魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.今の燈矢から見た轟家ってどんな感じ?
 A.申し訳なさ過ぎて顔を合わせにくい。それでも時々顔を出すようにはしている。仏壇見た時は何とも言えない顔になった。

 Q.森岸って何個ルートあるの?
 A.耳郎√と冬美√に加え、ミルコ√とナガン√とラグドール√がある。全部スルーしてしまうとエンディング後に成長した壊理ちゃんに食われる√に行き着く。

 Q.R-18版はよ!
 A.書きたいとは思うのですが時間と文章力の問題で難しそうです。本編終了後に勇気が出たら書くかもしれません。

 Q.敵側の戦力ってどんなもん?
 A.以下の通り。

 【解放軍】
 ・リ・デストロ
 ・トランペット
 ・キュリオス
 ・スケプティック
 ・外典
 ・雷造(増電副隊長)
 ・その他11万人の解放戦士

 【AFO残党】
 ・ナイン(部下付き)
 ・ウォルフラム
 ・ギガントマキア(脳無化中)
 ・ハイエンド脳無
 ・脳無(いっぱい)





113.黒く濁る

 

 

 

 光陰矢の如し。カレンダーのマスを数えて喜んでいたのも過去の事。冬休みはあっという間に過ぎ、始業。

 

 初めてのイベント、想定外のトラブルが多かった怒涛の一年次も残り三ヶ月。たったそれだけの時間で雄英史上最も忙しない一年生も、先輩と呼ばれる立場になる。

 

 それだけの時間が経てば振る舞いも変わるもの。話し声が聞こえたものだからまた雑談でもしてるのかと相澤が勢いよくドアを開けると、丁度教室から出ようとしていた芦戸とバッタリ遭遇した

 

 

「いつまで喋って──」

「先生ーあけおめー!!」

「本日の概要伝達済みです。今朝伺った通りに」

「……そうか」

 

 

 彼らの手には既に授業に必要なコスチュームのケースがあり、相澤が何かを言う必要もなく準備が整っている。

 

 本日の授業内容は実践報告会。冬休みの間のインターンで得た成果や課題等を共有する時間。

 

 年が明けてからの再会となった同級生は見た目こそ大きな変化がないものの、ちょっとした所作や言動から違いが見られるようになった者もいる。

 

 真っ先に挙がったのは先程壇上にて授業概要を話していた飯田。生来の生真面目さ故に言動がお堅いところがあり、空回ってしまう事も多かった。それに気づいた上鳴は珍しそうに零した。

 

 

「飯田が空回りしてねー」

「マニュアルさんが保須でチームを組んでリーダーをしていてね。一週間ではあるが学んだのさ……物腰の柔らかさをね!」

「あ、空回った」

「すぐチェーン外れる自転車みてェ」

 

 

 が、やはり根底は簡単には変わらない様子。物腰の柔らかさとは言うがそれはあくまで比喩だろうに、言葉からイメージしたのか腰を前後にクネクネと動かしながら誇っている。違うそうじゃない。

 

 残念そうな上鳴と苦笑いする瀬呂。そしてそんな生徒達を見ながら僅かに困惑していた相澤がようやく再起動を果たす。

 

 思い出していたのは入学したばかりの頃。相澤が入ってくるまでワイワイガヤガヤと騒がしく、説明中でもすぐ横道に逸れるので睨みつけて止めていたというのに。今や相澤が入ってくる頃には説明が終わって授業の準備まで終わっている。

 

 しみじみとした様子でA組を眺めていると、思考を打ち切られるようにスピーカーから放送が流れた。

 

 

『相澤先生、森岸君と職員室までお願いします』

「……?」

「あれ、今俺呼ばれました?」

「呼ばれたな。行くぞ」

「はい」

 

 

 これから授業だというのにどうしたのか。相澤と森岸は揃って不思議そうに首を傾げながら職員室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 気まずい。いや気まずいなんてもんじゃない。空気が鉛のように重い。

 

 プレゼントマイクの拘りが詰まった左ハンドルの車内。運転席のマイク先生と助手席の相澤先生は酷い焦燥感に駆られており、更にその上から怒りと困惑を滲ませている。

 

 

「……もっとスピード出せないのか」

「うるせえな、落ち着けよ」

 

 

 普段はもっと柔らかいやり取りをしているはずなのに、今は油さしをサボった歯車のようにギスギスしている。それでも考えている事は同じなのか、或いは怒りの矛先が同じなのか。口調が荒いだけで喧嘩になる様子はない。

 

 

 そんな二人の後ろ。後部座席で俺は息を殺すように大人しくしていた。だって滅茶苦茶ギスってるんだもん。

 

 職員室に呼び出され、待っていたのは今にも飛び出して行ってしまいそうな様子のプレゼントマイク。相澤先生が訝しむような目で見ていたが、何かコソコソと話し始めたかと思うと目を見開いて呆然としていた。

 

 一体なんだというのか、話し終えた後は『お前も来てくれ』と言うとすぐに車に乗り込み雄英を発った。

 

 

「……USJで戦った。そんな素振り、微塵も……趣味が悪いにも、程がある」

「俺ァ……塚内さん達の勘違いに、賭ける」

 

 

 事情説明が欲しいところだが、明らかに二人の様子がおかしい。どこに向かっているのかも伝えられていないが、とても尋ねる気にはなれなかった。

 

 

 

 

 

「ここって……」

 

 

 やはり尋ねるべきだっただろうか。目的地に到着した俺はほんの少し後悔していた。

 

 海のど真ん中に建てられた牢獄。奈落を表す神の名に準えられた呼び名は"タルタロス"……あのオール・フォー・ワンすらも捕らえられている場所。

 

 そこで俺達を待っていたのは塚内さんとグラントリノの二人だった。

 

 

「すまない……本当なら学生である君を巻き込みたくはなかったのだが……」

「あ、いえ……それよりどういった事情が……?」

「……それについては歩きながら話す」

 

 

 そうして二人に案内されながらタルタロスの中を歩く。

 

 カツン、カツンと硬質な足音が反響し、ドア一枚隔てた先の気配を際立たせる。ここにいるような敵は基本的に二度と釈放されることはないそうだが……なるほど、こんなヤバい気配だらけなわけだ。

 

 タルタロスの職員が二名、塚内さんとグラントリノを挟んでその後ろに先生二人と俺。背を向けたまま塚内さんとグラントリノは語り出す。

 

 

「森岸君も聞いているだろう、脳無は人の手によって体を改造され、複数の個性に耐えられるようになった人間だ」

「……死体、なんですよね?」

「そうだ。脳みそから心臓に至るまで滅茶苦茶にされている。脳無とは、正しく人形……意志持たぬ操り人形」

 

 

「の、はずだった」

 

 

 はず? 違ったって事か?

 

 まさか本当に生きているそういう生物? それかそもそも脳無自体が誰かの個性から生まれている存在?

 

 

「グラントリノさん。こっちは授業トばして来てるんです。簡潔にお願いします」

「相澤」

 

 

 ……相澤先生の反応を見るに違うっぽいな。それだけなら相澤先生がここまでキレる理由にはならない。

 

 マイク先生も止めてはいるけれど手が震えている。このタルタロスに何があったというのか。

 

 その前にとある一室の前で足が止まった。分厚いドアが音を立てて動く。様々なロックが解除されているのかガシャリ、ガコンと重々しい音が重なる。

 

 

コイツ(・・・)敵連合(・・・)の中でも特別だった」

「……!」

 

 

 敵連合。表向きにはリーダーである死柄木弔が投降したことで解散したと報じられているが、その実死柄木弔と黒霧以外は逃げてしまっている。

 

 少し前にトゥワイスという男も出頭していたそうだが、少なくともここにはいないだろう。敵連合だった奴らの中にここに入れなきゃならない程ヤバい奴はいなかった。

 

 

 元々死柄木弔はオール・フォー・ワンに利用されていただけの、何も知らないまま敵として育てられただけの人間。オール・フォー・ワンに教えられたこと以外は何も知らなかった。

 

 だが、黒霧は違ったそうだ。奴は元々オール・フォー・ワンの部下であり、死柄木弔の教育係として任されていたのだとか。

 

 ならば死柄木弔よりもオール・フォー・ワンの残党についての情報を持っているのではないかと思い、協力を要請したこともあるそうだが……

 

 

「肝心なことは一切話そうとしない。死柄木弔の命令があってもオール・フォー・ワンの話だけはしない……いや、できない(・・・・)

「……できない?」

「話す意志はあるらしいんだが……話そうとすると電源が落ちたかのようにストンと無反応になるんだ」

 

 

 まるで人間とは思えない程(・・・・・・・・・・・・)、とグラントリノは言う。

 

 分厚いドアが開いた先に見えるのは黒いモヤのような身体。椅子に座らされた状態で拘束された黒霧。

 

 

「あまりに精巧でそれ(・・)と気づくまでに時間がかかった。複数の因子が結合され、一つの新たな個性になっていたんだ」

 

「そしてそのベースになった因子……かつて雄英高校で君達と苦楽を共にし、若くして命を落としたとされている男」

 

 

「白雲朧のものと極めて近い事がわかった」

 

 

 …………それは、つまり。

 

 黒霧という人間はどこにもいなくて、黒霧は脳無だった。しかも相澤先生達の友人の遺体が使われている……と?

 

 

「……『A組の三馬鹿』なんて呼ばれもしたよ……意味がわかんねェよ!」

「『目立たず三ツ星レストランの残飯を漁るようなもの』だそうだ……意味なんて……求めちゃいけねぇよDJ。そこには悪意があるだけだ」

 

 

 当然『はいそうですか』と飲み込めるものでもない。マイク先生が声を荒らげるけれど、グラントリノは冷静に諭すように返すばかり。

 

 ……待て、まさか俺が呼ばれたのってまさか。

 

 

「何故我々を? 絆による奇跡でも期待してるなら……大衆映画の見すぎでは?」

「……一応言っておきますけど、俺の【魔法】でも死人を生き返らせるような事はできませんからね」

「んなこたァ分かってる。それに、根拠があれば奇跡は可能性になる」

 

 

 いくら俺でも蘇生まではできない。死んだ直後……というか致命傷を受けて生死の境を彷徨っている状況ならともかく、死んで時間が経った人間にはどんな回復魔法も無意味だ。せいぜい遺体を綺麗にするのがやっとだろう。そういう直感がある。

 

 しかしそうではないとグラントリノは言う。

 

 根拠となるのは九州でエンデヴァーが倒した脳無。報告では明確な人格を有しており、強い者への執着を見せていたらしい。

 

 僅かに残った燃えカスのDNA鑑定をした所、その素体は地下格闘で生計を立てていたならず者だと判明していた。

 

 

「生前の人格を残してる……と。残念だが雄英で一戦交えてます。口調も違ったし、俺に対して何の反応も示さなかった」

「そういう実験をしてたのかもな。改竄、或いは消去した記憶が命令遂行に与える影響は……とか」

 

 

 それで、俺に何を望まれているのだろうか。

 

 

「二人は白雲朧の執着を呼び覚まして欲しい」

「……森岸には何をさせるんです?」

「正直なところ賭けになる。上手くいくとも限らない」

 

 

 

「黒霧の身体を白雲朧に治してほしい(・・・・・・)んだ」

 

 

 

 






相澤「…………」
マイク「…………」
森岸(気まずい……!)



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