュリオス、さっそくスケプティックに解析させろ」
「はっ」
ならばとウォルフラムが手付金に差し出したのはいくつかのデータチップ。先のi・アイランドにて密かに確保していた様々な企業のデータをコピーしたものだ。
中身自体はウォルフラムとて把握していないものの、あのi・アイランドに居を構える企業だ。何かしら価値のあるデータが眠っているだろう。
加えて彼らが提供できるものは既に示している。無数の解放戦士すら意に介さない戦闘能力。更に言えば彼らの背後にはオール・フォー・ワンの残党……大量の脳無や個性因子を手元に残している。
それでは不服か? とニヒルに笑うウォルフラムに対し、リ・デストロは手を差し出して応えた。
「君達とは、長い付き合いになりそうだ」
「OK、取引成立ってわけだ。なら早速ご招待といこうか」
「……何?」
次の瞬間、リ・デストロとトランペットの口から黒い汚泥が噴き出した。
「……これはちょーっとヤバいか?」
少し離れた空の上。ホークスは冷や汗を流してその光景を見守っていた。
◇
No.2にしてヒーロー公安委員会直属ヒーロー。それがはやすぎる男、ホークス。
彼がNo.2に就任してから……否、就任する前から任されていた任務があった。
──潜入捜査ぁ?
──レディ・ナガンからの情報がね。
その発端はレディ・ナガン。厳密にはそのサイドキックとなった渡我被身子。
初の潜入捜査がよりにもよって敵連合となってしまった彼女は、今度こそ最初から最後までやってみせると意気込み再び裏社会へと足を踏み入れた。
最初はやはりというべきか、寄ってくるのは渡我被身子に用がある者ではなく女という部分にのみ価値を見出して来る阿呆ばかり。そういうチンピラには玉潰しで返事をくれてやってまた別の誰かを……と繰り返していた。
とある日、接触してくる人物の中に変わった人間がいる事に気づいた。
なんてことは無い、用件も態度も他のチンピラ共とそう変わりはない敵未満。しかしハッキリと違ったのはその装備。
正規のヒーローアイテムとそう変わりない……それどころか殺傷能力に関しては上回る装備を身につけた者が多くなってきた。
そうした違法なアイテムは値段が張る。特に性能が良ければ良いほど足元を見られるし、そうでなければオール・フォー・ワンのようなバックがない限り手に入るはすもない。
だというのに連日連夜、高性能の違法アイテムがゴロゴロと見つかる。返り討ちにすると決まって小爆発を起こして跡形もなく崩れさる。
ナガンの教えもあってそこに違和感を覚えた渡我被身子は一計を案じ、破壊される前のアイテムを入手する事に成功した。
自分一人の手には負えそうにない闇を感じ取った彼女はそのままレディ・ナガンへとそれを提出。ツテを使って解析に回した所──……
「……まさかデトネラット社がねえ」
明らかとなったのはその出処。渡我被身子が確保したそれをキッカケに更にいくつかの違法アイテムの確保に成功し、解析にかけたところ出てきた名前がデトネラット社だった。
技術関係は畑違いということもありナガンもホークスもなんのこっちゃしか思えないが、どうも使われている技術や内部構造がデトネラット社と一致していたのだとか。
何故デトネラット社が違法アイテムをばら蒔いているのか、その背後に何があるのかを探る任務を与えられたホークスは早速行動を開始。すぐさまデトネラット周辺を洗うとまあ出てくるわ出てくるわ悪行の数々。
オマケに異能解放軍なんて化石のような連中がいることまで判明。ホークスはそちらから攻めてみる事にした。
すると余程切羽詰まっていたのか、或いはNo.2ヒーローという肩書きに目が眩んだのか想像以上にあっさりと解放軍への潜入に成功。一部の者は疑いの目を向けているが、それも時間をかければいくらでも誤魔化せる。
そうして情報を集めては公安に報告をしていたのだが……今日、オール・フォー・ワンの残党が解放軍と接触しに来るという。
これを好機と見たホークスは密かにリ・デストロの服に盗聴器を仕込み、何をするつもりなのかを探ろうとしていた。
『ゴホッ……いきなり酷い事をする。事前に言って欲しいものだ』
『いや俺らも把握してねえから。あのジジイに連絡してからアレをやるつもりだったんだよ』
『……酷い臭いだ相変わらず』
「さて……何か掴めるといいんだけど」
ややノイズが混じった音声だが聞き取れないほどでは無い。一言一句たりとも聞き逃さぬよう耳に集中し、同時に録音を開始する。
聞こえてくるのはリ・デストロとウォルフラム、ナインの声。それから遠くで笑っているしわがれた老人。
『そういうな。黒霧を失った以上ワープの手段はあれしかないんじゃ』
『……貴方がオール・フォー・ワンの側近かな?』
『うむ、如何にも。ワシはドクターと呼ばれとった』
「……! ドクター……敵連合のバックにいたとされる人間か……!」
まず一つ目。オール・フォー・ワンの残党にいると思われていた人物、ドクター。やはりまだ潜んでいたか、とホークスは顔を顰める。
『ではドクター。いくつか質問があるがいいかな?』
『構わんよ。何が聞きたい?』
『では……まず一つ。
「あー……やっぱりあれで全部じゃないよなあ……しかも言い方的に結構な数がありそうだし」
続けて二つ目。分かりきっていた事だがやはり脳無はまだ作られている。それも異能解放軍の最高指導者をして『戦力が足りているのでは?』と言わせるほどの数が。
先日福岡で戦ったあのやけに強い脳無もその内の一体だったのだろう。下手をすればあれと同等以上が大量にいるかもしれないと思い至り、ホークスの背中を冷たいものが伝う。
『ここにいる半分以上は実験体じゃよ。雄英生徒から得た個性因子を使ってな』
『……それは彼……ナインが使っていたものかな?』
『そやつのは混じって変異しとるがの。同じものじゃ』
「ナインにも【魔法】を……ウォルフラムは持っていないのか」
『やはりか。かつて誘った時とは随分と様変わりしたものだと思っていたが……』
『なんじゃ知り合いか?』
『……昔スカウトされた事があるだけだ』
それから四人の会話はいくつかの情報を落とした。
敵連合に深い意味は無く、死柄木弔という器を完成させるための組織でしかなかったこと。既に敵連合とは何の繋がりもなく、むしろ彼らはオール・フォー・ワンを裏切った立場にあること。
死柄木弔を失ったことはこちらが思った以上に痛手であったこと、死柄木弔を失ったと同時にオール・フォー・ワンが捕まったことも誤算であると。
会話の端々から感じた事だが、どうも向こうはこちらの想定よりも追い詰められているらしい。それも知らない事で。
オール・フォー・ワンが捕まるまでは当初のプランだったようだが、どちらかといえば死柄木弔の離反が堪えている様子。
(言っちゃ悪いがあんな癇癪任せの子供みたいな奴だったのに、何を目論んでいた?)
残る疑問に対する回答になり得そうな情報はない。ただ淡々とお互いが提供できるものを話し合っているばかり。
するとドクターと呼ばれている老人がふと、何かを思い出したように話し出した。
『ああそうそう……ウォルフラム、ナイン。お前達にもまだ紹介しとらん奴がおったんじゃった』
『あ? 紹介?』
『といってもここにはおらんがな。ほれ、そっちのモニターに映っとるじゃろ』
まだいるらしいオール・フォー・ワン残党のメンバー。一体何者かと耳をすませてはみるものの声は聞こえない。ただウォルフラムとナイン、リ・デストロが息を呑む音だけが聞こえた。
『……おいおい、あんなの隠してたのかよテメェ』
『隠しとらん。見れば分かるじゃろ? 大きすぎてここに連れてこられん』
『これは……何だ? そもそも私達と同じ人間か?』
(デカイ? 脳無じゃなくて人間? 一体何がいる?)
『人間じゃよ。色々弄っとるがな。それに今はまともには動かん』
『何故だ?』
『アレは主の命を受けて動く。主たるオール・フォー・ワンがいない今、アレが動くには相応の目的がいる』
それ相応とは。ホークスの疑問が具体的になる前にリ・デストロが同じ質問をしていた。
『相応の目的とは?』
『ワシらにとってもメインとなる目的じゃ。最早死柄木弔など不要! それは───』
『タルタロスを襲い! オール・フォー・ワンを取り戻す!』
「あー……もしもし? 俺です、ホークスです」
「ド真っ黒でした。はい。ちょっと洒落にならないっていうか……」
『────』
「詳細は戻ってから伝えるんで。ええ。ちょっと準備しといてくれません?」
『────?』
「何故って、そりゃ決まってますよ」
「総力戦になります。ぶっちゃけ学徒動員ですよ。特に彼……森岸君は必須になると思うんで。よろしくお願いしまーす」
解放戦士T「えー……解放軍へ入りたいとの事でしたが志望動機等があればよろしくお願いします」
ホークス(いやガチ面接かよ)
解放戦士K「本日はどうやってここまで?」
ホークス「いやガチ面接かって。しかも順番おかしいし」
解放戦士D「ツッコミ適性〇と……」
ホークス「ねえこれ本当に何の時間?」