Q.Mt.レディとナインのサイズ差ってどんなもん?
A.ナインの高さが10mくらいでMt.レディは20mくらいなので大体倍ぐらいの差があった。地面に伏せている時に踏まれた為抵抗できなかった。
Q.ナインの部下はどこにいったの?
A.ナレ死どころか画面外で普通に倒されました。
Q.あの……もしかしなくてもナインって【魔法】じゃなかったら森岸にダメージ与えられてたりする?
A.ぶっちゃけそう。元の【天候操作】の雷と【ギガデイン】だと前者の方が効いてた。全部【魔法】と紐付けたせいで軒並み森岸に通らなくなってた。
脳無。オール・フォー・ワンとドクターによって複数の個性を持てるように改造された死体。自我などなく、プログラムされた行動しか取ることができない。
個性の所持数と改造強度によって下位、中位、上位と区分が存在し、上位の脳無であれば最低でも常人の十倍以上の筋力を持っている。
ハイエンドは更にその上。上位以上の能力に加え、生前の性格をベースとした高度な自立思考能力を持っている。
それ故、ベースとなる敵を厳選すればより強力で好戦的な脳無を作り出せた。例えば『血狂いマスキュラー』をベースにした場合、血と暴力を好む残虐な脳無が生まれていただろう。
「はっ……はっ……! うっ……!」
蛇腔総合病院地下室……その奥深くの部屋。更に部屋の隅にて殻木球大は必死に息を殺して震えていた。
「終わる……終わってしまう……! ワシの! 魔王の夢が……!!」
ここに逃げ場などない。当然だ。出入口にはヒーローが待ち構えている。頼みの綱であった汚泥による転送の個性を持った脳無もミルコの蹴りの余波に潰れた。
外道に堕ちながらも優秀であった頭脳を必死に動かし、何とかこの場を切り抜ける方法がないか考え続ける。
だが、優秀であるが故にこの状況を理解してしまっている老人は己が詰んでいるという結論しか出せない。既に負け戦となっている現実から目を背けられない。
可能性があるとすれば、無理やり起動したハイエンド脳無とウォルフラムがヒーロー達を返り討ちにしてくれる以外ないが……それがどれ程か細い可能性なのかを知っている。
それでも頼るものが他にない。コンマの後にどれだけの0が並ぶことになろうとも、蜘蛛の糸よりも細い極小の勝ち筋を引ける事を祈るしかない。
今彼の頭にあるのは保身ではなかった。
目の前に広がる機材やデータ、それを積み上げるだけの労力とかけた時間ばかりが脳裏を過ぎっている。
「頼む……なんとかしてくれ……! 間に合ってくれい……!」
「マキア……!!」
小刻みに震える彼の手には『起動開始』と表示されるボタンだけが残っていた。
「……奥にいるなァ」
最早どれが何の用途なのかも判別できぬ程のコードやパイプの群れの中、ミルコは雪のような耳をピクリと反応させて笑っていた。
完全に虚を突かれた。動かないと思っていたハイエンド脳無からの不意打ちを受けたミルコの身体はボールでも蹴飛ばしたように吹き飛ばされていた。
しかしその身体は未だ無傷。【スピオキルト】と【スクルト】を受けとったミルコに傷を付けるにはただ殴り飛ばした程度ではまるで足りやしない。
「ジジイ、逃げずに留まって……ガタガタガタガタ震えてんなァ!!」
「なナ何故、動ケる……?」
「動キをト止めろ。俺ガ殺ル」
ハイエンド脳無には分からない。理解する必要もない。ただ目の前にいるヒーロー達を鏖殺すればいいのだから、考える意味がない。
疑問には感じてもその先を求めない。女性型の脳無が不思議そうに首を傾げるが、さして気にした様子もなくロボットのような頭の脳無が感情を滲ませない声音で指示を出す。
そうしてロボットのような頭の脳無が手を持ち上げた瞬間──ミルコと、もう一人。
「逃げ場がねェならまずテメェらからだよなァ!?」
「相手が悪かったな。死体共」
無数の改造によって獲得した力が消える。【超再生】も【魔法】も、宿された異能はピクリとも動かない。
女性型とロボットのような頭の脳無は疑問を抱く余地すらなかった。強化されたミルコを目で追うことすら叶わず、次の瞬間には頭部が水風船の如く弾けていた。
「何!?」
「俺の生徒の個性、勝手に使ってんじゃねえよ」
何が起きた。その言葉さえ許されない。同じく森岸から強化を受けていたイレイザーヘッドの拳が象のような頭部の脳無を殴りつけた。
多少の無茶を承知で受けた強化内容は他のヒーローよりも強く、その効果は脳無の頭を引きちぎる程。ブチブチ、と不快な音を立てて不気味な頭部が吹き飛んでいく。
僅か数秒。起こされてからたった数秒で三体の仲間を失ったハイエンドは声を荒げた。
「ヨよよくも!!」
「遅ェ!」
「!? 速──」
だが、その一言すら無駄口でしかない。女性型とロボットモドキが動かないことを確認したミルコは既に攻撃体勢に入っていた。
視界の外から飛来したミルコの存在を認識したのがそのハイエンドの最期。弾丸のような飛び蹴りは長く伸びた頭部へと突き刺さり、アッサリと肉片へ変えてしまった。
「んで、最後ォ!」
「……それなら俺が倒した」
「あ? んだよ。もう終わりか」
最後に残った肥満体型の脳無を──と、振り返った先に立っていたのはエンデヴァー。【超再生】がない状態では【赫灼熱拳】を耐えられるはずもなく、全身が炭化する程焼かれて動かなくなっていた。
総力戦、と聞いていた割にはあまりにも拍子抜けする順調っぷり。あれだけ危惧されていた脳無も、蓋を開けてみればこの程度だった。
見回してみれば培養カプセルに浮かんだ脳無の姿があるものの、こちらは動く気配がない。どうも殻木はハイエンド脳無五体を起こすのが精一杯だったらしく、他の脳無に関しては触れることさえできなかったようだ。
「……そうなるように、準備してきたんです。順調にいくならその方がいい」
「ま、そんなもんか。後は奥にいるジジイ引っ張ったらこっちは終わりか?」
「この脳無達の回収もだ。だが、まだ解放軍が残っている」
元々病院に割かれた人員のほとんどは無関係の患者や職員の避難誘導や保護を主目的とした者ばかりだった。
故にここまで来たのはエンデヴァーやミルコ、イレイザーヘッドと少数精鋭。その他のヒーローはほとんど地上で避難誘導に加わっている。
「……今、脳無の回収を頼んだ。俺達は殻木球大を捕らえるぞ」
「それが終わり次第向こうに合流だな!?」
「八十キロくらい離れてますよ」
「…………いける!」
「走る気か貴様」
その後まるで赤子のように醜く泣きわめく殻木を引き摺り出し、蛇腔総合病院での戦いは幕を下ろした。
あまりに耳障りだった為かミルコから蹴られ、それっきり静かにメソメソと泣くばかりになっていた。
◇
一方群訝山荘。ナインという明らかに大物らしき敵の討伐が伝わったことによりヒーロー側は更に勢いづいており、逆に異能解放軍は最高指導者に認められる程の実力を持っていたナインが倒れた事で少なくない動揺があった。
現在は包囲網を保ったままアジト内……それから地下空間からも出てきている解放軍を逃がさぬようにと制圧戦が続いていた。
群訝山荘の地下には蛇腔総合病院と同じく広大な地下空間が存在しており、現在はそこにリ・デストロと多数の幹部や構成員がいると分かっている。
外へと繋がる通路をヒーロー達が先回りして潰し、地上へ繋がるルートを屋敷内の五箇所に限定。これによりここに集まった異能解放軍全てがヒーロー達の包囲網内に留められた事になる。
そして念には念を、ということで更に通路を限定すべく、残る五箇所のうち三箇所を塞ぐ為に爆豪は駆り出されていた。
「すまんな! 急に呼び出して!」
「はっ! こんなデケェ捕物で何もねえよかマシだ!!」
「怖い……」
話しながらたどり着いた通路には既に何人もの解放戦士が待ち構えており、通路を死守するべく異能を剥き出しに襲いかかる。
しかし──……
「ぎゃっ!?」
「うわっ!」
「悪いが少し大人しくしておいてくれ」
食したものを【再現】する個性によって編み出された必殺技【混成大夥:ケンタウロス】の前に蹴散らされる。
馬の下半身にタコの触腕、そして触腕の先端にパイナップルを【再現】すると鞭のように振り回して解放戦士を叩きのめした。
高い機動力から繰り出される広範囲への攻撃。防御ごと吹き飛ばす薙ぎ払いは瞬く間に通路付近から解放戦士を引き剥がし、ファットガムと爆豪が通路の入口へと踏み込んだ。
「いいんだな?」
「勿論! 見せてくれやお前の力!!」
「上等ォ!!」
どうにかサンイーターの攻撃を潜り抜けようとするも、もう遅い。
爆豪の手のひらがチカチカと瞬いた後、輝くような超火力の爆発が放たれた。
破壊は一瞬。地下へと伸びる通路を爆発が駆け抜け、あっという間に全てが瓦礫に埋もれていった。
あまりにも凄まじい破壊力に周囲が静寂に包まれる。呆然と通路だったものを見つめ、隙を晒した者からサンイーターに刈り取られていった。
「……! こら想定以上やわ……」
「たりめーだ。俺はオールマイト超えんだ、この程度朝飯前だ」
「これでここも塞げた。次に行こう」
残るは四箇所。他の通路にもヒーローが向かっているが、戦力などいくらあっても困るものではない。
ひと仕事終えて尚闘志を滾らせている爆豪を連れ、次の通路へ向かおうとしたその時だった。
ズ、ズンと一際大きな揺れが起こった。
「おわっ……と……こらやり過ぎたんちゃうか?」
「……いや、違う」
「何?」
もう一度、地面が揺れる。土に亀裂が走り、周辺の地面が隆起する。
「何か来る!!」
巨大な腕が大地を砕きながら、それは姿を現した。
「しシし主は……イ何処……?」
異形と化したナインすら霞む巨体。およそ同じ人類とは思えぬそれは狂気的なまでの忠誠心のみで微かに自我を保つ怪物。
オール・フォー・ワンの忠実なる下僕にしてドクターにとっての切り札。
脳無化されたギガントマキアが現れた。
ミルコ「つまんねー」
相澤「……だからってその辺の脳無起こしたりしないでくださいよ。洒落になりませんからね」
ミルコ「流石にしねーよ!」
エンデヴァー(燈矢はどこにいるのだろうか……)
殻木「わァ……! ァ……! ガラキヲイジメヌンデ……」