魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.【魔法】の有無でどう変わるの?
 A.同系統の個性に限り、僅かに格上の相手でも競り合いに勝てるようになる。既存の個性に魔力が乗る事が原因。

 Q.何故デイン系だけは上級魔法が使えるの?
 A.バギ系もイオ系も使える。小手調べばっかりしてたから使わなかった。ちなみに他の個性は中級止まり。

 Q.ドクター【魔法】の使い方間違えてない?
 A.そもそもまともに制御できた例が少ない。






106.シリアスの途中で悪いが日常回だ!

 

 

 12月下旬……終業まであと数日。

 

 

 雄英の入試に始まりUSJで敵連合が出てきて体育祭。それから職場体験を終えて今度は合宿先で襲撃され……ひと段落ついたところで仮免試験。その後は文化祭でバンドとこれまでで最も濃い一年だった。

 

 その濃い一年ももうすぐ終わる。雪が溶けて春になった時には俺達は二年生。後輩を抱える立場になる。

 

 ……なんかアレだな。濃すぎて『もうすぐ一年経つぞ』と言われてもピンとこない。体感まだ三ヶ月ちょっとって感じなんだが。

 

 

 しかし残念ながら時の流れは至って正常。流れた時の分だけネットニュースは更新されているし事件も起きている。

 

 スマホの画面に映っているのは愛知県泥花市で起きた事件についてのニュース。どこぞの阿呆が暴れた結果、百名以上の死傷者を出してしまったとか。

 

 

「酷い事件だね……」

「うおっ、びっくりした……葉隠さんや、無言で横に来ないでくれ」

「へへ、驚いた?」

 

 

 口から心臓出るかと思ったわ。あとどことは言わないけどあたってるからね? 見えてなくても触れてたら流石にアウトだよ?

 

 んでこの泥花市の事件なんだけど……なんかキナ臭いんだよな。特にこの一瞬だけ映ってる雷。妙に既視感があるというかなんというか。

 

 まあ確証も何もないし、何かしらヤバい話だったらナガンさんかホークスあたりから何かしら連絡が来るでしょ。

 

 

 それに世論も比較的穏当というか、No.1ヒーローがオールマイトからエンデヴァーに変わってから薄らと漂っていた『本当に大丈夫か?』という空気も変わりつつある。

 

 先の福岡で脳無を返り討ちにし、またその光景に触発されたのか他のヒーロー達も在り方を見直しつつある……と記事に書いてある。

 

 何だかんだ言っても皆エンデヴァーの実力自体は疑ってない。まああのオールマイトを抑えて事件解決数No.1やってるような人だから当然か。

 

 

 

「楽観しないで!」

「おわっ!?」

 

 

「良い風向きに思えるけれど、裏を返せばそこにあるのは危機に対する切迫感!」

 

「勝利を約束された者への声援は! 果たして勝利を願う祈りだったのでしょうか!?」

 

「ショービズ色濃くなっていたヒーローに今! 真の意味が求められている!」

 

 

 誰かと思ったらMt.レディ!? と、ミッドナイト先生まで……あなた達だいぶ前に討論番組でキャットファイトやらかしてませんでしたっけ。見てる分には面白かったから良かったけども。

 

 その後ろから相変わらず寝袋に入っている相澤先生。特別講師として招いたんだそう。ミッドナイト先生は付き添い? そうですか。

 

 

「オイラが言うのもアレだけど、一番ショービズに染まってんだろ!」

「お黙り!!」

 

 

 峰田が珍しく下心じゃなくて正論でツッコミ入れおった。どうしよう、否定できない。

 

 Mt.レディといえば『キタコレ族』なるファンを抱えていることで有名なのだが、そのキタコレ族とやらは【巨大化】したMt.レディの臀部を撮影する為に追っかけをしているとか。下心満載じゃねえか。

 

 本人もそれを分かっているのかポージングの際は尻を突き出すようなポーズを選ぶことがほとんど。うーん、ショービズ色。

 

 

「今日行うは『メディア演習』!! 現役美麗注目株(わたし)がヒーローの立ち振る舞いを教授します!!」

「何するかわかんねェが……皆! プルスウルトラで乗り越えるぜ!!」

 

 

 あー……切島? 張り切ってるところ悪いが多分……

 

 

 

 

「ヒーローインタビューの練習よ!!」

 

「緩い!」

 

 

 まあ、うん、だろうね。

 

 普段の訓練が"事件中"についての内容だとすれば、これは"事件後"についての内容。それもインタビューする余裕がある状況での話だから普段みたいにドカドカ試練を課されることもない。

 

 やはり肩透かし感があったのか切島は微妙な表情。即座に組み立てられたインタビューエリアに招かれた轟を無言で見送っている。

 

 

『凄いご活躍でしたねショートさん!』

「何の話ですか?」

『なんか一仕事終えた体で! はい!!』

「はい」

 

 

 それはそれとして初手で轟選んだのだいぶミスだと思いますよMt.レディ。そいつ思ったより中身天然なので。

 

 

『ショートさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょう!?』

「俺が来て……皆が安心できるような……」

『素晴らしい!! あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら私、逆に心臓バクバクよ!』

「心臓……悪いんですか……」

『やだなにこの子!?』

 

 

 あーほら言わんこっちゃない。轟家の事情を知った今だから分かるが、アイツ多分会話の流れとか全然分かってないタイプだと思う。色恋沙汰なんて論外もいいところ。

 

 自分の顔立ちが整ってるかどうかすら分かってないし、もしかしたら轟の中では美人とそうでない人の区別もないんじゃないだろうか。良くも悪くも全部フラット。そんな感じ。

 

 

『どのような必殺技をお持ちで?』

「必殺技……それなら……」

 

 

 え、必殺技とかすんの?

 

 轟も少し驚いたような顔をして、舞台から降りると氷結の方を使って一瞬で巨大な氷の壁を作り出した。

 

 【穿天氷壁】。広域制圧や足止め、足場作りと幅広く使える技だそうだ。あれそんなカッコイイ名前してたのか。

 

 あとここではしなかったが【膨冷熱波】……体育祭で緑谷に使っていた技もものにしていた。そっちもいい名前してんな。

 

 【赫灼熱拳】は? と思ったが本人の中でそれを名乗るにはレベルが足りていない模様。燈矢はガッツリ使ってたけどいいのか。

 

 

「パーソナルなとこまで否定しないけど……安心させたいなら笑顔を作れると良いかもね」

「笑顔を……」

「あなたの微笑みなんて見たら女性はイチコロよ」

「俺が笑うと死ぬ……!?」

 

 

 違うそうじゃない。

 

 とりあえずこれで終了。何か質問はある? とMt.レディが尋ねると、常闇が手を挙げた。

 

 

「インタビューでは技も披露するのか?」

「あらら! ヤだわ雄英生。皆が貴方達の事を知ってるわけじゃありません!」

 

 

 Mt.レディ曰く、必殺技とは己の象徴。自分というヒーローが何をできるのか、必殺技を例として知ってもらうのだと。

 

 例えばエンデヴァーの【赫灼熱拳】シリーズ。一度インターンで行ったから知ってるが、その派生は多岐に渡る。

 強烈な炎を吹き付ける【ジェットバーン】に糸状に放出して焼き切る用途の【ヘルスパイダー】……そして全身から前方へ全力の熱線を放つ【プロミネンスバーン】。名前があることでサイドキックの人達もそれに対応したアシストの準備ができていた。

 

 また、敵への警鐘や市民からの信頼を勝ち取る為でもあるという。要は『俺はこんなことができるから安心してね(覚悟しろよ)』ということなのだろう。

 

 

 ……じゃあ俺はどこまで見せたらいいんですかね?

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「兄・インゲニウムの名に恥じぬ疾りを見せる者であります!」

『誠実さが伝わるわね!』

 

「博覧強記、一切合切お任せください!」

『自信は人を頼もしくするの!』

 

「私の前では全てが0kgなのですっ」

『和らげるのも一つの才よ!』

 

「闇を知らぬ者に栄光は訪れぬ」

『良い〜雰囲気良いよー!』

 

「俺の後ろに血は流れねェ!」

『ああー! 兄貴ー!!』

 

 

 それからA組のヒーローインタビューは続く。己の在り方を言葉で伝える者、或いは個性で示す者……Mt.レディの心配は杞憂だったと思える程しっかりとした受け答えができていた。

 

 意外にも親しみやすい方面に舵を切ったテンタコル(障子)の番が終わった後、森岸の番が回ってくる。

 

 

『凄いご活躍でしたねレックスさん!』

「ええ、ありがとうございます」

『レックスさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょう!?』

 

 

 何度も繰り返し行っていたことでMt.レディも生徒も慣れてきたのか、開幕から淀みなくトントン拍子に進んでいく。

 

 僅かに取り繕ったよそ行きの態度に耳郎が何とも言えない顔で見守っているが森岸は気にも留めない。嘘、ちょっとだけ『言いたいことがあるなら後で聞こうか』と思っている。

 

 

「市民の皆さんにもヒーローの方々にも『ああ、もう大丈夫』だと思ってもらえるようなヒーローですね」

『素晴らしいですね! どのような必殺技を?』

 

 

 そして森岸にとっての難問。【魔法】をどこまで見せるべきなのかという話。

 

 相澤からは事前に『【パルプンテ】以外なら問題ない』とのお墨付きを頂いているが、逆に言えばそれ以外なら何をしてもいい……つまり何一つ解決していないわけで。

 

 先程のMt.レディの話に従うのであれば自分が何をできるのかを知ってもらう必要がある。だとしたら攻撃用の必殺技よりも回復や補助の能力を示すべきだろうか、と森岸は判断した。

 

 

 

「じゃあ……【ベホイミ】で」

「はひゃあんっ!?♡♡」

 

 

 

 それが間違いだった。

 

 疲れてるMt.レディを労うつもりで【ベホイミ】を使ったところ、想定以上に疲労が溜まっていたからかとんでもなくエロい声が漏れた。

 

 ビシリ、と空気が凍りつく。だってそうだろう? 壇上でヒーローコスチュームとはいえ、全身タイツでセクシーなボディライン丸出しのMt.レディがいきなりエロい声で喘いだのだから。

 

 唯一元気なのは峰田だけ。職場体験で何かしらのトラウマを植え付けられていたはずのエロブドウが「ウッヒョー!」と声を上げている。

 

 

 

「なんて声出させんのよ!!?」

「いや……ええ……? これ俺が悪いんですか?」

 

 

 流石のMt.レディもこれには羞恥心フル稼働で涙目顔真っ赤。余計エロく見えるからやめた方がいいですよ。

 

 ちなみに止めるべき相澤とミッドナイトは不意打ちの嬌声がツボに入ったのか、腹を抱えてその場に蹲っている。何してんだ仕事しろ。

 

 

「これすると肩凝りとか目の疲れも取れるって先生方には好評なんですけど」

「え、嘘……わ、本当だ! 肩がすっごく軽くなってる!」

「ちなみに最初の方はミッドナイト先生も似たようなリアクションでした」

「通過儀礼か何かなの?」

 

 

 有り難いけど素直に感謝しにくい。Mt.レディは口をモニョモニョとさせた後、最後のアレ以外は良くできましたと森岸の番を締めくくった。

 

 

 

 

 

「……にしても気の所為かしら? 体育祭の時から随分と雰囲気が変わったような……?」

 

 

 

 






Mt.レディ「男性教師もあんな感じになったの?」
森岸「最初だけですね。二回目からは普通でした」
Mt.レディ「ちぇっ、面白いものが見れると思ったのに」
森岸「ついでに言うとミッドナイト先生よりも13号先生の方がエッチでしたね。さっきみたいな悲鳴あげた後涙目で叩かれました」
Mt.レディ「何それ可愛い」
森岸「あとナガンさんも似たような感じでした」
Mt.レディ「待ってレディ・ナガンが???」


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